Hitachi Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(HP-UX用)
ここでは,HDLM管理対象デバイスへのすべてのパスに障害が発生した場合のタイムアウト値について説明します。Oracle 10gおよびOracle 11gを使用する場合の論理ボリュームおよび物理ボリュームのタイムアウト値については,「3.12.2 クラスタ構成の場合」も参照してください。
- <この項の構成>
- (1) LVMを使用している場合
- (2) LVMを使用していない場合
(1) LVMを使用している場合
物理ボリュームにタイムアウト値を設定する場合,LVMのpvchange -tコマンドで物理ボリュームに対応するHDLMデバイスのデバイスファイルを指定します。このとき,HDLMデバイスに対応する物理ボリュームの全パス(SCSIデバイス)に対してタイムアウト値を設定します。また,物理ボリュームに接続されたすべてのパスに障害が発生している場合,HDLMはすべてのパスの応答がタイムアウトになってからLVMに応答を返します。このためLVMからのI/O要求に対して,HDLMが失敗の応答を返すのは,およそ次の時間を経過したあとになります。
物理ボリュームのタイムアウト値×該当するHDLM管理対象デバイスへのパス数(秒)
アプリケーションがI/Oを要求してから応答が返るまでの流れを,「図4-1 I/O要求から応答が返るまでの流れ」に示します。「図4-1 I/O要求から応答が返るまでの流れ」に示す例では,HDLM管理対象デバイスと対応する物理ボリュームには30秒のタイムアウト値が設定されています。また,(物理ボリュームに接続しているパス)の本数は2本となっています。
このとき,HDLM管理対象デバイスへ発行したI/O要求が失敗すると,HDLMがLVMへ応答を返すのは,30秒(タイムアウト値)×2本(接続パスの本数)=約60秒後となります。
図4-1 I/O要求から応答が返るまでの流れ
したがって,LVMのlvchange -tコマンドで設定した論理ボリュームのタイムアウト値が「物理ボリュームのタイムアウト値×該当するHDLM管理対象デバイスへのパス数(秒)」より大きいと,HDLMからLVMへ応答後に論理ボリュームがタイムアウトになり,アプリケーションに応答が返ります。このときのerrnoはEPOWERFです。
物理ボリュームがタイムアウトするごとに,syslogにKAPL08019-EまたはKAPL08022-Eのメッセージが出力されます。
これらのことから,論理ボリュームのタイムアウト値または物理ボリュームのタイムアウト値は,次の条件を満たすように設定することをお勧めします。
- 論理ボリュームのタイムアウト値 > = 物理ボリュームのタイムアウト値×該当するHDLM管理対象デバイスへのパス数
- アプリケーションのタイマ監視時間などのシステム要件
論理ボリュームに60秒のタイムアウト値を設定する場合のコマンドの実行例を,次に示します。
# lvchange -t 60 /dev/vg10/lvol1 Logical volume "/dev/vg10/lvol1" has been successfully changed. Volume Group configuration for /dev/vg10 has been saved in /etc/lvmconf/vg10.conf
(2) LVMを使用していない場合
HDLMデバイスのデバイスファイルへのキャラクタ型I/O要求は,およそ次の時間を経過したあとに,アプリケーションにI/O要求の失敗の応答が返ります。このときのerrnoはEIOです。
30×該当するHDLM管理対象デバイスへのパス数(秒)
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