Hitachi Dynamic Link Manager Software ユーザーズガイド(HP-UX用)

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3.12.2 クラスタ構成の場合

ホスト間で共有されているSCSIデバイスで構成されているボリュームグループを,対応するHDLMデバイスのデバイスファイルを指定して再構成する手順を説明します。クラスタを構成するすべてのホストに対して次の手順を実行してください。

<この項の構成>
(1) ServiceGuardまたはOracle RACの場合
(2) HAモニタの場合

(1) ServiceGuardまたはOracle RACの場合

ボリュームグループは,同時には一つのホストでしか活性化できません。vgchange -a yコマンドを実行しても,ホスト間で共有されているボリュームグループは活性化できません。このため,まずcmrunclコマンドを実行してServiceGuard,またはOracle RACを起動します。このとき,該当するボリュームグループを使用しているパッケージが起動されている場合は,cmhaltpkgコマンドを実行してそのパッケージを停止します。そのあと,vgchange -a eコマンドを実行してボリュームグループを排他モードで活性化します。

次に手順を示します。

  1. cmrunclコマンドを実行して,ボリュームグループを活性化します。
     
    # cmruncl -v
    Successfully started $SGLBIN/cmcld on host1.
    Successfully started $SGLBIN/cmcld on host2.
    cmruncl  : Waiting for cluster to form.....
    cmruncl  : Cluster successfully formed.
    cmruncl  : Check the syslog files on all nodes in the cluster
    cmruncl  : to verify that no warnings occurred during startup.
  2. cmviewclコマンドを実行して,起動しているパッケージを確認します。
     
    # cmviewcl
    CLUSTER      STATUS
    cluster25    up
      NODE         STATUS       STATE
      host2        up           running
     
        PACKAGE      STATUS       STATE        AUTO_RUN     NODE
        pkg25        up           running      enabled      host2
    この例では,パッケージ「pkg25」が起動しています。
  3. 起動しているパッケージがある場合,cmhaltpkgコマンドを実行して,パッケージを終了させます。
    パッケージ「pkg25」を終了させる場合のコマンドの実行例を,次に示します。
     
    # cmhaltpkg pkg25
    cmhaltpkg  : Completed successfully on all packages specified.
  4. vgchange -a eコマンドを実行して,ボリュームグループを排他モードで活性化します。
     
    # vgchange -a e /dev/vg10
    Activated volume group in Exclusive Mode.
    Volume group "/dev/vg10" has been successfully changed.
  5. ボリュームグループを移行します。
    3.12.1 クラスタ構成でない場合」の手順に従って,HDLMデバイスのデバイスファイルを指定したボリュームグループへ移行してください。
  6. vgchange -a nコマンドを実行して,ボリュームグループを非活性化します。
     
    # vgchange -a n /dev/vg10
    Volume group "/dev/vg10" has been successfully changed.

注意事項
ホストとOracle RACの投票ディスク(Voting Disk)を複数のパスで接続しているとき,それらのパスの一部でI/Oタイムアウトが発生すると通常のパスと同様にHDLMはフェイルオーバ処理を実行します。
ただし,Oracle RACの設定状態によっては,HDLMのフェイルオーバ処理が完了する前にOracle RAC側でノード障害が発生したとみなし,クラスタを再構成してしまうおそれがあります。
したがって,Oracle RACの投票ディスクに接続したパスをHDLMが管理する場合,使用しているOracle RACのバージョンに応じて,次に示す設定値を変更してください。
  • Oracle RAC 10g 10.1.0.3.0以降,またはOracle RAC 11gを使用している場合
    ストレージサブシステムの種別に応じて,「MISSCOUNT」の値を変更してください。設定する値は,次に示す表に従って計算してください。算出した値以上に変更してください。

    表3-18 「MISSCOUNT」の計算式

    ストレージサブシステム種別 「MISSCOUNT」に設定する値の計算式

    • Hitachi USP
    • SANRISE2000シリーズ
    • SANRISE9900Vシリーズ
    • Universal Storage Platform V/VM
    投票ディスクへ接続するパスの数×60秒

    • Hitachi AMS2000/AMS/TMS/WMS/SMSシリーズ
    • SANRISE9500Vシリーズ
    投票ディスクへ接続するパスの数×30秒
  • Oracle RAC 10g 10.2.0.2.0以降,またはOracle RAC 11gを使用している場合
    上記の「MISSCOUNT」の値の変更に加え,「DISKTIMEOUT」の値も変更してください。「DISKTIMEOUT」に設定する値は,「MISSCOUNT」の値の変更と同様,ストレージサブシステムの種別に応じて異なります。設定する値は,次に示す表に従って計算してください。算出した値以上に変更してください。

    表3-19 「DISKTIMEOUT」の計算式

    ストレージサブシステム種別 投票ディスクへ接続するパスの数 「DISKTIMEOUT」に設定する値の計算式

    • Hitachi USP
    • SANRISE2000シリーズ
    • SANRISE9900Vシリーズ
    • Universal Storage Platform V/VM
    3以下 「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。
    4以上 投票ディスクへ接続するパスの数×60秒

    • Hitachi AMS2000/AMS/TMS/WMS/SMSシリーズ
    • SANRISE9500Vシリーズ
    6以下 「DISKTIMEOUT」の値を変更する必要はありません。
    7以上 投票ディスクへ接続するパスの数×30秒

「MISSCOUNT」および「DISKTIMEOUT」の変更方法については,Oracleサポートサービスを契約した会社へお問い合わせください。

なお,上記の構成からHDLMをアンインストールする場合,変更した「MISSCOUNT」や「DISKTIMEOUT」の設定値を元の値に戻す必要があるため,変更する前のそれぞれの設定値を控えておいてください。

(2) HAモニタの場合

ボリュームグループは,同時には一つのホストでしか活性化できません。vgchange -a yコマンドを実行して共有されているボリュームグループを活性化します。

次に手順を示します。

  1. vgchangeコマンドを実行して,ボリュームグループを活性化します。
     
    # vgchange -a y /dev/vg10
    Activated volume group
    Volume group "/dev/vg10" has been successfully changed.
     
  2. ボリュームグループを移行します。
    3.12.1 クラスタ構成でない場合」の手順に従って,HDLMデバイスのデバイスファイルを指定したボリュームグループへ移行してください。
  3. vgchange -a nコマンドを指定して実行し,ボリュームグループを非活性化します。
     
    # vgchange -a n /dev/vg10
    Volume group "/dev/vg10" has been successfully changed.
     

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