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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 プロトコル TP1/NET/TCP/IP編


はじめに

このマニュアルは,TP1/NET/TCP/IPの概要,機能,操作,および運用について説明したものです。

本文中に記載されている製品のうち,このマニュアルの対象製品ではない製品については,OpenTP1 Version 7対応製品の発行時期をご確認ください。

〈はじめにの構成〉

■ 対象読者

OpenTP1システムの通信にTCP/IPプロトコルを使用するシステム管理者,システム設計者,およびプログラマを対象としています。また,オンラインやOpenTP1システムの基礎的な知識を持っていて,次のマニュアルを理解されていることを前提としています。

■ マニュアルの構成

このマニュアルは,次に示す章と付録から構成されています。

第1章 概要

TP1/NET/TCP/IPを使用したシステム間の通信(AP間通信)の概要について説明しています。

第2章 機能

TP1/NET/TCP/IPで使用できるコネクションに関する機能,論理端末に関する機能,およびメッセージ送受信に関する機能について説明しています。

第3章 C言語のライブラリ関数

TP1/NET/TCP/IPで使用できる,C言語のライブラリ関数について説明しています。

第4章 COBOL-UAP作成用プログラムインタフェース

TP1/NET/TCP/IPで使用できる,COBOL-UAP作成用プログラムインタフェースについて説明しています。

第5章 ユーザオウンコーディング,MCFイベントインタフェース

TP1/NET/TCP/IPのユーザオウンコーディングのインタフェース,およびMCFイベントインタフェースについて説明しています。

第6章 システム定義

TCP/IPプロトコルを使用するために必要な,OpenTP1のシステム定義の中でのTP1/NET/TCP/IP固有のシステム定義,および定義例について説明しています。

第7章 運用コマンド

TP1/NET/TCP/IPで使用できる運用コマンドについて説明しています。

第8章 組み込み方法

TP1/NET/TCP/IPをOpenTP1システムへ組み込む方法について説明しています。

第9章 障害対策

TP1/NET/TCP/IP運用中に発生する障害と,TP1/NET/TCP/IPの対応処理,およびメッセージの処理について説明しています。

第10章 トラブル発生時の調査手順

障害が発生したときに取得する情報および調査手順について説明しています。

付録A バージョンアップ時の変更点

各バージョンでの関数,定義およびコマンドの変更点について説明しています。

付録B 旧製品からの移行に関する注意事項

バージョン6からバージョン7へ移行する場合,およびバージョン5以前からバージョン7へ移行する場合の注意事項について説明しています。また,バージョン5でのソケット関数の処理の流れについて説明しています。

付録C インタフェースの変更一覧(バージョン6以前から移行する場合)

バージョン6以前からバージョン7に移行する場合のインタフェースの変更一覧について説明しています。

付録D メッセージ送受信の処理の流れ

メッセージを送受信するときのデータの流れ,ジャーナル取得のタイミングについて説明しています。

付録E 障害発生時の処理の流れ

障害が発生した場合の処理の流れについて説明しています。

付録F 送受信メッセージの衝突時の処理の流れ(メッセージ送達確認機能使用時)

送受信メッセージが衝突した場合の処理の流れについて説明しています。

付録G ソケット関数の処理の流れ

ソケット関数の処理の流れについて説明しています。

付録H MCF性能検証用トレースの取得

MCF性能検証用トレースの取得について説明しています。

付録I ユーザアプリケーションプログラムの作成例

TP1/NET/TCP/IPのユーザアプリケーションプログラムの作成例について説明しています。

付録J 理由コード一覧

障害通知イベントが発生した場合の理由コードについて説明しています。

付録K 用語解説

TP1/NET/TCP/IPで使用する用語について説明しています。

■ 関連マニュアル

[図データ]

■ 読書手順

このマニュアルは,利用目的に合わせて章を選択して読むことができます。利用目的別に,次の流れに従ってお読みいただくことをお勧めします。

[図データ]

■ 図中で使用する記号

このマニュアルの図中で使用する記号を,次のように定義します。

[図データ]

■ 文法の記号

このマニュアルで使用する各種の記号を説明します。

(1)文法記述記号

文法の記述形式について説明する記号です。

文法記述記号

意味

〔 〕

この記号で囲まれている項目は省略できることを示します。

(例)〔-s MCF通信プロセス識別子〕

-sオプションとそのオペランドを指定するか,何も指定しないことを示します。

(ストローク)

この記号で区切られた項目は選択できることを示します。

(例)-t reply|request

-tオプションにreplyまたはrequestを指定できることを示します。

ただし,C言語のインタフェースの説明でこの記号を使用した場合は,C言語の文法規則に従います。

{ }

この記号で囲まれている複数の項目のうちから一つを選択できることを示します。

(例){DCMCFESI|DCMCFEMI}

DCMCFESIとDCMCFEMIのうち,どちらかを指定できることを示します。

_

(下線)

この記号で示す項目は,オペランド,オプションまたはコマンド引数を省略した場合の省略時解釈値を示します。

(例)-i auto|manual

-iオプションを省略した場合,manualを省略時解釈値とすることを示します。

ただし,データ操作言語の説明の場合,この下線記号で示す予約語は,必要語なので省略できないことを示します。下線がない予約語は,補助語なので書いても書かなくてもかまいません。

この記号で示す直前の一つの項目を繰り返し指定できることを示します。

ただし,項目が括弧で囲まれている場合,括弧全体が一つの項目となります。

(白三角)

空白を示します。

(例)コネクションID1△コネクションID2

コネクションID1とコネクションID2の間に,空白を1個入力することを示します。

(2)属性表示記号

ユーザ指定値の範囲などを説明する記号です。

属性表示記号

意味

この記号のあとにユーザ指定値の属性を示します。

《  》

ユーザが指定を省略したときの省略時解釈値を示します。

<  >

ユーザ指定値の構文要素を示します。

((  ))

ユーザ指定値の指定範囲を示します。

(3)構文要素記号

ユーザ指定値の内容を説明する記号です。

構文要素記号

意味

<英字>

アルファベット(A〜Z,a〜z)と_(アンダスコア)

<英字記号>

アルファベット(A〜Z,a〜z)と#,@,\

<英数字>

英字と数字(0〜9)

<英数字記号>

英字記号と数字(0〜9)

<符号なし整数>

数字列(0〜9)

<10進数字>

数字(0〜9)

<16進数字>

数字(0〜9)とアルファベット(A〜F,a〜f)

<識別子>

先頭がアルファベットの英数字列

<記号名称>

先頭が英字記号の英数字記号列

<文字列>

任意の文字の配列

<パス名>

記号名称,/,または.(ピリオド)

(ただし,パス名は使用するOSに依存)

<ホスト名>

先頭が英数字または-(ハイフン)で,

先頭以外が英数字,-(ハイフン),または.(ピリオド)

■ このマニュアルでの表記

(1)製品名

このマニュアルで使用する製品名称の略称を次に示します。

製品名称

略称

AIX V6.1

AIX

AIX V7.1

AIX V7.2

HP-UX 11i V2 (IPF)

HP-UX (IPF)

(32ビット用),

HP-UX (IPF)

(64ビット用)

HP-UX

HP-UX 11i V3 (IPF)

Itanium Processor Family

IPF

Windows 7 Enterprise

Windows 7

Windows 7

Windows 7 Professional

Windows 7 Ultimate

Windows 7 Enterprise (x64)

Windows 7 x64 Edition

Windows 7 Professional (x64)

Windows 7 Ultimate (x64)

Windows 8 Enterprise

Windows 8

Windows 8

Windows 8 Pro

Windows 8 Enterprise(x64)

Windows 8 x64 Edition

Windows 8 Pro(x64)

Windows 8.1 Enterprise

Windows 8.1

Windows 8.1

Windows 8.1 Pro

Windows 8.1 Enterprise(x64)

Windows 8.1 x64 Edition

Windows 8.1 Pro(x64)

Windows 10 Enterprise

Windows 10

Windows 10

Windows 10 Pro

Windows 10 Enterprise(x64)

Windows 10 x64 Edition

Windows 10 Pro(x64)

Windows Server 2008 R2, Datacenter Edition

Windows Server 2008 R2

Windows Server 2008 R2, Enterprise Edition

Windows Server 2008 R2, Standard Edition

Windows Server 2012 Datacenter

Windows Server 2012

Windows Server 2012 Standard

Windows Server 2012 R2 Datacenter

Windows Server 2012 R2

Windows Server 2012 R2 Standard

Windows Server 2016 Datacenter

Windows Server 2016

Windows Server 2016 Standard

Windows Server 2019 Datacenter

Windows Server 2019

Windows Server 2019 Standard

uCosminexus TP1/Message Control

TP1/Message Control

uCosminexus TP1/Message Control(64)

uCosminexus TP1/NET/High Availability

TP1/NET/High Availability

uCosminexus TP1/NET/High Availability(64)

uCosminexus TP1/NET/Library

TP1/NET/Library

uCosminexus TP1/NET/Library(64)

uCosminexus TP1/NET/NCSB

TP1/NET/NCSB

uCosminexus TP1/NET/OSI-TP

TP1/NET/OSI-TP

uCosminexus TP1/Server Base

TP1/Server Base

uCosminexus TP1/Server Base(64)

uCosminexus TP1/NET/TCP/IP

TP1/NET/TCP/IP

uCosminexus TP1/NET/TCP/IP(64)

uCosminexus TP1/NET/X25-Extended

TP1/NET/X25-Extended

Linux

Linux

Linux

Red Hat Enterprise Linux Server 6 (32-bit x86)

Linux(x86,AMD/Intel 64)(32ビット用),

Linux(AMD/Intel 64)(64ビット用)

Red Hat Enterprise Linux Server 6 (64-bit x86_64)

Red Hat Enterprise Linux Server 7 (64-bit x86_64)

Red Hat Enterprise Linux Server 8 (64-bit x86_64)

Solaris 8

Solaris

Solaris 9

Solaris 10

  • Windows Server 2008 R2,Windows 7,Windows 8,Windows 8.1,Windows 10,Windows Server 2012,Windows Server 2012 R2およびWindows Server 2016で機能差がない場合,Windowsと表記しています。

  • AIX,HP-UX,Linux,およびSolarisを総称してUNIXと表記しています。

(2)適用OSによる違いについて

Windows版の製品をご使用になる場合,マニュアルの記述を次のように読み換えてください。

項目

マニュアルの表記

読み換え

環境変数の表記

$aaaaaa

(例) $DCDIR

%aaaaaa%

(例) %DCDIR%

パス名の区切り文字

:

;

ディレクトリの区切り文字

/

\

完全パス名

ルートディレクトリから指定します。

(例) /tmp

先頭にドライブ文字を付加して,ルートディレクトリから指定します。

(例) C:\tmp

実行形式ファイル名

ファイル名だけを指定します。

(例) mcfmngrd

ファイル名に拡張子を付加して指定します。

(例) mcfmngrd.exe

makeコマンド

make

nmake

(3)アーキテクチャによる違いについて

このマニュアルでは,32ビットアーキテクチャ対応OSと64ビットアーキテクチャ対応OSで記述を書き分けている個所があります。ご使用のOSをご確認の上,アーキテクチャに応じた記載個所をお読みください。

次の表に,このマニュアルでのアーキテクチャの違いによる表記と対応OSを示します。

マニュアルの表記

OS

32ビットアーキテクチャの場合

  • AIX(32ビット用)

  • HP-UX (IPF)(32ビット用)

  • Solaris

  • Windows(32ビット用)

  • Linux (x86,AMD/Intel 64)(32ビット用)

64ビットアーキテクチャの場合

  • AIX (64ビット用)

  • HP-UX (IPF)(64ビット用)

  • Windows(64ビット用)

  • Linux (AMD/Intel 64)(64ビット用)

(4)JISコード配列のキーボードとASCIIコード配列のキーボードとの違いについて

JISコード配列とASCIIコード配列では,次に示すコードで入力文字の違いがあります。このマニュアルの文字入力例(コーディング例)の表記は,JISコード配列(日本語のキーボード)に従った文字に統一しています。

コード

JISコード配列

ASCIIコード配列

(5c)16

'\'(円記号)

'\'(バックスラッシュ)

(7e)16

' ̄'(オーバライン)

'~'(チルド)

■ 略語一覧

このマニュアルで使用する英略語の一覧を次に示します。

英略語

英字での表記

ACK

Acknowledgement Flag

AP

Application Program

API

Application Programming Interface

DNS

Domain Name System

FIN

Fin Flag

LAN

Local Area Network

MCF

Message Control Facility

MHP

Message Handling Program

OS

Operating System

PSH

Push Flag

RST

Reset Flag

SPP

Service Providing Program

SYN

Synchronize Flag

TCP/IP

Transmission Control Protocol/Internet Protocol

UAP

User Application Program

UOC

User Own Coding

■ KB(キロバイト)などの単位表記について

1KB(キロバイト),1MB(メガバイト),1GB(ギガバイト),1TB(テラバイト)はそれぞれ1,024バイト,1,0242バイト,1,0243バイト,1,0244バイトです。

■ 謝辞

COBOL言語仕様は,CODASYL(the Conference on Data Systems Languages:データシステムズ言語協議会)によって,開発された。OpenTP1のユーザアプリケーションプログラムのインタフェース仕様のうち,データ操作言語(DML Data Manipulation Language)の仕様は,CODASYL COBOL(1981)の通信節,RECEIVE文,SEND文,COMMIT文,及びROLLBACK文を参考にし,それに日立製作所独自の解釈と仕様を追加して開発した。原開発者に対し謝意を表すとともに,CODASYLの要求に従って以下の謝辞を掲げる。なお,この文章は,COBOLの原仕様書「CODASYL COBOL JOURNAL OF DEVELOPMENT 1984」の謝辞の一部を再掲するものである。

いかなる組織であっても,COBOLの原仕様書とその仕様の全体又は一部分を複製すること,マニュアルその他の資料のための土台として原仕様書のアイデアを利用することは自由である。ただし,その場合には,その刊行物のまえがきの一部として,次の謝辞を掲載しなければならない。書評などに短い文章を引用するときは,"COBOL"という名称を示せば謝辞全体を掲載する必要はない。

COBOLは産業界の言語であり,特定の団体や組織の所有物ではない。

CODASYL COBOL委員会又は仕様変更の提案者は,このプログラミングシステムと言語の正確さや機能について,いかなる保証も与えない。さらに,それに関連する責任も負わない。

 次に示す著作権表示付資料の著作者及び著作権者

FLOW-MATIC(Sperry Rand Corporationの商標),

Programming for the Univac(R)I and II,Data Automation Systems,

Sperry Rand Corporation 著作権表示1958年,1959年;

IBM Commercial Translator Form No.F 28-8013,IBM著作権表示1959年;

FACT,DSI 27A5260-2760,Minneapolis-Honeywell,著作権表示1960年

は,これら全体又は一部分をCOBOLの原仕様書中に利用することを許可した。この許可は,COBOL原仕様書をプログラミングマニュアルや類似の刊行物に複製したり,利用したりする場合にまで拡張される。