付録B.1 システム構築の流れ
J2EEアプリケーションを実行するシステムをファイル編集とコマンド実行で構築する場合,アプリケーションサーバが提供するコマンド,ユーザ定義ファイルなどを使用してシステムの動作環境を設定します。
(1) システムの構築で使用するファイル
J2EEアプリケーションを実行するシステムを構築する場合に使用する主なファイルを次に示します。各ファイルの詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」の「2. J2EEサーバで使用するファイル」を参照してください。
- 注意事項
-
ファイルを変更する場合は,J2EEサーバを停止してください。J2EEサーバの稼働中にファイルの内容を変更した場合の動作は保証されません。
-
usrconf.properties(J2EEサーバ用ユーザプロパティファイル)
J2EEサーバのユーザプロパティを指定するファイルです。J2EEサーバが使用するネーミングサービス,トランザクション,コネクション,コンテナ,ログ,セキュリティなどを指定します。
ファイルの格納場所を次に示します。
-
Windowsの場合
<Application Serverのインストールディレクトリ>\CC\server\usrconf\ejb\<サーバ名称>\usrconf.properties
-
UNIXの場合
/opt/Cosminexus/CC/server/usrconf/ejb/<サーバ名称>/usrconf.properties
-
-
usrconf.cfg(J2EEサーバ用オプション定義ファイル)
J2EEサーバのJavaVMの起動オプションを指定するファイルです。
ファイルの格納場所を次に示します。
-
Windowsの場合
<Application Serverのインストールディレクトリ>\CC\server\usrconf\ejb\<サーバ名称>\usrconf.cfg
-
UNIXの場合
/opt/Cosminexus/CC/server/usrconf/ejb/<サーバ名称>/usrconf.cfg
-
-
server.policy(J2EEサーバ用セキュリティポリシーファイル)
J2EEサーバを実行するJavaVMのセキュリティポリシーを指定するファイルです。
ファイルの格納場所を次に示します。
-
Windowsの場合
<Application Serverのインストールディレクトリ>\CC\server\usrconf\ejb\<サーバ名称>\server.policy
-
UNIXの場合
/opt/Cosminexus/CC/server/usrconf/ejb/<サーバ名称>/server.policy
-
-
hitachi_web.properties(J2EEサーバ用Webアプリケーションプロパティファイル)
Webアプリケーション個別のプロパティを指定するファイルです。なお,J2EEサーバ全体でのプロパティの設定は,usrconf.propertiesで指定します。
ファイルの格納場所を次に示します。
-
Windowsの場合
<WebアプリケーションのWEB-INFディレクトリ>\hitachi_web.properties
-
UNIXの場合
<WebアプリケーションのWEB-INFディレクトリ>/hitachi_web.properties
hitachi_web.propertiesを変更した場合,WARファイルを作成,インポートし直してください。
-
(2) J2EEアプリケーションを実行するシステムを構築する流れ
ファイル編集とコマンド実行で,J2EEアプリケーションを実行するシステムを構築する場合の,システム構築の流れについて説明します。
-
J2EEサーバをセットアップします。
デフォルトの設定のままで利用する場合は,セットアップ不要です。
インストール時にセットアップ済みのJ2EEサーバとは別のサーバ名称を使用したい場合に,セットアップしてください。詳細については,「付録B.2 J2EEサーバのセットアップ」を参照してください。
-
J2EEサーバの動作設定をします。
デフォルトの設定のままで利用する場合は,設定不要です。
使用する機能の動作を変更したり,特定の機能を使用したりする場合には,アプリケーションサーバが提供するユーザ定義ファイルやコマンドを使用して,J2EEサーバの動作を設定,変更します。
J2EEサーバの動作を設定,変更できる機能の例を次に示します。
-
ネーミングサービス
-
トランザクション
-
JavaVMの起動オプション
-
コンテナ拡張ライブラリ
-
CTMによるリクエストのスケジューリング
-
-
トラブルシューティングの資料取得の設定をします。
デフォルトの設定のままで利用する場合は,設定不要です。ただし,次の資料は,事前に取得のための設定をしておかないと,取得できません。これらの資料はトラブルシューティングで必要となるため,取得することをお勧めします。
-
OSの統計情報,ユーザダンプ(Windowsの場合)またはcoreダンプ(UNIXの場合)
-
JavaVMのGCのログ
これらの資料を取得する場合や,ほかの資料の取得設定を変更したい場合に,トラブルシューティングの資料取得の設定をしてください。トラブルシューティングに必要な資料の詳細と,システム構築時の設定の要否については「付録B.1(3) トラブルシューティングに必要な資料」を参照してください。
-
-
Webサーバとの連携の設定をします。
Webサーバと連携しない場合は,設定不要です。
リバースプロキシを利用したリクエストの振り分け,通信タイムアウト,エラーページのカスタマイズなど,Webサーバと連携するための設定をします。
-
統合ユーザ管理機能の設定をします。
統合ユーザ管理機能を使用しない場合は,設定不要です。
アプリケーションサーバシステムにログインするユーザを統合管理するための設定をします。ユーザ認証情報を格納するLDAPディレクトリサーバや,統合ユーザ管理のコンフィグレーションファイルを設定します。設定方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 セキュリティ管理機能編」の「5.13 統合ユーザ管理機能の設定手順」を参照してください。
-
システムの可用性を高める設定をします。
システムの可用性を高める機能を使用しない場合は,設定不要です。
セッションフェイルオーバ機能によるJ2EEサーバへのセッション情報の引き継ぎの設定をします。設定方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 拡張編」の「5. J2EEサーバ間のセッション情報の引き継ぎ」を参照してください。
-
リソースとJ2EEアプリケーションの設定をします。
サーバ管理コマンドを使用して,リソースアダプタやJ2EEアプリケーションのプロパティを定義し,J2EEサーバにインポートします。設定方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 基本・開発編(コンテナ共通機能)」の「3. リソース接続とトランザクション管理」を参照してください。
-
システムを起動して,システムの動作を確認します。
システムの起動および停止については,「付録C J2EEアプリケーションを実行するシステムの起動と停止(Windowsの場合)」,または「付録D J2EEアプリケーションを実行するシステムの起動と停止(UNIXの場合)」を参照してください。
(3) トラブルシューティングに必要な資料
トラブルシューティングに必要な資料と,システム構築時の設定の要否について次の表に示します。なお,設定方法の詳細については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「3. トラブルシューティングのための準備」を参照してください。
資料の種類 |
設定の要否 |
---|---|
snapshotログ |
△※1 |
性能解析トレースファイル |
×※2 |
J2EEサーバのログ |
△ |
Webサーバのログ |
△ |
J2EEアプリケーションのユーザログ |
○ |
稼働情報ファイル |
△ |
リソースアダプタのログ |
△ |
TPBrokerのトレースファイル |
△ |
OSの統計情報 |
○ |
ユーザダンプ |
○ |
coreダンプ |
○ |
JavaVMの資料 |
○ |
サーバ管理コマンドのログ |
△ |
表B-1に示したログは,snapshotログで一括収集できます。ただし,TPBrokerのトレースファイルについては,収集できるものと収集できないものが混在しています。このほかにも,snapshotログのデフォルトの設定で取得できないログについては,取得のための設定をしたり,snapshotログの収集先に追加したりする必要があります。
なお,次のログはログ出力先を変更できません。
-
セットアップ時に作成されるinstall.log,移行コマンドなどのログファイル
-
次のディレクトリに出力されるJavaのスレッドダンプファイル
Windowsの場合
<作業ディレクトリ>\ejb\<サーバ名称>
UNIXの場合
<作業ディレクトリ>/ejb/<サーバ名称>
ログの種類やデフォルト値,チャネル名,取得できるログの詳細や取得方法については,マニュアル「アプリケーションサーバ 機能解説 保守/移行編」の「2.4 取得が必要な資料の種類」を参照してください。