Cosminexus V9 アプリケーションサーバ 機能解説 互換編

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3.7.1 サーブレットエンジンモードでのシステム設計

ここでは,システム構成の設計およびパフォーマンスチューニングについて説明します。

<この項の構成>
(1) システム構成の設計
(2) パフォーマンスチューニング

(1) システム構成の設計

ここでは,サーブレットエンジンモードで使用できるシステム構成について説明します。

(a) システム設計の準備

システム設計作業を始める前に,次のことを明確にする必要があります。

●アプリケーションおよびプロセスの構成

サーブレットエンジンモードでは,サーブレットとJSPだけで構成されるアプリケーション(Webアプリケーション)が使用できます。

また,サーブレットエンジンモードでアプリケーションサーバを動作させるシステムでは,次に示すプロセスが必要となります。

注※
アプリケーションサーバに含まれるWebサーバは,HTTP Serverです。

これらのプロセスは,アプリケーションサーバによって提供され,アプリケーションサーバをインストールしたマシンで起動できます。

サーブレットエンジンモードの場合,Webクライアントからのリクエストを,リダレクタと連携したWebサーバ(Webサーバ連携)を利用して処理できます。利用できるWebサーバは,HTTP ServerまたはMicrosoft IISです。

●運用方法

サーブレットエンジンモードでは,Management Serverを利用した運用,およびクラスタソフトウェアと連携したシステムの運用はできません。サーブレットエンジンモードで運用する場合,システムの構築には,アプリケーションサーバが提供するコマンドと定義ファイルを使用します。

(b) サーブレットエンジンモードのシステムの構成

サーブレットエンジンモードを使用して,アプリケーションサーバのシステムを設計する場合,Webコンテナサーバを使用した構成になります。Webコンテナサーバは,サーブレットエンジンモードで動作しているアプリケーションサーバです。

システム構成の特徴
Webコンテナサーバの構成の例を次の図に示します。

図3-3 Webコンテナサーバの構成の例

[図データ]
これ以外の凡例については,マニュアル「アプリケーションサーバ システム設計ガイド」の「3.2 システム構成の説明について」を参照してください。
特徴
  • サーブレットとJSPだけが動作します。
  • サーブレットとJSPを対象にした,負荷分散機またはリダイレクタを使用した負荷分散構成,およびWebサーバとアプリケーションサーバを分離した構成が実現できます。
  • Management Serverを利用した運用はできません。
リクエストの流れ
サーブレットとJSPに対するクライアントからのリクエストは,WebブラウザからWebサーバを経由して送られます。

それぞれのマシンで起動するプロセス
それぞれのマシンに必要なソフトウェアとプロセスについて説明します。
アプリケーションサーバマシン
アプリケーションサーバマシンには,Application Serverをインストールする必要があります。
起動するプロセスは次のとおりです。
  • Webサーバ
  • Webコンテナサーバ
  • PRFデーモン
Application Serverには,WebサーバであるHTTP Serverが含まれています。Windowsの場合,WebサーバにMicrosoft IISを使用することもできます。この場合は,ソフトウェアとしてMicrosoft IISが必要です。
Webクライアントマシン
Webクライアントマシンには,Webブラウザが必要です。

(2) パフォーマンスチューニング

ここでは,サーブレットエンジンモードで使用できるアプリケーションのチューニング項目について説明します。サーブレットエンジンモードでは,アプリケーションがサーブレットとJSPだけで構成されるWebアプリケーションが使用できます。サーブレットエンジンモードで使用できるアプリケーションのチューニング項目を次の表に示します。

表3-24 サーブレットエンジンモードで使用できるアプリケーションのチューニング項目

チューニング項目 利用できる機能 参照先マニュアル 参照先
同時実行数の最適化 Webアプリケーションでの同時実行スレッド数制御(Webコンテナ単位) アプリケーションサーバ システム設計ガイド 8.3.4
データベースアクセス方法の最適化 Webコンテナコネクションプーリング このマニュアル (a)
タイムアウトの設定 Webフロントシステムでのタイムアウトの設定 アプリケーションサーバ システム設計ガイド 8.6.2
Webアプリケーションの動作の最適化 静的コンテンツとWebアプリケーションの配置の切り分け 8.7.1
静的コンテンツのキャッシュ 8.7.2
リダイレクタによるリクエストの振り分け(Webサーバ連携の場合) 8.7.3

これらのチューニング項目のうち,サーブレットエンジンモードで動作する場合に異なる機能について説明します。


(a) Webコンテナコネクションプーリングを使用する

サーブレットエンジンモード上で動作するWebアプリケーションからデータベースへ接続する場合,Webコンテナコネクションプールを使用します。このとき,Webコンテナコネクションプーリング機能を利用してデータベースへの接続をプールできます。これによって,コネクション生成時のパフォーマンスを向上できます。

Webコンテナコネクションプーリングを使用する場合,最初のコネクション取得要求があったときに,プール数の最小値までコネクションが生成され,プールされます。クライアントからコネクション取得要求があると,プールから未使用のコネクションが選択され,クライアントに渡されます。コネクションの解放要求があると,使用中になっているコネクションの状態が未使用に設定され,コネクションがプールに返されます。なお,コネクションの状態が,再利用できない状態に設定されている場合は,データベースとの接続が切断され,コネクションが削除されます。この場合,コネクションはプールに返されません。

Webコンテナコネクションプーリングを使用する場合は,チューニングパラメタを設定する必要があります。Webコンテナコネクションプーリングのチューニングパラメタは,プール管理情報設定ファイルに設定します。設定した内容は,cjwebeditpoolコマンドで登録します。プール管理情報設定ファイルについては,「3.11.6 プール管理情報設定ファイル」を,cjwebeditpoolコマンドについては,「cjwebeditpool(プール管理情報の登録と変更)」を参照してください。

Webコンテナコネクションプーリングのチューニングパラメタを次の表に示します。

表3-25 Webコンテナコネクションプーリングのチューニングパラメタ

設定項目 設定個所
プールするコネクションの最小値 <MinimumSize>タグ
プールするコネクションの最大値 <MaximumSize>タグ
コネクションを取得できなかった場合にリトライするまでのアプリケーションの待ち時間 <RetryInterval>タグ
コネクションを取得できなかった場合のリトライ回数 <RetryCount>タグ