Hitachi

Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Linux®用)


4.7.4 HDLMデバイスの構成変更

HDLMデバイスの構成を変更するための操作,手順を説明します。

なお,構成変更の基となるLUの設定/変更(追加,変更,削除)の操作はHDLMの機能ではなく,ストレージシステムの管理プログラムを使用します。LUの設定/変更についてはストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

また,HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr)による操作のすべては,ログとして/var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logファイルに記録されます。このファイルを見ることで,ユーザは,どのような構成変更が行われたのか,またはどのような理由のためにdlmcfgmgrティリティの実行が失敗したのかを調査できます。dlmcfgmgrティリティのログについては,「2.11.1 採取するログの種類」も参照してください。また,dlmcfgmgrティリティについては,「7.4 dlmcfgmgr HDLM構成定義ユティリティ」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) HDLMデバイスの構成を変更する場合の注意事項

HDLMデバイスの構成を変更する場合の注意事項を次に説明します。

  • HDLM管理対象外にしたデバイスへのパスが使用していたパス管理PATH_IDは,管理対象外になったときに解放されます。このため,パスの解放後にパス管理PATH_IDが,不連続に表示される場合があります。

  • HDLMは,管理対象にしたデバイスへのパスに対して,パス管理PATH_IDを空いているIDから若い順に割り当てます。

  • HDLM管理対象外のデバイスを管理対象にする場合,HDLMは管理対象外になる前のパスの状態(Online(E),Offline(C)など)とは関係なく,管理対象になったデバイスのすべてのパスに対して,パスが正常ならばOnline状態とします。

  • LUを使用している間(I/O実行中やマウント実行中などの場合),HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr)に,-oパラメ-iパラメ,または-uパラメを指定して実行しないでください。

  • 複数のパスがあるLUの一部のパスが断線している状態でディスクパーティションを作成または変更した場合,断線していたパスを接続してもディスクパーティションの構成が認識されないことがあります。その場合は,断線していたパスを接続したあと,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -r)を実行するか,ホストを再起動してください。

  • dlmcfgmgrティリティを実行してHDLMデバイスの構成を変更する場合,HALデーモンの影響で,メモリ不足になることがあります。この場合,ホストが応答しなくなります。

    これを回避するには,dlmcfgmgrティリティを実行するときHALデーモンを停止してください。HALデーモンを停止する手順については,「3.5.3 インストールについての注意事項」を参照してください。

    Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 7,Oracle Unbreakable Enterprise Kernel 7,Oracle Linux 8およびOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8の場合は対象外です。

    注※

    USBデバイス,CD-ROMの挿入など,ハードウェア構成の変化を検知します。

  • dlmcfgmgrティリティ-vパラメを指定して実行した場合,次のようにDevice列に「-」(ハイフン)と表示されることがあります。

    # dlmcfgmgr -v
    HDevName     Management  Device  Host Channel Target Lun
    /dev/sddlmaa configured /dev/sdd    3      0       0   0
                            /dev/sdk    3      0       1   0
                            /dev/sdr    4      0       0   0
                               -        4      0       1   0
    KAPL10302-I /sbin/dlmcfgmgr completed normally.

    このような状態が発生する要因としては,次のような操作例が想定されます。

    • パスが断線している状態でホストを再起動した。

    • LUを削除したあとにホストを再起動した。

    • ファイバケーブルの接続を変更したあとにホストを再起動した。

    • ファイバチャネルスイッチのゾーン設定を変更したあとにホストを再起動した

    -」(ハイフン)の状態になっているパスを削除したい場合は,dlmcfgmgrティリティ-uパラメを指定して実行してください。

    詳細については「7.4 dlmcfgmgr HDLM構成定義ユティリティ」を参照してください。

  • LUの割り当てを解除し,そのLUに接続していたパスを使って別のLUを割り当て直した場合,LUと対応するHDLMデバイスが変更されます。この場合,割り当てを解除したLUに対応するHDLMデバイスは削除され,割り当て直したLUには新しいHDLMデバイスが割り当てられます。

    また,ストレージシステムを交換した場合,従来のLU構成と同一にしていても,それぞれのLUには新しいHDLMデバイスが割り当てられます。

(2) LUを追加する

HDLMがインストールされているホストに対して,新規にLUに対応するHDLMデバイスを追加する方法を,次に示します。

  1. ストレージシステムの管理プログラムを使って,該当するホストにまだ割り当てていないLUを,該当するホストへのパスを持つストレージシステムのポートに割り当ててパスを設定します。

    パスの設定については,ストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

  2. ホストを再起動しないでLUを追加する場合は,手順3と4を行います。再起動する場合は,手順5に進んでください。

  3. 手順1で設定した全パス分のSCSIデバイスを作成します。

    再起動なしでの追加のため,手順1で追加したLU用のSCSIデバイスが作成されないので,次の表に示すデバイスの追加用のコマンドを手動で実行して,SCSIデバイスを作成する必要があります。

    表4‒7 SCSIデバイスの追加と削除

    操作目的

    実行するコマンド

    デバイスの追加

    (FC-SAN環境の場合)

    • 次に示すOSとHBAドライバを使用している場合

      ・Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8※1またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8とQLogic社製HBAドライバ

      ・SUSE LINUX Enterprise ServerとQLogic社製HBAドライバ

      ・Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8とEmulex社製HBAドライバ

      ・SUSE LINUX Enterprise ServerとEmulex社製HBAドライバ

      ・Red Hat Enterprise Linux 6とBrocade社製HBAドライバ

      のコマンドを実行してください。

      # echo "- - -" > /sys/class/scsi_host/hostn/scan

      注※

      I/O中のLUが存在する場合は,次に示すようにデバイス単位でechoコマンドを実行してください。

      # echo "b c d" > /sys/class/scsi_host/hostn/scan

      次のコマンドを実行して,OSがデバイスを認識しているかどうかを確認してください。

      # cat /proc/scsi/scsi

      OSがデバイスを認識していない場合は,I/Oを停止して,次の順序でコマンドを実行してください。

      # echo "1" > /sys/class/fc_host/hostn/issue_lip

      # echo "- - -" > /sys/class/scsi_host/hostn/scan

      Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,またはSUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合は,OSのホットプラグ機能によって自動的にデバイスが認識されることがあります。この場合,上記の手順は必要ありません。

    • 日立製のHBAドライバを使用している場合

      契約しているOSサポートサービスが動的LU追加をサポートしているか確認してください。

    デバイスの追加

    (IP-SAN環境の場合)

    • iSCSIイニシエーターとセッションが確立されていないターゲットに追加したデバイスの場合

      次のコマンドを実行して,OSにターゲットを認識させてください。

      # iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p ターゲットのIPアドレス

      次に,セッションを確立するためターゲットにログインしてください。

      # iscsiadm -m node -T ターゲット名 -p ターゲットのIPアドレス:ターゲットのポート番号 --login

    • iSCSIイニシエーターとセッションが確立されているターゲットに追加したデバイスの場合

      次のコマンドを実行してください。

      # iscsiadm -m session -R

    デバイスの削除

    (FC-SAN環境の場合)

    # dlmcfgmgr -o HDLM デバイスの論理デバイスファイル名

    # echo "scsi remove-single-device a b c d" > /proc/scsi/scsi

    # dlmcfgmgr -i HDLM デバイスの論理デバイスファイル名

    SUSE LINUX Enterprise Server 12,SUSE LINUX Enterprise Server 15,Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8,またはOracle Unbreakable Enterprise Kernelを使用している場合,断線している状態のパスを削除するときは上記の手順は必要ありません。

    デバイスの削除

    (IP-SAN環境の場合)

    # echo "scsi remove-single-device a b c d" > /proc/scsi/scsi

    Red Hat Enterprise Linux 6,またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 6を使用している場合,断線している状態のパスを削除するときは上記の手順は必要ありません。

    (凡例)

    a:Host ID(ホストポート番号)

    b:Channel番号(バス番号)

    c:Target ID(ターゲットID)

    d:Lun(ホストLU番号)

    n:ホストポート番号

    driver-name:qlaxxxx(使用しているドライバの名称)

    注※1

    Oracle Linux 8 Update 1はQLogic社製HBAドライバは未サポートです。

  4. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -r)を実行します。

    手順3で作成したSCSIデバイスを基に,手順1で設定したパスに対応するHDLMデバイスが追加されます。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -r
  5. HDLMがインストールされているホストを再起動します。

    手順3と4を行っている場合は,再起動は不要です。手順6に進んでください。

    再起動時に,手順1で設定したパスに対応するHDLMデバイスが自動的に追加されます。

  6. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,追加したLUに対応するHDLMデバイスが作成されていることを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(3) LUへのパスを追加する

既存のLU(HDLMデバイス)にパスを追加する方法を,次に示します。

  1. ストレージシステムの管理プログラムを使って,該当するLUにパスを追加設定します。

    パスの追加設定についてはストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

  2. ホストを再起動しないでLUへのパスを追加する場合は,手順3と4を行います。再起動する場合は,手順5に進んでください。

  3. 手順1で追加設定した全パス分のSCSIデバイスを作成します。

    再起動なしでのパス追加のため,手順1で追加設定したパス用のSCSIデバイスは作成されないので,「表4‒7 SCSIデバイスの追加と削除」に示すデバイスの追加用のコマンドを手動で実行して,SCSIデバイスを作成する必要があります。

  4. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -r)を実行します。

    手順3で作成したSCSIデバイスを基に,手順1で追加設定したパスが,該当するLUとHDLMデバイスを結ぶパスとして追加されます。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -r
  5. HDLMがインストールされているホストを再起動します。

    手順3と4を行っている場合は,再起動は不要です。手順6に進んでください。

    再起動時に,手順1で追加設定したパスが,該当するLUとHDLMデバイスを結ぶパスとして自動的に追加されます。

  6. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,該当するHDLMデバイスにパスが増えていることを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(4) LUを削除する

既存のLUに対応するHDLMデバイスを削除する方法を,次に示します。

  1. 該当するLUへのすべてのアクセスを停止します。

  2. ストレージシステムの管理プログラムを使って,ストレージシステムのポートから,該当するLUへのすべてのパス割り当てを解除(パスを削除)します。

    パス割り当ての解除(パス削除)についてはストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

  3. ホストを再起動しないでLUに対応するHDLMデバイスを削除する場合は,手順4から5を行います。再起動する場合は,手順6に進んでください。

  4. 手順2で割り当てを解除したパス用のSCSIデバイスを削除します。

    再起動なしでの削除のため,手順2で割り当てを解除したパス用のSCSIデバイスは削除されないので,「表4‒7 SCSIデバイスの追加と削除」に示すデバイスの削除用のコマンドを手動で実行して,SCSIデバイスを削除する必要があります。

  5. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -r)を実行します。

    手順4で解除したSCSIデバイスの情報をHDLMデバイスに反映させます。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -r
  6. HDLMがインストールされているホストを再起動します。

    手順4から5を行っている場合は,再起動は不要です。手順7に進んでください。

  7. dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)かHDLMコマンドのviewオペレーション(dlnkmgr view -drv)を実行します(任意)。

    手順2でパス割り当てを解除したLUに対応するすべてのSCSIデバイス名が「-」(ハイフン)になっていることを確認します。実行例を次に示します。

    dlmcfgmgrティリティ-vオプションを指定して実行する場合

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    viewオペレーションに-drvオプションを指定して実行する場合

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv
  8. 手順2でパス割り当てを解除したLUに対応するすべてのHDLMデバイスに対して,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -u HDLMデバイスの論理デバイスファイル名)を実行し,HDLMデバイスの登録を解除します。

    該当するHDLMデバイスに関するパスの情報が削除されます。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -u HDLMデバイスの論理デバイスファイル名
  9. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,削除したLUに対応するHDLMデバイスが削除されていることを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(5) LUへのパスを削除する

既存のLU(HDLMデバイス)へのパスを削除する方法を,次に示します。

  1. 該当するLUへのすべてのアクセスを停止します。

  2. ストレージシステムの管理プログラムを使って,該当するLUへのパスを削除します。

    パスを削除する操作については,ストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

  3. ホストを再起動しないでLUへのパスを削除する場合は,手順4を行います。再起動する場合は,手順5に進んでください。

  4. 手順2で削除したパス用のSCSIデバイスを削除します。

    再起動なしでの削除のため,手順2で削除したパス用のSCSIデバイスは削除されないので,「表4‒7 SCSIデバイスの追加と削除」に示すデバイスの削除用のコマンドを手動で実行して,SCSIデバイスを削除する必要があります。

  5. HDLMがインストールされているホストを再起動します。

    手順4を行っている場合は,再起動は不要です。手順6に進んでください。

  6. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)かHDLMコマンド(dlnkmgr view -drv)を実行します(任意)。

    手順2で削除したパスに対応するSCSIデバイス名が「-(ハイフン)」になっていることを確認します。実行例を次に示します。

    dlmcfgmgrティリティ-vオプションを指定して実行する場合

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    viewオペレーションに-drvオプションを指定して実行する場合

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv

    この操作は必要に応じて実行します。確認不要の場合は手順7に進んでください。

    SCSIデバイス名が「-(ハイフン)」になっていない場合には,パスヘルスチェックの実行を待つか,該当するHDLMデバイスのパス管理PATH_IDを指定して次に示すHDLMコマンドを実行することによって,ハイフンに変更できます。

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr online -pathid パス管理PATH_ID
  7. 手順2で削除したパスに該当するHDLMデバイスに対して,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -u HDLMデバイスの論理デバイスファイル名)を実行し,HDLMデバイスの登録を解除します。

    該当するHDLMデバイスに関するパスの情報が削除されます。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -u HDLMデバイスの論理デバイスファイル名

    マルチパスからシングルパスに変更する場合などでHDLMデバイスにパスが存在するときに,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -u)を実行するとKAPL10340-Eのメッセージが出力されます。その場合は,KAPL10340-Eのメッセージの対処に従って/var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr[1-2].logファイルを参照してください。KAPL10362-Wのメッセージが/var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr[1-2].logファイルに出力されている場合,HDLMの動作上の問題はありません。手順8に進んでください。

  8. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,該当するHDLMデバイスに対応するパスが削除されていることを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(6) HDLM管理対象のデバイスを管理対象外にする

HDLM管理対象のデバイスを管理対象外にする方法を,次に示します。この運用は再起動なしで実行できます。

  1. 該当するLUへのすべてのアクセスを停止します。

  2. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,管理対象外にするHDLMデバイスが管理対象になっているかどうかを確認します。

    dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    実行結果の表示で,該当するHDLMデバイスのManagement状態が「configured」であれば,管理対象になっていることを示します。

  3. 管理対象外にするHDLMデバイスに対して,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -o HDLMデバイスの論理デバイスファイル名)を実行します。

    指定したHDLMデバイスがHDLMの管理対象外になります。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -o HDLMデバイスの論理デバイスファイル名
  4. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)またはHDLMコマンドのviewオペレーション(dlnkmgr view -path)を実行して,該当するHDLMデバイスが管理対象外となったことを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(7) HDLM管理対象外のデバイスを管理対象にする

HDLM管理対象外のデバイスを管理対象にする方法を,次に示します。この運用は再起動なしで実行できます。

  1. 該当するLUへのすべてのアクセスを停止します。

  2. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,管理対象にするHDLMデバイスが管理対象外になっているかどうかを確認します。

    実行結果の表示で,該当するHDLMデバイスのManagement状態が「unconfigured」であれば,管理対象外になっていることを示します。

    この操作は必要に応じて実行します。確認不要の場合は手順3から始めてください。

  3. 管理対象にするHDLMデバイスに対して,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -i HDLMデバイスの論理デバイスファイル名)を実行します。

    指定したHDLMデバイスがHDLMの管理対象になります。dlmcfgmgrティリティの実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -i HDLMデバイスの論理デバイスファイル名
  4. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)またはHDLMコマンドのviewオペレーション(dlnkmgr view -path)を実行して,該当するHDLMデバイスが管理対象となったことを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(8) 断線状態で起動されたパスを復元する(再起動が必要となる場合)

起動時に断線状態(ケーブルが外れていた,断線していたなど)だったパスを,再起動ありで復元する方法を,次に示します。この運用はHDLM管理対象のデバイスに対してだけ適用できます。また,復元対象のパスの数が単数でも複数でも,または該当するHDLMデバイスのすべてのパスが復元対象の場合でも適用できます。

  1. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)またはHDLMコマンドのviewオペレーション(dlnkmgr view -drv)を実行して,ホストの起動時に,該当するパスが断線状態だったかどうかを確認します。

    実行例を次に示します。

    dlmcfgmgrティリティ-vオプションを指定して実行する場合

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    viewオペレーションに-drvオプションを指定して実行する場合

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv

    実行結果の表示で,該当するHDLMデバイスに対応するSCSIデバイス名が「-」(ハイフン)になっていれば,パスが断線状態だったことを示します。

    この操作は必要に応じて実行します。確認不要の場合は,手順2から始めてください。

  2. ケーブルを接続します。

    断線している場合は交換します。

  3. HDLMがインストールされているホストを再起動します。

    SCSIデバイスが再作成され,ホスト起動時に手順1で断線状態だったパスが自動的に復元し,オンライン状態になります。

  4. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,該当するパスが復元されたことを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(9) 断線状態で起動されたパスを復元する(再起動が不要な場合)

起動時に断線状態(ケーブルが外れていた,断線していたなど)だったパスを,再起動なしで復元する方法を,次に示します。この運用は,HDLM管理対象のデバイスに対してだけ適用できます。また,復元対象のパスの数が単数でも複数でも,または該当するHDLMデバイスのすべてのパスが復元対象の場合でも適用できます。

  1. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)またはHDLMコマンドのviewオペレーション(dlnkmgr view -drv)を実行して,ホストの起動時に,該当するパスが断線状態だったかどうかを確認します。

    実行例を次に示します。

    dlmcfgmgrティリティ-vオプションを指定して実行する場合

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    viewオペレーションに-drvオプションを指定して実行する場合

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -drv

    実行結果の表示で,該当するHDLMデバイスに対応するSCSIデバイス名が「-」(ハイフン)になっていれば,パスが断線状態だったことを示します。

    この操作は必要に応じて実行します。確認不要の場合は手順2から始めてください。

  2. ケーブルを接続します。

    断線している場合は交換します。

  3. 復元するパス用のSCSIデバイスを作成します。

    再起動なしでの復元のため,起動時に断線状態だったパス用のSCSIデバイスは作成されないので,次の表に示すデバイスの追加用のコマンドを手動で実行して,SCSIデバイスを作成する必要があります。

    表4‒8 SCSIデバイスの追加

    操作目的

    実行するコマンド

    デバイスの追加

    (FC-SAN環境の場合)

    • 次に示すOSとHBAドライバを使用している場合

      ・Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8※1またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8とQLogic社製HBAドライバ

      ・SUSE LINUX Enterprise ServerとQLogic社製HBAドライバ

      ・Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8またはOracle Unbreakable Enterprise Kernel 8とEmulex社製HBAドライバ

      ・SUSE LINUX Enterprise ServerとEmulex社製HBAドライバ

      ・Red Hat Enterprise Linux 6とBrocade社製HBAドライバ

      のコマンドを実行してください。

      # echo "- - -" > /sys/class/scsi_host/host n /scan

      注※

      I/O中のLUが存在する場合は,次に示すようにデバイス単位でechoコマンドを実行してください。

      # echo "b c d" > /sys/class/scsi_host/hostn/scan

      次のコマンドを実行して,OSがデバイスを認識しているかどうかを確認してください。

      # cat /proc/scsi/scsi

      OSがデバイスを認識していない場合は,I/Oを停止して,次の順序でコマンドを実行してください。

      # echo "1" > /sys/class/fc_host/host n /issue_lip

      # echo "- - -" > /sys/class/scsi_host/host n /scan

      Red Hat Enterprise Linux 6,Red Hat Enterprise Linux 7,Red Hat Enterprise Linux 8,Red Hat Enterprise Linux 9,Oracle Linux 6,Oracle Linux 7,Oracle Linux 8またはSUSE LINUX Enterprise Serverを使用している場合は,OSのホットプラグ機能によって自動的にデバイスが認識されることがあります。この場合,上記の手順は必要ありません。

    • 日立製のHBAドライバを使用している場合

      次のコマンドを実行してください。

      # echo "scsi add-single-device a b c d " > /proc/scsi/scsi

    デバイスの追加

    (IP-SAN環境の場合)

    • iSCSIイニシエーターとセッションが確立されていないターゲットに追加したデバイスの場合

      次のコマンドを実行して,OSにターゲットを認識させてください。

      # iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p ターゲットのIPアドレス

      次に,セッションを確立するためターゲットにログインしてください。

      # iscsiadm -m node -T ターゲット名 -p ターゲットのIPアドレス:ターゲットのポート番号 --login

    • iSCSIイニシエーターとセッションが確立されているターゲットに追加したデバイスの場合

      次のコマンドを実行してください。

      # iscsiadm -m session -R

    (凡例)

    a:Host ID(ホストポート番号)

    b:Channel番号(バス番号)

    c:Target ID(ターゲットID)

    d:Lun(ホストLU番号)

    n:ホストポート番号

    driver-name:qlaxxxx(使用しているドライバの名称)

    注※1

    Oracle Linux 8 Update 1はQLogic社製HBAドライバは未サポートです。

  4. 自動フェルバック機能が動作するのを待つか,HDLMコマンド(dlnkmgr online -pathid パス管理PATH_ID)を実行します。

    HDLMコマンドの実行例を次に示します。

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr online -pathid パス管理PATH_ID

    該当するパスがオンライン状態となります。

  5. /var/opt/DynamicLinkManager/log/dlmcfgmgr1.logを参照するか,dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,該当するパスが復元されたことを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(10) 稼働中に断線状態となったパスを復元する

稼働中に断線状態(ケーブルが外れていた,断線していたなど)となったパスを復元する方法を,次に示します。

  1. HDLM構成定義ユティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,断線状態のパスを確認します。

    実行例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

    実行結果の表示で,該当するHDLMデバイスに対応するSCSIデバイス名が「-」(ハイフン)になっていれば,パスが断線状態であることを示します。

  2. ケーブルを接続します。

    断線している場合は交換します。

    ホストが再起動できる場合は,手順3に進んでください。ホストが再起動できない場合は,手順4に進んでください。

  3. ホストを再起動します。

    SCSIデバイスが再作成され,手順1で断線状態だったパスが復元し,オンライン状態になります。手順6に進んでください。

  4. 復元するパス用のSCSIデバイスを作成します。

    表4‒8 SCSIデバイスの追加」に示すデバイスの追加用のコマンドを手動で実行して,復元するパス用のSCSIデバイスを作成してください。

  5. 自動フェルバック機能が動作するのを待つか,HDLMコマンド(dlnkmgr online -pathid パス管理PATH_ID)を実行します。

    HDLMコマンドの実行例を次に示します。

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr online -pathid パス管理PATH_ID

    該当するパスがオンライン状態となります。

  6. dlmcfgmgrティリティdlmcfgmgr -v)を実行して,該当するパスが復元されたことを確認します。

    dlmcfgmgrティリティを実行する場合の例を次に示します。

    # /sbin/dlmcfgmgr -v

(11) LUの容量を拡張する

HDLM管理対象のLUに容量拡張の余裕がある場合に,システムを運用したままLUの容量を拡張し,HDLMにその容量を再認識させる手順について説明します。この手順を実行することで,ファイルシステムをアンマウントしないで,ファイルシステムの容量を拡張できます。

注意事項
  • すべてのパスを「Online」にして実行してください。パスに障害が発生してる場合は実行できません。

  • LUの容量を変更する前に,できる限りバックアップを作成してください。

  • LUの容量を変更する前に,次の項目を確認してください。

    • ご使用のストレージシステムが,使用中のLUの容量拡張に対応している。

    • ご使用のOSが,使用中のパス(SCSIデバイス)の容量拡張に対応している。

  • LUの容量拡張方法は,ストレージシステムの管理プログラムの仕様に従ってください。

  • SCSIデバイスの容量拡張方法は,OSの仕様に従ってください。

  • 使用するHDLMの機能は,LUの容量を拡張する機能であり,パーティションを拡張するものではありません。パーティション上に作成したファイルシステムはアンマウントしないと拡張できません。

次の手順では,Red Hat Enterprise Linux 7の環境で/dataにマウントされた,/dev/sddlmaa上に作成したxfsファイルシステムを,1GBから2GBに拡張しています。

  1. 容量を拡張するファイルシステム(マウントポイント)とHDLMデバイス(ファイル)の対応を確認します。

    1. ファイルシステムの容量を確認します。

      # df -h
      ファイルシス                       サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
      /dev/sddlmaa                        1014M   33M  982M    4% /data
              :

      /dataが1GBであることが確認できます。

    2. ファイルシステムとHDLMデバイスの対応を確認します。

      # mount
      /dev/sddlmaa on /data type xfs (rw,relatime,seclabel,attr2,inode64,noquota)
              :

      /dev/sddlmaa/dataにマウントされていることが確認できます。

  2. HDLMデバイスと,ストレージシステムの管理プログラム上のLU情報の対応を確認します。

    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -lu
    Product       : X
    SerialNumber  : Y
    LUs           : 3
    
    iLU  HDevName Device   PathID Status
    ZZZZ sddlmaa  /dev/sdb 000000 Online
                  /dev/sde 000003 Online
                  /dev/sdh 000006 Online
                  /dev/sdk 000007 Online
            :
            :
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view(-vstv), 終了時刻 = yyyy/mm/dd  hh:mm:ss

    sddlmaaが,モデルID「X」,シリアル番号「Y」のストレージシステムのiLU「ZZZZ」であることが確認できます。

  3. ストレージシステムの管理プログラムを使って,LUの容量を拡張します。LUの容量の拡張については,ストレージシステムに付属するマニュアルを参照してください。

  4. サーバ上でHDLMデバイスのすべてのパス(SCSIデバイス)の容量を拡張します。

    1. HDLMデバイスとパス(SCSIデバイス)の対応を確認します。

      # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -lu
      Product       : X
      SerialNumber  : Y
      LUs           : 3
      
      iLU  HDevName Device   PathID Status
      ZZZZ sddlmaa  /dev/sdb 000000 Online
                    /dev/sde 000003 Online
                    /dev/sdh 000006 Online
                    /dev/sdk 000007 Online
              :
              :
      KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view(-vstv), 終了時刻 = yyyy/mm/dd  hh:mm:ss

      sddlmaaが,/dev/sdb/dev/sde/dev/sdh/dev/sdkと対応することが確認できます。

    2. 対応するすべてのSCSIデバイスの容量を拡張します。

      ここでは,/dev/sdb/dev/sde/dev/sdh/dev/sdkを拡張します。

      # echo 1 > /sys/block/sdb/device/rescan
      # echo 1 > /sys/block/sde/device/rescan
      # echo 1 > /sys/block/sdh/device/rescan
      # echo 1 > /sys/block/sdk/device/rescan
  5. サーバ上でHDLMデバイスの容量を拡張します。

    1. パスの状態がすべてOnlineであることを確認します。

      # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -lu
      Product       : X
      SerialNumber  : Y
      LUs           : 3
      
      iLU  HDevName Device   PathID Status
      ZZZZ sddlmaa  /dev/sdb 000000 Online
                    /dev/sde 000003 Online
                    /dev/sdh 000006 Online
                    /dev/sdk 000007 Online
              :
              :
      KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view(-vstv), 終了時刻 = yyyy/mm/dd  hh:mm:ss

      sddlmaaのパスの状態がすべてOnlineであることが確認できます。

    2. HDLMデバイスの容量を拡張します。

      ここでは,/dev/sddlmaaを拡張します。

      # dlmcfgmgr -extenddev /dev/sddlmaa -s
      KAPL10341-I The HDLM device configurations have been changed.
      KAPL10302-I /usr/sbin/dlmcfgmgr completed normally.
  6. サーバ上でファイルシステムの容量を拡張します。

    1. ファイルシステムの容量を拡張します。

      ここでは,/dataを拡張します。

      # xfs_growfs /data
      meta-data=/dev/sddlmaa           isize=256    agcount=4, agsize=65536 blks
               =                       sectsz=512   attr=2, projid32bit=1
               =                       crc=0        finobt=0
      data     =                       bsize=4096   blocks=262144, imaxpct=25
               =                       sunit=0      swidth=0 blks
      naming   =version 2              bsize=4096   ascii-ci=0 ftype=0
      log      =internal               bsize=4096   blocks=2560, version=2
               =                       sectsz=512   sunit=0 blks, lazy-count=1
      realtime =none                   extsz=4096   blocks=0, rtextents=0
      data blocks changed from 262144 to 524288
    2. ファイルシステムの容量を確認します。

      # df -h
      ファイルシス                       サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
      /dev/sddlmaa                         2.0G   33M  2.0G    2% /data
              :

      /dataが2GBであることが確認できます。