Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Solaris用)

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4.5.4 LUを削除するなどの構成変更

この項では,次に示す構成変更の手順を説明します。

注※1
LUを変更するには,ストレージシステムの管理プログラムで変更するのではなく,新規LUを追加してから既存のLUを削除することをお勧めします。新規LUを追加したあと,必要に応じて削除するLUから追加したLUへデータを移動してください。新規LUを追加する手順は「4.5.3 新規にLUを追加する」を参照してください。ストレージシステムの管理プログラムでLUのLDEVを変更すると,HDLMドライバのインスタンスが生成されません。したがって,HDLMドライバ構成定義ファイル(/kernel/drv/dlmfdrv.conf)を作成するまで変更した構成を確認できなくなるおそれがあります。

注※2
同一機種のHBAを同一スロットに交換する場合は,次の手順を行ってください。

  1. システムを停止します。
  2. HBAを交換します。
  3. 交換したHBAでストレージにアクセスできるように,ストレージの設定(HBAのWWNなど)を変更します。
  4. システムを再起動します。
この手順はブートディスク環境でも有効です。

注意事項
  • 次の環境であることが前提となりますのでご注意ください。
    ・ローカルディスクブート環境であること。
    ・SANブート環境の場合は,交換対象のHBAがブートデバイスとつながっていないこと。
この項の構成
(1) ホストの再起動による構成変更
(2) 動的再構成によるLUの削除

(1) ホストの再起動による構成変更

  1. 構成を変更する対象のHDLMデバイスを使用しているファイルシステム,ボリューム,およびメタデバイスのデータをバックアップします。
  2. umountコマンドを実行して,HDLMを使用しているマウントポイントを,すべて解除します。
     
    # umount マウントポイント
     
  3. ZFSでHDLMデバイスを使用している場合は,次に示すコマンドを実行して,そのZFSストレージプールをすべてエクスポートします。
     
    # zpool export プール名
     
  4. /etc/vfstabファイルを編集します。
    構成を変更する対象のHDLMデバイスの論理デバイスファイル(cUtXdYsZ)およびZFSファイルシステムに関する記述を削除するかコメントにして,自動マウントの設定を解除してください。
  5. Solaris Clusterを使用している場合は,構成を変更する対象のHDLMデバイスを含むディスクデバイスグループの設定を解除します。Quorumデバイスが構成を変更する対象のHDLMデバイスである場合は,Quorumデバイスの設定を解除します。
    3.5.1 HDLMを新規インストールする前の準備」の「(9) Solaris Clusterの設定」を参照してください。
  6. VCSを使用している場合は,構成を変更する対象のHDLMデバイスや構成を変更する対象のHDLMデバイスによって構成されたVxVMディスクグループを,リソースグループの登録から解除します。
    解除する方法については,VCSのマニュアルを参照してください。
  7. VxVMを使用している場合にLUを削除するときは,削除対象のLUに対応するHDLMデバイスの登録を解除します。
    VxVMが削除するLUを使用している場合は,ボリュームおよびディスクグループを削除してください。別のLUを削除するLUに代用する場合は,そのLUと交換してください。
  8. SVMを使用している場合は,必要に応じて次の手順を実行します。
    • 共有ディスクセットを使用している場合は,共有ディスクセットから構成を変更する対象のHDLMデバイスの登録を解除してください。リザーブを発行するパスが変わると,リザーブを解除できなくなることがあるためです。
    • ローカルディスクセットを使用していて,かつLUを削除する場合は,削除対象のLUに対応するHDLMデバイスの登録をSVMから解除してください。SVMが削除するLUを使用している場合は,メタデバイスおよびボリュームを削除してください。別のLUを削除するLUに代用する場合は,そのLUと交換してください。
  9. ホストをシャットダウンします。
  10. 構成を変更します。
  11. 再構成オプションを指定してホストを再起動します。
    次に示すコマンドを実行してください。
    • okプロンプトでboot -r
  12. 変更後の構成がSolarisに認識されたことを確認します。

    パスを追加した場合
    確認する事象はありません。

    パスを削除した場合
    dlnkmgrコマンドのviewオペレーションに-luパラメタを指定して実行して,削除したパスがOffline(E)になったことを確認してください。実行例を次に示します。
    # dlnkmgr view -lu
     ...
    iLU  HDevName              Device PathID Status     
    063A c7t50060E80033A9938d0 ssd111 000000 Online     
                               ssd121 000001 Online     
                               ssd76  000016 Online     
                               ssd86  000017 Online     
                               ssd41  000032 Online     
                               ssd51  000033 Online     
                               ssd6   000048 Offline(E) 
                               ssd16  000049 Offline(E) 
     ...
    

    そのほかの構成変更の場合
    formatコマンドを実行して,変更後の構成がSolarisに認識されたことを確認してください。
  13. /opt/DynamicLinkManager/configディレクトリに移動してから,次に示すコマンドを実行します。
    nの値は構成を変更するたびに変更してください。
     
    # cp -ip dlmfdrv.unconf dlmfdrv.unconfbakn 
     
  14. 次に示すHDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)を実行して,HDLMドライバ構成定義ファイル(/kernel/drv/dlmfdrv.conf)とHDLMドライバ非構成定義ファイル(/opt/DynamicLinkManager/config/dlmfdrv.unconf)を作成します。
     
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetconf
     
    dlmsetconfユティリティを実行するとKAPL10242-Iのメッセージが出力されるので,「y」を入力してください。
  15. 次に示すコマンドを実行して,dlmsetconfユティリティを実行する前とあとのHDLMドライバ非構成定義ファイルを比較します。
     
    # diff  dlmfdrv.unconfbakn dlmfdrv.unconf
     
    HDLMドライバ非構成定義ファイルを比較することによって,変更後の構成がHDLMに認識されたことを確認してください。例を次に示します。

    HBAを交換した場合の実行例
    網掛けの部分から同じ種類のHBAデバイスを示すパスが削除されたことを確認してください。網掛け以降の部分に同じ種類のHBAデバイスを示すパスが追加されたことを確認してください。
    [図]

    HBAポートを追加したことによりパスが追加された場合の実行例
    同じHBAポートを示すパスが追加されたことを確認してください。
    36a41,44
    > ### Device=ssd74 target=65664 lun=2
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9938,2
    > ### Device=ssd84 target=134012 lun=2
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,2
    52a61,64
    > ### Device=ssd73 target=65664 lun=3
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9938,3
    > ### Device=ssd83 target=134012 lun=3
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,3
     

    CHAポートを追加したことによりパスが追加された場合の実行例
    同じCHAポートを示すパスが追加されたことを確認してください。
    26a31,32
    > ### Device=ssd119 target=134012 lun=2
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1,1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,2
    28a35,36
    > ### Device=ssd84 target=134012 lun=2
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,2
    34a43,44
    > ### Device=ssd118 target=134012 lun=3
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1,1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,3
    36a47,48
    > ### Device=ssd83 target=134012 lun=3
    > ### Path=/pci@8,700000/SUNW,emlxs@1/fp@0,0/ssd@w50060e80033a9939,3
     
  16. HDLMの管理対象外にするLUがある場合は,HDLMドライバ非構成定義ファイル(/opt/DynamicLinkManager/config/dlmfdrv.unconf)をテキストエディタで編集します。
    管理対象外にするLUを定義している行のうち,LDEV属性行の先頭にある「#」を削除してください。それ以外の編集はしないでください。
  17. HDLMの管理対象外にするLUがある場合は,HDLMドライバ非構成定義ファイル(/opt/DynamicLinkManager/config/dlmfdrv.unconf)の内容をHDLMドライバ構成定義ファイル(/kernel/drv/dlmfdrv.conf)に反映します。
    HDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)を実行してください。
     
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetconf -u
     
  18. VxVMを使用している場合,ユーザがアクセスするデバイス以外のデバイスをVxVMから無効化します。
    3.14.3 VxVMでのデバイスの無効化」の「(2) コントローラ単位で無効化する場合の設定方法」または「3.14.3 VxVMでのデバイスの無効化」の「(3) パス単位でデバイスを無効化する場合の設定方法」に従って設定してください。
  19. 再構成オプションを指定してホストを再起動します。
    次に示すコマンドのうち,どちらかを実行してください。
    • # reboot -- -r
    • okプロンプトでboot -r
  20. dlnkmgrコマンドのviewオペレーションに-luパラメタを指定して実行して,構成が変更されたことを確認します。
  21. Solaris Clusterを使用している場合は,存在しないデバイスのデバイスID情報を削除します。
    次に示すコマンドを実行します。
     
    # /usr/cluster/bin/cldevice clear
     
  22. Solaris Clusterを使用している場合は,デバイスIDを割り当てます。
    次に示すコマンドを実行します。
     
    # /usr/cluster/bin/cldevice refresh
     
  23. Solaris Clusterを使用している場合は,最新のデバイスID情報をサーバへ通知します。
    次に示すコマンドを実行します。
     
    # /usr/cluster/bin/scdidadm -ui
     
  24. Solaris Clusterを使用している場合は,Solaris Clusterの広域デバイス名前空間を更新します。
    次に示すコマンドを実行します。
     
    # /usr/cluster/bin/cldevice populate
     
  25. 手順5でQuorumデバイスの設定を解除した場合はこの手順を実行します。
    HDLMドライバに初めて認識されたLUのHDLMデバイスをQuorumデバイスとして使用する場合,クラスタ内のどれか1つのノードでQuorumデバイスを設定してください。コマンドの実行例を次に示します。
    HDLMデバイスのデバイスIDを確認します。
     
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path
    # /usr/cluster/bin/cldevice list -v
     
    Quorumデバイスを設定します。
     
    # /usr/cluster/bin/clquorum add d4
     
    クラスタが2つのノードで構成されている場合,クラスタのインストールモードを解除するため,次に示すコマンドを実行します。
     
    # /usr/cluster/bin/clquorum reset
     
  26. 手順5でディスクデバイスグループの設定を解除した場合は,ディスクデバイスグループの登録を行います。
    VxVMを使用している場合,「3.14.5 VxVMとSolaris Clusterの連携」を参照してください。
    SVMを使用している場合,「3.15.2 HDLMデバイスを登録する」の「(2) 共有ディスクセットを使用する場合」を参照してください。
  27. 手順8でボリュームを削除した場合は,再度ボリュームを作成します。
    3.15.2 HDLMデバイスを登録する」の「(1) ローカルボリュームを使用する場合」を参照してください。
  28. 手順6でVxVMディスクグループをリソースグループの登録から解除した場合は,VCSのマニュアルを参照してリソースグループを再度登録します。
  29. ファイルシステム,ボリューム,またはメタデバイスを再度作成した場合は,手順1でバックアップしたデータをリストアします。
  30. 手順2から手順4でファイルシステムの設定を解除した場合は,構成変更後のHDLMデバイスを確認してファイルシステムを再度設定します。

(2) 動的再構成によるLUの削除

注意事項
  • 上位アプリケーションがLUを使用している場合は,動的再構成によってLUの削除はできません。

HDLMが管理対象としているLUを削除する手順を次に示します。

  1. 削除するLUを使用しているプログラムがある場合は,該当のプログラムを停止します。
  2. ストレージシステム,スイッチなどを設定して,ホストとLUの接続を解除します。
    既存のLUとの接続を解除するため,次の設定を行います。
    • ストレージシステムの設定(内部LUとストレージポートのLUNとのマッピングを解除)
    • ストレージポートとホストHBAポート間の接続を解除
    • ファイバチャネルスイッチの設定を解除
    • ホストのHBAの設定,およびsdまたはssdドライバの設定を解除
    これらの設定方法については,使用しているHBAのマニュアルや取扱説明書を参照してください。使用しているHBAやそのドライバ,および削除するLUのパス構成によっては,ホストの再起動が必要な場合があります。
  3. HDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)を実行し,HDLMドライバ構成定義ファイル(/kernel/drv/dlmfdrv.conf)を更新します。
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetconf
    
    このとき,削除したLUのパスに対するエラーメッセージおよびワーニングメッセージが出力される場合がありますが,無視してください。また,/opt/DynamicLinkManager/config/dlmfdrv.unconfファイルを参照し,削除対象のLUが記述されていないこと,削除対象以外のLUが記述されていることを確認してください。
  4. HDLM構成管理ユティリティ(dlmcfgmgr)を実行し,ホストとの接続が解除されたLUをHDLMドライバから削除します。
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmcfgmgr -a
    
    ホストを再起動することなく,HDLMデバイスが削除されます。
  5. HDLMコマンドのview -pathオペレーションを実行して,構成変更後のパスの状態を確認します。
    次にコマンドの実行例を示します。
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path
    Paths:000006 OnlinePaths:000006
    PathStatus   IO-Count    IO-Errors
    Online       27          0
    
    PathID PathName                        DskName                                    iLU              ChaPort Status     Type IO-Count   IO-Errors  DNum HDevName
    000000 0000.0000.0000000000651600.0000 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000500           5A      Online     Own           9          0    - c8t50060E8005271740d0
    000001 0000.0000.0000000000651600.0001 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000501           5A      Online     Own           9          0    - c8t50060E8005271740d1
    000003 0000.0000.0000000000651600.0003 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000503           5A      Online     Own           9          0    - c8t50060E8005271740d3
    000004 0001.0000.0000000000651700.0000 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000500           6A      Online     Own           0          0    - c8t50060E8005271740d0
    000005 0001.0000.0000000000651700.0001 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000501           6A      Online     Own           0          0    - c8t50060E8005271740d1
    000007 0001.0000.0000000000651700.0003 HITACHI .OPEN-V      -SUN.0010007          000503           6A      Online     Own           0          0    - c8t50060E8005271740d3
    KAPL01001-I HDLMコマンドが正常終了しました。オペレーション名 = view, 終了時刻 = yyyy/mm/dd  hh:mm:ss
    #
    
    削除したLUは出力されません。構成変更後の例では,000002および000006のパスIDが削除されています。
    動的再構成によってLUを削除した場合,この例のようにパスIDが連続しなくなります。このあと,リブートするとパスIDが再設定されるので,リブート前後でパスIDが異なる場合があります。