Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Solaris用)

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3.7.5 物理デバイス指定の環境から論理デバイス指定の環境への移行手順

HDLM 7.3.0~8.2.1のマニュアルの「ZFSブートディスク環境の作成(Solaris 11の場合)」に記載されている手順でブートディスク環境を作成した場合,ブートディスクとして物理デバイスが指定された環境が構築されます。

物理デバイス指定の環境の場合,Solaris 11.1以降で,SRUなどのパッケージのインストールおよび更新が失敗します。

ブートディスクとして論理デバイスが指定された環境の構築をHDLM 8.4.0でサポートしました。物理デバイス指定の環境を使用されている場合は,論理デバイス指定の環境へ移行してください。

注※ 次のような問題が発生します。
  • pkg installコマンドまたはpkg updateコマンドでパッケージをインストールする場合に,--be-nameオプションを指定すると,インストールが失敗します。
  • pkg installコマンドまたはpkg updateコマンドでBEを作成するパッケージ(SRUなど)をインストールすると,インストールが失敗します。
  • beadm activateコマンドでBEをアクティブ化すると,アクティブ化に失敗します。

ブートディスク環境が,HDLM 8.4.0以降のマニュアルの「ZFSブートディスク環境の作成(Solaris 11の場合)」に記載されている手順で作成されていない場合,物理デバイス指定の環境が使用されていないかを確認するために,次のコマンドを実行してください。

 
# zpool status ルートプール名
 

物理デバイス指定の環境の場合,HDLMデバイスの論理デバイスファイル名ではなく,物理デバイスファイル名が表示されます。

物理デバイス指定の環境が使用されている場合は,「(1) 同じHDLMデバイス上に論理デバイス指定で移行する場合」または「(2) 別のHDLMデバイスに移行する場合」の方法で論理デバイス指定の環境に移行してください。

この項の構成
(1) 同じHDLMデバイス上に論理デバイス指定で移行する場合
(2) 別のHDLMデバイスに移行する場合

(1) 同じHDLMデバイス上に論理デバイス指定で移行する場合

  1. ブートディスクと同容量のワークデバイスを用意します。
    ワークデバイスとしてSCSIデバイスを追加してください。
    すでに同容量の内蔵ディスクやHDLM管理対象デバイスが存在する場合は,そのデバイスをワークデバイスとして使用できます。
    ワークデバイスをホストに追加する場合は,デバイスを構成したあと,formatコマンドでワークデバイスの論理デバイス名を確認してください。
    # format < /dev/null
    Searching for disks...done
    
    AVAILABLE DISK SELECTIONS:
           0. c2t50060E800ABCDEFGd3 <HITACHI-OPEN-V      -SUN-8001 XXXX>
             /pci@XXXX/pci@4/pci@0/pci@0/QLGC,qlc@0/fp@0,0/ssd@w50060e800abcdefg,3
           1. c6t50060E800ABCDEFGd0 <HITACHI-OPEN-V      -SUN-8001 cyl 38227 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800abcdefg,0
           2. c6t50060E800CDEFGABd0 <HITACHI-OPEN-V      -SUN-8001 cyl 38227 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800cdefgab,0
           ...
          13. c6t50060E800CDEFGABd11 <HITACHI-OPEN-V-SUN-8001 cyl 54611 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800cdefgab,b
    
    Specify disk (enter its number):
    #
    
    この例では,0.のc2t50060E800ABCDEFGd3が追加したワークデバイス(SCSIデバイス)の論理デバイス名,1.のc6t50060E800ABCDEFGd0が移行元のHDLMデバイスの論理デバイス名です。
  2. HDLM ZFSブートディスク環境移行ユティリティ(dlmmkboot)を実行して,ワークデバイスにブートディスク環境を移行します。
    /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d ワークデバイスの論理デバイス名
    ワークデバイスの論理デバイス名をc2t50060E800ABCDEFGd3とした場合の例を次に示します。
    • ディスクラベルがVTOCの場合
      デバイス名の後ろに「s0」を追加してください
      #/opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d c2t50060E800ABCDEFGd3s0
    • ディスクラベルがEFIの場合
      #/opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d c2t50060E800ABCDEFGd3

    注意事項
    dlmmkbootユティリティは,zpool attachコマンドを実行して移行前と移行後のディスクをミラー化します。このユティリティは,再同期化(resilver)が完了すると,zpool detachコマンドを実行して移行前のディスクを切り離します。再同期化が完了するまでには,数分から十数分掛かります。
  3. dlmmkbootユティリティを実行して,ブートディスク環境をワークデバイスから移行元のHDLMデバイスに移行します。
    ワークデバイスから移行元のHDLMデバイスに論理デバイス指定でブート環境を移行します。
    /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d 移行元HDLMデバイスの論理デバイス名
    移行元HDLM デバイスの論理デバイス名をc6t50060E800ABCDEFGd0 とした場合の例を次に示します。
    • ディスクラベルがVTOCの場合
      デバイス名の後ろに「s0」を追加してください
      #/opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d c6t50060E800ABCDEFGd0s0
    • ディスクラベルがEFIの場合
      #/opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d c6t50060E800ABCDEFGd0
  4. SCSIワークデバイスを削除します。
    formatコマンドでワークデバイスが削除されたことを確認してください。
    # format < /dev/null
    Searching for disks...done
    
    AVAILABLE DISK SELECTIONS:
           0. c6t50060E800ABCDEFGd0 <HITACHI-OPEN-V      -SUN-8001 cyl 38227 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800abcdefg,0
           1. c6t50060E800CDEFGABd0 <HITACHI-OPEN-V      -SUN-8001 cyl 38227 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800cdefgab,0
           ...
          12. c6t50060E800CDEFGABd11 <HITACHI-OPEN-V-SUN-8001 cyl 54611 alt 2 hd 15 sec 512>
              /pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e800cdefgab,b
    
    Specify disk (enter its number):
    #
    

注意事項
  • dlmmkbootユティリティに-rオプションを指定しないでください
  • -sを指定しないでdlmmkbootユティリティを実行した場合,途中でコマンド実行の確認メッセージが表示されます。確認メッセージに対して,「y」を入力してください。
  • 再同期化の進捗状況を確認する場合は,dlmmkbootユティリティを実行している端末とは別の端末で,zpool statusコマンドを実行します。zpool statusコマンドで進捗状況を確認する場合の実行例については,「7.5.4 ユティリティの実行状況の確認」の「(2) 別の端末でzpool statusコマンドを実行した場合の出力例」を参照してください。
  • 移行作業を行う場合は,できるだけ上位のアプリケーションのI/O発行を避けてください。

(2) 別のHDLMデバイスに移行する場合

  1. ブートディスクと同容量のLUを1つ用意し,HDLMの管理下にします。
    このLUが新しいブートディスクとなります。
  2. dlmmkbootユティリティを実行して,ブートディスク環境を移行します。
    /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d HDLMデバイス名
    ブートディスク用のHDLMデバイス名をc6t50060E8010027A80d7とした場合の例を次に示します。
    # /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmmkboot -d c6t50060E8010027A80d7
     
    -rを指定してdlmmkbootユティリティを実行した場合,ホストを再起動して,移行後の環境からブートします。
    -sを指定しないでdlmmkbootユティリティを実行した場合,途中でコマンド実行の確認メッセージが表示されます。確認メッセージに対して,コマンドを実行する場合は「y」を,実行しない場合は「n」を入力してください。
    あとからZFSブートディスク環境名を確認する手順については,「3.6.2 ブートディスク環境の構築の手順」の「(5) 移行後の環境を構築する」手順11を参照してください。
    また,dlmmkbootユティリティは,zpool attachコマンドを実行して移行前と移行後のディスクをミラー化します。このユティリティは,再同期化(resilver)が完了すると,zpool detachコマンドを実行して移行前のディスクを切り離します。再同期化が完了するまでには,数分から十数分掛かります。
  3. 再同期化の進捗状況を確認する場合は,dlmmkbootユティリティを実行している端末とは別の端末で,zpool statusコマンドを実行します。zpool statusコマンドで進捗状況を確認する場合の実行例については,「7.5.4 ユティリティの実行状況の確認」の「(2) 別の端末でzpool statusコマンドを実行した場合の出力例」を参照してください。
  4. dlmmkbootユティリティをリブートしない指定(-rを省略)で実行した場合は,initコマンドを実行して,ホストを再起動します。
     
    # init 6
     
    ホストを再起動するとき,rebootコマンドは使わないでください。