Hitachi Dynamic Link Manager ユーザーズガイド(Solaris用)
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3.6.2 ブートディスク環境の構築の手順
ここで説明する手順は,移行前の環境で実行します。手順の流れを次の図に示します。
図3-10 既存のHDLMの環境を移行前の環境に使用する場合のブートディスク環境の構築の流れ
![[図]](GRAPHICS/SJ030101.GIF)
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUを割り当てます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUをSolarisに認識させます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUのスライスを設定します。
- 次に示すHDLMドライバ構成定義ファイル作成ユティリティ(dlmsetconf)を実行して,HDLMドライバ構成定義ファイル(/kernel/drv/dlmfdrv.conf)とHDLMドライバ非構成定義ファイル(/opt/DynamicLinkManager/config/dlmfdrv.unconf)を更新します。
# /opt/DynamicLinkManager/bin/dlmsetconf
この手順および次の手順を実行すると,移行後の環境のブートディスクに使用するLUがHDLMの管理対象に設定されます。
- 設定内容を有効にしHDLMデバイスを認識させるために,再構成オプションを指定してホストを再起動します。
次に示すコマンドのうち,どれかを実行してください。
- # reboot -- -r
- okプロンプトで,boot -r
以降は,「(5) 移行後の環境を構築する」に示す手順を実行してください。
ここで説明する手順は,移行前の環境で実行します。手順の流れを次の図に示します。
図3-12 既存のHDLMをインストールしていないブートディスク環境を移行前の環境に使用する場合のブートディスク環境の構築の流れ
![[図]](GRAPHICS/SJ030103.GIF)
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUを割り当てます。
ブートディスクに使用するLUは,次に示すどちらかの構成にしてください。
- 1つのLUの各スライスにSolaris基本ファイルシステム,スワップデバイス,ダンプデバイス,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステム,およびSVMの状態データベースの複製を割り当てる。
- 複数のLUのスライスにSolaris基本ファイルシステム,スワップデバイス,ダンプデバイス,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステム,およびSVMの状態データベースの複製を割り当てる。
この場合は,それらのLUの物理パス構成を同一にしてください。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUをSolarisに認識させます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUのスライスを設定します。
- 「3.5 HDLMのインストール」で説明する手順に従って,移行前の環境にHDLMをインストールする前の準備およびHDLMのインストールをします。
必要に応じた手順を実行してください。
- 注意事項
- 「3.5.4 HDLMの新規インストール」の手順14または「3.5.5 HDLMの新規インストール(Solaris Clusterを使用している場合)」の手順20でHDLM管理対象外デバイスを設定します。そのときは,次のことにご注意ください。
-
- 移行前の環境のブートディスクがHDLMの管理対象に設定されている場合は,HDLMの管理対象外に設定してください。
- 移行後の環境のブートディスクは,HDLMの管理対象外に設定しないでください。
以降は,「(5) 移行後の環境を構築する」に示す手順を実行してください。
ここで説明する手順は,移行前の環境で実行します。手順の流れを次の図に示します。
図3-13 移行前の環境を新規に構築する場合のブートディスク環境の構築の流れ
![[図]](GRAPHICS/SJ030104.GIF)
- 移行前の環境にSolarisをインストールします。
- Solaris Clusterを使用する場合は,インストールします。
詳細については,Solaris Clusterのマニュアルを参照してください。
- VxVMを使用する場合は,インストールします。
詳細については,VxVMのマニュアルを参照してください。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUを割り当てます。
ブートディスクに使用するLUは,次に示すどちらかの構成にしてください。
- 1つのLUの各スライスにSolaris基本ファイルシステム,スワップデバイス,ダンプデバイス,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステム,およびSVMの状態データベースの複製を割り当てる。
- 複数のLUのスライスにSolaris基本ファイルシステム,スワップデバイス,ダンプデバイス,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステム,およびSVMの状態データベースの複製を割り当てる。
この場合は,それらのLUの物理パス構成を同一にしてください。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUをSolarisに認識させます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUのスライスを設定します。
- アプリケーションが移行後の環境でブートディスク以外のストレージシステムのLUが必要な場合は,使用するLUを割り当てます。
- アプリケーションが使用するディスクをSolarisに認識させていない場合は,認識させます。
- アプリケーションが使用するディスクのスライスを設定していない場合は,設定します。
- 「3.5 HDLMのインストール」で説明する手順に従って,移行前の環境にHDLMをインストールする前の準備およびHDLMのインストールをします。
必要に応じた手順を実行してください。
以降は,「(5) 移行後の環境を構築する」に示す手順を実行してください。
- 注意事項
- 移行先デバイスに対し動的パス削除を行っている場合,再構成リブートを行ったあとにブートディスク環境の構築を行ってください。
# reboot -- -r
dlmsetbootユティリティを使用した場合,手順1から手順11までを自動で実行するため,手順12に進んでください。dlmsetbootユティリティについては,「7.7 dlmsetboot HDLMブートディスク環境構築支援ユティリティ」を参照してください。
- 移行後のスライス0(/(root)ファイルシステム)を指定して,移行後の環境のブートブロックを設定します。
コマンドの実行例を次に示します。
# installboot /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/ufs/bootblk /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s0
- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムを初期化します。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムも初期化します。
コマンドの実行例を次に示します。
# newfs /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s0
# newfs /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s6
# newfs /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s3
- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムをマウントします。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムもマウントします。
コマンドの実行例を次に示します。
# mount /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s0 /mnt0
# mount /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s6 /mnt1
# mount /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s3 /mnt2
- 移行前の環境のSolaris基本ファイルシステムを移行後の環境にコピーします。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムも移行後の環境にコピーします。
コマンドの実行例を次に示します。
# ufsdump 0f - / | (cd /mnt0; ufsrestore rf -)
# ufsdump 0f - /usr | (cd /mnt1; ufsrestore rf -)
# ufsdump 0f - /global/.devices/node@1 | (cd /mnt2; ufsrestore rf -)
- 移行後の環境の/etc/systemにrootdevパラメタが設定されていた場合(移行前の環境でSVM,VxVM,またはSun StorageTek Traffic Manager Software(Solaris 10では,Solarisマルチパス機能(MPxIO))を使用していた場合)は,rootdevパラメタを削除します。
- ls -lコマンドを実行して,移行後のブートディスクの/(root)ファイルシステムを格納した,スライスの情報を表示します。
コマンドの実行例を次に示します。下線部分のHDLMの物理デバイスファイル名は,手順7で使用します。
# ls -l /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s0
lrwxrwxrwx 1 root root 60 Nov 6 17:09 /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s0
-> ../../devices/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8007c95b61,0:a
- 移行後のブートディスクの/(root)ファイルシステムを格納したスライスに対応するrootdevパラメタを,移行後のブートディスクの/etc/systemファイルに設定します。
rootdevパラメタには,HDLMデバイスの物理デバイスファイル名を指定します。次に示す例では,下線部分に手順6の実行例で表示したHDLMデバイスの物理デバイスファイル名を指定しています。
rootdev:/pseudo/dlmndrv@1/dlmfdrv@w50060e8007c95b61,0:a
- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイルを編集して,Solaris基本ファイルシステムを,移行後のブートディスクのHDLM論理デバイスファイル名に変更します。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムのマウントデバイス※も同様に変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- /dev/dsk/c0t0d0s0 /dev/rdsk/c0t0d0s0 / ufs 1 no -
- /dev/dsk/c0t0d0s6 /dev/rdsk/c0t0d0s6 /usr ufs 1 no -
- /dev/did/dsk/d24s3 /dev/did/rdsk/d24s3 /global/.devices/node@1 ufs 2 no global
- 変更後
- /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s0 /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s0 / ufs 1 no -
- /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s6 /dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0s6 /usr ufs 1 no -
- /dev/did/dsk/d30s3 /dev/did/rdsk/d30s3 /global/.devices/node@1 ufs 2 no global
- 注※
- Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムのマウントデバイスに指定するデバイスIDは,cldevice list -n node1 -vコマンドを実行して確認してください。次に示す例の場合は,「d24」が移行前の環境のブートディスクで,「d30」が移行後の環境のブートディスクです。
- # cldevice list -n node1 -v
- ...
- 24 node1:/dev/rdsk/c0t0d0 /dev/did/rdsk/d24
- ...
- 30 node1:/dev/rdsk/c13t50060E8007C95B61d0 /dev/did/rdsk/d30
- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイルを編集して,スワップデバイスの定義を移行前の環境のブートディスクから移行後の環境のブートディスクに変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- /dev/dsk/c0t0d0s1 - - swap - no -
- 変更後
- /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s1 - - swap - no -
- 移行後のブートディスクの/etc/dumpadm.confファイルを編集して,DUMPADM_DEVICEパラメタのダンプデバイスの定義を,移行前の環境のブートディスクから移行後の環境のブートディスクに変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- DUMPADM_DEVICE=/dev/dsk/c0t0d0s1
- 変更後
- DUMPADM_DEVICE=/dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d0s1
- 移行後の環境からブートするために,OBPで指定するブートデバイス名を求めます。
ブートディスクのパスのうち,HDLMがHDLMデバイスの論理デバイスファイル名を決定するために使用するパスだけブートデバイスに指定できます。そのパスは,「4.5.1 HDLM運用環境を構成変更する場合の注意事項」の「(2) パスの構成を変更した場合について」に示す手順を実行すると求められます。
この手順によって求めたパスの文字列を次のように編集すると,OBPで指定するブートデバイス名になります。
- ssdまたはsdドライバのドライバ名(「ssd」または「sd」)を「disk」に置き換えます。
- 末尾に/(root)ファイルシステムのスライス識別子(「:a」~「:h」のどれか)を付加します。
ここでは,Oracle社のHBAを使用しているときの例を示します。Oracle社以外のHBAを使用している場合のブートデバイス名の求め方,およびOBPでのHBAの設定方法については,使用しているHBAのマニュアルを参照してください。
dlnkmgrコマンドのviewオペレーションに-lu,-item,pd,type,および-hdevパラメタを指定して実行してください。実行例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031010.GIF)
実行結果のうち,どれかのオーナパスのPhysical Deviceの文字列を次のように編集すると,OBPで指定するブートデバイス名になります。
- 「/device」を削除します。
- ssdドライバのドライバ名(「ssd」)を「disk」に置き換えます。
- 末尾に/(root)ファイルシステムのスライス識別子(「:a」~「:h」のどれか)を付加します。
この手順で示した実行例の下線部分の文字列を編集した場合,OBPで指定するブートデバイス名は次に示す文字列になります。
/pci@1c,600000/pci@1/QLGC,qlc@4,1/fp@0,0/disk@w50060e8007c95b61,0:a
- 注意事項
- ブートデバイスに指定するパスに障害が発生したときに備えて,すべてのパスを対象にしてOBPで指定するブートデバイス名を求めて,控えておいてください。
- 移行後の環境からブートします。
- 手順13~手順17は,SVMを使用して,かつSVMの状態データベースの複製も移行後の環境へ移行する場合だけ実行します。また,その場合は,移行後の環境に移行前の環境を認識させたままにしてください。
- SVMを使用して,SVMの状態データベースの複製を移行後の環境へ移行しない場合は,手順18に進んでください。
- SVMを使用しない場合は,手順18に進んでください。
- 既存の状態データベースの設定を確認します。
例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031020.GIF)
- 移行後のブートディスクを,SVMの状態データベースに追加します。
例を次に示します。
# metadb -a /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d1s7
# metadb -a /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d2s7
# metadb -a /dev/dsk/c13t50060E8007C95B61d3s7
- 移行後のブートディスクが,SVMの状態データベースに追加されたことを確認します。
例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031030.GIF)
- 移行前のブートディスクにある,SVMの状態データベースの複製を削除します。
コマンドの実行例を次に示します。
# metadb -d /dev/dsk/c0t0d0s7 /dev/dsk/c0t0d1s7 /dev/dsk/c0t0d2s7
- 移行前のブートディスクにある,SVMの状態データベースの複製が削除されたことを確認します。
コマンドの実行例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031040.GIF)
- 移行前の環境,および移行後の環境の内容をバックアップします。
バックアップは,次に示す事態が発生した場合に備えて行います。
- 移行後の環境に異常が発生した場合
移行前の環境からブートして,移行後の環境の修復作業に使用します。また,移行後の環境のバックアップをリストアして修復することもできます。
- ブートディスク環境からローカルブートディスク環境に移行して,ブートディスク環境を構築する前の状態に戻す場合
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