この節では,HDLMがブートディスクを管理するUFSブートディスク環境からローカルブートディスク環境(ブートディスクをホストに置く環境)へ移行する手順を説明します。この節では,前者を「移行前の環境」または「移行前」,後者を「移行後の環境」または「移行後」と呼ぶことがあります。手順には,次の2とおりの方法があります。
- ブートディスク環境を構築したときにバックアップしたファイルシステムをリストアして移行する方法
ブートディスク環境を構築する前の状態に戻ります。Solarisおよびアプリケーションの仕様に従ってリストアしてください。手順については,Solarisおよびアプリケーションのマニュアルを参照してください。
- ブートディスク環境のファイルシステムをローカルブートディスク環境へコピーして移行する方法
現在の運用状態のままローカルブートディスク環境※へ移行します。以降に概要および手順を説明します。
- 注※
- 移行後のブートディスクがストレージシステム上のディスクでも,同じ手順でブートディスクをHDLMの管理対象外にすることができます。
手順の概要を次の図に示します。
図3-23 ブートディスク環境のファイルシステムをローカルブートディスク環境へコピーして移行する手順の流れ
![[図]](GRAPHICS/SJ030110.GIF)
- 移行前の環境からブートします。
手順16までは,移行前の環境で実行します。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUを割り当てます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUをSolarisに認識させます。
- 移行後の環境のブートディスクに使用するLUのスライスを設定します。
- Solaris Clusterを使用する場合は,次の手順に進んでください。
- Solaris Clusterを使用しない場合は,手順8に進んでください。
- デバイスIDを割り当てます。
コマンドの実行例を次に示します。
# /usr/cluster/bin/cldevice refresh
- 最新のデバイスID情報を通知します。
コマンドの実行例を次に示します。
# /usr/cluster/bin/scdidadm -ui
- Solaris Clusterの広域デバイス名前空間を更新します。
コマンドの実行例を次に示します。
# /usr/cluster/bin/cldevice populate
- 移行後の環境のブートディスクがストレージシステム上でHDLMの管理対象に設定されている場合は,「3.5.6 HDLMの新規インストール時のHDLMデバイスの非構成機能」に示す手順を実行して,そのデバイスをHDLMの管理対象外に設定します。
- 移行後のスライス0(/(root)ファイルシステム)を指定して,移行後の環境のブートブロックを設定します。
コマンドの実行例を次に示します。
# installboot /usr/platform/`uname -i`/lib/fs/ufs/bootblk /dev/rdsk/c0t0d0s0
- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムを初期化します。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムも初期化します。
コマンドの実行例を次に示します。
# newfs /dev/rdsk/c0t0d0s0
# newfs /dev/rdsk/c0t0d0s6
# newfs /dev/rdsk/c0t0d0s3
- 移行後の環境のSolaris基本ファイルシステムをマウントします。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムもマウントします。
コマンドの実行例を次に示します。
# mount /dev/dsk/c0t0d0s0 /mnt0
# mount /dev/dsk/c0t0d0s6 /mnt1
# mount /dev/dsk/c0t0d0s3 /mnt2
- 移行前の環境のSolaris基本ファイルシステムを移行後の環境にコピーします。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムも移行後の環境にコピーします。
コマンドの実行例を次に示します。
# ufsdump 0f - / | (cd /mnt0; ufsrestore rf -)
# ufsdump 0f - /usr | (cd /mnt1; ufsrestore rf -)
# ufsdump 0f - /global/.devices/node@1 | (cd /mnt2; ufsrestore rf -)
- 移行後の環境の/etc/systemにある,HDLM物理デバイスファイルを指定したrootdevパラメタを削除します。
- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイルを編集して,Solaris基本ファイルシステムを,移行後のブートディスクのHDLM論理デバイスファイル名に変更します。Solaris Clusterを使用する場合は,Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムのマウントデバイス※も同様に変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- /dev/dsk/c8t50060E80004361D1d1s0 /dev/rdsk/c8t50060E80004361D1d1s0 / ufs 1 no -
- /dev/dsk/c8t50060E80004361D1d1s6 /dev/rdsk/c8t50060E80004361D1d1s6 /usr ufs 1 no -
- /dev/did/dsk/d30s3 /dev/did/rdsk/d30s3 /global/.devices/node@1 ufs 2 no global
- 変更後
- /dev/dsk/c0t0d0s0 /dev/rdsk/c0t0d0s0 / ufs 1 no -
- /dev/dsk/c0t0d0s6 /dev/rdsk/c0t0d0s6 /usr ufs 1 no -
- /dev/did/dsk/d24s3 /dev/did/rdsk/d24s3 /global/.devices/node@1 ufs 2 no global
- 注※
- Solaris Clusterの広域デバイスファイルシステムのマウントデバイスに指定するデバイスIDは,cldevice list -n node1 -vコマンドを実行して確認してください。次に示す例の場合は,「d30」が移行前の環境のブートディスクで,「d24」が移行後の環境のブートディスクです。
- # cldevice list -n node1 -v
- ...
- 24 node1:/dev/rdsk/c0t0d0 /dev/did/rdsk/d24
- ...
- 30 node1:/dev/rdsk/c8t50060E80004361D1d1 /dev/did/rdsk/d30
- 移行後のブートディスクの/etc/vfstabファイルを編集して,スワップデバイスの定義を移行前の環境のブートディスクから移行後の環境のブートディスクに変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- /dev/dsk/c8t50060E80004361D1d1s1 - - swap - no -
- 変更後
- /dev/dsk/c0t0d0s1 - - swap - no -
- 移行後のブートディスクの/etc/dumpadm.confファイルを編集して,DUMPADM_DEVICEパラメタのダンプデバイスの定義を,移行前の環境のブートディスクから移行後の環境のブートディスクに変更します。
例を次に示します。
- 変更前
- DUMPADM_DEVICE=/dev/dsk/c8t50060E80004361D1d1s1
- 変更後
- DUMPADM_DEVICE=/dev/dsk/c0t0d0s1
- 移行後の環境からブートします。
- SVMを使用して,かつSVMの状態データベースの複製も移行後の環境へ移行する場合は,手順18に進んでください。また,その場合は,移行後の環境に移行前の環境を認識させたままにしてください。
- SVMを使用して,SVMの状態データベースの複製を移行しない場合は,手順21に進んでください。
- SVMを使用しない場合は,手順21に進んでください。
- 既存の状態データベースの設定を確認します。
例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031050.GIF)
- 移行後のブートディスクを,SVMの状態データベースに追加します。
例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031060.GIF)
- 移行前のブートディスクにある,SVMの状態データベースの複製を削除します。
例を次に示します。
![[図]](GRAPHICS/SJ031070.GIF)
- 移行後の環境のブートディスクを次に示すアプリケーションでミラー構成やマルチパス構成にする場合は,その設定をします。
設定方法については,各アプリケーションのマニュアルを参照してください。
- SVM
- VxVM
- Sun StorageTek Traffic Manager Software(Solaris 10では,Solarisマルチパス機能(MPxIO))
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