Tuning Manager 運用管理ガイド
パフォーマンスデータの記録方法や保存方法の設定は,同一プロダクト名で,かつ同一データモデルバージョンのサービスであれば,GUIを使って複数のAgentに対し一括で設定できます(データモデルバージョンとは,エージェントが付与する番号です)。例えば,次のような運用が考えられます。
- 同じ種類のエージェントを管理するとき,同じ設定を一括で定義できます。
- 新しいエージェントを追加するとき,ほかのエージェントと同じ設定ができます。
各エージェントの設定情報は,GUIではプロパティ情報の一つとして表示されます。次の表に示すノードのプロパティを一括配布できます。
表6-19 プロパティの一括配布で参照・選択可能なノード一覧
サービス ノード名 説明 Agent Collector Detail Records パフォーマンスデータの記録方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「6.2.2 パフォーマンスデータの記録方法の設定」を参照してください。 Interval Records Log Records エージェント固有 エージェントに固有のプロパティのノードです。エージェントによって一括配布できるプロパティは異なります。詳細については,各PFM - Agentのマニュアルの付録を参照してください。 API Data Management Storeデータベースで運用していて,かつTuning Manager APIの利用を有効化している場合に,Storeデータベースで運用時の稼働性能情報ファイルへの記録方法および保存方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「6.2.5 Storeデータベースで運用時の稼働性能情報ファイルへの出力に関する設定(Storeデータベースで運用していて,かつTuning Manager APIの利用を有効化している場合)」を参照してください。 DB Data Management Hybrid Storeへの保存方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「6.2.3 パフォーマンスデータの保存条件の設定(Hybrid Storeで運用している場合)」を参照してください。 Agent Store※ Retention パフォーマンスデータのStoreデータベースへの保存方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「6.2.4 パフォーマンスデータの保存条件の設定(Storeデータベースで運用している場合)」を参照してください。 RetentionEx Disk Usage Performanceデータベースで使用されているディスク容量が格納されているプロパティのノードです。詳細については,「6.2.7 パフォーマンスデータが使用しているディスク容量の確認」を参照してください。 Configuration Agent Storeサービスのプロパティのノードです。
- 注※
- Agent Storeのプロパティは,プロパティの配布元と配布先のAgent StoreのバージョンとStoreデータベースのStoreバージョンによって配布可否が異なります。詳細については,「(2) Agent Storeのバージョンによるプロパティの配布可否」を参照してください。
- この項の構成
- (1) エージェントのプロパティの配布手順
- (2) Agent Storeのバージョンによるプロパティの配布可否
- (3) エージェント固有のプロパティの一括配布
エージェントのプロパティを一括配布する手順を次に示します。
- Admin権限ユーザーでTuning Manager serverにログインします。
Main Consoleの[メイン]画面が表示されます。- グローバルタスクバーエリアで[起動]-[Performance Reporter]を選択します。
Performance Reporterの[メイン]画面が表示されます。- Performance ReporterのMain Windowのナビゲーションフレームで,[サービス階層]タブを選択します。
[サービス階層]画面が表示されます。- [サービス階層]画面のナビゲーションフレームで,「Machines」フォルダの下位の階層を展開します。
Tuning Managerシリーズのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。- 配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスが動作するホストのフォルダの下位にある階層を展開し,配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスを選択します。
Agent Storeサービスは,先頭文字が「P」以外で2文字目が「S」であるサービスです。例えば,「TS」や「ZS」などで始まるサービスIDのものがAgent Storeサービスとなります。なお,「PS」で始まるサービスIDのものはMaster Storeサービスとなります。Agent Collectorサービスは,先頭文字が「P」以外で2文字目が「A」であるサービスを選択します。
サービスIDの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」および各PFM - Agentのマニュアルに記載されている識別子一覧を参照してください。
選択したAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスにチェックマークが表示されます。- メソッドフレームの[プロパティの配布]メソッドを選択します。
[サービス選択]画面に遷移し,配布先として選択できるサービスが表示されます。配布先サービスには配布元サービスと同じプロダクト,かつ同じデータモデルバージョンのサービスが一覧表示されます。
- 配布先サービスを選択します。
- [次へ]ボタンをクリックします。
[プロパティ選択]画面が表示され,配布先へ配布できるプロパティ一覧と選択するためのチェックボックスが表示されます。- 配布対象のプロパティを選択します。
ツリーでノードを選択すると,インフォメーションフレームの下部に選択できるプロパティが表示されます。
[全選択]ボタンをクリックすると,すべてのプロパティを選択できます。また,[全解除]ボタンをクリックすると,選択されているプロパティをすべて解除できます。
配布先サービスを選択し直したいときは,[プロパティ選択]画面の[< 戻る]ボタンをクリックしてください。手順6の[サービス選択]画面に戻ります。- [完了]ボタンをクリックします。
一括配布の処理が開始し,[プロパティの配布 > 進捗表示]画面に遷移します。
一括配布が完了したサービスの「プロパティ配布」欄には「OK」が表示されます。
すべてのサービスの一括配布が完了すると,[OK]ボタンが活性化します。- [OK]ボタンをクリックします。
インフォメーションフレームがクリアされます。
重要
- 手順9で配布対象のプロパティを選択するたびに[完了]ボタンをクリックしなくても,配布対象のプロパティは複数回選択できます。必要に応じて,ツリーでノードを選択し,配布したいプロパティを選択する操作を繰り返し実施したあと,[完了]ボタンをクリックしてください。
(2) Agent Storeのバージョンによるプロパティの配布可否
プロパティの配布元と配布先のAgent StoreのバージョンとStoreデータベースのStoreバージョンによって配布可否が異なります。Agent Storeのバージョンによるプロパティの配布可否を次の表に示します。
- 注意
- Hybrid Storeへの配布はAgent Collectorですべて実施するため,Agent StoreではHybrid Storeへの配布はできません。
表6-20 Agent Storeのバージョンによるプロパティの配布可否
配布元Agent Store 配布先Agent Store 08-00以前 08-10以降かつStoreバージョン2.0 08-10以降かつStoreバージョン1.0 08-00以前 ○ × ○ 08-10以降かつStoreバージョン2.0 × ○ × 08-10以降かつStoreバージョン1.0 ○ × ○
- (凡例)
- ○:配布できる
- ×:配布できない
- 注
- Tuning Managerシリーズのエージェントの場合,「08-00以前」を「05-50以前」に,「08-10以降」を「05-70以降」に読み替えてください。
エージェント固有のプロパティには,上位のノードを追加,削除してツリーの構造を変更できるものがあります。例えば,PFM - Agent for PlatformのApplication monitoring setting配下のノードは,追加,削除してツリーの構造を変更できます。
プロパティの一括配布では,このようなエージェントの固有プロパティについて,配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なる場合でも,プロパティを配布できます。また,配布先エージェントのツリーの構造を配布元エージェントに合わせることもできます。
エージェント固有のプロパティの一括配布を利用することで,次のような運用ができます。
- 新規システム構築時,全エージェントを同じ設定にする
- システム運用中,全エージェントを同じ設定にする
- システム運用中,複数のエージェントで特定のプロパティを更新する
- システム運用中,複数のエージェントでノードを追加する
- システム運用中,複数のエージェントでノードを削除する
1つのエージェントで,ノードを追加,削除したり,プロパティを設定したりしたあと,そのエージェントを配布元としてプロパティを一括配布することで,ツリー構造を含めたプロパティの設定を配布元と配布先で一致させます。
ここでは,プロパティを一括配布するときの設定例について説明します。
なお,1つのエージェントについて,ノードを追加したり削除したりする操作については,マニュアル「JP1/Performance Management - Agent Option for Platform(Windows(R)用)」またはマニュアル「JP1/Performance Management - Agent Option for Platform(UNIX(R)用)」を参照してください。また,一括配布の手順については,「エージェント固有のプロパティの一括配布手順」を参照してください。
- 新規システム構築時,全エージェントを同じ設定にする
- プロパティの一括配布で,すべてのノードに対して「追加」の操作を選択します。
図6-7 新規システム構築時に全エージェントを同じ設定にする
- 配布先エージェントにノードが追加され,ツリー構造が配布元エージェントと同じになります。また,プロパティの値はすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。
- システム運用中,全エージェントを同じ設定にする
- プロパティの一括配布で,すべてのノードに対して「追加」の操作を選択します。また,「配布先にのみ存在するノードは削除する」チェックボックスを選択します。
- 配布先エージェントに存在しなかったノードは追加されます。追加されたノードのプロパティはすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。配布先エージェントに存在していたノードは,プロパティがすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。配布先エージェントだけに存在するノードは削除されます。
- このため,配布先エージェントのツリー構造が配布元エージェントと同じになります。
- システム運用中,複数のエージェントで特定のプロパティの値を更新する
- プロパティの一括配布で,更新するプロパティがあるノードに対して「更新」の操作を選択します。
図6-9 システム運用中に複数のエージェントで特定のプロパティの値を更新する
- また,更新するプロパティで「適用」を選択します。
- 「更新」の操作では,「適用」チェックボックスを選択したプロパティの値だけが更新されます。
- システム運用中,複数のエージェントでノードを追加する
- プロパティの一括配布で,追加するノードに対して「追加」の操作を選択します。
図6-11 システム運用中に複数のエージェントでノードを追加する
- 配布先エージェントにノードが追加され,ツリー構造が配布元エージェントと同じになります。また,追加されたノードのプロパティはすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。
- なお,配布先エージェントに存在するノードに対して「追加」の操作を選択して一括配布した場合,そのノードのプロパティの値は,「適用」チェックボックスの状態に関係なくすべて上書きされます。
- システム運用中,複数のエージェントでノードを削除する
- プロパティの一括配布で,削除するノードに対して「削除」の操作を選択します。
図6-12 システム運用中に複数のエージェントでノードを削除する
- 「削除」を選択したノードが配布先エージェントに存在する場合,そのノードは削除されます。
参考
- 「削除」の操作では配布元エージェントのノードは削除されません。このため,一括配布後は配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なります。
エージェント固有のプロパティを一括配布する手順を次に示します。ここでは,PFM - Agent for Platformのバージョン08-10以降で使用できるApplication monitoring setting配下のツリーの構造を配布する例を取り上げます。なお,この例では,配布元エージェントのプロパティの設定が完了しているものとして説明します。
- 注意
- Tuning Manager APIを利用する場合に必要なノードを一括配布するためには,初期設定ファイル(config.xml)の<service-agent-collector-node>タグの編集が完了している必要があります。初期設定ファイル(config.xml)の詳細については,「5.3 Performance Reporterの初期設定」を参照してください。
- Admin権限ユーザーでTuning Manager serverにログインします。
Main Consoleの[メイン]画面が表示されます。- グローバルタスクバーエリアで[起動]-[Performance Reporter]を選択します。
Performance Reporterの[メイン]画面が表示されます。- Performance ReporterのMain Windowのナビゲーションフレームで,[サービス階層]タブを選択します。
[サービス階層]画面が表示されます。- [サービス階層]画面のナビゲーションフレームで,「Machines」フォルダの下位の階層を展開します。
Tuning Managerシリーズのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。- 配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスが動作するホストのフォルダの下位にある階層を展開し,配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスを選択します。
ここでは,PFM - Agent for PlatformのApplication monitoring settingを配布するため,「TA」から始まるAgent Collectorサービスを選択します。
サービスIDの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」および各PFM - Agentのマニュアルに記載されている識別子一覧を参照してください。
選択したAgent Collectorサービスにチェックマークが表示されます。- メソッドフレームの[プロパティの配布]メソッドを選択します。
[サービス選択]画面に遷移し,配布先として選択できるサービスが表示されます。配布先サービスには配布元サービスと同じプロダクト,かつ同じデータモデルバージョンのサービスが一覧表示されます。- 配布先サービスを選択し,[次へ]ボタンをクリックします。
[プロパティ選択]画面が表示されます。- インフォメーションフレームのツリーで「Application monitoring setting」を選択します。
インフォメーションフレームの下部にApplication monitoring setting配下のノード一覧が表示されます。- 各ノードに対して「更新」,「追加」または「削除」を選択します。
「更新」を選択した場合に対象になるノードを次に示します。
「更新」の操作では,手順11で「適用」チェックボックスを選択したプロパティの値だけが更新されます。
「追加」を選択した場合に対象になるノードを次に示します。
配布先エージェントに存在するノードに対して「追加」の操作を選択して一括配布した場合,そのノードのプロパティの値は,「適用」チェックボックスの状態に関係なくすべて上書きされます。
「削除」を選択した場合に削除対象となるノードを次に示します。
参考
- 「削除」の操作では配布元エージェントのノードは削除されません。このため,一括配布後は配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なります。
- 配布先エージェントにだけ存在し,配布元エージェントに存在しないノードを削除する場合,「配布先にのみ存在するノードを削除する」チェックボックスを選択します。
「配布先にのみ存在するノードを削除する」チェックボックスを選択した場合に削除対象となるノードを次に示します。図6-16 「配布先にのみ存在するノードを削除する」チェックボックスを選択した場合に削除対象になるノード
- 手順9で「更新」を選択したノードについて,値を更新するプロパティを選択します。
ノードをツリーで選択すると,プロパティの一覧が表示されます。
「更新」を選択したノードのプロパティは,一覧にある「適用」チェックボックスでの設定状態に応じて一括配布されます。
[全選択]ボタンをクリックすると,すべてのプロパティを選択できます。また,[全解除]ボタンをクリックすると,選択されているプロパティをすべて解除できます。- [完了]ボタンをクリックします。
配布するノード,プロパティを選択したあと,[完了]ボタンをクリックすることで,一括配布の処理が開始し,[プロパティの配布 > 進捗表示]画面に遷移します。
一括配布が完了したサービスの「プロパティ配布」欄には「OK」が表示されます。
すべてのサービスの一括配布が完了すると,[OK]ボタンが活性化します。- [OK]ボタンをクリックします。
インフォメーションフレームがクリアされます。
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