Hitachi Command Suite CLI リファレンスガイド
IOPHプロパゲーションは,Device Manager CLIのコマンドを組み合わせて運用します。ここでは,P-VOLのI/Oモニタリング情報をS-VOLに伝播することで,S-VOLのアクセス性能を維持する場合のシステム構成例,手順,および推奨設定について説明します。
IOPHプロパゲーションを運用するには:
- P-VOL側のストレージシステムに対してExportMonitoringDataコマンドを実行し,P-VOLのI/Oモニタリング情報をファイルとして取得します。
ボリューム単位での操作では,I/Oモニタリング情報のファイルは,ボリュームごとに出力されます。出力したファイルは編集しないでください。- S-VOL側のストレージシステムに対してImportMonitoringDataコマンドを実行し,手順1で取得したI/Oモニタリング情報をS-VOLに適用します。
- S-VOL側のHDTプールに対してAddTieredPoolOperationコマンドを実行し,HDTプールの階層再配置を実行します。
S-VOLに適用したI/Oモニタリング情報に基づいて,HDTプールの階層が再配置されます。
S-VOL側のHDTプールに関連づけられたすべてのHDTボリュームにI/Oモニタリング情報を適用してから,階層再配置を実行してください。I/Oモニタリング情報が適用されていないHDTボリュームがあると,そのボリュームのデータの階層配置が正しく判定されないため,効果的な運用ができないおそれがあります。
- 参考
- IOPHプロパゲーションは,スクリプトファイルや起動スケジュールを管理する外部プログラムを組み合わせて,定期的に運用することをお勧めします。
- TrueCopyとUniversal Replicatorのカスケード構成でIOPHプロパゲーションを運用する場合は,P-VOLから取得したI/Oモニタリング情報をSP-VOLおよびS-VOLに適用します。
- 障害が発生してP-VOLからS-VOLに運用が切り替わった場合は,P-VOLからS-VOLへのIOPHプロパゲーションを停止し,ホストからS-VOLへのI/Oに基づいてS-VOL側のHDTプールの階層を再配置する運用に切り替えることをお勧めします。
- 障害から回復して,S-VOLからP-VOLに運用を戻す場合には,S-VOLからP-VOLへのIOPHプロパゲーションを実施することもできます。
P-VOLからS-VOLへのIOPHプロパゲーションを運用する場合は,HDTプールおよびHDTボリュームを次の設定にしておくことをお勧めします。
- IOPHプロパゲーションを効果的に運用したい場合,P-VOL側とS-VOL側で,HDTプールの階層の数や性能をそろえること
- S-VOL側のHDTプールの性能モニタリングと階層再配置の自動実行(autoMigration)が「disable」であること
性能モニタリングと階層再配置の自動実行を「enable」にしてIOPHプロパゲーションを運用する場合は,P-VOLからS-VOLにI/Oモニタリング情報を伝播するタイミングと,S-VOL側のHDTプールの階層再配置の実行周期を合わせる必要があります。- P-VOL側,S-VOL側ともに,HDTプールの性能モニタリングモード(monitoringMode)が「1:Continuous(継続)」であること
性能モニタリングモードが「0:Periodic(同期)」でIOPHプロパゲーションを運用する場合は,性能モニタリングの周期とIOPHプロパゲーションの運用周期を厳密に合わせる必要があります。
- P-VOL,S-VOLともに,HDTボリュームのハードウェア階層再配置(tierRelocation)が「enable」であること
- 階層ポリシーを適用する場合,P-VOLとS-VOLの階層ポリシーが同じであること
- 重要
- Device ManagerではメインフレームのHDTプールおよびHDTボリュームの設定はできません。メインフレームボリュームの管理ツールを使用して設定してください。
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