Hitachi Command Suite ユーザーズガイド
NAS Platformの性能と信頼性を最大限に引き出し,ストレージ容量をできるだけ効率よく活用するための,ストレージプール構築のベストプラクティスについて説明します。
ストレージプールの構成は,ユーザーの利用するファイルシステムの性能や信頼性,容量効率および拡張性に大きく影響します。ストレージプールを作成または拡張するときは,NAS Platformのベストプラクティスに従うことをお勧めします。ベストプラクティスの概要を次に示します。
- ボリュームの特性
ボリュームの特性(ドライブタイプ,回転数,RAIDレベル,チップタイプ,内部/外部)はすべて同じものを使用します。特性の異なるボリュームが混在した場合,最も性能の低いボリュームの影響によって,全体の性能が低下するおそれがあります。- LUNパスの構成
システムドライブとファイルサーバの間でLUNパスの数が多すぎると,ファイルサーバが停止するおそれがあります。NASモジュールを搭載したVSP G400,G600,G800またはVSP F400,F600,F800の場合は,ボリューム(User LU)とNASモジュールの間のLUNパスは,自動で設定されます。- システムドライブの書き込み設定
ストレージシステムの種別ごとに,装置の性能に応じた書き込み設定をすることで,高いI/O性能を引き出せます。また,ボリュームのストライプサイズを設定できる場合は,NAS Platformの特性に合わせたサイズを設定することで,データアクセス効率が向上します。NAS Platform v12.6以降の場合は,NAS Platformが自動で書き込み設定をします。- ストレージプールのチャンクサイズ
NAS Platform v12.2未満の場合は,ストレージプールの作成時にユーザーがチャンクサイズを設定できます。ファイルシステムが使用できるチャンク数には上限があり,チャンクサイズはファイルシステムの拡張性に影響します。チャンクサイズを小さくすると,拡張性は低下しますが,性能が向上します。チャンクサイズを大きくすると,性能は低下しますが,拡張性が向上します。ストレージプールをDPプールで構成する場合は,次の点も考慮します。
- DPプールの構成
NAS Platform v12.2以降の場合,ストレージプールをHDPプールで構成すると,拡張するときに容易にストレージプールの性能が引き出せます。
ストレージプールとDPプールの関係は,1対1にします。また, DPボリュームが未作成のDPプールを使用します。システムドライブになるDPボリュームは自動で作成されるため,作成済みのDPボリュームがある場合は,自動で作成できるストレージプール容量が小さくなるおそれがあります。
性能を引き出すためには,次のように設定します。
- ストレージプールを構成するDPボリュームの容量と数は8個 × 8TB(計64TB)で構成すること
- DPボリュームの数は4個以上であること
- ストレージプールを構成するドライブ数は24個以上であること
- DPプールのストライプサイズ
HUS100またはHitachi AMS2000の場合は,DPプールのストライプサイズを64KBにします。ストレージプールをパリティグループで構成する場合は,次の点も考慮します。
- ボリュームの数と容量
性能を引き出すためには,2つ以上のパリティグループから作成したボリュームを使ってストレージプールを作成または拡張します。各パリティグループからは,できるだけ少ない個数で,かつ大きいサイズのボリュームを作成してシステムドライブに使用します。性能を引き出すためには,パリティグループの全容量を使用して1つのボリュームを作成することをお勧めします。理由は次のとおりです。また,ストレージプールを構成するボリュームの容量はすべて均一にします。異なる容量が混在している場合,利用しない領域が発生して,リソースを効率よく活用できないおそれがあります。
- パリティグループから多くのボリュームを切り出すと,性能が低下する。
- ストレージプールを構成するボリュームのサイズが小さいと,ストレージプールやファイルシステムの拡張上限が小さくなる。
NAS Platform v12.2以降と連携している場合,DPプールまたはパリティグループを選択するだけで,Device Managerがこれらのベストプラクティスに基づいて,最適な構成のストレージプールを作成または拡張します。選択するDPプールまたはパリティグループの条件は,「5.11.4 ストレージプールに使用するDPプールの条件」,「5.11.3 ストレージプールに使用するパリティグループの条件」を参照してください。
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