7.9.2 JP1/AJS3が動作しているホストのIPアドレスを変更する
JP1/AJS3が動作しているホストのIPアドレスを変更する場合や,実ホスト名から求まるIPアドレスを変更する場合の手順を,JP1/AJS3 - Manager,JP1/AJS3 - Agent,JP1/AJS3 - Web Console,およびJP1/AJS3 - Viewの場合に分けて説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) IPアドレス変更に関する注意事項
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実ホスト名から求まるIPアドレスの変更とは,hostsファイル,DNS,jp1hosts情報,およびjp1hosts2情報を変更し,実行ホスト名に対する名前解決の結果として求まるIPアドレスを変更する場合を指します。
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運用中のホストのjp1hosts情報またはjp1hosts2情報を変更する場合,またはDNSサーバのIPアドレスを変更する場合,変更後のIPアドレスは,JP1/AJS3の再起動後にJP1/AJS3に反映されます。そのため,JP1/AJS3を停止しないでIPアドレスを変更すると,変更前のIPアドレスで通信を試み,ジョブの異常終了などの現象が発生することがあります。IPアドレスを変更する前に,JP1/AJS3サービスを停止してください。ただし,新たにjp1hosts2情報を追加する場合は,JP1/AJS3サービスの停止は不要です。
-
運用中のホストに対して,IPv4/IPv6プロトコルをインストール・アンインストールしたり,IPv4/IPv6プロトコルの有効/無効を変更したりする場合,JP1/AJS3サービスを停止してから操作してください。
(2) JP1/AJS3 - ManagerのIPアドレスを変更する
JP1/AJS3 - ManagerのIPアドレスを変更する前に,次のことをしておいてください。
事前準備
-
ほかのホストから,IPアドレスを変更するマネージャーホストに対して次の操作をしないようにする。
・JP1/AJS3 - ViewやJP1/AJS3 - Web Consoleからのログインや操作
・APIの実行
・リモートコマンドの実行
・リモートジョブネットの実行
・IPアドレスを変更するマネージャーホストをジョブの実行先としたジョブの実行
・IPアドレスを変更するマネージャーホストとのジョブネットコネクタや接続先のジョブネットを使用した,異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序制御
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キューレスジョブを実行していないことを確認する。
エージェントホストでのキューレスジョブの実行中に,マネージャーホストのIPアドレスを変更した場合,マネージャーホストではジョブの終了状態が「終了状態不明」になります。IPアドレスを変更する場合は,必ず,キューレスジョブを実行していないことを確認してください。また,ジョブの終了状態が「終了状態不明」になった場合は,エージェントホストのキューレスログファイルからジョブの終了状態を確認してください。
JP1/AJS3 - ManagerのIPアドレスを変更する手順を次に示します。
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JP1/AJS3 - ViewおよびJP1/AJS3 - Web Consoleからログオフする。
-
マネージャーホストのJP1/AJS3のサービスを停止する。
JP1/AJS3のサービスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.2.1 JP1/AJS3のサービスの種類」を参照してください。
JP1/AJS3のサービスの手動での停止方法については,「6.1.2 JP1/AJS3のサービスを手動で終了する」を参照してください。
また,JP1/AJS3のサービスは,物理ホストと,すべての論理ホストのサービスを停止してください。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
次のすべてを満たす場合
-
JP1/AJS3 - Web ConsoleのWeb GUI(ジョブポータル)の操作制限機能を使用している
-
マネージャーホストにIPアドレスを指定してログインしている
-
操作許可設定ファイルのバックアップ
マネージャーホストのIPアドレスを変更する前に,マネージャーホストに適用している操作許可設定ファイルのバックアップを取得してください。
操作許可設定ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.4.2 ユーザーごとの操作制限のカスタマイズ」を参照してください。
-
-
マネージャーホストのIPアドレスを変更する。
マネージャーホストのIPアドレスを変更します。
なお,変更後のIPアドレスは,該当のマネージャーホストと通信するほかのホスト(JP1/AJS3 - Viewホスト,JP1/AJS3 - Web Consoleサーバ,ジョブの実行先のエージェントホスト,リモートジョブネットなどの実行元のほかのマネージャーホストなど)から,名前解決できる必要があります。
それらのホストで,マネージャーホスト名から変更したIPアドレスが求まるようにhostsファイルなどを変更してください。
hostsファイルなどの設定変更に関する注意事項は,「(1) IPアドレス変更に関する注意事項」を参照してください。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
次のすべてを満たす場合
-
JP1/AJS3 - Web Consoleの接続先ホスト制限機能を使用している
-
接続を許可するマネージャーホストにIPアドレスを指定している
-
環境設定ファイルの再設定
環境設定ファイル(ajs3web.conf)を変更する必要があります。
環境設定ファイル(ajs3web.conf)の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.4.3 環境設定ファイル(ajs3web.conf)の設定項目の詳細」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.3.3 環境設定ファイル(ajs3web.conf)の設定項目の詳細」(Linuxの場合)を参照してください。
2
次のすべてを満たす場合
-
ほかのマネージャーホストから,IPアドレスを変更したマネージャーホストに対して,イベントジョブを実行したことがある
-
名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションを有効にしていない
-
イベントジョブの名前解決の再設定
イベントジョブの実行先を,IPアドレスを変更したマネージャーホストとしている,ほかのマネージャーホスト上で次のどちらかの操作が必要です。
・JP1/AJS3サービスを再起動する。
・ajsagtdelコマンドおよびajsagtaddコマンドを実行して,IPアドレスを変更したマネージャーホストが実行ホストとして定義されている実行エージェントを,マネージャーホストに再登録する。
なお,名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションを有効にしている場合は,ほかのマネージャーホスト上での作業は不要です。
名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.18 名前解決に使用するエージェント情報の変更オプションの設定方法」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.17 名前解決に使用するエージェント情報の変更オプションの設定方法」(UNIXの場合)を参照してください。
-
-
手順2で停止したサービスを,必要に応じて起動する。
JP1/AJS3 - Viewの[ログイン]画面の[接続ホスト名]にIPアドレスを指定して,JP1/AJS3 - Managerの物理ホストに接続する場合は,必ず物理ホスト名に対応したIPアドレスで接続してください。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
次のすべてを満たす場合
-
JP1/AJS3 - Web ConsoleのWeb GUI(ジョブポータル)の操作制限機能を使用している
-
JP1/AJS3 - Web Consoleのログイン画面の[接続ホスト名]にIPアドレスを指定してログインしている
-
操作許可設定ファイルの再設定
変更後のマネージャーホストのIPアドレスでWeb GUI(ジョブポータル)にログインし,バックアップしておいた操作許可設定ファイルを適用してください。操作許可設定ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.4.2 ユーザーごとの操作制限のカスタマイズ」を参照してください。
2
次のすべてを満たす場合
-
JP1/AJS3 - Web Consoleの[ダッシュボード]画面の詳細情報エリアに監視対象のユニットを表示している
-
JP1/AJS3 - Web Consoleのログイン画面の[接続ホスト名]にIPアドレスを指定してログインしている
-
監視対象のユニットの再設定
条件を満たす場合,マネージャーホストの変更後のIPアドレスでマネージャーホストにログインすると,IPアドレス変更前に詳細情報エリアに表示されていた監視対象ユニットが非表示になります。
このため,変更後のIPアドレスでログインしたあとに[監視対象設定]ダイアログボックスで監視したいユニットを選択して,詳細情報エリアに監視対象ユニットを表示するようにしてください。
3
次のすべてを満たす場合
-
JP1/AJS3 - Viewの[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)の監視対象一覧に監視対象ユニットを表示している
-
JP1/AJS3 - Viewの[ログイン]画面の[接続ホスト名]にIPアドレスを指定してログインしている
-
監視対象ユニットの再設定
条件を満たす場合,マネージャーホストの変更後のIPアドレスでマネージャーホストにログインすると,監視対象一覧に表示されていた監視対象ユニットが表示されなくなります。
このため,変更後のIPアドレスでログインしたあとに[監視対象選択]ダイアログボックスで監視したいユニットを選択して,監視対象一覧に監視対象ユニットを表示するようにしてください。
-
(3) JP1/AJS3 - AgentのIPアドレスを変更する
JP1/AJS3 - AgentのIPアドレスを変更する前に,次のことをしておいてください。
- 事前準備
-
ほかのホストから,IPアドレスを変更するエージェントホストにジョブを実行しないように検討しておく。
JP1/AJS3 - AgentのIPアドレスを変更する手順を次に示します。
-
エージェントホストのJP1/AJS3のサービスを停止する。
JP1/AJS3のサービスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.2.1 JP1/AJS3のサービスの種類」を参照してください。
JP1/AJS3のサービスの手動での停止方法については,「6.1.2 JP1/AJS3のサービスを手動で終了する」を参照してください。
また,JP1/AJS3のサービスは,物理ホストと,すべての論理ホストのサービスを停止してください。
-
エージェントホストのIPアドレスを変更する。
エージェントホストのIPアドレスを変更します。
なお,エージェントホストのIPアドレスは,該当のエージェントと通信するほかのホスト(ジョブの実行元のマネージャーホストなど)から,名前解決できる必要があります。
それらのホストで,エージェントホスト名から変更したIPアドレスが求まるようにhostsファイルなどを変更してください。
hostsファイルなどの設定変更に関する注意事項は,「(1) IPアドレス変更に関する注意事項」を参照してください。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
次のすべてを満たす場合
-
IPアドレスを変更したエージェントホストでイベントジョブを実行したことがある
-
名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションを有効にしていない
-
イベントジョブの名前解決の再設定
イベントジョブを定義しているマネージャーホスト上で次のどちらかの操作が必要です。
・JP1/AJS3サービスを再起動する。
・ajsagtdelコマンドおよびajsagtaddコマンドを実行して,IPアドレスを変更したエージェントホストが実行ホストとして定義されている実行エージェントを,マネージャーホストに再登録する。
なお,名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションを有効にしている場合は,マネージャーホスト上での作業は不要です。
名前解決に使用するエージェントホスト情報の変更オプションについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.18 名前解決に使用するエージェント情報の変更オプションの設定方法」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.17 名前解決に使用するエージェント情報の変更オプションの設定方法」(UNIXの場合)を参照してください。
2
IPアドレスを変更したエージェントと通信を行うマネージャーホストで,接続元制限機能を有効にしている場合
-
接続元制限の再設定
接続許可設定ファイルの変更が必要です。
接続先のマネージャーホストで,マネージャー用接続許可設定ファイルのIPアドレスを変更して,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
接続を許可するIPアドレスを変更する手順については,「7.11.2 JP1/AJS3への接続を許可する接続元を変更する」を参照してください。
-
-
手順1で停止したサービスを,必要に応じて起動する。
(4) JP1/AJS3 - Web ConsoleのIPアドレスを変更する
JP1/AJS3 - Web ConsoleのIPアドレスを変更する前に,次のことをしておいてください。
- 事前準備
-
ほかのホストから,IPアドレスを変更するWeb Consoleサーバに対して,次の操作をしないようにする。
-
JP1/AJS3 - Web Consoleへのログインや操作
-
APIの実行
-
JP1/AJS3 - Web ConsoleのIPアドレスを変更する手順を次に示します。
-
Web GUIからログオフする。
-
JP1/AJS3 - Web Consoleのホストで次のサービスが起動中であれば停止する。
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JP1/AJS3 Web Application Serverサービス
-
JP1/AJS3 HTTP Serverサービス
-
-
JP1/AJS3 - Web ConsoleのホストのIPアドレスを変更する。
Web ConsoleサーバのIPアドレスを変更します。
なお,Web ConsoleサーバのIPアドレスは,該当のサーバと通信するほかのホスト(Web GUIからログインする端末など)から,名前解決できる必要があります。
それらのホストで,Web Consoleサーバのホスト名から変更したIPアドレスが求まるようにhostsファイルなどを変更してください。
hostsファイルなどの設定変更に関する注意事項は,「(1) IPアドレス変更に関する注意事項」を参照してください。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
IPアドレスを変更したWeb Consoleサーバと通信を行うマネージャーホストで,接続元制限機能を有効にしている場合
-
接続元制限の再設定
JP1/AJS3 - Web Consoleの接続先のマネージャーホストで接続元制限を有効にしている場合,接続許可設定ファイルの変更が必要です。
接続先のマネージャーホストで,マネージャー用接続許可設定ファイルのIPアドレスを変更して,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
接続を許可するIPアドレスを変更する手順については,「7.11.2 JP1/AJS3への接続を許可する接続元を変更する」を参照してください。
-
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手順2で停止したサービスを,必要に応じて起動する。
(5) JP1/AJS3 - ViewのIPアドレスを変更する
JP1/AJS3 - ViewのIPアドレスを変更する手順を次に示します。
-
JP1/AJS3 - Viewからログオフする。
-
JP1/AJS3 - ViewホストのIPアドレスを変更する。
-
必要に応じて次の作業を実施する。
項番
条件
実施する作業
1
JP1/AJS3 - Viewの接続先のマネージャーホストで,接続元制限機能を有効にしている場合
-
接続元制限の再設定
接続先のマネージャーホストで,マネージャー用接続許可設定ファイルのIPアドレスを変更して,jajs_pmtconコマンドを実行してください。
接続を許可するIPアドレスを変更する手順については,「7.11.2 JP1/AJS3への接続を許可する接続元を変更する」を参照してください。
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-
必要に応じて,JP1/AJS3 - Viewを起動してマネージャーホストに接続する。
JP1/AJS3 - Viewの[ログイン]画面の[接続ホスト名]にIPアドレスを指定して,JP1/AJS3 - Managerの物理ホストに接続する場合は,必ず物理ホスト名に対応したIPアドレスで接続してください。