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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 運用ガイド


17.2.1 セットアップやサービスの起動に関するトラブルシューティング

〈この項の構成〉

(1) Performance Managementプログラムのサービスが起動しない(PFM - Web Console以外)

考えられる要因およびその対処方法を次に示します。

(2) PFM - Web Consoleのサービスが起動しない

考えられる要因およびその対処方法を次に示します。要因だけを示している場合は,「17.2.1(1) Performance Managementプログラムのサービスが起動しない(PFM - Web Console以外)」にある対処方法と同じです。

(3) サービスの起動要求をしてからサービスが起動するまで時間が掛かる

jpcspm startコマンドを実行してから,またはWindowsの[サービス]でサービスを開始してから,実際にサービスが起動するまで時間が掛かることがあります。次の要因で時間が掛かっている場合,2回目の起動時からはサービスの起動までに掛かる時間が短縮されます。

(4) Performance Managementプログラムのサービスを停止した直後に,別のプログラムがサービスを開始したとき,通信が正しく実行されない

Performance Managementプログラムのサービスを停止した直後に,このサービスが使用していたポート番号で,ほかのプログラムがサービスを開始した場合,通信が正しく実行されないことがあります。この現象を回避するために,次のどちらかの設定をしてください。

(5) 「ディスク容量が不足しています」というメッセージが出力されたあとMaster Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスが停止する

Storeデータベースが使用しているディスクに十分な空き容量がない場合,Storeデータベースへのデータの格納が中断されます。この場合,「ディスク容量が不足しています」というメッセージが出力されたあと,Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスが停止します。

このメッセージが表示された場合,次のどちらかの対処をしてください。

これらの対処をしたあともMaster Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスが起動されない場合,Storeデータベースに回復できない論理矛盾が発生しています。この場合,バックアップデータからStoreデータベースをリストアしたあと,Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスを起動してください。利用できるバックアップデータがない場合は,Storeデータベースを初期化したあと,Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスを起動してください。Storeデータベースを初期化するには,Storeデータベースの格納先ディレクトリにある次のファイルをすべて削除してください。

[StoreVRが1.0の場合]
  • 拡張子が.DBであるファイル

  • 拡張子が.IDXであるファイル

[StoreVRが2.0の場合]
  • 拡張子が.DBであるファイル

  • 拡張子が.IDXであるファイル

    STPI,STPD,STPLディレクトリ配下を削除してください。

    (STPI,STPD,STPLディレクトリは残してください)

デフォルトのStoreデータベースの格納先ディレクトリは,次のとおりです。

パフォーマンスデータのStoreデータベース格納先ディレクトリ

各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルを参照してください。

イベントデータのStoreデータベースの格納先ディレクトリ
[PFM - Managerがクラスタ環境でない場合]
  • Windowsの場合:

    インストール先フォルダ\mgr\store\

  • UNIXの場合:

    /opt/jp1pc/mgr/store/

[PFM - Managerがクラスタ環境である場合]
  • Windowsの場合:

    環境ディレクトリ\jp1pc\mgr\store\

  • UNIXの場合:

    環境ディレクトリ/jp1pc/mgr/store/

(6) PFM - Managerの再起動後にCorrelatorサービスの起動に時間が掛かる

Correlatorサービスは起動時にエージェントのアラームステータスを確認します。そのため,エージェントを停止しないでPFM - Managerを再起動した場合,Correlatorサービスの起動に時間が掛かることがあります。このような場合,Correlatorクイック起動機能を有効にすることを検討してください。

Correlatorクイック起動機能を有効にすると,エージェントのアラームステータスの確認はCorrelatorサービスの起動後に必要に応じて実施されるようになるため,サービスの起動に掛かる時間が短縮されます。なお,Correlatorサービスがアラームステータスの確認状況を通知する際,次の表に示すメッセージテキストがエージェントイベントで出力されることがあります。

メッセージテキストの内容

意味

State information

Correlatorサービスが,エージェントからアラームイベントを受信し,アラームステータスを正しく確認した。

State information(Unconfirmed)

Correlatorサービスが,エージェントからアラームイベントを受信したが,アラームステータスを確認できなかった。

State change(Unconfirmed)

Correlatorサービスが,アラームステータスが未確認のエージェントからアラームイベントを受信した。受信したアラームイベントの内容からPFM - AgentまたはPFM - RMの状態を推定した。

次の表に,メッセージテキストの出力契機を示します。

Correlatorクイック起動機能の設定

アラームステータスの確認契機

アラームステータスの確認成否と出力されるメッセージテキスト

成功

失敗

無効(ただし,起動情報ファイル(jpccomm.ini)でRetry Getting Alarm Statusラベルを有効に指定した場合)

PFM - Manager起動時

State information

State information(Unconfirmed)

アラームステータスの確認失敗後,エージェントから次のアラームイベントを受信したとき

State information

State change(Unconfirmed)

有効

PFM - Manager起動後,エージェントからのアラームイベント初回受信時

State information

State information(Unconfirmed)

アラームステータスの確認失敗後,エージェントから次のアラームイベントを受信したとき

State information

State change(Unconfirmed)

注※

PFM - Managerが推定したPFM - AgentまたはPFM - RMの状態が変化した場合だけ出力されます。

Correlatorクイック起動機能の設定を変更する手順を次に示します。

  1. Performance Managementのプログラムおよびサービスを停止する。

    PFM - ManagerホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,jpcspm stopコマンドですべて停止してください。クラスタシステムを利用している場合は,クラスタソフトから停止してください。

  2. テキストエディターなどで,PFM - Managerホストのjpccomm.iniファイルを開く。

    jpccomm.iniファイルは,次の場所に格納されています。

    物理ホストの場合

    • Windowsの場合

      インストール先フォルダ\

    • UNIXの場合

      /opt/jp1pc/

    論理ホストの場合

    • Windowsの場合

      環境ディレクトリ\jp1pc\

    • UNIXの場合

      環境ディレクトリ/jp1pc/

  3. Correlatorクイック起動機能の利用可否を設定する。

    jpccomm.iniファイル中の[Common Section]セクションで次のラベルの値を変更します。

    • 有効にする場合

      Correlator Startup Mode=1

    • 無効にする場合

      Correlator Startup Mode=0

  4. jpccomm.iniファイルを保存して閉じる。

  5. Performance Managementのプログラムおよびサービスを起動する。

(7) Agent CollectorサービスまたはRemote Monitor Collectorサービスが起動しない

PFM - AgentまたはPFM - RMホストがWindowsの場合,PFM - AgentまたはPFM - RMの起動時にAgent CollectorサービスまたはRemote Monitor Collectorサービスの起動に失敗して,Windowsの再起動時,Windowsイベントログに次のどちらかのメッセージが出力されることがあります。

この現象は,Windowsのサービスコントロールマネージャーのタイムアウトによって発生するため,PFM - Managerへの通信負荷が高く,PFM - Managerからの応答に時間が掛かるときに発生しやすくなります。次の条件にすべて該当する場合に発生します。

この現象を回避するためには,次のどちらかの設定をして運用してください。

(8) 同時に起動した複数のエージェントでスタンドアロンモードからの回復に時間が掛かる

起動時にスタンドアロンモードとなった監視エージェントは,自動的に監視マネージャーへの接続をリトライし,成功すれば通常モードに移行します。

多数の監視エージェントを同時に起動すると,各監視エージェントから監視マネージャーへの通信が集中することで接続エラーが発生し,複数の監視エージェントがスタンドアロンモードとなる場合があります。このとき,監視マネージャーへの接続リトライが一定間隔で実施される設定になっていると,それらの監視エージェントが同じタイミングでリトライし続けることで通信の集中が繰り返され,通常モードに移行するまでに時間が掛かってしまいます。

このような現象が発生するときは,対象となる監視エージェントの起動情報ファイル(jpccomm.ini)の[Common Section]セクションで,Random Retry Mode(再接続処理の分散機能)の値を1(有効)にしてください。

この操作によって,スタンドアロンモードの監視エージェントから監視マネージャーへの接続リトライが一定ではなくランダムな間隔となり,通信の集中を防止できます。

なお,この設定は,システム内のPFM - ManagerまたはPFM - Baseのバージョンが10-10-20以降で,PFM - AgentまたはPFM - RMのバージョンが10-00以降の場合に適用できます。

起動情報ファイル(jpccomm.ini)の変更方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,起動情報ファイル(jpccomm.ini)について説明している個所を参照してください。