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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 運用ガイド


17.2.2 KAVE00493-Eが出力されてサービスが起動できない場合の回復方法について

PFM - Manager,PFM - Agent,またはPFM - RMの監視ホスト名に使用している物理ホスト名を変更する際に,指定された方法で実施していない場合は,データの破損を防ぐため,以降のサービスの起動が抑止されKAVE00493-Eのメッセージが出力されます。このような状況となったときは,現状の物理ホスト名を明確にした上で,起動するサービスの種類に応じて次に示す方法で回復してください。

メモ

現状の物理ホスト名が明確でない場合は,「jpcconf host hostmode -display」コマンドを実行して監視ホスト名の取得方法を確認してください。監視ホスト名の取得方法から物理ホスト名の確認コマンドがわかります。詳細はマニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。

PFM - Managerのサービスが起動できない場合の回復方法

(1),(2)の内容に従って回復してください。

PFM - AgentまたはPFM - RMのサービスが起動できない場合の回復方法

該当するホストの物理ホスト名の変更手順を正しく実施し直すことで回復できます。

物理ホスト名の変更手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

なお,物理ホスト名の変更操作自体は実施済みのため不要です。

また,サービス停止の際にKAVE05217-Eのメッセージが出力されて失敗する場合は,変更前のホスト名で名前解決できるように,jpchostsファイルを編集してから,再度コマンドを実行してください(サービスが停止できたら,jpchostsファイルの内容を戻してください)。

〈この項の構成〉

(1) KAVE00493-Eが出力されてサービスが起動できない場合の回復の流れ(PFM - Managerの場合)

回復するには,監視マネージャー,監視コンソールサーバ,監視エージェントのそれぞれのホスト,および監視コンソールで操作が必要です。

操作の流れを次に示します。

図17‒1 KAVE00493-Eが出力されてサービスが起動できない場合の回復の流れ

[図データ]

(2) KAVE00493-Eが出力されてサービスが起動できない場合の回復手順

回復するには,現状の物理ホスト名と,稼働監視システムで使用する監視ホスト名を合わせ,古い情報を削除します。

前提条件

操作手順

  1. PFM - Web Consoleホストでサービスを停止する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - Web ConsoleホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止します。サービスの停止にはjpcwstopコマンドを使用してください。

    監視二重化の構成の場合,プライマリーとセカンダリーの両方で実施します。

  2. PFM - AgentまたはPFM - RMホストでサービスを停止する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - AgentまたはPFM - RMホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止します。サービスの停止にはjpcspm stopコマンドを使用してください。

  3. PFM - Managerホストでサービスを停止する。

    ホスト名を変更したPFM - ManagerホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止します。サービスの停止にはjpcspm stopコマンドを使用してください。

    監視二重化の構成の場合,プライマリーとセカンダリーの両方で実施します。

    なお,コマンド実行時にKAVE05217-Eのメッセージが出力されて失敗する場合は,変更前のホスト名で名前解決できるように,jpchostsファイルを編集してから,再度コマンドを実行してください(サービスが停止できたら,jpchostsファイルの内容を戻してください)。

  4. PFM - Managerホストの監視ホスト名を変更する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerホストでjpcconf host hostnameコマンドを実行して監視ホスト名を変更します。

    物理ホスト名をhostBに変更する場合のコマンドの実行例を次に示します。

    Windowsの場合

    jpcconf host hostname -newhost hostB -d d:\backup -dbconvert convert

    UNIXの場合

    jpcconf host hostname -newhost hostB -d /var/tmp/backup -dbconvert convert

    なお,jpcconf host hostnameコマンドを実行した場合,定義情報や性能情報など変更前の情報はすべて引き継がれます。

  5. 接続先PFM - Managerの設定を変更する。(監視二重化の場合)

    ホスト名を変更していないPFM - Managerホストで,jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して接続先PFM - Managerの設定を変更します。

  6. 必要に応じて,Performance Managementのシステム内で変更後のホスト名で名前解決できるようにjpchostsファイル,hostsファイル,およびDNSの設定を変更する。

    マシンの再起動が必要な場合は,再起動後にPerformance Managementのプログラムおよびサービスが自動起動しないように,設定を変更しておいてください。PFM - Managerホスト上での作業が完了したあと,Performance Managementのプログラムおよびサービスが自動起動するように,設定を元に戻してください。

  7. 必要に応じて,PFM - Agent固有の手順を実行する。

    ホスト名を変更したPFM - ManagerホストにPFM - Agentがインストールされている構成では,PFM - Agent固有の手順が必要な場合があります。

    表17‒2 PFM - Agent固有の手順の要否

    構成

    手順の要否と参照先

    PFM - Managerホストにインストールされているのが,PFM - Agent 09-00以降の場合

    PFM - Agent固有の手順の要否は,PFM - Agentごとに異なります。PFM - Agent固有の手順については,各PFM - Agentマニュアルの,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

    PFM - Managerホストにインストールされているのが,PFM - Agent 09-00未満の場合

    次のPFM - Agentの場合

    • PFM - Agent for Cosminexus

    • PFM - Agent for Domino

    • PFM - Agent for Enterprise Applications

    • PFM - Agent for Microsoft SQL Server

    PFM - Agent固有の手順が必要です。固有の手順についてはマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の物理ホスト名変更の際に必要に応じて実施するPFM - Agent固有の手順について説明している個所を参照してください。

    上記以外の場合

    PFM - Agent固有の手順は不要です。

    PFM - Agent固有の手順が必要な場合は,表の参照先に示された手順を済ませてから次の手順に進んでください。

  8. PFM - Managerホストでサービスを起動する。

    PFM - Managerホスト上のPerformance Managementのプログラムおよびサービスを起動します。サービスの起動にはjpcspm startコマンドを使用します。

    監視二重化の構成の場合,プライマリーとセカンダリーの両方で実施します。

  9. PFM - Web Consoleホストで,接続先PFM - Managerの設定を変更する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - Web Consoleホストで,接続先PFM - Managerの設定を変更します。接続先PFM - Managerの設定を変更するには,初期設定ファイル(config.xml)を変更します。詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,初期設定ファイル(config.xml)について説明している個所を参照してください。

  10. PFM - Web Consoleホストでサービスを起動する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - Web ConsoleホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスを起動します。サービスの起動にはjpcwstartコマンドを使用してください。

  11. ヘルスチェックエージェントの設定を削除する。

    ヘルスチェック機能を使用している場合,サービスIDに変更前のホスト名を含むヘルスチェックエージェントのエージェント定義の削除(エージェント階層の管理フォルダからの削除,アラームテーブルの関連づけの削除)を,PFM - Web Consoleから実施します。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

    エージェントの定義を変更する手順の詳細については,「3. エージェントの監視」,または「6. アラームによる稼働監視」を参照してください。

  12. PFM - AgentまたはPFM - RMの設定を削除する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerと同一ホストにインストールしている,サービスIDに変更前のホスト名を含むPFM - AgentまたはPFM - RMホストのエージェント定義の削除(エージェント階層の管理フォルダからの削除)を,PFM - Web Consoleから実施します。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

    エージェントの定義を変更する手順の詳細については,「3. エージェントの監視」を参照してください。

  13. PFM - Managerホストでサービス情報を削除する。

    PFM - Managerホストのホスト名を変更しても,変更前のホスト名が付けられたPerformance Managementプログラムのサービス情報は変更されないため,不要な情報を削除する必要があります。監視二重化の構成の場合,プライマリーとセカンダリーの両方で実施します。

    削除対象のサービス情報の種類と確認方法を次に示します。

    変更前のホスト上のサービス情報

    次のコマンドで表示される項目すべてが削除対象です。

    jpctool service list -id "*" -host 変更前のホスト名

    サービスIDに変更前のホスト名を含むサービス情報

    次のコマンドで表示される項目のうち,[Service ID]列に変更前のホスト名を含むものが削除対象です。

    jpctool service list -id "*"

    サービス情報は,jpctool service deleteコマンドを使用して削除します。

    変更前のホスト上にあるサービス情報は,次に示すコマンドで削除します。

    jpctool service delete -id "*" -host 変更前のホスト名

    また,サービスIDに変更前のホスト名を含むサービス情報は,次に示すコマンドで削除します。

    jpctool service delete -id "???変更前のホスト名" -host 変更後のホスト名

    なお,コマンド実行時にKAVE05233-Wメッセージが出力され,サービス情報の削除に失敗する場合,次のように指定してコマンドを再実行してください。

    jpctool service delete -id "*" -host 変更前のホスト名 -force
    jpctool service delete -id "???変更前のホスト名" -host 変更後のホスト名 -force
    参考

    jpctool service listコマンドでは,DB上に残っている,変更前のホスト名を含む古いサービス情報が表示されない場合があります。このようなサービス情報も,DB上から削除する必要があるため,ここで示したjpctool service deleteコマンドは必ず実行してください。

  14. PFM - Managerのサービス情報を反映する。

    PFM - Web Consoleにサービス情報の削除を反映するため,PFM - ManagerPFM - Web Consoleのサービス情報を同期します。サービス情報を同期するにはjpctool service syncコマンドを使用してください。

    監視二重化の構成の場合,プライマリーとセカンダリーの両方で実施します。

    jpctool service syncコマンドで同期したサービス情報が反映されるタイミングは,PFM - Web Consoleのバージョンによって異なります。

  15. 必要に応じて,業務グループの構成を変更する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerホストが,業務グループに割り当てられている場合は,業務グループの構成を変更する必要があります。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

    手順の詳細については,「2.7 業務グループの設定と運用」を参照してください。

  16. PFM - AgentまたはPFM - RMホストで接続先PFM - Managerの設定を変更する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - AgentまたはPFM - RMホストで,接続先PFM - Managerの設定を変更します。接続先PFM - Managerの設定の変更は,jpcconf mgrhost defineコマンドを使用します。例えば,接続先PFM - Managerのホスト名がhostBに変更された場合,次のように指定してコマンドを実行します。

    jpcconf mgrhost define -host hostB

    ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。

  17. PFM - AgentまたはPFM - RMホストでサービスを起動する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerに接続するPFM - AgentまたはPFM - RMホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスを起動します。サービスの起動にはjpcspm startコマンドを使用してください。

  18. ヘルスチェックエージェントの定義を再設定する。

    ヘルスチェック機能を利用している場合,ホスト名変更後のヘルスチェックエージェントの定義(手順11で削除した定義)を再設定します。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

  19. PFM - AgentまたはPFM - RMの定義を再設定する。

    ホスト名を変更したPFM - Managerと同一ホストにインストールしているPFM - AgentまたはPFM - RMの定義(手順12で削除した定義)を再設定します。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

  20. アラームの設定を更新する。

    次の場合,PFM - Managerホストのjpctool alarmコマンドを使用するか,または監視コンソールから,アラームの設定を更新する必要があります。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

    • アクションの実行先アクションハンドラにPFM - Managerホストのアクションハンドラを指定している場合

      アラームを編集して,アクションを実行するアクションハンドラとして「PH1<変更後のPFM - Managerホスト名>」を設定してください。

    • アクションでJP1イベントを発行している場合

      アクションのJP1イベントの設定を再度行ってください。

    アラーム編集方法の詳細については,「6. アラームによる稼働監視」を参照してください。

  21. JP1システムイベントの設定を更新する。

    次のどちらかの条件を満たす場合,PFM - Web ConsoleからJP1システムイベントの設定を更新する必要があります。

    監視二重化の構成の場合,プライマリー側で実施します。

    • 変更前のホスト名を,JP1システムイベントのJP1/Base接続先のイベントサーバ名に指定している。

    • 変更前のホスト名を,JP1システムイベントの監視コンソールのホスト名に指定している。

    JP1システムイベントの詳細については,「12. 統合管理製品(JP1/IM)と連携した稼働監視」を参照してください。

  22. プライマリーとセカンダリー間で定義情報を一致させる。(監視二重化の場合)

    プライマリーから二重化用の定義情報をエクスポートしたあとで,セカンダリーにインポートし,プライマリーとセカンダリー間で定義情報を一致させます。

    定義情報を一致させる手順の詳細については,「11.5 定義情報の二重化」を参照してください。

  23. 設定変更後の確認を実施する。

    設定変更後は,次の確認をしてください。

    • パフォーマンスデータの収集

      パフォーマンスデータの収集間隔(Collection Interval)に指定している時間の2倍以上の期間は,稼働させて問題なく収集できるか確認します。

    • jpcrptコマンドの実行

      収集したパフォーマンスデータが問題なく出力できるか確認します。

    • レポート定義およびアラーム定義の確認

      Webブラウザで作成したレポート定義およびアラームの定義が問題ないか確認します。

    • アクション実行の確認

      作成したアラームのアクション実行が問題なく実行できるか確認します。