9.16.1 JP1/IM - Managerと連携するための環境設定
JP1/IM - Managerで検知したJP1イベントをJP1/Service Supportのインシデント(案件)として登録できます。また,登録された案件のステータスの状況に応じて,JP1/Service SupportからJP1イベントを発行することもできます。JP1/IM - Managerと連携するために,次の環境設定が必要です。
(1) JP1/Service Supportでの設定
JP1/Service Supportでは,JP1/IM - Managerと連携してJP1イベントをインシデントとして登録するための環境設定は必要ありません。ただし,案件のステータスの状況に応じてJP1/Service SupportからJP1イベントを発行してJP1/IM - Managerと連携するためには,定義ファイルでの環境設定が必要です。
JP1/Service SupportからJP1イベントを発行する場合の,JP1/Service Supportでの設定を次に示します。
(a) 対処済み連動用JP1イベントの発行設定
プロセスワークボードごとに,自動登録された案件がクローズしたときにJP1/Service SupportからJP1イベントを発行するために設定する手順を次に示します。この手順を実行する前に,あらかじめJP1/IM - Managerでの設定が必要です。詳細については「(3) JP1/IM - Managerでの設定」を参照してください。
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JP1イベント発行設定ファイルで必要な情報を設定する。
JP1イベントを発行するために接続するイベントサーバも含めて設定します。JP1イベント発行設定ファイルについては,「13. 定義ファイル」の「JP1イベント発行設定ファイル(hptl_jp1_imss_jp1event_setting.properties)」を参照してください。
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[プロセスワークボード作成]画面または[プロセスワークボード編集]画面の[基本設定]タブで,[JP1イベントの発行を行う]チェックボックスをチェックにする。
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-evtオプションを指定して,jssitementryコマンドを実行する。
案件が登録されます。jssitementryコマンドの詳細については,「12. コマンド」の「jssitementry(案件登録)」を参照してください。
登録された案件のステータスが「クローズ」に変更されたときに,JP1イベントが発行されます。
(b) ステータス変更用JP1イベントの発行設定
プロセスまたはプロセスワークボードごとに,案件のステータスを変更したときにJP1/Service SupportからJP1イベントを発行するために設定する手順,およびJP1イベントに格納する案件情報を設定する手順を次に示します。
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JP1イベント発行設定ファイルで必要な情報を設定する。
JP1イベントを発行するために接続するイベントサーバも含めて設定します。JP1イベント発行設定ファイルについては,「13. 定義ファイル」の「JP1イベント発行設定ファイル(hptl_jp1_imss_jp1event_setting.properties)」を参照してください。
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ステータス変更JP1イベント定義ファイルで,発行するJP1イベントに格納したい案件情報を設定する。
ユーザーが設定できるのは,0〜90個の合計サイズが10,000バイト未満の固有情報だけです。ステータス変更JP1イベント定義ファイルについては,「13. 定義ファイル」の「ステータス変更JP1イベント定義ファイル(hptl_jp1_imss_jp1event_status.properties)」を参照してください。
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[プロセスワークボード作成]画面または[プロセスワークボード編集]画面の[基本設定]タブで,[JP1イベントの発行を行う]チェックボックスをチェックにする。
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プロセス単位,またはプロセスワークボード単位の[ステータス管理]画面で,JP1イベントを発行するステータスを指定する。
使用中の案件ステータスに対応した[JP1イベント発行]チェックボックスをチェックします。プロセスワークボード単位の[ステータス管理]画面で[プロセスの共通設定を使用する]チェックボックスをチェックすると,対象のプロセスワークボードが属するプロセスで設定した案件ステータスが設定されます。
- 注意事項
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JP1イベントが大量に発行されると,転送遅延や転送先での登録遅延が発生する場合があります。このような場合は,JP1イベントに格納する案件情報や上位ホストへの転送設定を見直してください。
(2) JP1/Baseでの設定
JP1イベントは,JP1/Service SupportからJP1/Baseを経由してJP1/IM - Managerに発行されます。JP1/Service SupportからJP1イベントを発行する場合は,次に示すJP1/Baseでの設定が必要です。
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サービスの起動順序
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JP1イベントの転送
(a) サービスの起動順序の設定
JP1/Service SupportからJP1イベントを発行するには,同一ホストに存在するJP1/Baseのサービスを起動させる必要があります。JP1/Baseのサービスが起動する前にJP1イベントの発行を要求された場合,JP1/Baseに登録できないためです。
JP1/Service Supportのサービスを自動起動するように設定している場合は,JP1/Service Supportのサービスより先にJP1/Baseのサービスを起動させるために,JP1/Baseの起動順序定義ファイル(JP1SVRPR.DAT)で,サービスの起動順序を設定してください。
起動順序定義ファイルの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
JP1/Baseの起動順序定義ファイル(JP1SVRPR.DAT)の設定例を次に示します。
[Jp1ServiceSupportDB] NAME=JP1/Service Support - DB Server ServiceName=HiRDBEmbeddedEdition_JS0 [Jp1ServiceSupport] NAME=JP1/Service Support ServiceName=JP1_ServiceSupport [Jp1ServiceSupportWeb] NAME=JP1/Service Support - Web Service ServiceName=JP1_ServiceSupport-WebService [Jp1ServiceSupportTask] NAME=JP1/ServiceSupport - Task Service ServiceName=JP1_ServiceSupport-TaskService
- 注意事項
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上記の内容は,必ずJP1/Baseの定義([Jp1Base]セクション)よりあとに設定してください。また,各セクションは上記の順序どおりに設定してください。
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JP1/Service Supportのクラスタ環境では,JP1/Baseのサービス起動順序を設定しないでください。クラスタ環境でサービスの起動順序を設定したい場合は,WindowsのWSFCでサービスの起動順序を設定してください。クラスタ環境でのJP1イベントの発行については,「10.7 クラスタ環境でのJP1イベントの発行」を参照してください。
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(b) JP1イベントの転送の設定
JP1/Baseのデフォルトでは,重要なJP1イベントだけを,JP1/IM - Managerの構成定義で定義された階層に従って上位のホストに転送する設定になっています。このため,重要度が「情報(Information)」の場合にJP1/Service Supportから発行されるJP1イベントは,上位のホストには転送されません。
したがって,JP1/Service SupportとJP1/IM - Managerが別々のホストに存在する場合は,転送設定ファイル(forward)に転送条件を指定して,JP1イベントを転送する必要があります。
転送設定ファイル(forward)の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
ステータス変更JP1イベント(イベントID:00005F01)を,上位のホストに転送するための設定例を次に示します。
to-upper B.ID IN 5F01 E.PRODUCT_NAME IN /HITACHI/JP1/IM/SS end-to
- 注意事項
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上記の内容は,上位ホストにJP1/IM - Managerが,下位ホストにJP1/Service Supportが存在すると仮定した場合の設定例です。
(3) JP1/IM - Managerでの設定
JP1/IM - ManagerのJP1イベントの登録は,JP1/IM - Managerの自動アクション定義を使用して案件登録コマンドを実行します。
また,登録された案件がクローズしたときにJP1/Service SupportからJP1イベントを受け取って,自動アクションでJP1/IM - Manager側での対処状況を「対処済」に変更したり,案件のステータスの変更に応じて定義された自動アクションを実行したりします。
なお,JP1/Service Supportのユーザーが追加した拡張属性をJP1/IM - Manager側(JP1/IM - View)で表示させるためには,それらの拡張属性名をJP1/IM - Managerのイベント拡張属性定義ファイルに設定する必要があります。
JP1/IM - Managerの自動アクション定義,システム構成定義,およびイベント拡張属性定義の詳細については,それぞれ次のマニュアルを参照してください。
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マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド」
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マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 構築ガイド」
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マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」
(a) 自動アクションの定義
JP1/IM - Managerの自動アクション定義を設定する手順を次に示します。
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システム構成定義情報を設定する。
JP1/IM - Managerの管理対象ホストに案件管理サーバを含めて設定します。JP1/Service SupportとJP1/IM - Managerが別々のホストに存在する場合は,JP1/Service SupportをJP1/IM - Managerの下位ホストとして定義します。
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案件を登録するための自動アクションを定義する。
インシデントとして登録するJP1イベントなどを自動アクション定義で設定します。自動登録された案件がクローズしたときに,自動アクションによって対処状況を「対処済」にするためには,案件登録コマンドに-evtオプションを指定します。
(定義例)
jssitementry -b honsyasystem -r jp1admin -ch jp1admin -cht USER -t IM-Mentry -evt $ACTHOST $EVSEQNO
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案件の自動登録の契機となったJP1イベントの対処状況を「対処済」にするための自動アクションを定義する。
案件がクローズしたときに対処状況を「対処済」にしたい場合に定義します。
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案件のステータスの変更に応じた自動アクションを定義する。
案件のステータス変更を契機に何らかのアクションを実行したい場合に定義します。
(b) イベント拡張属性の定義
JP1/Service Supportでは,ユーザーが追加した拡張属性をJP1/IM - Viewで表示させるために,イベント拡張属性定義ファイルのひな型を提供しています。必要に応じて,イベント拡張属性定義ファイルを編集して,JP1/IM - Managerの所定のフォルダにコピーしてください。例えば,案件フォームをカスタマイズして項目名称を変更した場合は,イベント拡張属性定義ファイルの項目名称も変更してください。
- コピー元ファイル:
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JP1/SSパス\conf\event\hitachi_jp1_im_ss_attr_ja.conf(日本語環境用)
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JP1/SSパス\conf\event\hitachi_jp1_im_ss_attr_en.conf(英語環境用)
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JP1/SSパス\conf\event\hitachi_jp1_im_ss_attr_zh.conf(中国語環境用)
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- コピー先フォルダ:
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IM-Mパス\JP1cons\conf\console\attribute
- 注意事項
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JP1/Service Supportのイベント拡張属性定義ファイルをJP1/IM - Managerにコピーしたあとに,定義ファイルの設定を有効にするには,JP1/IM - ManagerのJP1/IM-Managerサービスを再起動する必要があります。
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JP1/Service Support 10-50より前のバージョンからバージョンアップした場合,対処済み連動用集約JP1イベントの固有情報を表示させるために,イベント拡張属性定義ファイルに項目を追加する必要があります。次に示す下線部を,イベント拡張属性定義ファイルに追加してください。なお,ここでは,設定に関係する部分だけを抜き出しています。
:
@define-block type="event-attr-def";
@file type="extended-attributes-definition", version="0300";
@product name="/HITACHI/JP1/IM/SS";
@define-block type="event-attr-def";
block lang="Japanese", platform="base", extended="false";
attr name="E.REGISTRANT", title="登録者";
attr name="E.ITEMENTRY_ACTHOST", title="IM-Mホスト名";
attr name="E.ITEMENTRY_SEQNO", title="連動元イベントDB内通し番号";
attr name="E.ITEMENTRY_ITEMID", title="案件IDリスト";
:
@define-block type="event-attr-group-def";
block platform="base", extended="false";
group name="ITEM_IMM", attrs="E.REGISTRANT|E.ITEMENTRY_ACTHOST|E.ITEMENTRY_SEQNO";
group name="ITEM_BATCHOPE", attrs="E.ITEMENTRY_ACTHOST|E.ITEMENTRY_SEQNO|E.ITEMENTRY_ITEMID";
:
@define-block type="event-attr-order-def";
block platform="base", extended="false";
order id="00005F00", attrs="ITEM_IMM";
order id="00005F01", attrs="ITEM_STATUS01|ITEM_STATUS02|ITEM_STATUS03|…
order id="00005F02", attrs="ITEM_BATCHOPE";
@define-block-end;
-