6.3.3 シュナイダーエレクトリック社製「PowerChute Network Shutdown」をサポートする無停電電源装置をホストに接続する場合の設定
シュナイダーエレクトリック社製「PowerChute Network Shutdown」をサポートする無停電電源装置を使ってホストを自動的に起動・終了する場合の設定手順および注意事項について説明します。
(1) 自ホストまたはエージェントホストの設定
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ホストにLANボードを組み込み,ネットワークの設定をする。
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ホストの電源を無停電電源装置に接続する。
接続方法については,無停電電源装置,およびSNMPカードのマニュアルを参照してください。SNMPカードに設定するコミュニティ名は8バイト以内で設定してください。
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PowerChute Network Shutdownをインストールし,環境設定をする。
インストールおよび環境設定の方法については,PowerChute Network Shutdown,およびSNMPカードのマニュアルを参照してください。
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PowerChute Network Shutdownで無停電電源装置が認識されていることを確認する。
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jpw_set_upsparmコマンドで,SNMPカードのIPアドレス,コミュニティ名を設定する。
jpw_set_upsparmコマンドの詳細は「15. コマンド」の「jpw_set_upsparm」を参照してください。次に設定例を示します。
(例)IPアドレス「111.111.111.111」,コミュニティ名「private」を設定する場合
jpw_set_upsparm -i 111.111.111.111 -c private
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電源制御装置を制御するコマンドのサンプルファイルを,/usr/lib/jp1_aom/ディレクトリの下にコピーする。
次のファイルをコピーしてください。
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/usr/lib/jp1_aom/sample/pwon_com.model
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/usr/lib/jp1_aom/sample/pwread_com.model
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/usr/lib/jp1_aom/sample/alt_shutdown.apc_pcns.model
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コピーしたファイルのファイル名を変更する。
ファイル名から「.model」または「.apc_pcns.model」を削除して,次の名称に変更します。
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pwon_com
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pwread_com
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alt_shutdown
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JP1/Power Monitorの構成定義ファイルで次回電源投入余裕時間(power_on_idle_timeパラメーターの値)を設定する。
次回電源投入余裕時間は,次の式によって算出します。
次回電源投入余裕時間=180秒+UPS出力停止までの時間※
- 注※
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UPS出力停止までの時間はSNMPカードの設定に依存します。詳細については,PowerChute Network Shutdown,およびSNMPカードのマニュアルを参照してください。
- 注意事項
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電源オフの場合は,構成定義ファイルの強制終了猶予時間(shutdown_timeパラメーターの値)は無効になります。この場合,OSシャットダウンの猶予時間はSNMPカードおよびPowerChute Network Shutdownの設定に従います。
(2) マネージャーホストの設定
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ホストにLANボードを組み込み,ネットワークの設定をする。
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リモート電源連携エージェント定義ファイルの設定をする。
シュナイダーエレクトリック社製のSNMPカードを接続したエージェントホストの指定例を次に示します。該当エージェントホストに対して「control APC」および「type SNMP」を指定します。デフォルトでは,シュナイダーエレクトリック社製SNMPカードに対するマネージャーホストからの電源オン要求は,10秒間隔で3回リトライします。
machine host1 control APC type SNMP address 111.111.111.111 snmp_com private
(3) 注意事項
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UPSの冗長構成(1台のサーバに対して複数台のUPSを接続する構成)での電源制御には対応していません。
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アウトレットグループ機能に対応したUPSでも,JP1/Power MonitorはUPS全体の電源オン・オフを制御します。UPSの設定によりアウトレットグループの電源オン・オフに時間差を付けることはできますが,アウトレットグループを個別に電源オン・オフすることには対応していません。
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JP1/Power Monitorから次回電源投入時刻を指定して電源オフする場合,無停電電源装置に設定されている電源オン待機時間※を考慮しません。そのため,無停電電源装置の起動時刻は次回電源投入時刻から電源オン待機時間が経過した後となります。また,SNMPカードの仕様によって,無停電電源装置の起動時刻がさらに前後に最大6分ずれることがあります。
- 注※
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Power On Delay,Return Delayなどを指します。これらの設定は無停電電源装置の機種により異なる場合があるので,無停電電源装置のマニュアルなどで確認してください。
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終了処理を開始してからオンするまでの時間の間隔は,少なくとも次の両方の条件を満たすように設定してください。
- 条件(a)
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次回電源投入余裕時間(構成定義ファイルのpower_on_idle_timeパラメーター)より長い
条件(b)
無停電電源装置に設定している,シャットダウンの開始から無停電電源装置が電源供給を停止するまでの待機時間より長い
条件(a)を満たさない場合,次のように処理されます。
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監視終了または制限終了の場合
終了処理されません。
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すでに終了処理中の場合
終了処理が中断されます。
ジョブネットの終了を待つ設定になっている場合,JP1/AJS3の終了処理を中断し,JP1/AJS3を回復します。
クラスタ上で運用しているJP1/AJS3に対してジョブネットの終了を待つ設定になっている場合は,JP1/AJS3情報定義ファイル(aomhost_def)に設定されている論理ホスト上のJP1/AJS3の終了処理を中断します。また,論理ホスト上のJP1/AJS3の停止と同時に系が切り替わる場合,復旧後も系が切り替わったままの状態になります。
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強制終了の場合
終了処理されません。
条件(a)を満たし,条件(b)を満たさない場合は,監視終了,制限終了,または強制終了の後に,ホストは再起動されます。
上記の処理の結果,どちらの場合も無停電電源装置はオンのままになります。
無停電電源装置1台に複数のホストが接続されている構成で,その他のホストを事前に停止していた場合,その他のホストは自動的には起動しませんので,手動で起動してください。
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スケジュール運転時のホストの停止から起動までの最長間隔は,無停電電源装置がサポートしている最大値以内になるように設定してください。無停電電源装置がサポートしている最大値については,無停電電源装置のマニュアル等で確認してください。
(4) トラブルシューティング
ホストの起動・終了でトラブルが発生したときは,「19.3 トラブル発生時に採取が必要な資料」に記載されている資料に加えて,次の資料の採取が必要です。
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SNMPカードのイベントログ
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PowerChute Network Shutdownのイベントログ
統合トレースログファイルにメッセージKAVP1412-Iが出力されているにもかかわらず,OSがシャットダウンしない場合は,SNMPカード,およびPowerChute Network Shutdownが正しく設定されていないおそれがあります。
各製品のマニュアルを参照し,SNMPカード,およびPowerChute Network Shutdownの設定が正しいかどうか確認してください。
特に次のことを見直してください。
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SNMPカードのWebインタフェースからの電源制御が可能か
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SNMPカードに登録されているPowerChute Network ShutdownクライアントのIPアドレスが正しいか
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ファイアウォールの設定が正しいか