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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド


2.3.8 メールシステム連携時の注意事項

メールシステム連携時の注意事項を説明します。

〈この項の構成〉

(1) Windows自動ログオン機能を使用する場合

(2) サービスを使用してExchange Server以外のメールシステムと連携する場合

(3) メールシステム連携機能のクラスタ運用

また,クラスタ運用でクラスタシステムのリソースにメールシステム連携機能を設定し,さらに引き継ぎ情報を使用する場合は,引き継ぎ情報ファイルの指定先として,環境設定パラメーターEvjobInfFileに,論理ホストに対応した共有ディスク上のフォルダを指定してください。

(4) メールシステム連携で設定した環境を変更した場合

メールシステム連携機能で使用する環境設定パラメーターに設定した内容を変更した場合は,JP1/AJS3サービスを再起動してください。

また,メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用している場合は,JP1/AJS3メール監視プロセスを再起動してください。メールシステム連携機能をサービス上で使用している場合は,JP1/AJS3 Mailサービスを再起動してください。

(5) メール受信後に作成されるファイルの削除

メール受信監視ジョブで監視条件に一致したメールの受信後に作成される,メール本文,メールに添付されたファイル,添付ファイルのリストファイル,引き継ぎ情報で作成されるファイルは,JP1/AJS3が自動的に削除しません。これらのファイルはシステムのディスク容量を圧迫する原因になるため,不要になったら手動で削除してください。

各ファイルの格納先については,「2.1.2(1) メール受信時の動作の概要(Windowsの場合)」を参照してください。

(6) メールシステム連携機能の選択を変更する場合

(7) プロファイルに個人用フォルダを設定している場合

メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの定義で指定されているプロファイルが,個人用フォルダを使用するように設定されている場合,該当する個人用フォルダファイル(拡張子「.pst」)が他プログラムで使われていると,これらのジョブからOutlookにアクセスしてメールの送信および受信監視を行うときにエラーとなります。このため,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの状態が異常検出終了となります。したがって,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行するときは,次の操作を避けてください。

エラーが発生した際は,個人フォルダファイルについて上記の状態を解消してください。

メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブの再実行は,上記の状態を解消したあとに行ってください。

(8) メール監視間隔の算出手順

メール受信監視ジョブの監視間隔には,次に示す方法で算出した値より小さい値を指定してください。デフォルトは10分です。

  1. Outlookで,メール1件の送信および受信を始めてから,処理が完了するまでの時間を測定する。

    メールシステム連携で実際に使用するプロファイルで測定してください。求めた時間を秒単位に切り上げ,これを「1件処理時間」とします。

  2. 監視処理時間を算出する。

    算出式は次のとおりです。

    監視処理時間=(そのホストで同時に実行監視するメール受信監視ジョブの最大数)*1件処理時間

  3. 送信処理時間を算出する。

    算出式は次のとおりです。

    送信処理時間=(そのホストでメール受信監視ジョブの監視中に実行されるメール送信ジョブの最大数)*1件処理時間

  4. 手順2で求めた監視処理時間と手順3で求めた送信処理時間を足し,その秒数を分単位に切り上げる。

  5. 手順4で求めた値に1分を加えた値をメール監視間隔の下限値とする。

    ただし,実際の運用では,下限値以上の値を設定することを推奨します。

(9) Outlookを使用する上での注意点

Outlookをシステムの規定の電子メールプログラムとして設定してから使用してください。設定方法の詳細については,Outlookのヘルプを参照してください。設定しないでメール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行した場合,Outlookによって「Microsoft Outlookを起動して,規定のメールクライアントに設定してください」というダイアログボックスが表示され,メールの送受信ができません。

(10) Outlookの動作および注意事項

メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブ実行の際の,Outlookの動作および注意事項を次に示します。

(11) メールクライアントソフトの設定について

メールシステム連携機能をデスクトップ上で使用する場合は,環境設定パラメーターWINMAILCLIENTに「2」または「3」以外の値を指定しないでください。「2」または「3」以外の値を指定すると,次のようにメールシステム連携機能が正しく動作しません。

また,メールシステム連携機能をサービス上で使用する場合は,このパラメーターを設定する必要はありません。環境設定パラメーターWINMAILCLIENTの詳細については,「2.3.4 メールシステム連携のための環境設定をする」を参照してください。

(12) リモートデスクトップを使用する場合の注意事項

リモートデスクトップ上でJP1/AJS3メール監視プロセスを動作させると,メールシステム連携の誤動作の原因になるため,動作させないでください。

リモートデスクトップでのリモートログオンが必要な場合,スタートアップに登録されているJP1/AJS3メール監視プロセスが自動的に起動されないように,JP1/AJS3メール監視プロセスのアイコンをスタートアップから削除してください。

なお,この場合はシステムコンソールにログインしても自動でJP1/AJS3メール監視プロセスが起動しなくなるため,メールシステム連携の前に,システムコンソール上でJP1/AJS3メール監視プロセスを起動できるようにして,手動で起動してください。

手動で起動するには,Windowsの[スタート]画面またはタスクバーにピン留めした,JP1/AJS3メール監視プロセスのアイコンを実行してください。

(13) 設定した環境の情報の読み込みに失敗した場合

メールシステム連携機能で使用する環境設定パラメーターに設定した内容の読み込みに失敗した場合は,JP1/AJS3メール監視プロセスおよびJP1/AJS3 Mailサービスは起動しますが,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行すると,統合トレースログにメッセージ「KAVT3409-E 環境定義の読み込みに失敗しました」が出力されてジョブの状態が異常検出終了状態となります。その結果,メール送信ジョブで定義したメールを送信できません。また,メール受信監視ジョブの定義と一致するメールの受信を検知できません。

この場合は,メッセージKAVT3409-Eが統合トレースログに出力されていることを確認の上,メールシステム連携機能で使用する環境設定パラメーターの設定内容を見直してください。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 メッセージ 4. KAVTで始まるメッセージ(イベント・アクション制御に関するメッセージ)」を参照してください。また,メールシステム連携機能で使用する環境設定パラメーターの設定内容を変更したあとには,必ずJP1/AJS3メール監視プロセスまたはJP1/AJS3 MailサービスとJP1/AJS3サービスを再起動してください。

(14) Outlookのライセンス登録および証明書の有効期限に関する注意事項

ライセンス未登録状態でのOutlookの起動回数が上限を超えた状態,およびOutlookで使用している証明書が有効期限切れの状態になると,Outlookが起動できなくなります。

この状態で,メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブを実行すると「異常検出終了」状態になり,メールの送信や,受信したメールの検知ができませんので注意してください。

(15) メールの暗号化およびデジタル署名について

メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブは,メールの暗号化およびデジタル署名には対応していません。

メールシステム連携機能を使用する場合,メールを暗号化しないで運用してください。また,メールにデジタル署名を付加しないで運用してください。

(16) Outlook 2019およびOutlook 2016を使用する上での注意事項

Outlook 2019をインストールした環境,およびクイック実行形式のOutlook 2016をインストールした環境で,メールシステム連携をサービス上で使用する場合,Outlookが停止しているときにJP1/AJS3 Mailサービスを起動してください。Outlookが起動している場合,JP1/AJS3 Mailサービスは起動後すぐに停止します。

Outlookが起動している場合は,Outlookを起動した端末をログオフした後,再度ログオンしてOutlookが起動していない状態でJP1/AJS3 Mailサービスを起動してください。Outlookがクイック実行形式かどうかの確認方法については,Microsoftの公開情報を参照してください。

(17) メール送信方法を変更する場合

Outlookを使用したメール送信ジョブを,Outlookを使用しないメール送信ジョブに変更する場合は,Outlookを使用しないでメール送信するためのセットアップを実施してください。Outlookを使用しないでメール送信する場合のセットアップについては,「2.2 メールシステム連携のセットアップ(WindowsホストでOutlookを使用しない場合)」を参照してください。

なお,Outlookを使用したメール送信ジョブと,Outlookを使用しないメール送信ジョブの相違点によっては,ジョブの定義変更が必要になる場合があります。Outlookを使用したメール送信ジョブと,Outlookを使用しないメール送信ジョブの相違点については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 4.3.4 アクションジョブに関する環境設定について検討する」を参照してください。

相違点による影響がない場合は,作成するプロファイル名を,それまで使用していたプロファイルと同じ名前にすればジョブの定義を変更する必要はありません。

(18) トラブルの対処方法

メールシステム連携時のトラブルの対処方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 2.9 メールシステム連携のトラブルへの対処(Windows限定)」を参照してください。