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Hitachi IT System Configuration Manager 解説


2.5 PaaS環境の構築

PaaS環境の構築について,概要を次の図に示します。

図2‒5 PaaS環境構築の概要

[図データ]

PaaS提供者について

PaaS提供者は,仮想ホストおよびミドルウェアの構成情報を定義したテンプレートを登録します。テンプレートは,構成パターンテンプレートとコンポーネントテンプレートから構成されます。構成パターンテンプレートでは,業務システムの層(tier)を定義します。また,コンポーネントテンプレートでは,構成パターンテンプレートで定義した各層の中身を定義します。ほかに,ミドルウェア定義の固定値を設定することもできます。なお,ISCMでは,APサーバ(Cosminexus)とDBサーバ(HiRDB)を構築可能とするテンプレートをサンプルとして提供しています。PaaS提供者は,このテンプレートをカスタマイズして,テンプレートを作成・登録することもできます。

PaaS利用者について

PaaS利用者は,テンプレートを基に,業務システム固有情報を付けて作成した業務システム情報一式として,マスターイメージを登録します。マスターイメージは,業務システムごとに作成して,そのあと,デプロイ指示を行うための基となるデータになります。

PaaS利用者は,新規にマスターイメージを登録する方法と,既存マスターイメージを流用して登録する方法があります。マスターイメージを登録するときに,テンプレートを選択して,業務要件(スループット/業務データ量/タイムアウト時間など)を入力します。ISCMは,選択されたテンプレートと入力された業務要件に応じて,CPU(コア数)/メモリ量/ディスク容量/APサーバ台数をサイジング処理によって決定します。なお,マスターイメージを登録するとき,その前提となるテンプレートが準備されている必要があります。また,サイジング処理については,サイジングUOCを作成して,カスタマイズすることができます。

次に,使用する物理配置を決定します。このとき,物理配置制約ファイルに定義された制約条件をもとに,仮想ホストの配備先となる物理ホストの位置を決めることができます。

そして,IPアドレスなどネットワーク・リソース割り当て,予約を行います。これは,他利用者が同一リソースを利用することを回避するためです。ISCMは,この手順の延長で配備先のミドルウェア定義を完成させます。ここまでの手順で,マスターイメージが完成することになります。

最後に,マスターイメージを選択して,デプロイします。デプロイ時には,VM配備,ミドルウェアの定義パラメータ配布,ミドルセットアップスクリプトの配布と実行およびhostsファイルの配布を行います。

注※ 仮想ホストデプロイを行うマスターイメージだけ実行します。

次に,各手順の詳細について説明します。

〈この節の構成〉