13.9 dcmpack.exe(パッケージングの実行)
ユーザデータまたはユーザプログラムのパッケージングを実行するdcmpackコマンドについて説明します。
機能
配布管理システム(JP1/IT Desktop Management 2 - Manager)に、ユーザデータまたはユーザプログラムをパッケージングします。
プログラムプロダクトはパッケージングできません。
形式
dcmpack.exe /k パスワード
/i パラメタファイル名 [/o 結果出力ファイル名]
[/LC {ON|OFF}]引数
-
/k
配布管理システムへ、ソフトウェアをパッケージングするためのパスワードを指定します。
配布管理システムのデータベースのパスワードを指定してください。
-
/i
パラメタファイルのフルパスを指定してください。
-
/o
結果出力ファイルのフルパスを指定してください。コマンドが正常終了すると、指定した結果出力ファイルに、作成したパッケージの属性情報が書き込まれます。この結果出力ファイルは、dcminstコマンド、dcmpkgetコマンド、およびdcmpkrmコマンドのパラメタファイルとして使用できます。
省略した場合、結果出力ファイルは作成されません。
-
/LC
タスクスケジューラやJP1/AJSを使用してコマンドをバックグラウンドサービスとして実行している場合にWindowsをログオフしても、コマンド処理を継続するかどうかを「ON」または「OFF」で指定します。
-
ON
Windowsをログオフしても、コマンド処理を継続します。
-
OFF
Windowsをログオフすると、コマンド処理を強制終了します。
この引数は、次に示すOSでコマンドをサービスから実行した場合に、有効となります。
-
Windows XP
-
Windows Server 2003
コマンドプロンプトからコマンドを実行する場合は、フォアグラウンドプログラムとして実行されるため、「/LC ON」を指定しないでください。
Windowsをログオフしてもコマンド処理を継続するかどうかは、レジストリでも設定できます。
なお、/LCでの指定と、レジストリでの設定の組み合わせで、動作が異なります。詳細については、「13.20 レジストリ設定とログオフオプションによるログオフ時のコマンドの動作」を参照してください。
-
パラメタファイルの指定内容とコマンド引数との対応
このコマンドで使用するパラメタファイルの内容は、コマンドの引数で指定することもできます。パラメタファイルの指定内容と、コマンドの引数との対応を次の表に示します。
|
パラメタファイルの指定内容 |
内容 |
指定の有無 |
コマンドの引数 |
|
|---|---|---|---|---|
|
タグ |
パラメタ |
|||
|
file_path |
パッケージ対象ファイル名 |
○ |
/P 値 |
|
|
base_fullpath |
パッケージ基準ディレクトリパス |
◎ |
/B 値 |
|
|
package_name |
パッケージ名 |
◎ |
/p 値 |
|
|
package_id |
パッケージ識別ID |
◎ |
/I 値 |
|
|
version_revision |
バージョン/リビジョン |
◎ |
/v 値 |
|
|
generation |
世代番号 |
◎ |
/G 値 |
|
|
cabinet_name |
キャビネット名 |
◎ |
/c 値 |
|
|
cabinet_id |
キャビネット識別ID |
◎ |
/C 値 |
|
|
package_code |
コード種別 |
× |
− |
|
|
directory |
インストール先ディレクトリ |
○ |
/D 値 |
|
|
condition |
システム条件 |
○※1 |
/O 値 |
|
|
condition |
パッケージ条件 |
○※1 |
/l 値 |
|
|
condition |
ソフトウェア条件 |
○※2 |
− |
|
|
permission |
ファイルアクセス権の復元 |
○ |
/qYまたは/qN |
|
|
expiration_date |
中継システムでのパッケージ保管期限 |
○ |
/x 値 |
|
|
expiration_days |
中継システムでのパッケージ保管日数 |
○ |
/ed 値 |
|
|
installation_date_and_time |
インストール日時 |
○ |
/d 値 |
|
|
installation_timing |
実行タイミング |
○ |
/tSまたは/tN |
|
|
installation_mode |
インストールモード |
○ |
/mBまたは/mG |
|
|
compress |
圧縮の有無 |
○ |
/uYまたは/uN |
|
|
restore |
バージョンアップ時のリストア対象の有無 |
○ |
/RYまたは/RN |
|
|
reboot |
インストール後のコンピュータ再起動 |
○ |
/reboot |
|
|
processing_dialog |
インストール時の処理中ダイアログの表示 |
○ |
/procS、/procY、または/procN |
|
|
external_program_executed_before_installation |
インストール前起動外部プログラム |
○ |
/b 値 |
|
|
external_program_executed_after_installation |
インストール後起動外部プログラム |
○ |
/a 値 |
|
|
external_program_error_handler |
インストールエラー時起動外部プログラム |
○ |
/e 値 |
|
|
external_program_handler |
起動外部プログラム |
× |
− |
|
|
exit |
外部プログラム処理結果の通知方式 |
○ |
/rbR、/rbM、/raR、/raM、/reR、または/reM |
|
|
action |
処理結果エラー時の取り扱い |
○ |
/ybC、/ybS、/yaC、または/yaS |
|
|
wait |
監視方式 |
○ |
/wbU、/wbT、/wbG、/waU、/waT、/waG、/weU、または/weY |
|
|
timeout |
監視時間 |
○※3 |
/n 値 |
|
|
wait_code |
監視コード |
× |
− |
|
- (凡例)
-
◎:必ず指定する ○:省略できる ×:不要(指定しても無視される)
−:コマンドの引数では指定できない
- 注※1
-
システム条件とパッケージ条件を複数指定すると、すべての条件を満たす場合にインストールされます。コマンドの引数で指定する場合、/Oと/lは、合計10個まで指定できます。
- 注※2
-
ソフトウェア条件を複数指定すると、どれか1つ以上の条件を満たす場合にインストールされます。
- 注※3
-
waitでUを指定した場合(コマンドの引数で/wbU、/waU、/weUを指定した場合)は、指定しても無視されます。
パラメタファイルを使用しない場合のコマンド形式
パラメタファイルを使用しないで引数だけで指定する場合の、コマンドの形式を次に示します。
dcmpack.exe /k パスワード
[/P パッケージ対象ファイル名]
/B パッケージ基準ディレクトリパス
/p パッケージ名 /I パッケージ識別ID
/v バージョン・リビジョン /G 世代番号
/c キャビネット名 /C キャビネット識別ID
[/D インストール先ディレクトリ]
[/O システム条件] [/l パッケージ条件]
[{/qY|/qN}] [/x 中継システムでのパッケージ保管期限]
[/ed 中継システムでのパッケージ保管日数]
[/d インストール日時] [{/tS|/tN}] [{/mB|/mG}]
[{/uY|/uN}] [{/RY|/RN}]
[/reboot] [{/procS|/procY|/procN}]
[/b インストール前起動外部プログラム [{/rbR|/rbM}]
[{/ybC|/ybS}] [{/wbU|/wbT|/wbG}] [/n 監視時間]]
[/a インストール後起動外部プログラム [{/raR|/raM}]
[{/yaC|/yaS}] [{/waU|/waT|/waG}] [/n 監視時間]]
[/e インストールエラー時起動外部プログラム
[{/reR|/reM}] [{/weU|/weY}] [/n 監視時間]]
[/o 結果出力ファイル名]
[/LC {ON|OFF}]リターンコード
dcmpackコマンド実行時のリターンコードを次の表に示します。
|
コード |
意味 |
対処 |
|---|---|---|
|
0 |
正常終了した。 |
なし。 |
|
1 |
パラメタファイルをオープンできない、またはファイル形式が不正。 |
パラメタファイルの指定または記述形式を確認してください。 |
|
2 |
コマンドの引数またはパラメタファイルに不正な値が指定されている。 |
コマンドの引数またはパラメタファイルの設定値を確認してください。 |
|
3 |
データベースの接続に失敗した。 |
配布管理システムのセットアップで、データベースの設定を確認してください。 |
|
4 |
結果出力ファイルを作成できなかった、または予約語を使用したバージョン・リビジョンおよび世代番号の自動カウントアップに失敗した。ただしパッケージの登録には成功した。 |
パッケージングするファイルを指定したパスを確認してください。 |
|
5 |
JP1/IT Desktop Management 2のサービスの接続に失敗した。 |
JP1/IT Desktop Management 2 - Managerのサービスが開始しているかどうかを確認してください。 |
|
6 |
配布管理システムとのデータ送受信に失敗した。 |
通信環境を確認してください。 |
|
7 |
次のどちらかを意味する。
|
|
|
9 |
パッケージング対象のパッケージはすでにパッケージングされている。 |
次の項目のうち、どれか1つを変更して再度パッケージングしてください。
|
|
12 |
そのほかのエラーが発生した。 |
イベントログを参照してください。 |
|
13 |
パスワードに誤りがある。 |
パスワードの指定を確認してください。 |
|
14 |
バージョン・リビジョンまたは世代番号を自動カウントアップした結果、指定できる最大けた数を超えたため、パッケージの登録に失敗した。 |
バージョン・リビジョンおよび世代番号の予約語の設定を確認してください。 |
注意事項
-
キャビネットの指定について
-
パラメタファイルまたはコマンドの引数で存在しないキャビネット識別IDを指定した場合、新規にキャビネットが作成されます。
-
キャビネット識別IDとキャビネット名が異なる組み合わせで複数指定された場合は、2つ目以降のパッケージはキャビネット識別IDで指定されたキャビネットに格納されます。エラーにはなりません。
-
-
パッケージの指定数について
パラメタファイルで指定する場合、コマンドの引数で指定する場合ともに、dcmpackコマンド1回の実行につき、1個のパッケージを指定できます。
-
バージョン・リビジョンおよび世代番号の自動カウントアップについて
予約語を使用することで、バージョン・リビジョンおよび世代番号を自動的にカウントアップさせる運用ができます。この場合、パラメタファイルからの指定とコマンドの引数からの指定では、次のように動作が異なります。
- パラメタファイルから指定した場合
-
dcmpackコマンド実行時にカウントアップの初期値が更新され、パラメタファイル上に上書きされます。同じパラメタファイルを使用して再度実行すると、続きの値からカウントアップが開始されます。
- コマンドの引数から指定した場合
-
dcmpackコマンドを実行しても、カウントアップの初期値は更新されません。コマンドを実行するたびに、初期値からカウントアップされます。
-
dcmpackコマンドの接続先について
レジストリのHKEY_LOCAL_MACHINEの更新権限を持つユーザでパッケージャを起動し、接続したサーバが接続先となります。接続先を変更する場合は、レジストリHKEY_LOCAL_MACHINEの更新権限を持つユーザでパッケージャを起動し、接続先を変更したあとで、dcmpackコマンドを実行してください。
-
パラメタファイルを使用しない場合の注意事項
-
外部プログラムには、スペースが含まれるパスを指定しないでください。
-
-
パッケージャを新規インストールした場合の注意事項
パッケージャを新規にインストールした場合、dcmpackコマンドを実行する前にパッケージャを起動してサーバを指定してください。
-
バックグラウンドインストールモードの注意事項
バックグラウンドインストールモードでは、インストール先ディレクトリにネットワークドライブを指定しないでください。
実行例
C:\Finance\data0401ディレクトリ下にあるファイルを、次のようにパッケージングする例を次に示します。
-
パッケージ名
Finance Data 2003 4
-
保管先のキャビネット名
FCAB01
- パラメタファイルの作成
-
パラメタファイルを次のように作成します。
** dcmpack Parameter File Sample PACKAGING_SOURCE{ file_path=FD200304.dat base_fullpath= C:\Finance\data0401 } PACKAGING_INFORMATION { package_name=Finance Data 2003 4 package_id=FD200304 version_revision=000001 generation=0000 cabinet_name=FCAB01 cabinet_id=F1 package_code=P } SYSTEM_CONDITIONS{ condition=H:c>=300 directory=C:\Finance } USER_PROGRAM_INSTALLATION_CONDITIONS { external_program_executed_after_installation = C:\Dmbat\app\normal_exit.exe } - コマンドの実行
-
パラメタファイルをC:\Dmbat\para.txtに保存した場合、コマンドは次のように実行してください。
dcmpack.exe /i C:\Dmbat\para.txt