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JP1 Version 10 JP1/Integrated Management - Service Support 構築・運用ガイド


3.5.3 メールによる案件の作成

メールを使って,JP1/IM - Service Supportに案件を登録できます。メールを使ってJP1/IM - Service Supportに案件を登録し,処理するまでの流れを次の図に示します。

図3‒21 メールによる案件登録の流れ

[図データ]

図中の番号に従って説明します。

  1. メールの送信

    企業内システムのユーザーが,案件について記載したメールを指定されたメールアドレスに送信します。

    案件のメールは,あらかじめメール定義ファイルで設定されたユーザーだけが送信できます。送信先のメールアドレス,メールサーバなどの情報も,メール定義ファイルで設定します。メール定義ファイルの詳細については,「12. 定義ファイル」の「メール定義ファイル(jp1imss_mail_setting.conf)」を参照してください。

  2. メールによる案件登録コマンドの実行

    案件管理サーバから,メールによる案件登録コマンドが実行されます。

    メールによる案件登録コマンドは,JP1/Service Support - Task Serviceサービスによって,定期的に実行できます。メールによる案件登録コマンドの詳細については,「11. コマンド」の「jssitementrybymail(メールによる案件登録)」を参照してください。

  3. メールによる案件の登録

    メールによる案件登録コマンドによって,メールサーバに蓄積されたメールが案件管理サーバに登録されます。

    メールが案件管理サーバに登録されたあと,メールサーバに残ったメールは削除されます。メールからの案件の登録に失敗した場合は,メールのヘッダー情報と本文の内容が,メール一時退避ファイルとして次のフォルダに出力されます。

    IM-SSパス\log\command\jssitementrybymail_mail_tmp_file

  4. メールから登録された案件を処理

    案件の添付ファイルとして保存されたメールの本文を確認し,案件を処理します。

    案件を処理する担当者は,プロセスワークボードごとに設定されている「メールから登録された案件の担当者」が自動で設定されます。設定は[プロセスワークボード作成]画面,または[プロセスワークボード編集]画面で行います。詳細については,「8.14 メールで案件を登録するための環境設定」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) 一時受付プロセスワークボード,およびマスターシステムとは

一時受付プロセスワークボードとは,メールによって作成された案件を登録するためのプロセスワークボードです。特定のプロセスワークボードに案件を登録したい場合は,メールの主題でプロセスワークボードIDを指定することで登録できます。メールの主題でプロセスワークボードを指定しない場合は,すべて一時受付プロセスワークボードに登録されます。一時受付プロセスワークボードは,メイン画面(案件一覧)のプロセスワークボード一覧に表示されます。

マスターシステムとは,一時受付プロセスワークボードの登録先となる対象システムです。

一時受付プロセスワークボードおよびマスターシステムは,セットアップコマンド,またはマスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成コマンドで作成します。

セットアップコマンドの詳細については,「11. コマンド」の「jsssetup.bat(セットアップ)」を参照してください。

マスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成コマンドの詳細については,「11. コマンド」の「jsscreatesysandpwb(マスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成)」を参照してください。

一時受付プロセスワークボードおよびマスターシステムの作成時の設定内容を次の表に示します。

表3‒20 一時受付プロセスワークボード作成時の設定内容

項目名

設定内容

[基本設定]タブ

プロセスワークボードID

  • セットアップコマンドで作成した場合は「jp1TemporaryReceiptProcessWorkBoard」が設定される。

  • マスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成コマンドで作成した場合は,引数で指定した文字列が設定される。

システム

「マスターシステム」が設定される。

プロセス

「インシデント管理」が設定される。

案件フォーム

[プロセスの標準案件フォームを使用する]にチェックされる。

状態

「運用中」が設定される。

プロセスワークボード管理者

「JP1管理者」が設定される。

期限前メール通知設定

[期限前にメール通知を行う]にはチェックされない。

JP1イベント発行設定

[JP1イベントの発行を行う]にはチェックされない。

メールから登録された案件の担当者

「JP1管理者」が設定される。

案件ごとの参照権限の設定

[案件ごとに参照権限の設定を行う]にはチェックされない。

コメント

「メールによる案件機能のための一時受付プロセスワークボード」と設定される。

[案件自動入力設定]タブ

[案件自動入力プロパティファイルの設定値を使用する]にチェックされる。

[しきい値設定]タブ

[案件集計プロパティファイルの設定値を使用する]にチェックされる。

注※

「システム」,および「プロセス」以外の項目は,[プロセスワークボード編集]画面で編集できます。

表3‒21 マスターシステム作成時の設定内容

項目名

設定内容

システムID

  • セットアップコマンドで作成した場合は,「jp1TemporaryReceiptSystem」が設定される。

  • マスターシステム・一時受付プロセスワークボード作成コマンドで作成した場合は,引数で指定した文字列が設定される。

システム名

「マスターシステム」が設定される。

コメント

「メールによる案件機能のためのマスターシステム」と設定される。

一時受付プロセスワークボードは,そのほかのプロセスワークボードと同じように編集および削除できます。また,マスターシステムもそのほかの対象システムと同じように編集および削除できます。

(2) 案件として登録されるメールの内容

送信されたメールは,案件として次の表に示すとおりに登録されます。

表3‒22 案件として登録されるメールの内容

メールの内容

案件の内容

主題

送信したメールの主題が,案件のタイトルとなる。なお,メールの主題で先頭から「#プロセスワークボードID#」を入力して,案件の登録先プロセスワークボードを指定することもできる。

本文

メールの本文は,案件の添付ファイルとしてテキストファイルで保存される。そのため,一時受付プロセスワークボード,および登録先のプロセスワークボードで使用する案件フォームは,添付ファイルを許可すること。

添付ファイル

セキュリティ上の問題があるため,案件登録のために送信するメールには,ファイルを添付しない運用にすること。メールにファイルが添付されていた場合,添付ファイルは案件管理DBには登録されないで,案件管理サーバ上に用意された添付ファイル管理フォルダに保存される。

(3) メールによって登録される案件の内容

メールによって登録された案件は,次のような内容となります。

表3‒23 メールによって登録される案件の内容

案件の設定項目

設定内容

タイトル

送信したメールの主題が,案件のタイトルとなる。メールの主題でプロセスワークボードIDを指定した場合は,メールの主題から「#プロセスワークボードID#」を取り除いた文字列が案件のタイトルとなる。

案件ID

案件の登録時点で最新の案件IDが自動で設定される。

更新日時

案件管理サーバに案件が登録されたときの日時が自動で設定される。

システム

「マスターシステム」が設定される。メールの主題で登録先のプロセスワークボードを指定した場合は,そのプロセスワークボードの対象システムが設定される。

プロセス

「インシデント管理」が設定される。メールの主題で登録先のプロセスワークボードを指定した場合は,そのプロセスワークボードのプロセスが設定される。

担当者

登録先のプロセスワークボードで設定されている,「メールから登録された案件の担当者」が設定される。

なお,「メールから登録された案件の担当者」には,次の権限が設定される。

  • 設定先のプロセスワークボードの案件参照権限

  • 設定先のプロセスワークボードに登録されている案件を,ステータスが「受付(ステータスID:JIMSD_STAT_INQUIRY)」の場合に編集できる権限

ステータス

「受付(ステータスID:JIMSD_STAT_INQUIRY)」が設定される。

プロセス間ID

案件の登録時点で最新のプロセス間IDが自動で設定される。

登録日時

案件管理サーバに案件が登録されたときの日時が自動で設定される。

登録者

「JP1管理者」が設定される。

拡張ユーザー情報01〜05のうちどれか一つ

登録先のプロセスワークボードが案件ごとに参照権限を設定している場合,登録先のプロセスワークボードで設定されている,「メールから登録された案件の担当者」が自動で設定される。

注※

案件ごとに参照権限を設定している場合,案件の参照権限を設定する項目として選定した拡張ユーザー情報です。案件ごとに参照権限を設定していない場合は,拡張ユーザー情報01〜05に値は設定されません。案件の参照権限を設定する項目の選定については,「8.12 案件ごとに参照権限を設定するための環境設定」を参照してください。

[プロセスワークボード作成]画面,または[プロセスワークボード編集]画面の「案件自動入力」タブで,自動入力を設定している項目があれば,それらの項目も自動で設定されます。

(4) メールサーバからメールが削除される条件

メールの内容が案件として案件管理サーバに登録されると,メールサーバからメールが削除されます。ただし,何らかの理由でメール一時退避ファイルの出力に失敗したり,メールに添付されたファイルが添付ファイル管理フォルダに保存されなかったりした場合は,メールサーバからメールが削除されません。メールサーバからメールが削除される条件を次の表に示します。

表3‒24 メールサーバからメールが削除される条件

メールからの案件登録の成否

メールに添付されたファイルの状況

添付されていない

添付ファイル管理フォルダに保存された

添付ファイル管理フォルダに保存されなかった

登録に成功

×

登録に失敗したが,メール一時退避ファイルの出力に成功

×

登録に失敗し,メール一時退避ファイルの出力にも失敗

×

×

×

(凡例)

○:メールが削除される

×:メールが削除されない

メールが削除される条件に当てはまる場合でも,メールサーバからメールが削除されないことがあります。その場合は,手動でメールを削除してください。

メール定義ファイルで設定されていないユーザーからのメールは,メールサーバから削除されます。

(5) メールによる案件作成時の注意事項