9.4.3 FAXコネクションと連携したFAX出力
FAX専用のプリンタドライバが提供されているFAX通信プログラムがあれば,XMAP3の帳票をFAXに出力できます。XMAP3とFAXコネクションを連携したFAX出力の概要と,XMAP3での設定について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) XMAP3とFAXコネクションとの連携
FAXコネクションと連携して,ユーザが作成した帳票APから帳票データをFAXに出力できます。プリンタへの出力と同様の帳票処理を実現できます。
FAXコネクションは,FAXC/SPOOLやFAXCなどの複数のソフトウェアで構成されています。XMAP3からのFAX出力では,FAXC/SPOOLを使用します。
FAXC/SPOOLとの連携は,XMAP3をスタンドアロン構成で運用する環境が前提となります。システム構成については,「6.6.1 FAXコネクションを使用したシステム構成」を参照してください。
詳細については,FAXC/SPOOLのドキュメントを参照してください。
(a) 前提ソフトウェア
次のソフトウェアがインストールされていることが前提になります。
FAXC/SPOOL Version 4以降
(b) 連携の概要
XMAP3とFAXC/SPOOLとの連携には,送信先のFAX番号や宛先名などを定義したFAX宛先ファイルの作成が必要です。帳票AP実行時には,XMAP3がFAX宛先ファイルを参照しFAX番号などを取得して,目的の宛先に帳票データを送信します。
FAX宛先ファイルの作成には,AP実行時に動的に定義情報を編集する方法と,AP実行前に固定の定義情報を準備しておく方法の2とおりがあります。
-
AP実行時にFAX宛先ファイルの定義情報を編集する場合
AP内でFAX宛先ファイルにアクセスし,ファイル中に目的のFAX番号などを定義したあと,帳票データを出力します。AP実行中に宛先を変更できるため,例えば,同一帳票を複数の宛先に送る運用などに適しています。
-
AP実行前に,固定の定義情報をFAX宛先ファイルに準備しておく場合
メモ帳などのテキストエディタを使用してFAX宛先ファイルの定義情報を準備しておきます。特定の宛先に帳票を送信する運用に適しています。
(2) FAX宛先ファイルの作成規則
FAX宛先ファイルには,FAXC/SPOOLのキュー種別や送信先のFAX番号を定義します。次に,FAX宛先ファイルの作成規則について説明します。この規則は,APから定義情報を編集する場合,およびテキストエディタで編集する場合に共通です。
(b) FAX宛先ファイル名
FAX出力の印刷サービス名と同じ名称とします。FAX宛先ファイルパスの例を次に示します。
- (例)
-
FAX宛先ファイル格納フォルダ「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO」で,印刷サービス名「#PRT1」の場合,FAX宛先ファイルのパスは「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO\#PRT1」となる。
(c) FAX宛先ファイルのフォーマット
-
FAX宛先ファイルを構成するレコード
FAX宛先ファイルは,「キュー定義情報」1レコードと,「送信先定義情報」1レコードで構成されます。レコードの末尾には,必ず,改行コードを付加してください。
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キュー定義情報
キュー定義情報のレコードレイアウトを次に示します。各項目は,半角の「;」(セミコロン)で区切ります。指定を省略する場合でも,項目を区切るセミコロンは必要です。
FAX宛先ファイルでは,キュー定義情報のレコードを省略することもできます。省略すると,キュー種別に「W0」,キュー名にプリンタスプールに登録されるドキュメント名(帳票属性またはAPから指定される印刷ドキュメント名)が仮定されて送信されます。このときに有効な文字数は半角で31文字までです。
-
キュー種別
XMAP3から出力された帳票データを登録するFAXC/SPOOLのキュー種別を指定します。指定するキュー種別の値を次に示します。
キュー定義情報のレコードでは,キュー種別を必ず指定してください。
項目
キュー種別の値
意味
1
#00
キュー種別「W0」
2
#01
キュー種別「W1」
3
#02
キュー種別「W2」
:
:
:
31
#30
キュー種別「W30」
32
#31
キュー種別「W31」
-
キュー名
XMAP3から出力された帳票データを登録する場合のキュー名を,文字列で指定します(半角の場合で31文字まで)。キュー名は省略できます。省略すると,プリンタスプールに登録されるドキュメント名(帳票属性またはAPから指定される印刷ドキュメント名)が仮定されて送信されます。このときに有効な文字数は半角で31文字までです。
-
コメント
必要に応じて任意のコメントを記述します。この記述内容は,送信時には使用されません。
キュー名を省略して,キュー種別とコメントを指定したい場合には,次のように定義してください。
-
-
送信先定義情報
送信先定義情報のレコードレイアウトを次に示します。各項目は,半角の「;」(セミコロン)で区切ります。指定を省略する場合でも,項目を区切るセミコロンは必要です。
送信先定義情報のレコードは必ずFAX宛先ファイルに定義してください。省略すると,AP実行時,そのFAX宛先ファイルが無効になるため注意してください。
-
送信先FAX番号
帳票データを送信する相手局のFAX番号を指定します。20桁まで指定できます。ハイフンやスペースは使用できません。送信先定義情報のレコードでは,送信先FAX番号を必ず指定してください。
-
送信先宛名
帳票データを登録する場合の送信先宛名を,文字列で指定します(半角の場合で63文字まで)。送信先宛名の指定は,省略することもできます。省略した場合は,何も設定されないでFAXコネクションに送信されます。
-
コメント
必要に応じて任意のコメントを記述します。この記述内容は,送信時には使用されません。
送信先宛名を省略して,送信先FAX番号とコメントを指定したい場合には,次のように定義してください。
-
(d) FAX宛先ファイルの定義例
FAX宛先ファイルの定義例を次に示します。
(3) FAX宛先ファイルを編集する帳票AP
FAX宛先ファイルにアクセスして動的にFAX送信先を変更するAPについて説明します。
APからXMAP3への帳票の印刷指示の前に,FAX宛先ファイルに,キュー定義情報,送信先定義情報のレコードを定義すれば,帳票ごとにFAXの送信先を変更できます。この方法は,APの言語(COBOL,C)に依存しません。
APの作成方法については,マニュアル「XMAP3 プログラミングガイド」を参照してください。
(4) XMAP3での帳票環境のセットアップ
FAXC/SPOOLと連携したFAX出力のためのXMAP3でのセットアップを説明します。
(a) FAX宛先フォルダの設定
FAX宛先ファイルを格納するフォルダ(FAX宛先フォルダ)を,表示・印刷セットアップの[アプリケーション1]タブで設定します。
FAX宛先フォルダのパスとして「XMAP3インストールフォルダ\USER\FAXNO」が標準に設定されています。ほかのフォルダにFAX宛先ファイルを格納したい場合だけ,設定を変更してください。
詳細については,「10.2.4 FAX宛先ファイルの格納フォルダの指定」を参照してください。
(b) FAXコネクションと連携するための帳票環境のセットアップ
表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで,次の設定をします。
-
プリンタ名(ドライバ名)
デスクトップ上にプリンタとして登録されているFAXC/SPOOL用のFAXプリンタ名を選択します。
FAXC/SPOOLをインストールした時点でFAXプリンタが自動的に作成されます。
-
印刷モード
FAXC/SPOOLとの連携に専用の「日立FAXC/SPOOL出力:ページプリンタ」または「日立FAXC/SPOOL出力:シリアルインパクトプリンタ」から,印刷する帳票の定義対象に応じた印刷モードを指定します。
このほか,印刷オプションなどを必要に応じて設定します。[プリンタ]タブでのセットアップについては,「9.3 XMAP3の帳票印刷環境の設定」または「9.4 XMAP3の帳票印刷環境の設定(Windows)」を参照してください。
(5) 注意
表示・印刷セットアップの印刷モードで「日立FAXC/SPOOL出力:ページプリンタ」または「日立FAXC/SPOOL出力:シリアルインパクトプリンタ」を設定してFAX出力する場合の注意を説明します。
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帳票APからFAX出力用の印刷サービスに印刷要求が発行されたとき,そのサービスが参照するFAX宛先ファイルが無効と見なされた場合は,ユーザ介入ありモードとしてFAXC/SPOOLに出力されます。このとき,スプーリングのタイミングで,XMAP3実行環境があるWindowsマシンの画面に,FAXコネクションから送信先FAX番号を入力するウィンドウが表示されます。そのウィンドウに送信先のFAX番号を入力して,FAXに送信してください。
次の場合には,FAX宛先ファイルが無効と見なされます。
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FAX宛先ファイルがない
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FAX宛先ファイル中に送信先定義情報がない
-
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FAXへの送信では,帳票のイメージデータが送信されます。このとき,受信するFAX機器や送信回線の質によっては,描画結果が乱れる場合があります。あらかじめテストを行い,業務に支障がないことを十分に確認してから運用を開始してください。
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FAX出力時に指定できる帳票の用紙サイズと送信先FAX機器に通知される用紙サイズは次のようになります。帳票出力時には注意してください。
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シリアルインパクトプリンタ用の帳票の場合
FAX用プリンタドライバのプロパティで設定した用紙サイズは無効となり,常にA4サイズの用紙に印刷されます。
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ページプリンタ用の帳票の場合
XMAP3の表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで用紙サイズを「OS設定優先」とした場合は,シリアルインパクトプリンタ用の帳票と同様に印刷されます。
表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブで用紙サイズを「マップ定義優先」にした場合は,帳票定義時の用紙サイズで印刷できます。ただし,FAXへ送信できる用紙サイズは,A4,B4,A3に限られます。
また,表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブでスプール書き出し単位を「アプリケーション毎」と設定した場合,APのクローズ命令(CLOSE要求)発行またはAP終了時までに印刷する帳票は,すべて1回目の印刷命令(SEND要求)で出力された帳票の用紙サイズで印刷されます。
次の例のような工夫をすれば,「アプリケーション毎」を設定した場合でも,用紙サイズを混在して出力できます。
- (例)
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A5横サイズのFAX送信票とA4縦サイズの本文をFAX送信する場合
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FAX送信票の用紙サイズを,本文と同じA4サイズとして帳票設計する。
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このときの帳票内容は,A4レイアウトの上半分の領域(A5サイズ分)にだけ定義する。
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FAXC/SPOOL環境設定中の「FAXCプリンタ」を起動し,[高度な設定]ダイアログ中の[FAX出力時に紙を節約する]ボタンをチェックする。FAXコネクションがC/S構成の場合は,FAXコネクションクライアント上でこの設定をする。
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帳票APからFAX送信票と本文を印刷する。
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XMAP3は,FAXC/SPOOLが提供しているFAX用のプリンタドライバに対し,FAX番号とマップ帳票データの出力を支援します。プリンタドライバスプールに登録したあとの処理(FAXへの送信性能や,回線障害時の再出力など)は,FAXコネクションおよびOSの設定に依存するので,注意してください。
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XMAP3からFAXCキューに帳票データが登録されたあと,FAXライタからFAXへの帳票データの送信時(WE)に障害が発生した場合は,再送キュー(WR)に登録されます。再送されても不達になった場合は,このキューがホールドキュー(WH)に再登録されます。このときのリトライ回数と再送間隔は,FAXコネクションの「環境設定」ウィンドウの[FAXライタの設定]ダイアログで設定してください。
詳細については,FAXコネクションのドキュメントを参照してください。
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FAX番号をAP内で編集する帳票APを複数個起動し,そのAPの帳票出力先が同じ印刷サービスの場合,FAX宛先ファイルへのアクセス時にファイル競合が発生する場合があります。ファイル競合が発生すると,目的の送信先に帳票データが出力されません。このため,あらかじめ,競合を回避できるようにAPおよびその運用を検討し,システムを開発してください。次に回避策の例を示します。
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FAX宛先ファイルのFAX番号を帳票AP内で編集する運用をする場合は,そのAPが複数個同時に起動されないようにする。
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各帳票APで,FAX宛先ファイルのアクセスに対して排他処理をする。
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XMAP3のドローでのテスト印刷で,FAXスプール出力用仮想端末に帳票印刷をした場合,送信先情報の動的変更は行いません。このため,該当する印刷サービス用のFAX宛先ファイルがないか,ファイル中の送信先定義情報が不正であった場合には,FAXコネクションの[送信情報]ダイアログが表示され(ユーザ介入待ち発生)FAXCキューへの帳票出力が実行されるので,注意してください。
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表示・印刷セットアップの[プリンタ]タブでスプール書き出し単位を「アプリケーション単位」と設定した場合,1回目の印刷命令(SEND要求)の発行後からAPのクローズ命令(CLOSE要求)発行またはAP終了時までの間で,動的にFAX送信先を変更できません。1回目の印刷命令(SEND要求)の発行前に編集したFAX宛先ファイルだけが有効なので注意してください。
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FAXC/SPOOLプリンタに対して帳票出力する場合,実際に有効となる圧縮形式と副走査線密度は,使用するOSおよび表示・印刷セットアップで指定した印刷モードによって,次のようになります。使用時には注意してください。
OS
印刷モード
「日立FAXC/SPOOL出力」モード(ページプリンタ,シリアルインパクトプリンタ)※1
「GDI」モード(ページプリンタ,シリアルインパクトプリンタ)または「日立FAXC/SPOOL出力」モードでFAX宛先ファイルが無効なとき※2
適用OSのWindows
表示・印刷セットアップ設定値
FAXCプリンタのプロパティ情報内「デバイスの設定」の設定値
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同じ帳票でも,FAXコネクションで出力したFAXの印刷結果と,ページプリンタなどのプリンタで印刷した結果とでは,解像度の差によって,縦および横方向で大きさが異なります。あらかじめテストを行い,業務に支障がないことを十分に確認してから,運用を開始してください。
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日立FAXC/SPOOLが,何らかのエラーを検知して,エラーダイアログを表示している状態で,アプリケーションからXMAP3を経由して,帳票を日立FAXC/SPOOLへスプール出力すると,アプリケーションが応答しなくなる場合があります。このような場合は,日立FAXC/SPOOLのエラーダイアログのメッセージに従って,エラーを処置してから,アプリケーションを再実行してください。
-
同時に,複数のアプリケーションから,XMAP3を経由して帳票を日立FAXC/SPOOLへスプール出力すると,日立FAXC/SPOOLでエラーになる場合があります。このような場合は,同時に複数のアプリケーションを実行しないでください。
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FAXではグラフィック帳票のカラー印刷はできません。