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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 解説


2.1.1 HiRDB Advanced High Availability

HiRDB Advanced High Availabilityを導入すると,次に示す機能及びコマンドが使用できるようになります。

〈この項の構成〉

(1) スタンバイレス型系切り替え機能

スタンバイレス型系切り替え機能とは,障害が発生したときにほかのユニットに処理を引き継いでサービスを続行する方式の系切り替えです。待機用のリソースをスタンバイする必要がないため,従来の系切り替え機能(スタンバイ型系切り替え機能)に比べて経済的です。従来の系切り替え機能では,障害時に業務を引き継ぐためのサーバ,CPU,メモリリソース一式を事前に確保する必要がありますが,スタンバイレス型系切り替え機能ではその必要がありません。別のサーバを代替サーバとして登録し,障害発生時にはほかのユニットで処理を引き継ぎます。処理を引き継いだユニットの処理性能が低下することがありますが,リソースを有効に使えるため,システム全体のコストを低減できます。

スタンバイレス型系切り替え機能には1:1スタンバイレス型系切り替え機能と影響分散スタンバイレス型系切り替え機能があります。スタンバイレス型系切り替え機能については,「系切り替え機能」を参照してください。

(2) システム構成変更コマンド(pdchgconfコマンド)

HiRDBシステム定義を変更する場合,HiRDBを終了する必要がありましたが,システム構成変更コマンド(pdchgconfコマンド)を使用すると,HiRDBを終了する必要がなくなります。このため,HiRDBを稼働したままユニット又はサーバ構成を変更したり,システムファイルを追加したりできます。システム構成変更コマンドについては,「システム構成変更コマンド(pdchgconfコマンド)」を参照してください。

(3) グローバルバッファの動的変更(pdbufmodコマンド)

グローバルバッファを追加,変更,又は削除する場合,HiRDBシステム定義のpdbufferオペランドを変更する必要があるため,HiRDBを一度終了する必要がありました。pdbufmodコマンドを使用すると,HiRDBを稼働したままグローバルバッファを追加,変更,又は削除できます。これをグローバルバッファの動的変更といいます。グローバルバッファの動的変更については,「グローバルバッファの動的変更」を参照してください。

(4) 表のマトリクス分割

表のマトリクス分割とは,複数の列をキーとしてキーレンジ分割する機能のことです。複数の列をキーとして分割することでSQLの並列実行性を高めたり,複数のキーによる検索での検索範囲をより絞り込んで高速に処理したりできます。また,データベース格納領域(RDエリア)をより小さく分割することで,データベースの再編成,バックアップの取得,データベースの回復などの運用時間を短縮できます。表のマトリクス分割については,「表のマトリクス分割」を参照してください。

(5) 分割格納条件の変更

キーレンジ分割で横分割した表の分割格納条件を,ALTER TABLEで変更できます。表の分割格納条件を変更することで,古いデータを格納していたRDエリアを再利用でき,作業時間を短くできます。分割格納条件の変更については,「表の分割格納条件の変更」を参照してください。

注※

次に示す分割方法の場合に,表の分割格納条件をALTER TABLEで変更できます。

  • 境界値指定

  • 格納条件指定(格納条件の比較演算子に=だけを使用している場合)