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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 解説


2.1.2 HiRDB Staticizer Option【UNIX版限定】

HiRDB Staticizer Optionを導入すると,インナレプリカ機能が使用できるようになり,ノンストップサービスに対応したデータベースシステムを構築できます。

〈この項の構成〉

(1) インナレプリカ機能とは

24時間365日ノンストップでオンライン業務を実行していると,データベースのメンテナンス処理(データベースの再編成,データロード,バックアップの取得など)を実施する時間がなくなってしまいます。また,オンライン業務中に,集計・分析処理用のデータマートを作成すると,追加・更新データの抽出がオンライン業務のレスポンスを低下させることがあります。このような状況に対応するためにインナレプリカ機能を提供しています。

ミラーリング機能を持つディスクシステムやソフトウェアを使用して,マスタのデータベースをコピーしたレプリカのデータベースを作成します。オンライン業務はレプリカのデータベースを使用し,データベースのメンテナンス処理,又はデータマートの作成処理はマスタのデータベースを使用します。このように,インナレプリカ機能を使用すると,オンライン業務とそのほかの処理(データベースのメンテナンス処理,データマート作成処理)を並行して実施できます。

インナレプリカ機能の概要を次の図に示します。インナレプリカ機能の詳細,及び前提となる製品については,マニュアル「インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option」を参照してください。

図2‒1 インナレプリカ機能の概要

[図データ]

(2) インナレプリカ機能の適用例

インナレプリカ機能の適用例を次に示します。

(a) データベースの再編成

インナレプリカ機能を使用すると,データベースの再編成中にデータベースを参照及び更新できます。これを更新可能なオンライン再編成といいます。インナレプリカ機能を使用しないと,再編成中のデータベースを参照及び更新できません。また,業務処理をレプリカのデータベースで実行するため,オンライン業務に対する影響を最小限に抑えられます。インナレプリカ機能を使用したデータベースの再編成を次の図に示します。

図2‒2 インナレプリカ機能を使用したデータベースの再編成

[図データ]

〔説明〕

マスタのデータベースに対してデータベース再編成ユティリティ(pdrorgコマンド)でデータベースを再編成し,レプリカのデータベースはオンライン業務に使用します。

再編成を行う前にデータベースの静止化及びカレントデータベースの切り替えを行います。この間はデータベースを参照及び更新できません。カレントデータベースを切り替えた後,マスタのデータベースに対して再編成を実行し,レプリカのデータベースをオンライン業務に使用します。再編成が終了した後に,レプリカのデータベースのシステムログを入力情報にして再編成中に行われた更新処理をマスタのデータベースに反映します。これを追い付き反映処理といいます。

(b) バックアップの取得

インナレプリカ機能を使用すると,バックアップの取得中にデータベースを参照及び更新できます。インナレプリカ機能を使用したバックアップの取得を次の図に示します。

図2‒3 インナレプリカ機能を使用したバックアップの取得

[図データ]

〔説明〕

レプリカのデータベースを使用してバックアップを取得します。バックアップの取得中はマスタのデータベースを参照及び更新できます。マスタのデータベースに障害が発生した場合は,レプリカのデータベースのバックアップを使用してマスタのデータベースを回復できます。

(c) データマートの作成

インナレプリカ機能を使用すると,レプリカのデータベースから分析業務に使用するデータマートを作成できます。このため,オンライン業務と分析業務を同時に実行できます。インナレプリカ機能を使用したデータマートの作成を次の図に示します。

図2‒4 インナレプリカ機能を使用したデータマートの作成

[図データ]

〔説明〕

オンライン業務中に,レプリカのデータベースからデータの集計,分析処理用のデータマートを作成できます。多彩な視点から分析するにはデータマートのデータ量が増加して,データマートの作成に時間が掛かります。インナレプリカ機能を使用すれば,オンライン業務と並行してデータマートを作成できるため,時間,オンライン業務への負荷などを意識しないで作成できます。