JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1
スケジューラーサービスの多重起動を設定するためには,まず,追加するスケジューラーサービスの名称などの情報を設定します。次に,そのスケジューラーサービス用のデータベースを新規に作成します。
スケジューラーサービスの多重起動の設定手順,および追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
- (2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
- (3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする
(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
スケジューラーサービスの多重起動の設定手順を次に示します。
(a) 実行系での作業
- JP1/AJS3のサービスを停止する。
次のコマンドを実行して,論理ホストのプロセスがすべて停止していることを確認します。
jajs_spmd_stop -h 論理ホスト名 jajs_spmd_status -h 論理ホスト名
- 注意
- 対象となる論理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFn(nは1〜9またはA〜Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
- 対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください
- mkdirコマンドなどで,次に示すディレクトリを共有ディスクに作成する。
なお,退避情報ディレクトリ以外は,自ホスト内(物理ホストとすべての論理ホスト)に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリの配下にも作成しないでください。
- データベースディレクトリ
- 一時ファイル用ディレクトリ
- ジョブ情報ディレクトリ
- 退避情報ディレクトリ
- スケジューラーサービスを多重起動するためにjajs_setupコマンドを実行する。
(例)論理ホスト名が「node0」,論理ホストの共有ディレクトリが「/shdsk/node0」の論理ホストに,「AJSROOT3」というスケジューラーサービスを追加する場合
jajs_setup -a -h 論理ホスト名 -F スケジューラーサービス名 -p ジョブ状態通知ポートのサービス名 -d データベースディレクトリ名 -t 一時ファイル用ディレクトリ名 -j ジョブ情報ディレクトリ名 -b 退避情報ディレクトリ名 -n スケジューラーサービスの識別番号 -D 論理ホスト共有ディレクトリ名 -I セットアップ識別子 -P 組み込みDBポート番号
jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
jajs_setup -a -h node0 -F AJSROOT3 -p jp1ajs2report3 -d "/shdsk/node0/jp1ajs2/database/schedule/AJSROOT3" -t "/shdsk/node0/jp1ajs2/tmp/schedule3" -j "/shdsk/node0/jp1ajs2/jobinf3" -b "/shdsk/node0/jp1ajs2/backup/schedule3" -n 3 -D "/shdsk/node0" -I _JF3 -P 22222
- 手順3で指定したジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
/etc/servicesファイルをエディターなどで開き,ポート番号を追加します。このとき,既存のポート番号と重複しないようにしてください。
(例)ポート番号を「20248」として設定する場合
jp1ajs2report3 20248/tcp- キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
次のコマンドを実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
ajsqlsetup -F スケジューラーサービス名 -h 論理ホスト名
- スケジューラーサービスを追加したJP1/AJS3のサービスを再起動する。
設定した内容でスケジューラーサービスが追加され,起動します。
(b) 待機系での作業
- 待機系の組み込みDBを設定する。
実行系でセットアップをする際,新規に組み込みDBを作成した場合(jajs_setupコマンドの-Iオプションに,すでにある組み込みDBのセットアップ識別子を指定しなかった場合)だけ,この作業が必要です。組み込みDBのセットアップ識別子は,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。
実行するコマンドを次に示します。
セットアップ識別子,論理ホスト共有ディレクトリ,および組み込みDBポート番号は,実行系で指定したのと同じものを指定してください。
ajsembdbinstl -s 組み込みDBインストール媒体格納ディレクトリ -id セットアップ識別子 -mh 論理ホスト名 ajsembdbbuild -d 論理ホスト共有ディレクトリ/jp1ajs2/embdb/セットアップ識別子/dbarea -s -f -mh 論理ホスト名 -eh 実行系物理ホスト名 -ld 組み込みDB運用ディレクトリ/dbarea -p 組み込みDBポート番号 -i 組み込みDB運用ディレクトリ -id セットアップ識別子 -ext_db -ext_log
組み込みDB運用ディレクトリは,実行系と同じパスを指定する必要があります。実行系でajsembdbidlistコマンドを実行し,該当するセットアップ識別子についてパスを確認してください。
各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。
(例)論理ホスト共有ディレクトリが「/shdsk/node0」,セットアップ識別子が「_JF3」,組み込みDBポート番号が「22222」の論理ホスト「node0」に組み込みDBを設定する場合
ajsembdbinstl -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB -id _JF3 -mh node0 ajsembdbbuild -d /shdsk/node0/jp1ajs2/embdb/_JF3/dbarea -s -f -mh node0 -eh HOST1 -ld /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3/dbarea -p 22222 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -ext_db -ext_log- 実行系の共通定義情報を待機系に設定する。
実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。
実行するコマンドを次に示します。
- 実行系
- jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
- 待機系
- jbssetcnf 退避ファイル名
- (a)の実行系での作業の手順4で設定したポート番号を待機系に設定する。
/etc/servicesファイルをエディターなどで開き,ポート番号を追加します。このとき,実行系で設定したポート番号と同じ番号を追加するようにしてください。
(例)ポート番号を「20248」として設定する場合
jp1ajs2report3 20248/tcp
- 多重起動時のコマンド実行についての補足事項
- スケジューラーサービスを多重起動している場合,「-F スケジューラーサービス名」オプションを指定しないでコマンドを実行すると,デフォルトのスケジューラーサービスに対する操作となります。
- 環境変数AJSCONFにスケジューラーサービス名を指定しておくと,-Fオプションを省略できます。
(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
スケジューラーサービスの削除は,実行系・待機系の両方で実行します。追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。
- jajs_spmd_stopコマンドを実行して,JP1/AJS3サービスを停止する。
物理ホストのJP1/AJS3マネージャーも含め,すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。
- 注意
- 対象となる論理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFn(nは1〜9またはA〜Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
- 対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行し確認してください。
- ajsshmdelコマンドを実行して,共有メモリー情報を削除する。
ajsshmdelコマンドのパスは,「/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel」です。
(例)shの場合
(例)cshの場合
/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >/dev/null 2>&1
/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >&/dev/null- スケジューラーサービスを削除するためにjajs_setupコマンドを実行する。
jajs_setup -e -F スケジューラーサービス名
- (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合
jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
jajs_setup -e -F AJSROOT3
なお,待機系ではjajs_setupコマンドの代わりにjbsunsetcnfコマンドを実行してください。
jbsunsetcnf -i -h 論理ホスト名 -c JP1AJSMANAGER -n スケジューラーサービス名
- (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合
jbsunsetcnf -i -h LHOST -c JP1AJSMANAGER -n AJSROOT3- スケジューラーサービスを追加したときに作成したディレクトリを削除する。
jajs_setupコマンド実行時に作成した,次のディレクトリを削除してください。
- -dオプションに指定したデータベースディレクトリ
- -tオプションに指定したテンポラリーディレクトリ
- -jオプションに指定したジョブ情報ディレクトリ
- -bオプションに指定した退避情報ディレクトリ
- 注意
- -Dオプションに指定した論理ホスト共有フォルダは,削除しないでください。
- JP1/AJS3サービスを起動する。
手順1で停止したサービスを再起動し,スケジューラーサービスが削除されていることを確認します。
(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする
不要となったデータベース環境のアンインストール手順については,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。
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