JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1

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17.2.7 論理ホストのスケジューラーサービスの多重起動の設定

スケジューラーサービスの多重起動を設定するためには,まず,追加するスケジューラーサービスの名称などの情報を設定します。次に,そのスケジューラーサービス用のデータベースを新規に作成します。

スケジューラーサービスの多重起動の設定手順,および追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

<この項の構成>
(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する

スケジューラーサービスの多重起動の設定手順を次に示します。

(a) 実行系での作業

  1. JP1/AJS3のサービスを停止する。
    次のコマンドを実行して,論理ホストのプロセスがすべて停止していることを確認します。
     
    jajs_spmd_stop -h 論理ホスト名
    jajs_spmd_status -h 論理ホスト名
     
    注意
    対象となる論理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは1〜9またはA〜Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
    対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください
  2. mkdirコマンドなどで,次に示すディレクトリを共有ディスクに作成する。
    • データベースディレクトリ
    • 一時ファイル用ディレクトリ
    • ジョブ情報ディレクトリ
    • 退避情報ディレクトリ
    なお,退避情報ディレクトリ以外は,自ホスト内(物理ホストとすべての論理ホスト)に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリの配下にも作成しないでください。
  3. スケジューラーサービスを多重起動するためにjajs_setupコマンドを実行する。
     
    jajs_setup -a -h 論理ホスト名
     -F スケジューラーサービス名
     -p ジョブ状態通知ポートのサービス名
     -d データベースディレクトリ名
     -t 一時ファイル用ディレクトリ名
     -j ジョブ情報ディレクトリ名
     -b 退避情報ディレクトリ名
     -n スケジューラーサービスの識別番号
     -D 論理ホスト共有ディレクトリ名
     -I セットアップ識別子
     -P 組み込みDBポート番号
     
    (例)論理ホスト名が「node0」,論理ホストの共有ディレクトリが「/shdsk/node0」の論理ホストに,「AJSROOT3」というスケジューラーサービスを追加する場合
    jajs_setup -a -h node0
     -F AJSROOT3
     -p jp1ajs2report3
     -d "/shdsk/node0/jp1ajs2/database/schedule/AJSROOT3"
     -t "/shdsk/node0/jp1ajs2/tmp/schedule3"
     -j "/shdsk/node0/jp1ajs2/jobinf3"
     -b "/shdsk/node0/jp1ajs2/backup/schedule3"
     -n 3
     -D "/shdsk/node0"
     -I _JF3
     -P 22222
     
    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
  4. 手順3で指定したジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
    /etc/servicesファイルをエディターなどで開き,ポート番号を追加します。このとき,既存のポート番号と重複しないようにしてください。
    (例)ポート番号を「20248」として設定する場合
     
       jp1ajs2report3 20248/tcp
     
  5. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。
     
       ajsqlsetup -F スケジューラーサービス名 -h 論理ホスト名
     
    ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
  6. スケジューラーサービスを追加したJP1/AJS3のサービスを再起動する。
    設定した内容でスケジューラーサービスが追加され,起動します。

(b) 待機系での作業

  1. 待機系の組み込みDBを設定する。
    実行系でセットアップをする際,新規に組み込みDBを作成した場合(jajs_setupコマンドの-Iオプションに,すでにある組み込みDBのセットアップ識別子を指定しなかった場合)だけ,この作業が必要です。組み込みDBのセットアップ識別子は,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。
    実行するコマンドを次に示します。
     
    ajsembdbinstl
     -s 組み込みDBインストール媒体格納ディレクトリ
     -id セットアップ識別子
     -mh 論理ホスト名
     
    ajsembdbbuild
     -d 論理ホスト共有ディレクトリ/jp1ajs2/embdb/セットアップ識別子/dbarea
     -s
     -f
     -mh 論理ホスト名
     -eh 実行系物理ホスト名
     -ld 組み込みDB運用ディレクトリ/dbarea
     -p 組み込みDBポート番号
     -i 組み込みDB運用ディレクトリ
     -id セットアップ識別子
     -ext_db
     -ext_log
     
    セットアップ識別子,論理ホスト共有ディレクトリ,および組み込みDBポート番号は,実行系で指定したのと同じものを指定してください。
    組み込みDB運用ディレクトリは,実行系と同じパスを指定する必要があります。実行系でajsembdbidlistコマンドを実行し,該当するセットアップ識別子についてパスを確認してください。
    各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。

    (例)論理ホスト共有ディレクトリが「/shdsk/node0」,セットアップ識別子が「_JF3」,組み込みDBポート番号が「22222」の論理ホスト「node0」に組み込みDBを設定する場合

    ajsembdbinstl
     -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB
     -id _JF3
     -mh node0
     
    ajsembdbbuild
     -d /shdsk/node0/jp1ajs2/embdb/_JF3/dbarea
     -s -f -mh node0 -eh HOST1
     -ld /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3/dbarea
     -p 22222
     -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3
     -id _JF3
     -ext_db
     -ext_log
  2. 実行系の共通定義情報を待機系に設定する。
    実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。
    実行するコマンドを次に示します。

    実行系
    jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名

    待機系
    jbssetcnf 退避ファイル名
  3. (a)の実行系での作業の手順4で設定したポート番号を待機系に設定する。
    /etc/servicesファイルをエディターなどで開き,ポート番号を追加します。このとき,実行系で設定したポート番号と同じ番号を追加するようにしてください。
    (例)ポート番号を「20248」として設定する場合
     
       jp1ajs2report3 20248/tcp
     

多重起動時のコマンド実行についての補足事項
スケジューラーサービスを多重起動している場合,「-F スケジューラーサービス名」オプションを指定しないでコマンドを実行すると,デフォルトのスケジューラーサービスに対する操作となります。
環境変数AJSCONFにスケジューラーサービス名を指定しておくと,-Fオプションを省略できます。

(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する

スケジューラーサービスの削除は,実行系・待機系の両方で実行します。追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

  1. jajs_spmd_stopコマンドを実行して,JP1/AJS3サービスを停止する。
    物理ホストのJP1/AJS3マネージャーも含め,すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。
    注意
    対象となる論理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは1〜9またはA〜Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
    対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行し確認してください。
  2. ajsshmdelコマンドを実行して,共有メモリー情報を削除する。
    ajsshmdelコマンドのパスは,「/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel」です。
    (例)shの場合
       /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >/dev/null 2>&1
    (例)cshの場合
       /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >&/dev/null
  3. スケジューラーサービスを削除するためにjajs_setupコマンドを実行する。
     
    jajs_setup -e -F スケジューラーサービス名
     

    (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合
    jajs_setup -e -F AJSROOT3
     
    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。

    なお,待機系ではjajs_setupコマンドの代わりにjbsunsetcnfコマンドを実行してください。
     
    jbsunsetcnf  -i -h 論理ホスト名 -c JP1AJSMANAGER -n スケジューラーサービス名
     

    (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合
    jbsunsetcnf  -i -h LHOST -c JP1AJSMANAGER -n AJSROOT3
     
  4. スケジューラーサービスを追加したときに作成したディレクトリを削除する。
    jajs_setupコマンド実行時に作成した,次のディレクトリを削除してください。
    • -dオプションに指定したデータベースディレクトリ
    • -tオプションに指定したテンポラリーディレクトリ
    • -jオプションに指定したジョブ情報ディレクトリ
    • -bオプションに指定した退避情報ディレクトリ
      注意
      -Dオプションに指定した論理ホスト共有フォルダは,削除しないでください。
  5. JP1/AJS3サービスを起動する。
    手順1で停止したサービスを再起動し,スケジューラーサービスが削除されていることを確認します。

(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

不要となったデータベース環境のアンインストール手順については,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。

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