JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド
自動アクションでは,自動アクションを実行する条件,自動アクションとして実行するアクション(実行コマンドの内容)を検討してください。
また,自動アクションを実行するには,コマンド実行環境およびユーザー認証の機能も関連します。あわせて検討してください。
- <この節の構成>
- (1) 自動アクションの検討
- (2) 注意事項
(1) 自動アクションの検討
次の点について検討してください。
- 自動アクションの抑止設定をする場合は,抑止してもよいアクションか抑止してはいけないアクションかを十分に検討してから設定してください。次に例を示します。
- 一度実行すれば一定時間実行しなくてもよい(抑止してもよい)アクション例
- ・パトランプを点灯させるアクション
- ・メールで通知するなどのユーザー通知アクション
- ・トラブルシュート時のアクション抑止
- 抑止してはいけないアクション例
- ・ユーザーを介さずに障害の復旧を行うアクション
- ・イベントによって実行するアクションの内容が変わるアクション
- 自動アクションの遅延監視をする場合は,その自動アクションが実行契機となるJP1イベントを受信してから終了するまでにどのくらいの時間で終わってほしいかの観点で遅延監視時間を設定してください。また,その際には次の点も考慮に入れてください。
なお,JP1/IMで設定できる遅延監視時間は最大24時間です。24時間以上掛かるアクションを遅延監視したい場合には,次に示すようにJP1/AJSと連携してアクションの実行監視をしてください。
- JP1/IM - Managerから実行先ホストへの階層数
JP1/IM - Managerから実行先ホストへのアクション送信処理は構成管理の上位マシンから下位マシンへ送信され,実行先ホストがアクションを受信するまで受け渡し処理が発生します。そのため,構成管理での実行先ホストの階層の深さに比例して,アクションの受け渡し処理が多くなるため,アクション終了までの時間が長くなります。
- JP1/IM - Managerから実行先ホストへのネットワークの負荷状況
JP1/IM - Managerとアクション実行先ホストが別マシンだった場合,その間に存在するネットワークの負荷状況がアクション終了までの時間に関連してきます。ネットワーク状況の負荷が高い場合,低い場合と比較してアクション終了までの時間が長くなります。
- JP1/IM - Managerのマシンの負荷状況
JP1/IM - Managerが稼働するマシンの負荷状況がアクション終了までの時間に関連してきます。マシンの負荷が高いほど,JP1/IM - Managerからマネージャー上のJP1/Baseにアクションを送信するまでに掛かる時間が長くなるため,アクション終了までの時間が長くなります。
- 実行先ホストの負荷状況
実行先ホストのマシンの負荷状況がアクション終了までの時間に関連してきます。マシンの負荷が高いほど,アクションの実行に掛かる時間が長くなります。
- アクションの実行時間
遅延監視時間に対し,アクションの実行時間が長い場合,遅延したアクションとして通知されてしまいます。遅延監視時間とアクション実行時間は適切に設定する必要があります。
- 自動アクションで実行するコマンドは,実行先のホストで順番に一つずつ処理されるため,コマンドの実行時間が長いと実行遅延が発生するおそれがあります。
このような場合,コマンド実行先のJP1/Baseのコマンド同時実行数を増やすことで,実行遅延を減少できます。コマンドの同時実行数はjcocmddefコマンドで変更できます。
ただし,コマンドの同時実行数を複数(二つ以上)に設定すると,処理の早いコマンドから順次終了します。順序性を持たせてコマンドを実行したい場合には,デフォルト(一つずつ実行)の設定のままにしてください。
なお,コマンド実行先ホストのJP1/Baseが同時に処理できるコマンドの上限は48です。複数のJP1/IM - Managerから自動アクションを実行する場合,次のことを考慮してください。
- 複数のJP1/IM - Managerから同時実行される自動アクションの合計が,最大48以下になるようにする。
- 自動アクションの実行先ホストで,実行に必要なリソースを確保できるようにする。
- アクション状態通知イベントを発行する場合は,アクション情報ファイルに保存する自動アクションの実行情報を参照するため,アクション情報ファイルの容量を適切に設定してください。アクション情報ファイルの容量は,自動アクション環境定義ファイル(action.conf.update)で設定します。
自動アクションについては,次の説明を参照してください。
- 自動アクションについて
- 自動アクションの概要
参照先:「5. 自動アクションによるコマンド実行」
- コマンド実行環境の概要
参照先:「7.4.4 コマンド実行の管理」
- 自動アクションの設定(GUIで設定する場合)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 画面リファレンス」の「2.25 [アクション設定]画面」
- 自動アクションの設定(定義ファイルで設定する場合)
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「自動アクション定義ファイル(actdef.conf)」(2. 定義ファイル)
- 自動アクション環境の設定
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「自動アクション環境定義ファイル(action.conf.update)」(2. 定義ファイル)
- 自動アクションの実行監視環境の設定
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「自動アクション通知定義ファイル(actnotice.conf)」(2. 定義ファイル)
- 自動アクションの実行先ホストのコマンド実行環境の設定
参照先:マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のjcocmddefコマンドを説明している章
- 構成定義について
参照先:マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「構成定義ファイル(jbs_route.conf)」(2. 定義ファイル)
(2) 注意事項
- コマンド実行履歴(ISAM)ファイルがラップすると,自動アクションのアクション結果が取得できなくなり,アクション結果が表示されなくなります。
例
[アクション結果詳細]画面を表示すると,メッセージ欄にKAVB5150-W のメッセージが表示される。
- このような場合には,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」の「10.5(9) アクション結果の詳細情報(メッセージ)にKAVB5150-Wが表示される場合の対処方法」を参照して,対処してください。
- 短時間に大量のアクション対象イベントが発生した場合,アクション実行先ホストのキュー内にアクションが大量にキューイングされ,アクションの実行が遅延することがあります。
このような場合には,コマンドの同時実行数の変更を検討してください。jcocmddefコマンドで変更できます。しかし,コマンドを同時実行する設定をすると,処理の早いものから順次終了します。コマンドに順序性を持たせてコマンドを実行したい場合には,デフォルト(一つずつ実行)の設定のままにしてください。
- 自動アクションの実行処理が進んでいる途中で,次の事象が発生すると,自動アクションの状態が遷移しなくなります(遷移しなくなるのは,状態が「送信待機」「送信中」「キューイング」「実行中」「送信待機(キャンセル中)」「送信中(キャンセル中)」「キューイング(キャンセル中)」「実行中(キャンセル中)」だった場合です)。
このような場合には,次の方法で確認してください。
- マネージャー,アクション中継ホスト,アクション実行先ホストのどれかがシャットダウンなどの操作により停止した。
- ネットワーク障害
- JP1/Baseのダウン
JP1/Baseのjcocmdshowコマンド(07-10サポート)で確認:
アクション実行先ホストのJP1/Base(コマンド実行管理)が自動アクションの処理をしていた場合には,このコマンドで確認できます※。
注※ 処理要求を受け取っていない,または処理が完了していた場合はこのコマンドでは確認できません。
状態が遷移しない,かつ,jcocmdshowコマンドでも確認できない自動アクションは,再実行するか否か判断を行い,必要に応じて[コマンド実行画面]から再実行してください。
- 自動アクションの実行状態または実行結果が確認できなくなった場合は,自動アクションの実行結果を保存するファイル(コマンド実行履歴ファイル,アクション情報ファイルおよびアクションホスト名保存ファイル)に不整合が発生しているおそれがあります。
このような場合には,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」の「10.5(5) 自動アクションの実行状態が「状態不明」と表示される場合の対処方法」を参照して,対処してください。
- jcocmddefコマンドを使って,コマンド実行履歴ファイルへの実行結果の詳細情報(メッセージ情報)の登録を抑止すると,JP1/Base制御部(コマンド実行管理)の処理速度があがります(デフォルトは登録を抑止しない設定です)。登録抑止をすると,JP1/Base制御部の処理速度向上分,自動アクションの実行速度も向上します。
ただし,登録抑止をした場合,JP1/IM - Viewの[アクション結果詳細]画面の[メッセージ]に表示される情報がすべて「KAVB2401-I」のメッセージ情報になってしまいます。
運用上,それでも問題がない,自動アクションの実行速度を少しでも向上させたい,といった場合にだけ,設定を変更するようにしてください。
- jcocmddefコマンドを使って,マネージャーに転送される実行結果のデータ量を抑止すると,コマンド実行履歴ファイルへのデータ登録量を抑えたり,ホスト間の通信回線の混雑を防いだりできます。なお,実行結果のデータ量抑止に関するデフォルト値は,次に示すようにJP1/Baseのバージョンによって異なるため,注意が必要です。
実行結果を抑止した場合,抑止した分しか実行結果が転送されないため,実行結果として表示される情報が,途中で切れた状態になってしまうことがあります(途中で打ち切られたことは表示情報の最後に記述されます)。
- バージョン8のJP1/Baseを新規インストールしたホストに対し,アクションを実行した場合,実行結果のデータ転送量は最大1,000行に抑止されます。
- バージョン7以前のJP1/Base,またはバージョン7以前からバージョン8にバージョンアップしたJP1/Baseをインストールしたホストに対し,アクションを実行した場合,実行結果のデータ転送量は抑止されません。
実行結果として大量の出力データが必要となるかどうかを検討した上で,設定値を変更するようにしてください。
- 自動アクションによるコマンド実行から直接OSをシャットダウンするコマンドは使用しないでください。シャットダウンする場合は,JP1/Power Monitorを使用してください。
- アクションとして実行できるコマンドの長さは,JP1/IM,JP1/Baseを運用しているシステムによって制限があります。
自動アクションの実行経路上のホスト(実行元マネージャー,実行先ホスト含む)にバージョン6,バージョン7のJP1/IM,JP1/Baseがある場合には,コマンドの長さは,最大1,024バイトに抑える必要があります(実行経路上のホストのJP1/IM,JP1/Baseがすべてバージョン8以降の場合は,最大4,096バイトのコマンドを指定できます)。バージョン6,バージョン7が混在したシステムで,1,024バイトを超える値を指定していた場合,自動アクション実行時に実行状態が「実行失敗」になり,コマンドは実行されません。また,[アクション結果詳細]画面の[メッセージ]欄には,「KAVB2623-E」のメッセージ情報が表示されます。
- (例1)
- 自動アクションの実行元マネージャーのJP1/IM,JP1/Baseがバージョン8,コマンド実行先ホストのJP1/Baseがバージョン7の場合,実行できるコマンドの長さは,最大1,024バイトとなります。
- (例2)
- 自動アクションの実行元マネージャーのJP1/IM,JP1/Baseと実行先ホストのJP1/Baseがどちらもバージョン8の場合,実行できるコマンドの長さは,最大4,096バイトとなります。
図11-25 実行経路上のJP1/IM,JP1/Baseのバージョンによるコマンド長の制限
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