JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド
JP1/IMでは,[イベントコンソール]画面から管理対象ホストに対し,コマンドの実行指示を出し,管理対象ホスト上でコマンドを実行できます。コマンドの実行指示は,JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面で行います。[コマンド実行]画面でコマンド実行指示をすると,ログインしているマネージャーからJP1/Baseの構成管理で定義した構成に従ってコマンド実行指示が転送されていき,コマンド実行先ホストでコマンドが実行されます。
図3-55 JP1/IM - Viewからのコマンド実行の概要
ここでは,コマンド実行に必要な条件および実行できるコマンドについて説明したあと,コマンドを実行した際の処理の流れについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) 実行できるコマンド
- (2) コマンド実行に必要な条件
- (3) コマンドの実行状態・実行結果の確認
- (4) コマンド実行の処理の流れ
(1) 実行できるコマンド
JP1/IM - Viewから実行できるコマンドの種類を次に示します。
- コマンドを実行するホストがWindowsの場合
- 実行形式ファイル(.com,.exe)
- バッチファイル(.bat)
- JP1/Scriptのスクリプトファイル(.spt) (ただし,.sptファイルが実行できるよう関連づけが設定されていること)
- コマンドを実行するホストがUNIXの場合
- UNIXのコマンド
- シェルスクリプト
ただし,次のようなコマンドは実行できません。
- 対話操作を必要とするコマンド
- 画面を表示するコマンド
- エスケープシーケンスや制御コードを伴うコマンド
- デーモンなどの,終了しないコマンド
- Windowsメッセージ機構やDDEなど,デスクトップとの対話が必要なコマンド(Windowsの場合)
- shutdownやhaltなど,OSをシャットダウンするコマンド
(2) コマンド実行に必要な条件
JP1/IM - Viewからコマンドを実行するのに必要な条件を次に示します。
- JP1/IM - Viewからコマンド実行指示をするJP1ユーザーが認証サーバに登録され,かつ,コマンド実行指示をする権限を与えられていること。
- JP1/Baseの構成管理を使ったシステム構成の定義が済んでいること。
- 複数のホストに対して同時にコマンド実行を指示したい場合は,JP1/Baseのコマンド実行機能のホストグループの定義によって,複数のホストがグループ化されていること。
- コマンド実行先ホストでJP1ユーザーとOSユーザーのマッピングが済んでいること。
- コマンドの実行環境を指定する場合は,コマンド実行先ホストで環境変数定義ファイルを作成していること。
(3) コマンドの実行状態・実行結果の確認
コマンドの実行状態,および実行結果は,JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面で確認できます。コマンド実行履歴の内容を確認したい場合は,jcocmdlogコマンドをマネージャー上で実行することで確認できます。
また,コマンドの実行状態をJP1イベントとして発行することもできます。ただし,デフォルトでは発行しないため,jcocmddefコマンドの-cmdeventオプションを使ってJP1イベントを発行する設定に変更する必要があります。
- 注意
- 複数のコマンドを実行する場合は,コマンド実行順序と,コマンドの実行結果が出力される順序が異なることがあります。これは,コマンドごとの実行所要時間や,複数ホストでコマンドを実行すると,ホストごとの性能や負荷の違い,および通信エラーが発生した場合のリトライなどによって,影響を受けるためです。
- JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面では,コマンド実行結果をマネージャーで受信した時に表示しているため,[コマンド実行]画面を開いたときに以前に実行したコマンドの実行結果が表示される場合があります。
- JP1/IM - Viewからコマンド実行をするときに,JP1/IM - Viewから実行できないコマンド(「(1) 実行できるコマンド」を参照)を誤って実行してしまい,コマンドが実行中のまま終了しなくなった(KAVB2013-Iのメッセージが[コマンド実行]画面の[実行結果]に表示されない)場合は,JP1/Baseが提供する状態確認,削除コマンドを利用して障害を復旧できます。詳細については,「7.4.4(6) トラブルシューティング用コマンド」を参照してください。
(4) コマンド実行の処理の流れ
ビューアーからエージェントに対してコマンド実行する場合の処理の流れを例に,JP1/IM,JP1/Baseの機能連携について説明します。
なお,以降の説明では,コマンド実行の権限を持つJP1ユーザーでマネージャーにログインしているものとして説明しています(ログインやコマンド実行に必要な権限については,「7.4.1 JP1ユーザーの管理」を参照)。コマンドの実行方法には,直接コマンド名などを入力して実行する方法と,よく使うコマンドを[コマンド]ボタンに登録しておき,ボタン操作で実行する方法の二つがあります。
直接コマンド名などを入力してコマンドを実行する方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」の「7.1.1 [実行コマンド]でコマンドを実行する」を参照してください。
ボタン操作でコマンドを実行する方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 運用ガイド」の「7.1.2 [コマンド]ボタンでコマンドを実行する」を参照してください。
図3-56 コマンド実行の処理の流れ(エージェントにコマンド実行する場合)
図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は,次に示す番号にそれぞれ対応しています)。
- JP1/IM - Viewの[コマンド実行]画面を開き,コマンド実行指示をします。
[コマンド実行]画面では,実行先ホスト,実行コマンド名,コマンドの実行環境を指定できます(コマンド実行環境は,実行先ホスト上で前もって環境変数定義ファイルを作成しておくことで有効になります)。
- コマンド実行指示を受け取ったマネージャー上のJP1/Baseは,構成定義を参照してコマンド実行先ホストにコマンド実行指示を渡します。
- コマンド実行指示を受けたエージェント上のJP1/Baseは,コマンドを実行する前に,ユーザーマッピング定義を参照し,マッピングされたOSユーザーの権限でコマンドを実行します。※
注※ ユーザーマッピング(JP1/Baseのユーザー管理)の処理は,コマンドを実行するホストで行われます。このため,JP1/IM - Viewからエージェントに対してコマンドを実行する場合にはエージェントで,JP1/IM - Viewからマネージャーに対してコマンドを実行する場合にはマネージャーで,それぞれユーザーマッピングの設定をしておく必要があります。
- コマンド実行後,エージェント上のJP1/Baseは,その結果を構成定義で定義されている上位ホストに通知します。
- コマンド実行結果を受け取ったマネージャー上のJP1/Baseは,コマンド実行結果をコマンド実行履歴ファイル(ISAM)に記録したあと,JP1/IM - Viewにコマンド実行結果を通知します。
なお,JP1/IM - Viewからのコマンド実行は,JP1/Baseのコマンド実行機能によって実行しています。「7.4.4 コマンド実行の管理」をあわせて参照してください。
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