Cosminexus システム構築ガイド

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9.6.3 J2EEアプリケーションのプロパティ定義で設定できること

J2EEアプリケーションのプロパティとして設定する項目のうち,主な項目と,その項目の設定方法について説明します。

<この項の構成>
(1) Webコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定
(2) EJBコンテナの機能を使用するための設定
(3) ネーミング管理の機能を使用するための設定
(4) リソース接続とトランザクション管理の機能を使用するための設定
(5) CTMの機能を使用するための設定

(1) Webコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

Webコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定を,次の表に示します。

表9-8 Webコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

機能 項目 設定対象 設定内容
セッション管理 HttpSession数の上限値 WAR WAR属性ファイルの<http-session-max-number>タグに,HTTPセッション数の上限値を指定します。
セッションフェイルオーバ機能を使用する場合には,セッション情報の引き継ぎを行うWebアプリケーションに対してHTTPセッション数の上限値を指定します。設定方法については,「6.2.5 HTTPセッション数の上限値の設定」を参照してください。
デフォルトの文字エンコーディング設定 Webアプリケーション単位での設定※1 WAR WAR属性ファイルで,次のタグを設定します。
  • <http-request>−<encoding>タグに,リクエストボディおよびクエリのデコードに使用する,文字エンコーディングを設定します。
  • <http-response>−<encoding>タグに,レスポンスボディのエンコードに使用する,文字エンコーディングを設定します。
  • <jsp>−<page-encoding>タグに,JSPファイルの文字エンコーディングを設定します。
リクエストおよびレスポンスのフィルタリング フィルタの定義 フィルタ,
WAR
フィルタ属性ファイル,WAR属性ファイル,またはweb.xml※2に,使用するフィルタおよびフィルタのマッピングを定義します。
フィルタの定義については,「9.7 Webアプリケーションに組み込むサーブレットフィルタの設定」を参照してください。
セキュリティ管理 SSL使用による認証情報とデータの暗号化をする場合の暗号レベルの設定 WAR WAR属性ファイルまたはweb.xmlの<user-data-constraint>タグ※2に,暗号化レベルを指定します。
ロールに基づくWebコンテナのユーザ認証 WAR WAR属性ファイルまたはweb.xmlの<security-constraint>タグ※2に,セキュリティ制約を指定します。
また,WAR属性ファイルまたはweb.xmlの<login-config>タグ※2に,Webコンテナでの認証方法を指定します。
同時実行スレッド数の制御 WAR WAR属性ファイルの<thread-control>タグで,Webアプリケーション単位での同時実行スレッド数を設定します。また,<thread-control>−<urlgroup-thread-control>タグで,URLグループ単位での同時実行スレッド数を設定します。
同時実行スレッド数の制御については,「4.4 同時実行スレッド数の制御の設定」を参照してください。
ドメイン名指定でのトップページの表示 Webアプリケーションのコンテキストルートを空文字に設定 WAR WAR属性ファイル,またはサーブレット属性ファイルの<context-root>タグに,空文字を指定します。
このほか,リダイレクタ(Webサーバ連携の場合)でリダイレクトするURLの設定が必要です。設定方法については,「7.5 ドメイン名指定でトップページを表示するための設定」を参照してください。
Webアプリケーション単位の静的コンテンツのキャッシュの制御 WAR アプリケーション属性ファイルまたはweb.xml※2に,静的コンテンツのキャッシュ機能を使用するかどうか,キャッシュを許可する静的コンテンツのメモリサイズ,およびファイルサイズの上限値を指定します。設定方法については,「4.5 静的コンテンツのキャッシュの設定」を参照してください。
リファレンスマッピング定義 Enterprise Bean,またはリソースへのリファレンスの解決 WAR WAR属性ファイルで,次のタグを設定します。
  • <ejb-ref>タグに,Enterprise Bean(リモートインタフェース)の情報を設定します。
  • <ejb-local-ref>タグに,Enterprise Bean(ローカルインタフェース)の情報を設定します。
  • <resource-ref>タグに,リソースの情報を設定します。
  • <resource-env-ref>タグに,リソース環境の情報を設定します。

注※1 Webアプリケーション内のサーブレットまたはJSPファイルに,Servlet仕様での文字エンコーディング設定がある場合は,Servlet仕様での設定が有効になります。設定の優先順位については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」のデフォルトの文字エンコーディング設定に関する説明を参照してください。なお,J2EEサーバ単位での設定については,「4.2(1) Webコンテナの機能を使用するための設定」を参照してください。

注※2 J2EEサーバにデプロイ済みのWebアプリケーションに設定する場合は属性ファイルに設定します。J2EEサーバにデプロイする前のWebアプリケーションに設定する場合は,web.xmlに設定します。


(2) EJBコンテナの機能を使用するための設定

EJBコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定を,次の表に示します。

表9-9 EJBコンテナの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

機能 項目 設定対象 設定内容
Enterprise Beanでのトランザクション設定 Enterprise Beanでのトランザクション管理方法(BMTまたはCMT)の選択 Session Bean Session Bean属性ファイルの<transaction-type>タグに,Bean(BMT)またはContainer(CMT)のどちらを選択するかを指定します。
Message-driven Bean Message-driven Bean属性ファイルの<transaction-type>タグに,Bean(BMT)またはContainer(CMT)のどちらを選択するかを指定します。
CMT メソッドに割り当てるトランザクション属性 Session Bean,
Entity Bean,
Message-driven Bean
Session Bean属性ファイル,
Entity Bean属性ファイル,または
Message-driven Bean属性ファイルの<trans-attribute>タグに,メソッドに割り当てるトランザクション属性を指定します。
プール管理 Stateless Session Beanのプーリング Session Bean Session Bean属性ファイルの<pooled-instance>タグに,プールするインスタンス数の最大値と最小値を指定します。
Entity Beanのプーリング Entity Bean Entity Bean属性ファイルの<pooled-instance>タグに,プールするインスタンス数の最大値と最小値を指定します。
Message-driven Beanのプーリング Message-driven Bean Message-driven Bean属性ファイルの<pooled-instance>タグに,プールするインスタンス数の最大値を指定します。
Entity Beanのコミットオプション コミットオプション Entity Bean Entity Bean属性ファイルの<caching-model>タグに,CMPフィールドのキャッシュ方法を指定します。
EJBコンテナでのタイムアウト Stateful Session Beanのタイムアウト Session Bean Session Bean属性ファイルの<inactivity-timeout>タグに,再びアクティブ化するまで非アクティブ状態に保持しておく時間を指定します。
Entity BeanのEJBオブジェクトのタイムアウト Entity Bean Entity Bean属性ファイルの<entity-timeout>タグに,EJBオブジェクトの存在時間を指定します。
インスタンス取得待ちのタイムアウト Session Bean,
Entity Bean
Session Bean属性ファイルまたはEntity Bean属性ファイルの<instance-timeout>タグに,インスタンス取得タイムアウト時間を指定します。
リモートインタフェース呼び出し リモートインタフェースでの値の参照渡しを有効にするかどうか Session Bean,
Entity Bean
Session Bean属性ファイルまたはEntity Bean属性ファイルの<pass-by-reference>タグに,Enterprise Bean単位でEJBのリモートインタフェースでの値の参照渡しを有効にするかどうかを指定します。
セキュリティアイデンティティを使用した認証 セキュリティアイデンティティを使用した認証をするかどうか Session Bean,
Entity Bean,
Message-driven Bean
Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイル,Message-driven Bean属性ファイルの<security-identity>タグに,認証するかどうかを指定します。
RunAs機能 RunAs機能を使用するかどうか Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイル,Message-driven Bean属性ファイルの<run-as>タグに,RunAs機能を使用するかどうかを指定します。
RunAs機能で使用するセキュリティロール名 Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイル,Message-driven Bean属性ファイルの<role-name>タグに,セキュリティロール名を指定します。
RunAs機能で使用するプリンシパル名 Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイル,Message-driven Bean属性ファイルの<user-name>タグに,プリンシパル名を指定します。
リファレンスマッピング定義 Enterprise Bean,またはリソースへのリファレンスの解決 Session Bean,Entity Bean,Message-driven Bean Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイルまたはMessage-driven Bean属性ファイルで,次のタグを設定します。
  • <ejb-ref>タグに,Enterprise Bean(リモートインタフェース)の情報を設定します。
  • <ejb-local-ref>タグに,Enterprise Bean(ローカルインタフェース)の情報を設定します。
  • <resource-ref>タグに,リソースの情報を設定します。
  • <resource-env-ref>タグに,リソース環境の情報を設定します。

注※ BMTを選択した場合,トランザクションの制御は,API(javax.transaction.UserTransactionクラスのメソッドなど)で実行する必要があります。


(3) ネーミング管理の機能を使用するための設定

ネーミング管理の機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定を,次の表に示します。

表9-10 ネーミング管理の機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

機能 項目 設定対象 設定内容
ルックアップ ルックアップ名称 Session Bean,Entity Bean Session Bean属性ファイルまたはEntity Bean属性ファイルの<lookup-name>タグに,ルックアップ名称を指定します。
ユーザ指定名前空間機能 ルックアップ名称の別名 Session Bean,Entity Bean Session Bean属性ファイルまたはEntity Bean属性ファイルの次のどちらかのタグに,ルックアップ名称の別名を指定します。
  • <optional-name>タグ
    リモートインタフェースの別名を指定します。
  • <local-optional-name>タグ
    ローカルインタフェースの別名を指定します。
別名の設定については,「9.8 リソースまたはJ2EEアプリケーションの別名の設定」を参照してください。

注※ この機能を使用する場合は,サーバ管理コマンドのusrconf.propertiesで別名を使用するかどうかを指定しておく必要があります。設定方法については,「9.2.2 サーバ管理コマンドの動作設定のカスタマイズ」を参照してください。

(4) リソース接続とトランザクション管理の機能を使用するための設定

リソース接続とトランザクション管理の機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定を,次の表に示します。

表9-11 リソース接続とトランザクション管理の機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

機能 項目 対象 設定内容
コネクションシェアリング コネクションを共有するかどうか WAR,Session Bean,Entity Bean,Message-driven Bean WAR属性ファイル,Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイルまたはMessage-driven Bean属性ファイルの<res-sharing-scope>タグに,取得したコネクションを共有するかどうかを設定します。
トランザクションタイムアウト Enterprise Bean,インタフェース,メソッド単位のトランザクションタイムアウト Session Bean,Entity Bean,Message-driven Bean Session Bean属性ファイル,Entity Bean属性ファイルまたはMessage-driven Bean属性ファイルの<ejb-transaction-timeout>タグに,CMTの場合のトランザクションをタイムアウトする時間を指定します。

Connector 1.5仕様のリソースアダプタを使用してリソースに接続する場合は,次の項目も設定できます。

表9-12 リソース接続とトランザクション管理の機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定(Connector 1.5仕様に準拠するリソースアダプタを使用する場合)

機能 項目 対象 設定内容
管理対象オブジェクトのルックアップ 管理対象オブジェクトのルックアップで使用する情報 WAR,Session Bean,Entity Bean,Message-driven Bean <resource-env-ref>タグ下の次のタグに設定します。
  • <resource-env-ref-name>タグに,ルックアップで使用する名前を指定します。
  • <resource-env-ref-type>タグに,管理対象オブジェクトの型を指定します。
  • <linked-adminobject>−<resourceadapter-name>タグに,管理対象オブジェクトが含まれるリソースアダプタの表示名を指定します。
  • <linked-adminobject>−<adminobject-name>タグに,管理対象オブジェクトのオブジェクト名を指定します。
メッセージインフロー リソースアダプタとの対応づけ Message-driven Bean <message-ref>−<connection-destination>タグ下の<resource-adapter>タグに,対応づけるリソースアダプタの表示名を指定します。
Message-driven Beanが使用するインタフェース Message-driven Bean <messaging-type>タグに,Message-driven Beanが実装するインタフェースを指定します。
ActivationSpecの設定 Message-driven Bean <activation-config>−<activation-config-property>タグ下の<activation-config-property-name>タグおよび<activation-config-property-value>タグに,ActivationSpecに設定するプロパティを指定します。

注※
設定値の一部は,使用するリソースアダプタの設定値と合わせる必要があります。詳細は,「9.9 メッセージインフローを実行する場合のリソースアダプタとJ2EEアプリケーションの設定」を参照してください。

(5) CTMの機能を使用するための設定

CTMの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定を,次の表に示します。

表9-13 CTMの機能を使用するためのJ2EEアプリケーションの設定

機能 項目 対象 設定内容
CTMによるリクエストのスケジューリング J2EEアプリケーション単位でのスケジューリング J2EEアプリケーション アプリケーション属性ファイルの<managed-by-ctm>タグ,<scheduling>タグ,または<scheduling-unit>タグで,J2EEアプリケーション単位に,CTMの利用の有無や,スケジュールキューの長さなどを設定します。
Stateless Session Bean単位でのスケジューリング SessionBean SessionBean属性ファイルの<enable-scheduling>タグ,<stateless>−<pooled-instance>タグ,または<scheduling>タグで,Stateless Session Bean単位に,スケジューリングの対象にするStateless Session Beanの指定,プールしておくインスタンス数の最大値や最小値などを設定します。