Cosminexus 機能解説

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19.6.1 J2EEアプリケーション入れ替えの概要

システムの運用を開始したあとで,J2EEアプリケーションのバージョンアップやメンテナンスを実施するために,J2EEアプリケーションを入れ替えることがあります。

通常,J2EEアプリケーションを入れ替える場合には,J2EEサーバ上で動作しているJ2EEアプリケーションを停止したあと削除し,新しいJ2EEアプリケーションをインポート,デプロイする必要があります。通常のJ2EEアプリケーションの入れ替えの手順を次の図に示します。

図19-11 通常のJ2EEアプリケーションの入れ替えの手順

[図データ]

通常のJ2EEアプリケーションの入れ替えでは,J2EEアプリケーションを入れ替える間,サービスを停止する必要がありますが,サービスの部分閉塞を使用すると,サービスを停止することなくJ2EEアプリケーションを入れ替えることができます。また,リデプロイ機能やリロード機能を使用すると,通常のJ2EEアプリケーションの入れ替えに比べて,少ない手順で入れ替えができるようになります。

J2EEアプリケーションの入れ替え方法を次の表に示します。

表19-10 J2EEアプリケーションの入れ替え方法

入れ替え方法 対象のJ2EEアプリケーション
アーカイブ形式 展開ディレクトリ形式
サービスの部分閉塞による入れ替え
リデプロイ機能による入れ替え
リロード機能による入れ替え

(凡例) ○:入れ替えできる −:入れ替えできない


それぞれの入れ替え方法について説明します。なお,入れ替え方法の詳細については,マニュアル「Cosminexus システム運用ガイド」のJ2EEアプリケーションの入れ替えと保守に関する説明を参照してください。

<この項の構成>
(1) サービスの部分閉塞による入れ替え
(2) リデプロイ機能による入れ替え
(3) リロード機能による入れ替え

(1) サービスの部分閉塞による入れ替え

部分的なサービスの閉塞です。サービスを停止することなく,システムをメンテナンスしたいときに使用します。24時間サービス提供が必要なJ2EEアプリケーションを入れ替える場合などには,サービスの部分閉塞によって,サービスを停止することなく,システムをメンテナンスできるようになります。

サービス部分閉塞の実行方法は,J2EEアプリケーションの形態によって異なります。例えば,Webアプリケーションの場合には,入れ替え対象のJ2EEアプリケーションが動作するJ2EEサーバに対して負荷分散機からのリクエストの振り分けを停止し,J2EEアプリケーションを入れ替えます。入れ替えている間は,ほかのJ2EEサーバでリクエストを処理することで,サービスを停止することなくJ2EEアプリケーションを入れ替えられます。

J2EEアプリケーションがWebアプリケーションの場合に,サービス部分閉塞を使用してJ2EEアプリケーションを入れ替える方法については,「19.6.2 Webアプリケーションのサービスの部分閉塞による入れ替え」を参照してください。

参考
サービス部分閉塞は,CTMを利用して実行することもできます。CTMのスケジュールキューの閉塞を利用してJ2EEアプリケーションを入れ替える方法については,「11.5 CTMによるリクエストの閉塞制御」を参照してください。

(2) リデプロイ機能による入れ替え

アプリケーション開発でのテストやシステムの運用中に,修正したJ2EEアプリケーションと動作中のJ2EEアプリケーションを入れ替えたい場合,リデプロイ機能を使用した入れ替えができます。リデプロイとは,少ない手順で高速にJ2EEアプリケーションを入れ替えられるデプロイ方法です。ロジックだけを変更したJ2EEアプリケーションを入れ替えたい場合などに利用できます。ただし,リデプロイ機能を実行できる条件に合わない場合は,通常の手順で入れ替える必要があります。リデプロイ機能を実行できる条件については,「7.4 J2EEアプリケーションのリデプロイ」を参照してください。

リデプロイ機能は,アーカイブ形式のJ2EEアプリケーションを入れ替える場合に使用できます。リデプロイ機能による入れ替え手順を次に示します。

図19-12 リデプロイ機能による入れ替え手順

[図データ]

リデプロイ機能を使用する場合には,通常のアーカイブ形式のJ2EEアプリケーションの入れ替えと比べて,少ない手順で入れ替えができます。

参考
リデプロイを実行する前に,JSP事前コンパイル機能を実行しておくことをお勧めします。JSP事前コンパイル機能は,Webアプリケーションに含まれるJSPファイルをデプロイ前にコンパイルし,クラスファイルを生成する機能です。あらかじめ,クラスファイルの生成までを実施しておくので,JSPに最初にリクエストが到着したときのレスポンスタイムおよびWebアプリケーションの開始時間を短縮できます。JSP事前コンパイル機能については,「4.7 JSPの事前コンパイルとコンパイル結果の保持」を参照してください。

リデプロイ機能については,「7.4 J2EEアプリケーションのリデプロイ」を参照してください。

(3) リロード機能による入れ替え

アプリケーション開発でのテストやシステムの運用中に,修正したJ2EEアプリケーションと動作中のJ2EEアプリケーションを入れ替えたい場合,リロード機能を使用した入れ替えができます。展開ディレクトリ形式のJ2EEアプリケーションを構成するファイルを更新した場合に,更新検知やコマンド実行によって,更新したJ2EEアプリケーションをリロードできます。リロード機能を使用することで,少ない手順でJ2EEアプリケーションを動的に入れ替えられるようになります。

リロード機能による入れ替えは,展開ディレクトリ形式のJ2EEアプリケーションを入れ替える場合に使用できます。リロード機能による入れ替え手順を次に示します。

図19-13 リロード機能による入れ替え手順

[図データ]

リロード機能を使用する場合には,通常の展開ディレクトリ形式のJ2EEアプリケーションの入れ替えと比べて,少ない手順で入れ替えができます。

リロード機能については,「7.5 J2EEアプリケーションの更新検知とリロード」を参照してください。