JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド

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3.3.8 対処済み連動機能

対処済み連動機能は,JP1イベントの対処状況に応じて,監視オブジェクトの状態を自動的に変更する機能です。この機能により,統合コンソールでのJP1イベントの対処状況に連動して,統合スコープの監視オブジェクトの状態が変わります。

例えば,エラーイベントの受信により,監視オブジェクトの状態が「エラー」になっている場合,エラーイベントの対処状況を「対処済」にすると,監視オブジェクトの状態が「エラー」から「正常」に変わります。

監視オブジェクト,監視グループの状態を手動で変更する手間が省け,統合スコープでの操作がより簡易になります。

なお,統合スコープで監視オブジェクトの状態を変更しても,状態変更条件に合致する統合コンソールのJP1イベントの対処状況は変わりません。例えば,統合スコープで状態が「エラー」になっている監視オブジェクトを「正常」に変えても,統合コンソールのJP1イベントは「対処済」になりません。

注意
統合スコープの監視オブジェクトの状態を手動で変更した場合でも,統合コンソールのJP1イベントの対処状況を変更すると,それにあわせて監視オブジェクトの状態が変更されます。
ただし,状態を手動で変更した場合には,統合スコープの管理する状態変更イベントの履歴が削除されるため,対処済み連動機能はいったん無効になります。
<この項の構成>
(1) 対処済み連動機能の動作
(2) 対処済み連動機能が無効になる契機
(3) 対処済み時の状態変更イベントの自動削除

(1) 対処済み連動機能の動作

統合スコープによるシステムの監視中に監視オブジェクトの状態が変わり,これに対応して統合コンソールのJP1イベントの対処状況を変更した場合の,対処済み連動機能の動作について,例を挙げて説明します。

なお,以降で説明する動作例は,次の前提条件に従います。

JP1イベントの対処状況を「対処済」に変更した場合の動作例を次に示します。

図3-54 対処済み連動機能の動作例(1)

[図データ]

図中の番号に従って説明します。

  1. JP1/IMが監視オブジェクト1の状態変更条件に合致するJP1イベントを受信し,監視オブジェクト1の状態が「エラー」に変わります。上位の監視グループ1の状態も「エラー」に変わります。
    状態変更イベントの検索をするなどして,監視オブジェクトのエラー要因を確認します。
  2. 統合コンソールの[イベント検索]ページに,監視オブジェクト1の状態変更イベントが表示されます。
    この場合には,エラーイベントと警告イベントが,監視オブジェクト1の状態変更イベントになります。エラーイベントと警告イベントに対応して,監視オブジェクト1の状態が「エラー」になっています。
    JP1イベントの重大度に従って,対策する必要がある問題から対策します。
  3. ユーザーが,監視オブジェクト1の状態変更イベントであるエラーイベントの対処状況を「対処済」に変更します。
    問題の対策が完了したものだけ,「対処済」にします。
  4. JP1イベントの「対処済」に連動して,監視オブジェクト1の「エラー」が解除され,「警告」に変わります。上位の監視グループ1の状態も「警告」に変わります。
    エラーイベントが「対処済」になったため,監視オブジェクト1は警告イベントに応じた状態になります。
    残る警告イベントに対しても,調査,対策します。なお,状態変更条件に合致するJP1イベントをすべて「対処済」にした場合には,監視オブジェクトの状態は「正常」になります。

次にJP1イベントの対処状況を「対処済」から「対処済」以外の状況に変更した場合の動作例を次に示します。

注※
「対処済」以外とは,「処理中」「保留」および「未対処」を指します。
「削除」は含みません。「削除」は[重要イベント]ページでJP1イベントを非表示にする機能です。「削除」にしたJP1イベントは[イベント監視]ページ,[イベント検索]ページでは表示されている場合があります。このため,JP1イベントの対処状況を「削除」にした場合は,監視オブジェクトの状態は変わりません。

 

図3-55 対処済み連動機能の動作例(2)

[図データ]

図中の番号に従って説明します。

  1. ユーザーが,JP1イベントの対処状況を「未対処」に変更します。
    一度「対処済」にしたJP1イベントを,ほかの対処状況に変更する場合は,問題対策が未完了だったとき,誤操作したときなどにしてください。
  2. JP1イベントの「未対処」に連動して,監視オブジェクト1の状態が「エラー」に変わります。上位の監視グループ1の状態も「エラー」に変わります。
    エラーイベントが「未対処」になったため,エラーイベントに対応して,監視オブジェクト1の状態が「警告」よりも優先度の高い「エラー」になります。
    引き続き,問題の対策をします。

 

参考
「対処済」にしていないJP1イベントがあった場合は,監視オブジェクトはそのJP1イベントに対応した状態になります。この場合,状態は優先度の順に「緊急」「警戒」「致命的」「エラー」「警告」「正常」および「デバッグ」のどれかになっています。状態変更イベントの検索結果として表示されるすべてのJP1イベントを「対処済」にした場合は「正常」になります。
なお,JP1イベントを「対処済」から「処理中」「保留」「未対処」に変更した場合は,それに合わせて状態が,元の状態に変わります。

(2) 対処済み連動機能が無効になる契機

状態変更イベントの件数が上限(100件)を超えた場合には,対処済み連動機能は無効になります。これは,統合スコープの管理する状態変更イベントの履歴と,統合コンソールに表示されるJP1イベントとの整合性が取れなくなるためです。

このため,定期的に状態変更イベントの検索をし,検索結果として表示されるJP1イベントが増えてきたら,監視オブジェクトの状態を手動で変更して履歴を削除するようにしてください。

監視オブジェクトの状態を手動で変更することで,対処済み連動機能が再び動作するようになります。なお,監視オブジェクトの状態を手動で変更すると,[イベント検索]ページには検索結果としてJP1イベントが表示されなくなりますが,[イベント監視]ページ,[重要イベント]ページでは表示されている場合があります。そこに表示されているJP1イベントの対処状況を変更しても,監視オブジェクトの状態は連動しません。

(3) 対処済み時の状態変更イベントの自動削除

JP1イベントの対処状況を「対処済」にした場合,状態変更イベントの履歴を自動で削除するよう設定できます。この機能を有効にした場合は,監視オブジェクトのすべての状態変更イベントを「対処済」にして履歴を削除すると,監視オブジェクトの状態は「初期状態」になります。

この機能は,デフォルトでは無効です。

対処済み時の状態変更イベントの自動削除の動作について,例を挙げて説明します。なお,以降で説明する動作例は,次の前提条件に従います。

監視グループ1の状態変更条件は設定されていない(デフォルト設定のまま)。

JP1イベントの対処状況を「対処済」に変更した場合の動作を例を挙げて説明します。

図3-56 対処済み時の状態変更イベントの自動削除の動作例

[図データ]

図中の番号1から4は,「図3-54」の動作と同じです。監視オブジェクト1の状態変更イベントのうち,エラーイベントを「対処済」にします。

図中の番号5で,統合コンソールの[イベント検索]ページで監視オブジェクト1の状態変更イベントを検索すると,図中の番号3で「対処済」にしたJP1イベントの履歴はすでに状態変更イベントから削除されているため,[イベント検索]ページには表示されません。未対処の状態変更イベントだけが表示されます。

なお,この機能を有効にしたあとに発生した状態変更イベントだけが,削除の対象となります。この機能を有効にする前に発生し,すでに「対処済」にした状態変更イベントの履歴は削除されません。これらの履歴を削除したい場合は,[監視ツリー]画面またはjcschstatコマンドで監視ノードの状態を「初期状態」に変更して,手動で削除してください。

設定方法については,「12.7.3 JP1イベントの対処済み時に状態変更イベントを自動で削除するための設定」を参照してください。

注意
誤って一度「対処済」にしたJP1イベントを,「エラー」など「対処済」以外の状態に戻しても,監視オブジェクトの状態や状態変更イベントの履歴は元に戻りません。そのため,統合スコープからJP1イベントを検索できなくなります。一度「対処済」にしたJP1イベントは[イベントコンソール]画面から検索する必要があります。
状態の操作に十分な注意が必要なため,通常の運用では,対処済み時の状態変更イベントの自動削除機能は使用しないでください。統合スコープ上で監視オブジェクトを「初期状態」にし,状態変更イベントの履歴を削除する方法を推奨します。統合コンソールの操作だけを許可したいといった特別な理由の場合だけ,この機能を使ってください。

(備考)
対処済み時の状態変更イベントの自動削除を設定しても,状態変更イベントの件数が上限(100件)を超えた場合,対処済み連動機能は無効になります。そのため,定期的に状態変更イベントを「対処済」にし,状態変更イベントを削除してください。

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