JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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2.2.5 インベントリ情報の取得方法

システム情報,ソフトウェア情報,およびユーザインベントリ情報は,次のどちらかの方法でクライアントから取得します。

ディレクトリ情報は,コマンドを実行してActive Directoryの情報を管理しているコンピュータから取得します。

それぞれの方法について説明します。

<この項の構成>
(1) ジョブを実行してインベントリ情報を取得する
(2) 自動的にインベントリ情報を取得する
(3) コマンドを実行してインベントリ情報を取得する

(1) ジョブを実行してインベントリ情報を取得する

配布管理システムから次に示すジョブを実行して,システム情報,ソフトウェア情報,およびユーザインベントリ情報を取得できます。

次に,効果的なインベントリ情報の取得例について説明します。

(a) 定期的にインベントリ情報を取得する

システム情報,ソフトウェア情報,およびユーザインベントリ情報を取得するジョブは,定期的にクライアントで実行させることができます。クライアントでジョブを定期的に実行させる間隔は,ジョブ作成時に[スケジュール]パネルの[詳細設定]ボタンをクリックすると表示される[実行日時の詳細設定]ダイアログボックスで設定します。実行間隔には,「毎日実行」,「毎週実行」または「毎月実行」があります。

図2-9 [実行日時の詳細設定]ダイアログボックス

[図データ]

この機能を使用すると,システム管理者が一度ジョブを設定しておくだけで自動的に配布管理システムで管理しているインベントリ情報が最新の状態に更新されます。

また,「ユーザインベントリ情報の取得」ジョブを実行してユーザインベントリ情報を取得する場合,ジョブを定期的に実行するだけでなく,クライアントユーザがユーザインベントリ情報を更新した時点で,変更した情報を配布管理システムに通知させることができます。この機能を使用すれば,配布管理システムでは常に最新のユーザインベントリ情報を取得できます。

(b) ネットワークおよびリレーショナルデータベースの負荷を軽減してインベントリ情報を取得する

ワイルドカード「*」を使った検索を多数のクライアントに対して実行すると,不要な情報を取得して,ネットワークに大きな負担が掛かり,リレーショナルデータベースを大量に消費することがあります。このような場合に,ソフトウェアインベントリ辞書を使うことで,検索するソフトウェアを絞り込み,ネットワークおよびリレーショナルデータベースの負荷を軽減できます。

ソフトウェアインベントリ辞書を使ってファイルを検索する方法を次に示します。

図2-10 ソフトウェアインベントリ辞書を使ったファイル検索方法

[図データ]

  1. 管理したいソフトウェアがすでにインストールされているマシン(1台〜数台)に対して,「*」を使ったファイル検索を実行し,ソフトウェアインベントリ辞書を生成する。
    ファイル検索で取得したソフトウェア情報が,ソフトウェアインベントリ辞書に登録されます。
  2. ソフトウェアインベントリ辞書を編集する。
    登録されているソフトウェアの中から,管理対象にしたいソフトウェアを選択します。
  3. インベントリ情報を管理したいすべてのクライアントに対して,手順2.で編集したインベントリ辞書を指定したファイル検索を実行する。
    管理対象としたソフトウェアだけを検索するため,ネットワークの負荷が軽くなります。また,不要な情報がリレーショナルデータベースに入るのを防止できます。

「*」を使ったファイル検索の方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「3.2.2 [オプション]パネルの設定」を参照してください。また,ソフトウェアインベントリ辞書の編集方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「3.2.5 ソフトウェアインベントリ辞書の編集」を参照してください。

(2) 自動的にインベントリ情報を取得する

クライアントの特定のインベントリ情報が更新されたときに,配布管理システムと接続するタイミングでインベントリ情報を通知させて,最新のインベントリ情報を管理できます。ジョブを実行することなくインベントリ情報を取得できるため,効率良くインベントリ情報を管理できます。

更新されたインベントリ情報を自動的に取得する機能について次に示します。

図2-11 更新されたインベントリ情報を自動的に取得する機能

[図データ]

この機能では,システム情報およびソフトウェア情報の一部を取得できます。すべてのシステム情報,ソフトウェア情報,およびユーザインベントリ情報を取得したい場合は,ジョブを実行して取得する必要があります。

インベントリ情報を自動的に上位システムへ通知させる機能,および取得できるインベントリ情報の詳細については,「2.13.4 クライアントからのインベントリ情報の通知」を参照してください。

(3) コマンドを実行してインベントリ情報を取得する

ディレクトリ情報は,ジョブではなくコマンドを実行して取得します。Active Directoryからディレクトリ情報を取得する作業の流れは,次のようになります。

  1. Active Directoryとの接続に必要な情報,およびActive Directoryから取得する情報を抽出する。
    ディレクトリ情報を取得するActive Directoryのホスト名,ポート番号などのActive Directoryと接続するための情報およびActive Directoryから取得する項目を抽出します。
  2. 画面に表示する名称をマップファイルに定義する。
    Active Directoryから取得した項目を,配布管理システムの画面に表示するときの表示名を,マップファイルに定義します。ここで表示名を定義することで,取得した項目が画面に表示されるようになります。マップファイルには管理しやすい名称を定義するようにしてください。
  3. Active Directoryとの接続に必要な情報,およびActive Directoryから取得する情報をパラメタファイルに定義する。
    ディレクトリ情報を取得するActive Directoryのホスト名,ポート番号などのActive Directoryと接続するための情報,およびActive Directoryから取得する項目をパラメタファイルに定義します。
  4. ディレクトリ情報の取得コマンド(dcmadsync.exe)を実行する。
    このコマンドは,Windowsのタスクスケジューラにタスクとして登録したり,JP1/AJSと連携したりすることで,定期的に実行できます。Active Directoryの更新のタイミングに合わせて,ディレクトリ情報も更新してください。

ディレクトリ情報を取得する作業の流れを次の図に示します。

図2-12 ディレクトリ情報を取得する作業の流れ

[図データ]

ディレクトリ情報取得時の注意事項

なお,取得したディレクトリ情報と配布管理システム上のシステム構成情報の関係については,「2.10.3 システム構成情報とディレクトリ情報の関係」を,ディレクトリ情報の取得手順の詳細については,「運用ガイド1」の「3.4 ディレクトリ情報を取得する」を参照してください。