JP1/NETM/DM 導入・設計ガイド(Windows(R)用)

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2.13.4 クライアントからのインベントリ情報の通知

インベントリ情報を取得するには,配布管理システムからインベントリ情報を取得するためのジョブを実行する必要があります。しかし,大規模システムでは,ジョブの実行によってネットワークに負荷が掛かり過ぎてしまうデメリットがあります。

このような配布管理システム主導のインベントリ情報の取得に代わって,クライアントのインベントリ情報が変更されたなどのタイミングで配布管理システムへ通知できる機能があります。このクライアント主導のインベントリ情報の通知では,必要なタイミングで必要なクライアントからだけ情報を取得できるため,ネットワークの負荷を軽減できます。

クライアント主導のインベントリ情報の通知方法には,次の4種類があります。

表2-45 クライアント主導のインベントリ情報の通知方法

クライアントでの変更の種別 対応する通知方法 通知のタイミング
ユーザインベントリ情報に変更があった場合 [JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスから通知する ユーザによる任意の通知
インストールソフトウェアに変更があった場合 パッケージセットアップマネージャから通知する ユーザによる任意の通知
インベントリ情報が更新された場合 配布管理システムとの接続時に通知する バックグラウンドでの自動通知
JP1/NETM/DMシステムへ新しいクライアントを追加した場合 システム構成の自動登録時に通知する バックグラウンドでの自動通知

なお,インベントリ情報が通知されるのは,クライアントの上位接続先の配布管理システムです。複数の上位接続先が設定されている場合でも,接続先の配布管理システムだけに通知されます。

また,クライアントとマネージャ(JP1/NETM/DM Manager)の間に中継するシステムとしてバージョン06-01以前のWindows版の中継マネージャ(JP1/NETM/DM Manager)または中継システム(JP1/NETM/DM SubManager)が存在する場合,インベントリ情報をクライアントからマネージャへ通知できません。したがって,クライアント主導のインベントリ情報の通知を使用する場合は,Windows版の中継するシステムのバージョンを06-51以降にしてください。なお,更新されたインベントリ情報を自動的に通知する場合は,中継するシステムのバージョンは07-00以降にしてください。

<この項の構成>
(1) [JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからの通知
(2) パッケージセットアップマネージャからの通知
(3) 更新されたインベントリ情報の自動通知
(4) システム構成の自動登録時の通知

(1) [JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからの通知

クライアントのユーザインベントリ情報に変更があった場合,ユーザが任意に[JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスから配布管理システムへ通知できます。

配布管理システムへは,ユーザインベントリと同時に,システム情報(システム情報およびレジストリ情報)も通知されます。これらの[JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからの通知内容は,「システム情報の取得」ジョブを実行した場合と同じです。

なお,バージョンが03-00より前のNETM/DM/W(中継システム)ではユーザインベントリを管理していません。このため,通知された不要なファイルがディスクに蓄積され,ディスクを圧迫するおそれがあります。したがって,[JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからNETM/DM/Wへインベントリ情報を通知する場合は,NETM/DM/Wのバージョンを03-00以降にしてください。

[JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからインベントリ情報を通知する方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「11.6.1 [JP1/NETM/DMユーザ情報設定]ダイアログボックスからの通知」を参照してください。

(2) パッケージセットアップマネージャからの通知

ユーザのソフトウェア情報に変更があった場合は,パッケージセットアップマネージャの[インストールソフトウェア]ウィンドウから通知できます。

パッケージセットアップマネージャから通知されるソフトウェア情報は,[インストールソフトウェア]ウィンドウに表示されているソフトウェアに関係なく,クライアントで収集したすべてのソフトウェアが通知されます。

パッケージセットアップマネージャからソフトウェア情報を通知する方法については,マニュアル「運用ガイド1」の「11.6.2 パッケージセットアップマネージャからの通知」を参照してください。

(3) 更新されたインベントリ情報の自動通知

ソフトウェアの新規インストールやパッチの適用など,特定のインベントリ情報を更新した場合に,ジョブの実行やポーリングによって配布管理システムと接続するタイミングで,インベントリ情報を自動的に配布管理システムへ通知できます。

この機能は,配布管理システムおよびクライアントのバージョンが07-50以降の場合に使用できます。中継するシステムを使用する場合は,バージョンが07-00以降の中継するシステムを使用してください。

インベントリ情報が更新されたときに配布管理システムへ通知するための設定については,マニュアル「運用ガイド1」の「11.6.3 更新されたインベントリ情報の自動通知」を参照してください。

(a) 通知されるインベントリ情報

この機能では,OS情報やパッチ情報,ウィルス対策製品など,セキュリティ管理に利用できるインベントリ情報を監視します。

監視しているインベントリ情報が更新された場合,更新されたインベントリ情報を含むシステム情報やソフトウェア情報などが通知されます。

更新を監視するインベントリ情報と,通知されるインベントリ情報の対応を次の表に示します。

表2-46 更新を監視するインベントリ情報と通知されるインベントリ情報の対応

更新を監視するインベントリ情報 通知されるインベントリ情報
ホスト名
  • システム情報
  • レジストリ情報
  • ソフトウェア情報
  • [アプリケーションの追加と削除]または[プログラムの追加と削除]に記録されたソフトウェア
  • 日立プログラムプロダクト
  • 適用済みパッチ※2
  • 未適用パッチ※2
  • Microsoft Office製品の情報
  • ウィルス対策製品の情報
  • 標準検索リスト
  • ユーザインベントリ情報
MACアドレス
次に示すOS情報
  • OSバージョン
  • OSサブバージョン
  • OSビルド番号
次に示すIE情報
  • インターネットエクスプローラバージョン
  • IEパッチ情報
次に示すセキュリティ関連の情報
  • Guestアカウント
  • パスワードを更新してからの経過日数
  • 無期限のパスワード
  • 自動ログオンの設定
  • 共有フォルダ
  • 匿名接続の制限
  • スクリーンセーバー
  • スクリーンセーバー パスワードの保護
  • パワーオンパスワード
  • Windowsファイアウォールの設定
  • Windows自動更新
  • 不要なサービス
  • BitLockerによる暗号化情報
  • JP1/秘文 ICおよび秘文 ICによる暗号化情報
  • 秘文 FDEによる暗号化情報

  • システム情報
  • レジストリ情報
[アプリケーションの追加と削除]または[プログラムの追加と削除]に記録されたソフトウェア
  • [アプリケーションの追加と削除]または[プログラムの追加と削除]に記録されたソフトウェア
  • 日立プログラムプロダクト
  • 適用済みパッチ※2
  • 未適用パッチ※2
日立プログラムプロダクト※1
適用済みパッチ
WUA用のデータベースファイル
MBSA 1.2.1用のデータベースファイル
Microsoft Office製品の情報※3 Microsoft Office製品の情報
ウィルス対策製品の情報※3 ウィルス対策製品の情報
注※1
日立プログラムプロダクトがアンインストールされた場合,インベントリ情報は自動的に通知されません。配布管理システムで日立プログラムプロダクトのアンインストールを確認するには,ジョブを実行してソフトウェア情報を取得する必要があります。
注※2
適用済みパッチおよび未適用パッチの情報が自動的に通知されるためには,クライアントでパッチ情報を検出できるよう設定しておく必要があります。パッチ情報を検出する設定については,マニュアル「運用ガイド1」の「7.2.2 WUAを使用した検出に必要なファイルの配布」または「7.2.3 MBSA 1.2.1を使用した検出に必要なファイルの配布」を参照してください。
注※3
クライアントのOSがWindows NT 4.0またはWindows 98のときは,クライアント側に「Windowsスクリプティングホスト」をインストールしておく必要があります。インストールされていない場合は,Microsoft社のホームページからWindows Script 5.6をダウンロードし,インストールしてください。

また,次に示すタイミングでも,配布管理システムへインベントリ情報を通知します。このとき,表2-46で示したすべての通知されるインベントリ情報に,JP1/NETM/DMで配布したソフトウェアの情報を加えたインベントリ情報が通知されます。

(b) 注意事項

インベントリ情報を自動的に通知する場合の注意事項を次に示します。

(4) システム構成の自動登録時の通知

ネットワークへのPCの追加,クライアントのインストール,クライアントの接続先の変更によって,JP1/NETM/DMシステムへ新しいクライアントが追加されたタイミングで,配布管理システムへインベントリ情報を自動的に通知できます。

クライアントが追加されたときに,配布管理システムへインベントリ情報を通知するための設定については,マニュアル「運用ガイド1」の「11.6.4 システム構成の自動登録時の通知」を参照してください。

(a) 通知されるタイミング

配布管理システムへインベントリ情報が通知されるタイミングを次に示します。

(b) 通知されるインベントリ情報

通知されるインベントリ情報を次に示します。

なお,バージョンが05-21より前のNETM/DM/W(中継システム)ではレジストリ情報を管理していません。このため,レジストリ情報の通知によって不要なファイルがディスクに蓄積され,ディスクを圧迫するおそれがあります。したがって,システム構成登録時にNETM/DM/Wへインベントリ情報を通知する場合は,NETM/DM/Wのバージョンを05-21以降にしてください。