JP1/IT Service Level Management

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1.3.2 監視対象サービスの処理ごとのサービス性能の異常の予兆検知と対処の支援

サービスにトラブルが発生した場合,サービス全体にトラブルが発生しているのか,それともサービスの一部の処理にトラブルが発生しているのかが判明すると,より素早い対処ができます。JP1/ITSLMでは,サービス全体の監視に加えてサービスの処理ごとに状況を監視できます。サービスの処理ごとの監視でも「ふだんと異なるサービスの処理ごとの状況」を検知し,トラブルを事前に検知できます。また,過去の監視結果を基に,検知された事象への対処を支援します。

サービスを処理ごとに監視するかどうかは,次のような処理がある場合に検討してください。

ここでは,これらの処理のうち,新しく追加された処理を監視する場合の例を説明します。

監視対象サービスでは,バージョンアップに伴い新機能が追加され,新たに処理が追加されました。追加されたばかりの処理はトラブルが発生しやすいため,サービス全体の監視に加えて,新しく追加された処理をJP1/ITSLMに登録して,個別に監視することになりました。

登録した処理について,サービス性能の異常の予兆を検知して対処するまでの流れを次の図に示します。

図1-9 JP1/ITSLMに登録した処理のサービス性能の異常の予兆を検知して対処するまでの流れ

[図データ]

この例では,新しく登録した処理の状況を監視しています。最初に,登録した処理に対する応答時間の増加という「処理ごとのサービス性能の異常の予兆」が,JP1/ITSLMによって検知されます。次に,JP1/ITSLMでの過去の監視結果から,「処理ごとのサービス性能の異常の予兆」の原因と考えられる事象の発生時期を確認します。この確認結果は,検知された事象への対処に役立てることができます。

異常の予兆が発生した処理と発生時期から原因を特定して対処したあと,JP1/ITSLMでサービスレベルが回復したことを確認すれば,処理ごとのサービス性能の異常の,予兆段階での対処は完了です。

このように,JP1/ITSLMは監視対象サービスの処理ごとのサービス性能の異常の予兆検知をします。また対処にも役立てられます。

なお,この事例については,監視項目の設定例を「3.3.2 監視対象サービスの処理ごとのサービス性能の異常の予兆検知と対処の支援(設定例)」,監視の実行例を「4.6.2 監視対象サービスの処理ごとのサービス性能の異常の予兆検知と対処の支援(実行例)」で説明しています。