JP1/ITSLMでは，評価指標（SLO）となるしきい値に基づいた監視ができます。また，サービスの状況にふだんと異なる様子がないかを監視し，サービス性能の異常の予兆を検知することもできます。

• しきい値に基づいた監視
  SLOなどの具体的な指標に基づき，サービスの状況を評価できます。また，サービスの状況の傾向をリアルタイムに分析し，将来的にSLOを超過するおそれがあるサービスを検知できます。
  
• ふだんと異なるサービスの状況の監視
  サービス利用者が「ふだんと異なる」と感じるような，サービス性能の異常として顕在化する前の，異常の予兆を検知します。異常を予兆の段階で対処することで，安定的にサービスを提供でき，サービス利用者の満足度を高められます。
  

JP1/ITSLMの監視の仕組みを次の図に示します。

図1-4　JP1/ITSLMの監視の仕組み

JP1/ITSLMは，サービス利用者とサービスの提供サーバの間でやり取りされるリクエスト，およびレスポンスのHTTPパケットを収集し，リアルタイムに集計・分析します。これによって，サービスの状況の「今」を監視します。

また，業務システムで提供されるサービスでは，1つ以上のリクエストおよびレスポンスで1つの処理を実現します。例えば，メールサービスの場合，ログイン処理や，メールの一覧表示処理などの各処理は，複数のリクエストおよびレスポンスによって構成されています。JP1/ITSLMでは，これらのサービスの処理ごとの状況を監視するために，監視対象サービスのリクエストとレスポンスのうち，監視したい処理を構成するリクエストとレスポンスを判定して，まとまりとして監視できます。

サービスの処理ごとの監視をする場合，処理のまとまりは，リクエストおよびレスポンスのURIに含まれるクエリや，Cookieの情報を基に判別されます。