JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)
イベントジョブ使用時の注意事項を次に示します。
- イベントジョブは,実行エージェントグループでの運用に対応していません。ルートジョブネットやネストジョブネットに実行エージェントグループを指定した場合,ジョブネット配下の実行エージェントの指定がないイベントジョブは,ジョブネットに指定した実行エージェントグループを実行エージェントとしてジョブを実行しようとします。このとき,実行エージェントグループと同名の実行エージェントがあれば,該当する実行エージェントに対してイベントジョブを実行します。実行エージェントグループと同名の実行エージェントがなければ,ジョブの実行時に統合トレースログにメッセージ「KAVT0403-E 指定されたエージェントはジョブ実行環境に定義されていません(host=実行エージェント名,保守情報)」を出力してエラーになります。したがって,ルートジョブネットやネストジョブネットに実行エージェントグループを指定する場合には,ジョブネット配下のイベントジョブに明示的に実行エージェントを指定しておいてください。
- イベントジョブの詳細定義の[実行エージェント]には,実行エージェントグループ名を指定できません。
- JP1/AJS3が発行したJP1イベント,Windowsイベントログ,syslog,HNTRLib2,およびスケジューラーログなどのログファイルの内容については,事象を発生させたJP1/AJS3自身では正しく検知できません。イベントジョブの監視対象の詳細については,「7.6.9 JP1/AJS3が発行するイベントやメッセージを監視する」を参照してください。
- 起動条件中のイベントジョブについては,起動条件監視中にJP1/AJS3 - Managerが停止した場合,再起動後に再びイベント監視を始められます。また,起動条件で複数のイベントを監視していた場合,条件が成立していたイベントの受信情報を,再起動後も保持しておけます。
- 起動条件を定義してジョブネットを起動するのと同じように,イベントジョブをジョブネットの先頭に定義すると,条件が成立するのを待ってジョブネットを実行できます。起動条件を定義した場合,イベント受信の監視中は,ジョブネットが起動条件待ち状態になります。イベントジョブを定義した場合,イベント受信の監視中は,ジョブネットが実行中状態になります。イベントジョブを先頭に定義する場合は,計画的に発生することがわかっている事象を待つ場合に使うことを推奨します。
- 複数のイベントを監視する場合,正規表現などで一つのイベントジョブとしてまとめて監視すると,性能が向上します。
例えば,JP1イベント受信監視ジョブで,イベントIDが00004131でメッセージがKAVS0272-EとKAVS0273-EのJP1イベントを監視する場合,イベントIDだけを指定する,またはイベントIDに「00004131」を指定し,メッセージに「KAVS」を指定するなどの方法で,イベントジョブを一つにまとめてください。なお,引き継ぎ情報を利用すると,イベントの内容を識別できます。
- JP1イベント受信監視ジョブ,ログファイル監視ジョブおよびWindowsイベントログ監視ジョブの次の項目は,正規表現で定義できます。
正規表現で定義できる項目では,すべての文字に一致する正規表現「.*」を多数使用すると,検知したイベントと監視条件の突き合わせに時間が掛かるため,イベントの検知が遅延する場合があります。そのため,「.*」を使用する場合は必要な個所にだけ使用するようにしてください。
- イベント発行元ユーザー名(JP1イベント受信監視ジョブ)
- イベント発行元グループ名(JP1イベント受信監視ジョブ)
- イベント発行元ホスト名(JP1イベント受信監視ジョブ)
- メッセージ(JP1イベント受信監視ジョブ)
- イベント詳細情報(JP1イベント受信監視ジョブ)
- トラップするデータ(ログファイル監視ジョブ)
- ログ情報以外のデータ行の指定(ログファイル監視ジョブ)
- 説明(Windowsイベントログ監視ジョブ)
- イベントジョブに打ち切り時間を指定した場合,打ち切り時間は実行先のエージェントホストでカウントします。このため,実行先のエージェントホストが電源ダウンなどで再起動するなどしてイベントジョブによる事象の監視が継続された場合,打ち切り時間は実行先エージェントホストが再起動した時刻からカウントされます。なお,打ち切り時間のカウントの再開始,および再開始された時刻は,イベントジョブの実行結果詳細に出力されるメッセージ「KAVT0603-W 監視が一時中断された為、打ち切り時間は再開始時間からの経過となります」で確認できます。また,エージェントホストの状態に関係なく,絶対時刻で監視を打ち切る場合は,ジョブネットの起動条件にイベントジョブを定義し,起動条件の有効範囲を絶対時刻で指定してください。起動条件の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 3.4 起動条件の定義」を参照してください。
- Windowsの場合,JP1/AJS3のイベントジョブは,実行時のJP1ユーザーには依存しません。JP1/AJS3サービスのアカウント権限に依存します。
そのため,イベントジョブの一つであるファイル監視ジョブを使用する場合は,ファイル監視ジョブの監視対象ファイルおよびフォルダに対する書き込みの権限をJP1/AJS3サービスのアカウントに与える必要があります。
権限が与えられていない場合,次に示す現象が起こります。
- ファイル監視ジョブが異常終了する。
- イベントが発生しない。
- JP1/AJS3のイベントジョブは,JP1/Baseの環境設定に定義されているJP1ユーザー,およびそれぞれのジョブに定義されているJP1ユーザーの権限には依存しません。
- イベントジョブを使用する場合,システム負荷や,一時的なネットワーク障害などによってイベントジョブを実行した時間と実際に実行エージェントでイベントの監視が実行中になるまでのタイムラグが発生することがあります。この場合,実際にイベントの監視が実行中になってから発生したイベントが検知の対象となります。このため,イベントジョブを実行する時間は監視対象とするイベントが発生する時間を考慮し,余裕を持った時間に実行する必要があります。
- イベントジョブ(起動条件に設定しているものを含む)を実行した場合,実行したイベントジョブの定義データや,監視条件が成立した際のイベントの情報などがイベント・アクション制御マネージャーやイベント・アクション制御エージェントなどのプロセス間で通信されます。その際,一時的なネットワーク障害や通信相手のプロセスがビジー状態などで通信できないと,いったん通信する情報をファイルに保存し,時間をおいて再試行します。JP1/AJS3ではこのファイルを「未通知情報」と表現しています。再試行に成功すると,未通知情報を削除します。
- JP1/AJS3を使用する場合,JP1/Baseのイベントサービス環境の設定で,API設定ファイルのserverパラメーターの通信タイプに「keep-alive」を設定してください。「close」を設定すると,JP1/AJS3が起動時に発行するJP1イベントが発行できなくなったり,統合トレースログにメッセージKAVT1040-Eが出力されて,JP1イベント受信監視ジョブ,ログファイル監視ジョブ,Windowsイベントログ監視ジョブがイベントを検知できなくなったり,JP1イベント送信ジョブが異常検出終了したりするなど,正常に動作しない問題が発生することがあります。設定方法およびAPI設定ファイルについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- マネージャー・エージェント構成でイベント・アクション制御マネージャーとイベント・アクション制御エージェントがネットワーク障害などで通信できない場合,
次のような操作をすると,イベントジョブ(起動条件として定義されているイベントジョブも含む)はマネージャー上で終了状態になってもエージェント上では監視し続けるという矛盾が発生します。
矛盾が発生しているイベントジョブは再実行できなくなったり,その他の正常なイベントジョブの処理を遅延させたりします。
- イベントジョブを強制終了する。
- 起動条件付きジョブネットを強制終了する。
- イベントジョブの状態を状態変更して終了状態に遷移させる。
そのため,ネットワーク障害などが発生している間にこのような操作をした場合は,マネージャーホストでjpomanjobshowコマンドを,エージェントホストでjpoagtjobshowコマンドを実行してください。その結果を比較して,マネージャー上で終了しているイベントジョブがエージェント上では監視中となっていないか確認してください。
確認の結果,エージェント上のイベントジョブだけが監視中となっていた場合は,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを再起動し,エージェント上で監視し続けているイベントジョブを終了させてください。
- <この節の構成>
- 7.6.1 JP1イベント受信監視ジョブの注意事項
- 7.6.2 ファイル監視ジョブの注意事項
- 7.6.3 メール受信監視ジョブの注意事項
- 7.6.4 ログファイル監視ジョブの注意事項
- 7.6.5 Windowsイベントログ監視ジョブの注意事項
- 7.6.6 実行間隔制御ジョブの注意事項
- 7.6.7 引き継ぎ情報定義時の注意事項
- 7.6.8 イベントジョブを実行したままサービスを再起動する場合の注意事項
- 7.6.9 JP1/AJS3が発行するイベントやメッセージを監視する
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