JP1/Automatic Job Management System 2 解説

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10.4.3 ルートジョブネットの実行順序制御方式

ルートジョブネットの実行開始をジョブネットコネクタと同期して実行させるか,非同期実行させるかをルートジョブネットの実行順序制御方式といいます。実行順序制御方式は,接続先のジョブネット側に設定します。デフォルトは「非同期」です。

それぞれを設定した場合のルートジョブネット実行開始時の動作について説明します。

<この項の構成>
(1) 非同期実行
(2) 同期実行
(3) 実行順序制御方式の一時変更機能

(1) 非同期実行

実行順序制御方式を「非同期」と設定した場合,接続先のジョブネットは接続関係の有無やジョブネットコネクタの状態にかかわらず,自身のスケジュールで実行を開始します。

ジョブネットコネクタが定義されているジョブネットを「jobnetS」,接続先のジョブネットを「jobnetA」とした,実行順序制御方式が「非同期」の場合の動作を次に示します。

図10-64 実行順序制御方式が「非同期」の場合の動作

[図データ]

(2) 同期実行

実行順序制御方式を「同期」と設定した場合,接続関係が成立している世代はジョブネットコネクタが実行開始するまで開始を待ち合わせます。同一実行日に対応する世代がない場合は,自身のスケジュールで実行を開始します。

ジョブネットコネクタが定義されているジョブネットを「jobnetS」,接続先のジョブネットを「jobnetA」とした,実行順序制御方式が「同期」の場合の動作を次に示します。

図10-65 実行順序制御方式が「同期」の場合の動作

[図データ]

この場合,jobnetS自身の開始予定時刻は「6:00」,jobnetAの開始予定時刻は「5:00」ですが,4/16(月),4/18(水)の世代については接続関係が成立しているため,jobnetAは5:00には開始しないで,ジョブネットコネクタの実行と同期して開始します。接続関係を持たない4/17(火)の世代については,自身のスケジュールに従って5:00に実行を開始します。

同期実行の設定は,一度同期して実行したあとに再実行する場合には適用されません。再実行時にも同期させたい場合は,実行順序制御方式の一時変更機能で一時変更してください。

注意事項
実行順序制御方式を「同期」に設定して1日に複数回実行予定がある場合,ジョブネットコネクタを定義したジョブネットの実行が遅延することで,接続先ジョブネットの次回実行予定の世代が生成されないことがあります。その場合,遅延後の接続関係が複雑になってしまうため,ジョブネットコネクタを定義したジョブネットの実行は1日1回とすることをお勧めします。
実行順序制御方式を「同期」に設定して1日に複数回実行する例を次の図に示します。

図10-66 実行順序制御方式を「同期」に設定して1日に複数回実行する例

[図データ]
この例では,ジョブネットコネクタを定義したルートジョブネット(jobnetS)および接続先のジョブネット(jobnetA)の実行開始予定を,6:00,12:00,18:00としています。また,スケジューリング方式にはスケジュールスキップを設定しています。実行登録方法は計画実行登録としています。
jobnetSの6:00に開始した世代「@A104」で,ジョブネットコネクタの先行ジョブ「ジョブ1」がjobnetSの次の実行予定時間12:00を過ぎても終了しなかった場合,jobnetSおよびjobnetAは次のように動作します。
  1. jobnetSの12:00実行予定の世代「@A105」が「繰り越し未実行」状態になる。
    jobnetSにはスケジュールスキップを設定しているため,実行予定時間が前の実行分の処理と重なっている世代は「繰り越し未実行」状態になり実行がスキップされます。
    また,jobnetAの12:00実行予定の世代は,世代「@A101」の実行が開始されないため,擬似予定のまま世代が生成されません。
  2. ジョブ1の実行終了後,jobnetSの世代「@A104」のジョブネットコネクタが実行される。
    同期実行を設定しているjobnetAの世代「@A101」も実行されます。同時に,jobnetAの次回実行予定である18:00実行予定の世代が「開始時刻待ち」状態で生成されます(実行ID「@A103」)。すると,「繰り越し未実行」状態のjobnetSの世代「@A105」とjobnetAの世代「@A103」との接続関係が成立します。jobnetAの世代「@A103」は「繰り越し未実行」状態のジョブネットと接続しているため,「開始時刻待ち」状態のまま実行されません。ジョブネットコネクタおよび接続先ジョブネットの状態遷移については「10.4.4 ジョブネットコネクタおよび接続先のジョブネットの状態遷移」を参照してください。
  3. 時刻が18:00になると,jobnetSの18:00実行予定の世代「@A106」が実行される。
    jobnetSの世代「@A106」には接続する世代が存在しません。そのため,jobnetAに接続先の世代が生成されるかどうかを待つために,jobnetSの世代「@A106」はjobnetAの世代「@A103」が終了するまで「実行中」状態のまま待ち続けます。
    なお,実行順序制御方式を一時変更機能で「非同期」にすると,jobnetSの世代「@A106」は接続先の世代の有無に関係なく実行されます。実行順序制御方式の一時変更機能については「(3) 実行順序制御方式の一時変更機能」を参照してください。
     
なお,時刻が18:00になる前であれば,「繰り越し未実行」状態になったjobnetSの世代「@A105」を再実行することで,接続関係が成立しているjobnetAの世代「@A103」を実行できます。jobnetAの世代「@A103」の終了後,新しく世代が生成されると,jobnetSの世代「@A106」と接続関係が成立してjobnetSの世代「@A106」が実行されます。新しく世代が生成されない場合は,jobnetSの世代「@A106」のジョブネットコネクタはジョブネットと接続できないため,「計画未実行」状態になりジョブネットの実行が終了します。

(3) 実行順序制御方式の一時変更機能

再起動時に接続先のジョブネットをジョブネットコネクタと同期して実行させたい場合や,ある世代に対して設定を一時的に変更したい場合には,実行順序制御方式の一時変更機能を使用できます。

実行順序制御方式の一時変更機能は,次のウィンドウの[操作]−[実行順序制御方式の一時変更]で実行できます。

補足事項
擬似予定に対しては,実行順序制御方式を一時変更できません。

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