JP1/Automatic Job Management System 2 解説
プランニンググループとは,複数のルートジョブネットを自動的に切り替え,一つのルートジョブネットのように実行するためのユニットです。プランニンググループを使うと,運用中にルートジョブネットを切り替えても,GUIでの監視時やコマンドの指定時に名称を変えずに済み,一貫した運用ができます。
切り替えて実行する複数のルートジョブネットには,実行させたい異なる業務(処理)をあらかじめ定義しておきます。例えば,一つのジョブネットには,受注データ集計と受注伝票作成という業務を定義しておきます。もう一つのジョブネットには,受注データ集計,受注伝票作成,および棚卸という業務を定義しておきます。
その後,切り替えて実行する複数のルートジョブネットを,それぞれ実行期間を指定して実行登録します。例えば,一つのジョブネットは2月まで実行するように,もう一つのジョブネットは3月から実行するように登録します。このように登録すると,月の変わり目にジョブネットが切り替わり,2月と3月で異なる業務が,一つのジョブネットのように実行されます。
プランニンググループの運用イメージを次の図に示します。
図10-36 プランニンググループの運用イメージ
プランニンググループを使用したユニットの構成例を次の図に示します。
図10-37 プランニンググループを使用したユニットの構成例
プランニンググループはジョブグループ(スケジューラーサービスを含む)の直下にだけ作成できます。ジョブグループの下には,プランニンググループを複数作成できます。プランニンググループのネストはできません。
プランニンググループの直下には,ジョブネットまたはリモートジョブネットが作成できます。プランニンググループの下に作成したジョブネットまたはリモートジョブネットの定義内容や定義方法は,通常のジョブネットまたはリモートジョブネットと同じです。
プランニンググループ直下のルートジョブネットまたはルートリモートジョブネットを実行登録する場合は,期間を指定した確定実行登録だけができます。計画実行登録や,未来世代数を指定した確定実行登録はできません。
また,プランニンググループには,カレンダー情報を定義できます。上位のジョブグループのカレンダー情報を引き継ぐこともできます。プランニンググループは,マネージャージョブグループやカレンダー定義の参照先としても指定できます。
- <この項の構成>
- (1) ルートジョブネット間で有効になるユニット定義情報
- (2) プランニンググループの排他スケジュール
(1) ルートジョブネット間で有効になるユニット定義情報
プランニンググループの下にあるルートジョブネットは,確定実行登録すると同じプランニンググループの下にある,ほかのルートジョブネットと連携して実行されます。連携すると,プランニンググループのルートジョブネット間で,次に示すユニット定義情報の設定が有効になります。
- 多重起動とスケジューリング方式
- 前回異常終了時/前回異常警告時の保留
8月と9月でジョブネットを切り替えて実行するプランニンググループを例にして,設定が有効になるユニット定義情報の項目について説明します。
(a) 多重起動とスケジューリング方式
プランニンググループの下にあるルートジョブネットに対して,多重起動とスケジューリング方式(スケジュールスキップ,多重スケジュール)を設定できます。多重起動とスケジューリング方式については,「3.4.3 多重起動とスケジューリング方式」を参照してください。
- スケジュールスキップ
9月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式にスケジュールスキップを設定した例を,次の図に示します。
図10-38 スケジュールスキップを設定した場合
8/31の世代の実行が,次の世代の開始予定時刻までに終了しなかったので,9/1の世代は実行されないで繰り越し未実行になります。
- 多重スケジュール(多重起動なし)
9月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式に多重スケジュールを,多重起動に「不可能」を設定した場合の例を,次の図に示します。
図10-39 多重スケジュールを設定し,多重起動を設定しなかった場合
8/31の世代の実行が,次の世代の開始予定時刻までに終了しませんでした。9/1の世代は,8/31の世代の実行が終了したあとで実行されます。
- 多重スケジュール(多重起動あり)
8月に実行されるジョブネットのスケジューリング方式に多重スケジュールを,多重起動に可能を設定した場合の例を,次の図に示します。
図10-40 多重スケジュールと多重起動を設定した場合
8/31の世代の実行が,次の世代の開始予定時刻までに終了しませんでした。9/1の世代は,8/31の実行が終了する前に実行されます。
なお,次の場合は,多重起動を設定しても,後続の世代は実行されません。
- 実行世代が保留中の場合
- 実行世代がない場合
- 前の実行世代が保留中の場合
前の実行世代が保留中のため,多重起動を設定しても実行されない例を次の図に示します。
図10-41 前の実行世代が保留中の場合
8/31分の実行世代が保留中のままで,9/1の世代の開始予定時刻に到達しました。前の実行世代が開始されていないため,9/1の世代は実行されません。
- 前の実行世代がない場合
前の実行世代がないため,多重起動を設定しても実行されない例を次の図に示します。
図10-42 前の実行世代がない場合
この例では,8/30の世代が9/1になっても終了していません。8/30の世代は打ち切り時間を無制限としているため,実行中のままです。8/31の世代は多重起動を設定していないので,8/30の世代が終了するまで実行されません。その結果,9/1の世代は前の世代に実行されている世代がないため,実行されません。
(b) 保留(前回異常時と前回異常警告時)
プランニンググループの下にあるルートジョブネットに対して,前回の実行が異常または異常警告のときに,次の実行を保留するように設定できます。
9月に実行されるジョブネットの保留属性に,前回異常時だけ保留,または前回異常警告時だけ保留を設定した場合の例を,次の図に示します。
図10-43 保留属性を設定した例
8/31の世代の実行が異常終了して,9/1の世代の開始予定時刻に到達しました。9/1の世代の状態は保留中になります。
(2) プランニンググループの排他スケジュール
ジョブネットの排他スケジュールには,プランニンググループも設定できます。
プランニンググループに対して排他スケジュールを使用する場合,指定できる組み合わせと指定できない組み合わせがあります。プランニンググループの排他スケジュールの指定可否を次に示します。
図10-44 プランニンググループの排他スケジュールの指定可否
表10-17 プランニンググループの排他スケジュールの指定可否
図中の番号 指定可否 排他スケジュール指定元のジョブネット 排他スケジュールの指定先 (1) ○ ジョブネット 同一階層のプランニンググループ (2) ○ プランニンググループの下にあるジョブネット プランニンググループと同一階層のジョブネット (3) ○ プランニンググループの下にあるジョブネット プランニンググループと同一階層の別のプランニンググループ (4) × プランニンググループの下にあるジョブネット 同じプランニンググループ下のジョブネット (5) × ジョブネット 異なる階層にあるプランニンググループ プランニンググループの排他スケジュール設定例を次に示します。
図10-45 プランニンググループの排他スケジュール
排他スケジュールとしてプランニンググループを指定した場合,プランニンググループ配下のジョブネットの実行予定に対して排他スケジュールされます。上記の例で,ジョブネットAは排他スケジュールにプランニンググループを指定しているため,プランニンググループ配下のジョブネットB,ジョブネットCの実行予定に対して排他スケジュールされます。また,ジョブネットB,ジョブネットCにはそれぞれ排他スケジュールとしてジョブネットDが設定されているため,ジョブネットAの実行予定はジョブネットDの実行予定に対しても排他スケジュールされます。
次に,プランニンググループ同士を排他スケジュールにした場合の例を示します。
図10-46 プランニンググループ同士の排他スケジュールの設定例
プランニンググループ1配下のジョブネットB,ジョブネットCともに排他スケジュールとしてプランニンググループ2が設定されているため,プランニンググループ2配下のジョブネットD,ジョブネットEの実行予定に対して排他スケジュールされます。したがって,プランニンググループAが排他スケジュールとして設定されているジョブネットAの実行予定は,ジョブネットD,ジョブネットEの実行予定に対しても排他スケジュールされます。
Copyright (C) 2006, 2010, Hitachi, Ltd.
Copyright (C) 2006, 2010, Hitachi Software Engineering Co., Ltd.