JP1/Automatic Job Management System 2 解説

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7.2.4 監視プロパティの設定

業務スコープに定義したAJS2ユニット監視オブジェクトをどのような方法で監視するかを定義したものを監視プロパティといいます。監視プロパティの定義内容には,次の三つがあります。

<この項の構成>
(1) 監視方法の設定
(2) 保留予定の表示方法
(3) 監視間隔

(1) 監視方法の設定

監視方法には,監視対象のジョブネットのうちどこからどこまでの世代を監視するか,監視範囲内にある世代のうちどのような状態を優先して表示するか,という二つの概念によって次の四つの方法があります。

それぞれの監視方法について,監視する世代の範囲と,状態の表示優先度の二つに分けて説明します。

なお,ログイン先のJP1/AJS2 Console ManagerとしてJP1/AJS2 - Console 06-71をお使いの場合,監視方法に「当日時刻予定優先」および「全世代時刻予定優先」を設定することはできません。また,監視対象となるジョブネットが定義されているマネージャーホスト(JP1/AJS2 - Manager)のバージョンが06-71の場合は,監視方法に「当日時刻予定優先」または「全世代時刻予定優先」を設定すると,AJS2ユニット監視オブジェクトは「状態不明」状態となり,監視できません。

(a) 監視する世代の範囲

AJS2ユニット監視オブジェクトの実体であるジョブネットは,複数の世代を持ち,また世代ごとにそれぞれの状態があるため,どこからどこまでの世代を監視するのかを決めておきます。

(b) JP1/AJS2 Consoleの状態の表示優先度

監視対象の状態の表示優先度には,予定より結果を優先する場合の優先度と結果より予定を優先する場合の優先度の2とおりがあります。

表7-4 監視方法と表示優先度

監視方法 表示優先度
当日時刻優先 予定より結果を優先的に表示する
 
全世代時刻優先
当日時刻予定優先 結果より予定を優先的に表示する
 
全世代時刻予定優先
 

それぞれの場合の,状態の表示優先度を次に示します。

 

注※
再実行時の世代に限り,通常の世代の開始時刻待ち状態よりも表示優先度が高くなります。通常の開始時刻待ちの世代は「予定」に含まれます。
 

注※
再実行時の世代に限り,通常の世代の開始時刻待ち状態よりも表示優先度が高くなります。通常の開始時刻待ちの世代は「予定」に含まれます。

二つの表からわかるように,「実行中」の世代が最も優先して表示されます。また,同じ状態の世代が複数ある場合は,各状態の開始時刻,開始予定時刻,終了時刻などの時刻が現在時刻に最も近い世代を優先します。

同じ状態の世代が複数ある場合の表示例を次に示します。

図7-11 同じ状態の世代が複数ある場合の表示例

[図データ]

(c) 結果優先と予定優先の状態表示例

結果優先の場合と予定優先の場合の,当日対象および全世代対象の状態表示例を次に示します。

●ジョブネットの予実績とJP1/AJS2 Consoleの状態表示

監視の対象範囲にある各世代の状態(予実績)と,JP1/AJS2 Consoleで表示される状態を示します。

表7-7 各世代の状態(予実績)とAJS2ユニット監視オブジェクトの状態表示

各世代の状態(予実績) AJS2ユニット監視オブジェクトの
状態表示
前日
以前
当日 翌日
以降
結果優先 予定優先
現在 当日 全世代 当日 全世代
未登録 未登録 未登録 未登録 未登録 未登録 未登録 未登録 未登録
未計画 未計画 未計画 未計画
結果 未計画 結果 未計画 結果
結果 結果 結果 結果 結果
実行中 実行中 実行中 実行中 実行中
予定 予定 予定 予定 予定
予定 未計画 予定 未計画 予定
結果1 結果2 実行中 予定1 予定2 実行中 実行中 実行中 実行中
結果1 結果2 結果2 結果2 結果2 結果2
結果 実行中 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 予定 予定 結果 予定 予定
結果 予定 未計画 結果 未計画 予定
結果 実行中 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 予定 結果 結果 予定 予定
結果 予定 結果 結果 結果 予定
実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
予定1 予定2 予定1 予定1 予定1 予定1
結果1 結果2 実行中 実行中 実行中 実行中 実行中
結果1 結果2 予定 結果2 結果2 予定 予定
結果1 結果2 予定 結果2 結果2 結果2 予定
結果 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 予定1 予定2 予定1 結果 予定1 予定1
結果 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 予定1 予定2 結果 結果 予定1 予定1
実行中 予定1 予定2 実行中 実行中 実行中 実行中
結果1 結果2 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果1 結果2 実行中 予定 実行中 実行中 実行中 実行中
結果1 結果2 予定1 予定2 結果2 結果2 予定1 予定1
結果 実行中 予定1 予定2 実行中 実行中 実行中 実行中
結果 実行中 予定1 予定2 実行中 実行中 実行中 実行中

(凡例)
−:世代なし。

監視の対象範囲に世代(予実績)がない場合は,「未計画」と表示されます。また,「起動条件待ち」の世代は,表示の対象外となります。

●起動条件が設定されているジョブネットの状態表示

監視対象のジョブネットに起動条件が設定されている場合の状態表示について次に示します。

表7-8 起動条件付きジョブネットの状態表示

起動条件の成立 状態 AJS2ユニット監視オブジェクトの表示
起動条件 ルート
ジョブネット
結果優先 予定優先
不成立 監視中 起動条件待ち 監視中 監視中
監視未起動終了 監視未起動終了 監視未起動終了
または
開始時刻待ち
監視打ち切り終了 監視打ち切り終了 監視打ち切り終了
または
開始時刻待ち
監視中断 監視中断 監視中断
または
開始時刻待ち
成立 監視中 実行中
起動条件待ち
実行中 実行中
結果
起動条件待ち
結果 監視中
監視打ち切り終了 実行中 実行中 実行中
監視打ち切り前結果 監視打ち切り終了 監視打ち切り終了
または
開始時刻待ち
監視打ち切り後結果 結果 結果
または
開始時刻待ち
監視中断 結果 監視中断 監視中断
または
開始時刻待ち
監視正常終了 実行中 実行中 実行中
結果 結果 結果
または
開始時刻待ち

(凡例)
−:世代なし。

●スケジュールスキップ,多重スケジュールが設定されているジョブネットの状態表示

監視対象のジョブネットにスケジュールスキップ,または多重スケジュール(多重起動なし)が設定されている場合の状態表示について次に示します。

図7-12 スケジュールスキップ・多重スケジュール(多重起動なし)の状態表示例

[図データ]

スケジュールスキップを設定しているジョブネットの場合,スキップされた世代は「繰り越し未実行」状態となりますが,スキップされた世代の前世代の結果の方が現在時刻に近いため,「繰り越し未実行」状態は表示されません。

また,多重スケジュール(多重起動なし)を設定しているジョブネットの場合は,前の世代が終了するまで「開始時刻待ち」状態となりますが,前世代の「実行中」の状態の方が優先度が高いため,「開始時刻待ち」状態は表示されません。

●再実行したジョブネットの状態表示

ジョブネットが終了状態になってから再実行した場合は,再実行開始時刻を用いて表示する世代を決定します。次の場合,「実行中2」の実行開始時刻よりも「実行中1」の再実行開始時刻の方が現在時刻に近いため,「実行中1」が表示されます。

図7-13 ルートジョブネットが終了状態になってから再実行した場合の動作

[図データ]

一方,ルートジョブネットの状態が実行中のときに再実行した場合は,実行開始時刻を用いて表示する世代を決定します。次の例の場合,「実行中1」の実行開始時刻よりも「実行中2」の実行開始時刻の方が現在時刻に近いため,「実行中2」が表示されます。

図7-14 ルートジョブネットが実行中のときに再実行した場合の動作

[図データ]

(2) 保留予定の表示方法

監視対象のジョブネットに保留属性が設定されている場合,表示の対象が実行予定世代のときに保留予定を示す表示色で状態表示するかどうかについて定義します。

保留予定の表示方法には,ルートジョブネットの保留属性が「保留する」と設定されている場合および保留属性変更で保留属性設定した場合(保留「あり」にした場合)に保留予定を表示する方法と,保留属性変更で保留属性設定した場合だけ保留予定を表示する方法の二つがあります。

ジョブネットの保留属性と保留予定の表示について次に示します。

表7-9 ジョブネットの保留属性と保留予定の表示

保留属性
 
ルートジョブネットの保留属性定義
 
保留属性変更
保留あり 保留なし
保留しない × ×
保留する ×
前回異常時保留 × ×
前回異常警告時保留 × ×

(凡例)
○:保留予定として表示する
×:保留予定として表示しない
△:「保留属性変更分だけを表示する」の場合は表示しない

補足事項
ログイン先のJP1/AJS2 Console ManagerとしてJP1/AJS2 - Console 06-71をお使いの場合,保留予定の表示機能は使用できません。また,監視対象のジョブネットが定義されているマネージャーホスト(JP1/AJS2 - Manager)のバージョンが06-71以前である場合についても,保留予定を表示することはできません。

なお,保留予定を状態色表示するのは,AJS2ユニット監視オブジェクトに限ります(ネスト業務スコープは状態色表示しません)。

(3) 監視間隔

「監視間隔」では,JP1/AJS2 Console AgentがJP1/AJS2 Console Managerに状態を通知する間隔を秒単位で設定します(デフォルトは300秒)。

JP1/AJS2 Consoleでは,監視対象のジョブネットに状態の変化があった場合,次の流れで状態通知が行われます。

ジョブネットの状態通知の流れを次の図に示します。

図7-15 状態通知の流れ

[図データ]

まず,JP1/AJS2 Console Agentが監視対象のジョブネットを定期的に監視しています。ジョブネットの状態に変化があると,JP1/AJS2 Console AgentからJP1/AJS2 Console Managerへ更新された状態が通知されます。JP1/AJS2 Console Agentから通知を受けた状態がJP1/AJS2 Console ManagerからJP1/AJS2 Console Viewに通知され,AJS2ユニット監視オブジェクトおよびそれを含む業務スコープアイコンの表示色が更新されます。

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