JP1/Automatic Job Management System 2 解説

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2.1.1 業務の運用方法の検討

JP1/AJS2を使って業務を自動化するには,まず自動化する業務を選定し,選定した業務をどのような運用計画の下で実行させるかを検討します。

業務を自動化するためには,次の項目について検討する必要があります。

<この項の構成>
(1) 自動化する業務の選定
(2) 自動化のために必要な処理の検討
(3) 運用カレンダーの設定
(4) 業務の実行日時や実行サイクルの検討
(5) JP1/AJS2を使用するユーザーとアクセス権限の検討

(1) 自動化する業務の選定

自動化する業務を選定します。JP1/AJS2では,日次・月次など毎回決まった周期で実行するような定型業務ばかりでなく,先行の処理の結果次第でその後の処理が動的に変わるような業務なども自動化できます。また,何かの事象の発生を契機に実行するような変則的・突発的な業務にも対応しています。

(例)
  • 毎月5・10・15・20・25日に自動的に出納帳を作成し,出力する。実行する日が休業日に重なった場合は,翌日に振り替えて実行する。
  • 毎日終業時に支店内の売り上げ合計を算出し,夜間に全支店の売り上げ合計を本社で集計する。集計が終了したらデータベースを更新する。集計が失敗した場合は,データベースを更新しないようにする。
  • 日中は,オペレーターが受注品目や受注金額を入力したときだけ自動的にデータベースを更新し,受注伝票を作成する。夜間は,受注伝票の項目ごとに作成された分野別データベースに日中入力された情報を登録する。

(2) 自動化のために必要な処理の検討

選定した業務の自動運用のために必要な処理を洗い出し,それぞれの処理の実行プログラムや実行順序を検討します。また,処理側に設定するアクセス権限(どのようなユーザーがアクセスでき,実行や定義・編集できるかなど)についても検討します。

(例)
毎日18:00に,その日の総受注数と総仕入れ数から売り上げデータを算出し,結果を日報にまとめる(日報処理)業務の場合

必要な処理
  • 総受注数を計算する処理(実行プログラム:juchu.exe)
    総受注数を計算し,結果をファイルに出力する。
  • 総仕入れ数を計算する処理(実行プログラム:shiire.exe)
    総仕入れ数を計算し,結果をファイルに出力する。
  • 日報を作成する処理(実行プログラム:nippou.exe)
    総受注数と総仕入れ数から売り上げデータを算出し,日報にまとめる。

処理の実行順序
総受注数を計算する処理と,総仕入れ数を計算する処理はどちらが先でもよいので並行して実行させる。それぞれの計算が終了したら,その結果から売り上げデータを計算して日報を作成するので,総受注数の計算と総仕入れ数の計算のあとに日報を作成する処理を実行する。

処理に対する操作権限
  • システム管理者と,営業部のフロー担当者,オペレーターに限りアクセスできる。営業部のフロー担当者は定義・編集だけ,オペレーターは実行だけできる。

その他,必要な処理の検討
  • 終了判定
    処理の終了状態を判定するためのしきい値を検討する。例えば,戻り値が0ならば正常終了,1〜4ならば警告終了,5以上ならば異常終了とする,など。
  • 障害回復
    障害が発生した場合にどのような処理を実行させるかなどについて検討する。
  • 遅延監視
    処理の開始が遅れた場合に支障をきたす処理,処理の終了が遅れた場合に支障をきたす処理については,遅延監視を行う。
  • 処理の打ち切り
    処理の実行状態がどのような場合に処理を打ち切るか,打ち切ったあとにはどのように対処するか,などを検討する。
  • 処理の再実行
    どのような場合(異常発生時など)に再実行するか,また,どの処理から再実行するかなどをあらかじめ検討しておく。

(3) 運用カレンダーの設定

カレンダーに平日と日曜日や祝祭日などの休日があるように,会社または業務での平日(運用日)・休日(休業日)を設定し,JP1/AJS2運用上のカレンダーを定義します。また,JP1/AJS2では,処理に合わせて何日から何日までを一か月として扱うか,一日の開始時刻を何時からとするかなどを設定できるので,これらについても処理の形態に合わせて検討します。

(例)

休業日・運用日の検討
  • 土曜日・日曜日・祝祭日は休みなので休業日とする。
  • 会社は土曜日・日曜日・祝祭日が休業日だが,土曜日に処理を実行したいので土曜日は運用日とする。
  • 基本的に土曜日・日曜日・祝祭日は休業日だが,第2土曜日は運用日とする。

月の開始日,一日の開始時刻の検討
  • 毎月25日締めの処理なので,26日を月の開始日とする(例えば,8/26から9/25を8月として扱う)。
  • 実際には翌日のAM6:00に開始する処理だが,当日扱いとして処理したいのでAM7:00から翌日のAM6:59までを一日として考える。

(4) 業務の実行日時や実行サイクルの検討

業務を開始する日時やどのような周期で自動実行させるかを検討します。また,前もって開始日時を指定できないような処理などには,どのような場合に処理を開始するのかという開始条件を検討します。

(例)

実行日時・実行サイクルの検討
  • 何年何月何日(2006年8月10日)から実行を開始する。
  • 毎日9:00から処理を開始する。
  • 毎週金曜日の17:00に処理を開始する。
  • 第2月曜日の8:00から処理を開始する。
  • 実行予定が休業日と重なった場合は,翌日に振り替えて実行する。

開始条件の検討
  • データファイルが更新されたら処理を実行する。
  • 先行の処理の終了後,10分経過したら処理を実行する。
  • 毎週金曜日の17:00からファイルの監視を開始し,ファイルが更新された場合はそのつど処理を実行する。

(5) JP1/AJS2を使用するユーザーとアクセス権限の検討

JP1/AJS2を使用するユーザー(JP1ユーザー)を選定し,各ユーザーの業務に対する操作権限(アクセス権限)を検討します。

なお,アクセス権限は,JP1/AJS2であらかじめ用意されているものから選んで設定します。

(例)
  • 経理部の業務フロー担当は,経理部関連の業務の定義・変更はできるが,実行はできない。人事部関連の業務に対しての操作権限は一切ない。
  • 経理部の業務オペレーターは,経理部関連の業務の実行はできるが,定義・変更はできない。人事部関連の業務に対しては参照だけできる。
  • 人事部の業務フロー担当は,人事部関連の業務の定義・変更はできるが,実行はできない。経理部関連の業務に対しての操作権限は一切ない。
  • 人事部の業務オペレーターは,人事部関連の業務の実行はできるが,定義・変更はできない。経理部関連の業務に対しては参照だけできる。
  • 営業部の一般社員は,営業部関連の業務の参照だけできる。
  • システム管理者は,部署を問わずすべての業務に対してすべての権限を持つ。

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