JP1/Integrated Management - Rule Operation システム構築・運用ガイド

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2.2.2 ルールの実行

JP1/IM - RLがルールを実行する契機は,JP1/IM - Managerからのルール起動要求です。次に,ルールを起動する仕組みと,ルール起動から実行までの仕組みについて説明します。

<この項の構成>
(1) ルール起動の仕組み
(2) ルール実行の仕組み
(3) 実行中および実行終了したルールに対する操作

(1) ルール起動の仕組み

各エージェントホストから発行されたJP1イベントは,JP1/IM - Managerに通知されます。JP1/IM - Managerは,エージェントホストでルール起動対象イベントが発生すると,自動アクション機能を使ってJP1/IM - RLに通知します。ルール起動対象イベントとは,ルール起動条件に一致する可能性のあるJP1イベントのことです。ルール起動対象イベントの条件は,JP1/IM - Managerで自動アクションの条件として設定しておきます。

なお,ルール起動対象イベントの条件を設定する場合,すべてのJP1イベントをJP1/IM - RLに通知する設定にはしないでください。すべてのJP1イベントに対して自動アクションが実行されると,自動アクションが大量にキューイングされて,アクションが遅延する原因になります。ルール起動対象イベントの条件には,「重大度が警告以上で,かつJP1/AJS2が発行するJP1イベント」といった条件を設定して,JP1/IM - RLに通知されるJP1イベントを絞り込むようにしてください。自動アクションの設定方法については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド」を参照してください。

ルールが起動するまでの流れを,次の図に示します。

図2-9 ルールが起動するまでの流れ

[図データ]

図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は下記の番号にそれぞれ対応しています)。

  1. JP1/IM - Managerは,各エージェントホストから,システムで発生した事象についてのJP1イベントを受け取ります。
  2. エージェントホストから受け取ったJP1イベントの中に,ルール起動対象イベントがある場合,JP1/IM - Managerは,自動アクション機能によって,JP1/IM - RLにルール起動要求を通知します。
  3. JP1/IM - Managerからルール起動要求を受けると,JP1/IM - RLはルール起動対象イベントとルール起動条件が一致するか判定し,一致する場合にルールを起動します。

備考
1台のJP1/IM - RLにルール起動要求を出せるJP1/IM - Managerは1台だけです。複数のJP1/IM - Managerからのルール起動要求は受けることができません。

(2) ルール実行の仕組み

ルールが起動すると,JP1/IM - RLはルール実行オブジェクトであるルールインスタンスを生成します。ルールインスタンスには,一意のID(実行ID)が付与され,同じルールが複数実行された場合でも特定できるようになっています。

ルールインスタンスは,生成後キューイングされます。同時に実行できるルールインスタンス数は最大20個のため,実行中のルールインスタンスが20個に達した場合,以降のルールインスタンスはキューの中で実行開始待ちになります。なお,キューイングできるルールインスタンス数は,最大1,000個のため,キューの中で実行開始待ちになっているルールインスタンスが1,000個に達した場合,次に生成されたルールインスタンスは異常終了になります。

ルール実行先ホストでは,同一ホストに対するコマンドの同時実行数は最大5個です。6個以上のコマンドが実行された場合は,コマンド実行をリトライします。リトライ間隔やリトライ回数は,コマンド制御設定ファイルで変更することができます。詳細は,「10. 定義ファイル」の「コマンド制御設定ファイル(jp1rm_command_exec_env_V8.conf)」を参照してください。

また,コマンド実行ルールエレメントの実行中に,ルール実行先のホストでJP1/Baseのリロードコマンド(jbs_spmd_reload)を実行しないでください。実行すると,コマンドの実行が中断し,コマンド実行ルールエレメントが異常終了します。

(3) 実行中および実行終了したルールに対する操作

実行中のルールインスタンスには,対処の選択,遅延監視,および強制終了の操作ができます。実行が終了したルールインスタンスには,再実行の操作ができます。次に,それぞれの機能を説明します。

(a) 対処の選択

判断待ちルールエレメントまで進むと,JP1/IM - RLは判断待ちイベントをJP1/IM - Managerに通知し,ユーザーの対処を待つ状態になります。ユーザーは,JP1/IM - Managerの[イベントコンソール]画面で,判断待ちイベントから[ルールモニタ]画面を起動し,その後の対処を選択することができます。

(b) ルールの遅延監視

JP1/IM - RLは,ルールインスタンスがキューイングされると,実行状態を監視します。指定した時間を超えてもルールインスタンスが終了しない場合に,終了遅延イベントを発行して,ユーザーに知らせることができます。

遅延監視の対象は,ルールインスタンスのキューイング開始から,ルールインスタンスの終了までです。ルール起動対象イベントがJP1/IM - Managerに到着してから,ルール起動要求の通知を完了するまでの監視については,JP1/IM - Managerの自動アクションの実行監視機能を使用します。自動アクションの実行監視については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager システム構築・運用ガイド」を参照してください。ルールの遅延監視の対象時間を,次の図に示します。

図2-10 遅延監視の対象時間

[図データ]

ルールの遅延監視をするかどうかは,ルール作成時にルールごとに指定します。

(c) ルールの強制終了

実行中のルールインスタンスを強制終了できます。強制終了を実行すると,実行中のルールエレメントも終了します。この機能は,次に示す状態のルールインスタンスに対して実行できます。

(d) ルールの再実行

終了したルールインスタンスを再実行することができます。再実行すると,ルール起動条件ルールエレメントの次のルールエレメントから実行されます。この機能は,次に示す状態のルールインスタンスに対して実行できます。

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