JP1/Base 運用ガイド
ここでは,ネットワークを分離した環境でJP1/Baseを運用する際の考え方について,次の図に示すシステム構成例を基に説明します。この構成例では,物理ホストhostAおよび論理ホストlogicalAをマネージャーホストとし,hostXやhostYをエージェントホスト(またはクライアントホスト)として運用すると仮定して説明します。具体的には,hostXのJP1/AJS2 - ViewからhostAのJP1/AJS2 - Managerにログインし,hostYでジョブを実行させたい場合や,hostXのJP1/IM - ViewからhostAのJP1/IM - Managerにログインし,hostYを監視したり,hostYで自動アクションを実行させたい場合などです。
図11-3 分離されたネットワークでJP1/Baseを運用する場合のシステム構成例
設定のポイントを次に示します。
- JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか
- JP1/Base本体の通信設定をどうするか
JP1/Base本体の通信設定とは,ホスト間でJP1イベント以外のデータをやり取りするために必要な設定を意味します。ユーザー認証や構成定義の配布・リモートコマンド(JP1/IM用)などが該当します。JP1/Base本体の通信設定を考える上で重要になるのは,次に示す2点です。
- jp1hosts情報の定義
- 送信時と受信時の通信方式の選択
- イベントサービスの通信設定をどうするか
イベントサービスの通信設定とは,ホスト間でJP1イベントをやり取りするために必要な設定を意味します。
なお,通信設定を変更した場合は,JP1/Baseを必ず再起動させる必要があります。
- <この項の構成>
- (1) JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか
- (2) jp1hosts情報の定義(JP1/Base本体用)
- (3) 送信時と受信時の通信方式の選択(JP1/Base本体用)
- (4) イベントサービスの通信設定
- (5) JP1/Baseの再起動
(1) JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか
JP1/Base 06-71以降は互換性を保つため,インストール時には06-51以前の通信設定で動作します。JP1/Baseの通信方式を採用するかどうか,まず検討してください。
(2) jp1hosts情報の定義(JP1/Base本体用)
OSによっては,一つのホスト名から複数のIPアドレスに解決できない場合があります。この場合,JP1/BaseはJP1/Base独自のhosts情報を定義すれば,IPアドレス解決ができます。このJP1/Base独自のhosts情報をjp1hosts情報と呼びます。なお,物理ホスト,論理ホスト共にサブネット1,サブネット2を使用するためには,それぞれが使用するIPアドレスを両NICに割り当てる必要があります(UNIXの場合ipconfigコマンドを使用します)。そして,その情報をjp1hosts情報として定義します。
また,hostXでping logicalAを実行したときに,サブネット2側の20.0.0.11を検索し,通信ができないことがあります。この場合も,hostXでjp1hosts情報を定義すれば解決できます。
- 注意事項
- hostsやDNSの設定で対処できない場合だけ,必要な設定をjp1hosts情報に定義してください。
jp1hosts情報は,jp1hosts定義ファイルを編集し,コマンド(jbshostsimportコマンド)を使って共通定義情報に登録すると反映できます。詳細については,「11.3.2 jp1hosts情報を定義する」を参照してください。
(3) 送信時と受信時の通信方式の選択(JP1/Base本体用)
複数ネットワークに接続されるホストをクラスタ運用している場合,通信方式を変更する必要があります。図11-3を基にして,以降で簡単に説明します。
複数ネットワークに接続されたホストは,物理ホスト,論理ホストを使用しているため,受信設定をANYバインド方式にすると,物理ホストあてのデータを論理ホストが受け取ったり,論理ホストあてのデータを物理ホストが受け取ったりするようになります。このため,受信設定は,IPバインド方式にする必要があります。
一方,送信設定をIPバインド方式にすると,送信データがサブネット1だけ,またはサブネット2だけしか流れなかったりするため,送信設定はANYバインド方式にする必要があります。
通常,クラスタシステム用の設定をすると受信設定,送信設定共にIPバインド方式となります。このため,送信設定だけをANYバインド方式に変更する必要があります。JP1/Base本体の通信方式の変更は,通信方式設定ファイルをコマンド(jbssetcnfコマンド)を使って共通定義情報に登録すると反映できます。詳細については,「11.3.3 通信方式を変更する」を参照してください。
(4) イベントサービスの通信設定
イベントサービスの場合,イベントサーバ設定ファイル(conf)を編集すると,JP1/Base本体の「(2) jp1hosts情報の定義(JP1/Base本体用)」および「(3) 送信時と受信時の通信方式の選択(JP1/Base本体用)」に該当する通信設定が行えます。詳細については,「11.3.4 イベントサービスの通信設定を変更する」を参照してください。
(5) JP1/Baseの再起動
JP1/Baseの通信設定を変更した場合,必ず再起動する必要があります。
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