JP1/Base 運用ガイド
SNMPトラップ変換機能を使用する前に知っておくべきことについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) 動作環境
- (2) 変換できるSNMPトラップ
- (3) 注意事項
(1) 動作環境
SNMPトラップ変換機能を使用するための動作環境を次に示します。
- SNMPトラップ変換機能をサポートするOSを次に示します。
- Windows XP Professional
- Windows Server 2003(Windows Server 2003(x64),およびWindows Server 2003(IPF)を除く)
- HP-UX
- Solaris(Solaris大域ゾーン)
- NNMのovstartコマンドの実行環境とNNMのGUIであるovwのLANG環境変数が同じであること。
両方のLANG環境変数が異なる場合,SNMPトラップをJP1イベントに変換できなかったり,NNMのアラーム・ブラウザの表示と異なる変換をしたりすることがあります。詳細についてはNNMのマニュアルを参照してください。
- SNMPトラップ変換機能がサポートするNNMのバージョン
SNMPトラップ変換機能がサポートするNNMのバージョンは,JP1/BaseがサポートするOSの種類によって異なります。OSによるSNMPトラップ変換機能がサポートするNNMのバージョンを次の表に示します。
表7-3 Windows,HP-UX(PA-RISC),Solarisの場合
SNMPトラップ変換機能がサポートするNNM バージョン JP1/Cm2/Network Node Manager 07-00,07-01,07-10 JP1/Cm2/Network Node Manager Starter Edition Enterprise 08-00,08-10 JP1/Cm2/Network Node Manager Starter Edition 250 08-00,08-10 JP1/Cm2/Network Node Manager Enterprise 05-20,06-00,06-50,06-51,06-71 JP1/Cm2/Network Node Manager 250 05-20,06-00,06-50,06-51,06-71 hp OpenView network node manager 6.0,6.1,6.2,6.4 hp OpenView network node manager Starter Edition 7.5 表7-4 HP-UX(IPF)の場合
SNMPトラップ変換機能がサポートするNNM バージョン JP1/Cm2/Network Node Manager Starter Edition Enterprise 08-00,08-10 JP1/Cm2/Network Node Manager Starter Edition 250 08-00,08-10 hp OpenView network node manager Starter Edition 7.5
(2) 変換できるSNMPトラップ
SNMPトラップ変換機能では,変換したいSNMPトラップの条件として,フィルターファイル(snmpfilter.conf)にイベント変換対象とするエンタープライズ名およびイベント名を指定します。また,イベント変換対象外とするエンタープライズ名およびイベント名も指定できます。フィルターファイル(snmpfilter.conf)に定義した内容がNNMのtrapd.confに定義されているエンタープライズ名およびイベント名と完全に一致するものが変換対象となります。フィルターファイルに定義するエンタープライズ名およびイベント名は,trapd.confに定義されているエンタープライズ名およびイベント名と完全に一致させてください。なお,trapd.confは,NNMが起動する言語環境によって異なるため注意してください。
SNMPトラップ変換機能は,trapd.confから変換対象のSNMPトラップの情報を取得してJP1イベントに変換します。取得する情報は,メッセージ,重要度,エンタープライズ名,エンタープライズID,オブジェクト名,オブジェクトID,およびソースリストです。
変換できるSNMPトラップの条件を次に示します。
- 各定義ファイルの1行のサイズ
各定義ファイル(imevtgw.conf,snmpfilter.conf,trapd.conf)の1行のサイズが1,023バイト以内である。
- エンタープライズ名
trapd.confで定義されているエンタープライズ名の先頭に「#」,「!」,「+」を含まないSNMPトラップ。
- イベント名
trapd.confで定義されているイベント名の先頭に*(アスタリスク)を含まないSNMPトラップ
- オブジェクトID
trapd.confで定義されているオブジェクトIDに*(アスタリスク)を含まないSNMPトラップ。なお,trapd.confに定義されているオブジェクトIDと発生したSNMPトラップのオブジェクトIDが完全に一致したものだけが,JP1イベントに変換されます。
- ソースリスト
NNMの[イベント設定]画面で表示される[イベントの変更]画面−[ソース]タブで,「指定ソースのみ」を選択してソース(ノード)を指定している場合,指定したソースで発生したSNMPトラップだけをJP1イベントとして変換できます。
また,ソースを記述したファイルを指定することもできます。なお,ファイル内では「#」をコメントアウトとして使用できません。1ソース当たりの文字列長の上限は511バイトです。ソース(ノード)名は正規表現には対応していません。
- メッセージ
trapd.confから取得したメッセージ中に$変数が含まれている場合,SNMPトラップ変換機能ではJP1イベント変換時にこの$変数をSNMPトラップに含まれる情報で展開します。SNMPトラップ変換機能で対応している$変数は次のとおりです。これ以外の$変数については展開せず,そのまま出力されます。
$r・$ar・$c・$s・$N・$$・$C・$aA・$Tは,デフォルトでは展開されません。これらの$変数も展開したい場合は,動作定義ファイルで設定してください。設定方法については,「7.4.5 動作定義ファイル(imevtgw.conf)の詳細」を参照してください。
$変数の情報展開時にエラーが発生した場合,KAVA2108-Eのメッセージが出力されます。エラーをJP1イベントとして検知したい場合は,統合トレースログに出力されるKAVA2108-Eのメッセージを条件に,ログファイルトラップ機能で監視してください。
なお,$変数の展開後の出力は,NNMの出力するメッセージと表示が異なる場合があります。NNMの出力するメッセージを確認する方法には,次に示す二つの方法があります。
- JP1/IM - Viewの統合機能メニューを利用して,ネットワーク管理を選択し,NNM画面を開いて確認する。
- JP1/IM - Viewの[イベント詳細]画面からNNMをモニター起動して,NNMのアラーム・ブラウザで確認する。
- 一般トラップ
SNMPトラップ変換機能では,一般トラップを変換できます。
フィルターファイルに一般トラップを変換対象として定義している場合,「エンタープライズID付き一般トラップ」も一般トラップとして変換されます。また,trapd.confに一般トラップと「エンタープライズID付き一般トラップ」の両方が定義されている場合,NNMでは「エンタープライズID付き一般トラップ」として変換され,SNMPトラップ変換機能では一般トラップとして変換されます。そのため,NNMで表示されている内容と,JP1/IM - Viewで表示される内容が異なる場合があります。この現象を回避したい場合は,SNMPトラップ変換機能で変換したい「エンタープライズID付き一般トラップ」の定義をフィルターファイルに追加してください。一般トラップと「エンタープライズID付き一般トラップ」の例を次に示します。
- (例)一般トラップ
- エンタープライズ名:snmpTraps
- イベント名:SNMP_Link_Down
- オブジェクトID:.1.3.6.1.6.3.1.1.5.3
- (例)エンタープライズID付き一般トラップ
- エンタープライズID:hitachi
- イベント名:HI_Link_Down
- オブジェクトID:.1.3.6.1.6.3.1.1.5.3.1.3.6.1.4.1.116
なお,次に示すNNM内部で使用されるSNMPトラップはJP1イベントに変換できません。
- OpenView.OV_Ack_Alarm
- OpenView.OV_Delete_Alarm
- OpenView.OV_Unack_Alarm
- OpenView.OV_ChgSev_Alarm
- OpenView.OV_ChgCat_Alarm
- ECSエンジンに起因するイベント(OpenView.OV_Corr_Indicなど)
詳細についてはNNMのマニュアルを参照してください。
(3) 注意事項
SNMPトラップ変換機能を使用する際の注意事項を次に示します。
- SNMPトラップ変換機能がSNMPトラップをJP1イベントに変換する際に,イベントサービスとの接続に失敗した場合,該当するイベントデータは破棄されます。
- イベントサービスとの接続に失敗し,イベントデータが破棄された場合,KAVA2101-Eのメッセージが統合トレースログに出力されます。
- 上記の状態から回復し,JP1イベント変換ができる状態になった場合,KAVA2102-Iのメッセージが統合トレースログに出力されます。その際,破棄されたイベントデータの件数がKAVA2103-Iのメッセージとして出力されます。
All Rights Reserved. Copyright (C) 2006, 2008, Hitachi, Ltd.