JP1/Base 運用ガイド

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7.4.1 SNMPトラップ変換機能によるイベント変換の仕組み

SNMPトラップをJP1イベントに変換してイベントデータベースに登録する流れを次の図に示します。

図7-19 SNMPトラップの変換から登録までの流れ

[図データ]

SNMPトラップ変換機能は,NNMの機能の一つとして動作します。NNMに登録されたSNMPトラップのうち,監視条件に一致するSNMPトラップを受信してJP1イベントに変換し,イベントデータベースに登録します。

SNMPトラップ変換機能の動作は,動作定義ファイルとフィルターファイルで決定します。これらのファイルは,SNMPトラップ変換機能の起動時に読み込まれます。なお,フィルターファイルは,SNMPトラップ変換機能を停止せずにリロードできます。

SNMPトラップ変換機能の処理の仕組みについて次に説明します。

<この項の構成>
(1) SNMPトラップ変換機能の処理の仕組み
(2) 動作定義ファイルおよびフィルターファイルの不正チェック
(3) クラスタシステムでの運用

(1) SNMPトラップ変換機能の処理の仕組み

SNMPトラップ変換機能の処理の仕組みを次の図で説明します。

図7-20 SNMPトラップ変換機能の処理の仕組み

[図データ]

SNMPトラップ変換機能は,NNMのサービスの機能の一つとしてNNMによって起動・終了が制御されます。NNMを起動すると,SNMPトラップ変換機能が起動します。

SNMPトラップ変換機能を起動すると,フィルターファイルに指定した条件と一致するSNMPトラップを受信してJP1イベントに変換します。SNMPトラップ変換機能が起動していないときに出力されたSNMPトラップはJP1イベントに変換できません。JP1イベントとして登録できるメッセージは,1,023バイトまでです。JP1イベントに変換するメッセージが1,023バイトを超えた場合,1,023バイト以降のメッセージを切り捨てます。

JP1イベントのイベントIDは,00003A80で固定です。JP1イベントの属性については,「14.3(9) イベントID:00003A80の詳細」を参照してください。

(2) 動作定義ファイルおよびフィルターファイルの不正チェック

SNMPトラップ変換機能は,動作定義ファイルおよびフィルターファイルを読み込む際,ファイル内の構文不正をチェックします。構文不正があった場合のSNMPトラップ変換機能の動作について説明します。

(a) 動作定義ファイルの構文不正時の動作

動作定義ファイルは,SNMPトラップ変換機能の起動時に読み込まれ,構文不正がないかチェックされます。動作定義ファイルに構文不正があった場合のSNMPトラップ変換機能の動作を次の表に示します。

表7-1 動作定義ファイルの構文不正時の動作

メッセージが出力される契機 メッセージ 出力先 動作
SNMPトラップ変換機能の起動時 KAVA2107-E
  • 統合トレースログ
  • SNMPトラップ変換機能ログ
SNMPトラップ変換機能の起動に失敗する。

KAVA2107-Eのメッセージが出力された場合は,動作定義ファイルの指定を見直してください。

(b) フィルターファイルの構文不正時の動作

フィルターファイルは,SNMPトラップ変換機能の起動時およびリロード時に読み込まれ,構文不正がないかチェックされます。フィルターファイルに構文不正があった場合のSNMPトラップ変換機能の動作を次の表に示します。

表7-2 フィルターファイルの構文不正時の動作

メッセージが出力される契機 メッセージ 出力先 動作
SNMPトラップ変換機能の起動時 KAVA2105-W 統合トレースログ
SNMPトラップ変換機能ログ
該当するフィルター条件を無効にして,SNMPトラップ変換機能が起動する。
SNMPトラップ変換機能のリロード時 KAVA2105-W 統合トレースログ
SNMPトラップ変換機能ログ
該当する条件を無効にして,SNMPトラップ監視を継続する。

注※ フィルターファイルの指定がすべて無効になった場合は,「OpenView.OV_TrapFormat_Change」がデフォルトでフィルター条件として指定されるため,SNMPトラップ変換機能の起動およびリロードは成功します。


KAVA2105-Wのメッセージが出力された場合は,フィルターファイルの指定を見直してください。

(3) クラスタシステムでの運用

SNMPトラップ変換機能は,物理ホストでしか動作しません。また,NNMの機能の一つとして動作し,NNMの起動と停止に連動します。このため,JP1/Baseのフェールオーバーとは無関係に動作します。

変換したJP1イベントを論理ホストで管理したい場合は,動作定義ファイルでJP1イベントの登録先を論理ホストのイベントサービスに変更してください。

SNMPトラップを論理ホストで監視する場合の構成例を次の図に示します。

図7-21 SNMPトラップを論理ホストで監視する場合の構成例

[図データ]

NNMをクラスタシステムで使用する場合は,実行系・待機系の両方で「7.4.4 SNMPトラップ変換機能の設定手順」を参照してNNMの設定をしてください。また,NNMとJP1/Baseを同じクラスタグループにしてください。

NNMをクラスタシステムで使用し,JP1/Baseを非クラスタシステム,つまり物理ホストだけで使用する場合は,実行系・待機系の両方で物理ホストのJP1/Baseを起動しておく必要があります。

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