JP1/Base 運用ガイド
ログファイルトラップ機能を使用する前に知っておくべきことについて説明します。
- <この項の構成>
- (1) 動作環境
- (2) 監視できるログファイル
- (3) 監視できないログファイル
- (4) 監視できるログファイル数
- (5) 注意事項
- (6) 統合トレースログやsyslogファイルを監視する場合の注意事項
- (7) JP1/AJS2のログファイル監視ジョブを使用する場合
(1) 動作環境
ログファイルトラップ機能を使用するための動作環境を次に示します。
- 次に示すファイルの文字コードやコマンドを実行した時のロケール情報(LANGなどの言語種別)がすべて統一されていること。
文字コード,およびロケール情報が統一されていない場合は,文字化けやログファイルトラップができないなどの現象が発生することがあります。
- ログファイルトラップの対象となるログファイル
- 動作定義ファイル
- jevlogstartコマンド
- イベントサービス,およびログファイルトラップ管理サービス(UNIXの場合,ログファイルトラップ管理デーモン)が起動していること。
Windowsの場合,イベントサービス,およびログファイルトラップ管理サービスは,起動管理機能によってシステムの起動時に自動的に起動するようにデフォルトで設定されています。
UNIXの場合,それぞれサービスの起動コマンドを実行する必要があります。サービスの起動方法については「3.2 JP1/Baseを起動および終了する(UNIXの場合)」を参照してください。
(2) 監視できるログファイル
ログファイルトラップ機能では,サイズが2ギガバイトまでのログファイルを監視できます。また,さまざまな形式のログファイルを監視できます。監視対象のログファイルの形式を次の表で確認して,動作定義ファイルにログファイルの形式を指定してください。表中の( )内の値は,動作定義ファイルに指定する値です。
ファイル形式 説明 シーケンシャルファイル 一つのログファイルに追加書き込みし続けるファイル,または,ログファイルが一定の容量に達すると,別のファイル名で新たにログファイルを作成して書き込むファイル(SEQ)。 ファイル名を変更して保存,またはファイルをいったん削除したあと※,同じ名称のファイルを作成して新たにログを書き込むファイル(SEQ2)。
※Windowsでは,ログファイルトラップでの監視中は削除できないことがあります。ラップラウンドファイル ログファイルが一定の容量に達すると,ラップラウンドして,再び先頭からデータを上書きする形式のファイル(WRAP1)。
WRAP1の形式のログファイルを監視する場合,監視するファイルの容量と同じサイズの空きディスク容量が必要です。ログファイルが一定の容量に達してラップラウンドする時,データを削除して再び先頭からデータを書き込む形式のファイル(WRAP2)。 マルチプロセス対応トレースファイル※ 複数のプロセスが一組のトレースファイルを共有するメモリマップドファイルを使用した固定サイズのファイル(HTRACE)。Cosminexusなどの日立のミドルウェア製品が出力するログファイルの形式の一つです。ログファイルの書き込み方法はWRAP1と同様で,ログファイルが一定の容量に達すると,ラップラウンドして,再び先頭からデータを上書きします。データの書き込み時にファイルの更新日時は更新されません。
- 注※ 監視対象のログファイルがマルチプロセス対応トレースファイルかどうかは,各製品のマニュアルを参照してください。
ログファイルトラップ機能では,シンボリックリンクが設定されたファイルも監視できます。ただし,リンク先の変更に対応できるログファイルの形式はSEQ2だけです。
(3) 監視できないログファイル
ログファイルトラップ機能で監視できないログファイルを次に示します。
- ラップラウンドファイル(WRAP1)のうち,データが書き込まれても日時が更新されないファイル,およびデータが書き込まれないのに日時が更新されるファイル
ラップラウンドファイル(WRAP1)を監視する場合,ログファイルトラップは,ログファイルを読み込む際に,更新日時を参照します。これらのファイルを監視すると,ログファイルトラップ機能が正常に動かないことがあります。
- スペシャルファイル,デバイスファイル
ログファイル中の1行の終了文字以外でバイナリーデータを含むレコードがあるファイルを指します。
- ファイル名が特定できないファイル
プロセスIDなど,ファイル名にその時々に応じて値が変わるものを含んでいるファイルです。
- ネットワークファイル
他コンピュータのファイルを,ファイル共有などでアクセスした場合,ネットワークの障害や遅延の際に動作を保証できません。
- 1行だけ出力されるログファイル
ログファイルに常に1行しかログが存在しないファイルを指します。
- 排他されるファイル
ログファイルトラップは,ログファイルを読み込みモードで開きます。このため,Windowsではログの出力プログラムが排他に失敗し,ログが出力されないことがあります。
- JP1/Baseがサポートしていない言語で出力されるファイル
JP1/Baseでサポートしていない言語で出力されるログファイルは監視できません。
JP1/BaseがUNIXでサポートしている言語については「2.3.5(2) 言語種別の設定」を参照してください。
JP1/BaseがWindowsでサポートしている言語はMS932とCです。
(4) 監視できるログファイル数
Windows,およびUNIXで監視できるログファイル数の目安を次に示します。
- Windowsの場合
- Windowsの場合,ログファイルトラップ機能で監視可能なファイル数の最大値は,次の式に従います。
- (凡例)
- a:ログファイルトラップ機能で監視するログファイルの総数(同一ファイルでも加算する)
- b:JP1/AJS2のログファイル監視ジョブで監視するログファイルの総数(同一ファイルでも加算する)
- m:jevlogstartコマンドの実行数
- n:JP1/AJS2のログファイル監視ジョブの実行数
- UNIXの場合
- 一つのログファイルトラップで監視できる監視ファイルの最大数は100ですが,UNIXのシステム上で監視できる監視ファイルの最大数は,カーネルパラメーターの設定(ファイルオープン数の設定)次第となります。
(5) 注意事項
ログファイルトラップ機能を使用する際の注意事項を次に示します。
- ログファイルトラップ機能で監視中のファイルを編集,または削除する場合は,ログファイルトラップを停止してください。ログファイルトラップの動作中にログファイルを編集,または削除すると,ログファイルの監視位置がずれて,正しく変換できなくなることがあります。
- ログファイルにデータを書き込んでも,ディスク中にそのデータが出力されていないと,ログファイルトラップ機能はデータを取り出せません。つまり,即時にデータを取り出したい場合でも,ディスク中にデータが出力されていないため,データを取り出せないことがあります。
- ログの書き込み位置がログファイルの最後の方にあると,最初のJP1イベントが発生するまでに時間が掛かります。
- 監視しているログファイルを削除する場合,まずログファイルトラップ機能を停止してから削除してください。
(6) 統合トレースログやsyslogファイルを監視する場合の注意事項
ログファイルトラップ機能を使用して,統合トレースログやsyslogファイルを監視する場合,転送の失敗が繰り返されることがあります。JP1イベントの転送に失敗した場合,統合トレースログやsyslogファイルに転送失敗のKAJP1037-Eのメッセージが出力されます。統合トレースログやsyslogファイルを監視するために,次のような設定があると,転送失敗のKAJP1037-EのメッセージもJP1イベントに変換されます。このとき,転送設定ファイルがデフォルトの設定のままだと,転送失敗のJP1イベントも転送されるためです。
- 設定例
- 統合トレースログやsyslogファイルを監視する場合
ACTDEF=<Error>11 "KAJP....-E" ACTDEF=<Error>11 "-E"
- syslogファイルを監視する場合
ACTDEF=<Error>11 "error"この転送の繰り返しを回避するため,KAJP1037-Eのメッセージをログファイルトラップ機能でトラップしないように動作定義ファイルの設定を変更してください。設定例を次に示します。
- 設定例1
MARKSTR="KAJP1037-E"
- 設定例2
ACTDEF=<Error>11 "KAJP....-E" !"KAJP1037-E"
(7) JP1/AJS2のログファイル監視ジョブを使用する場合
JP1/AJS2のログファイル監視ジョブを使用する場合は,JP1/Baseのログファイルトラップ管理サービス(UNIXの場合,ログファイルトラップ管理デーモン)とイベントサービスを事前に起動してください。JP1/AJS2のログファイル監視ジョブは,JP1/Baseのログファイルトラップ機能を使って実行されます。
ログファイル監視ジョブの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド」を参照してください。
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