19.22.7 DBエリアの拡張
ここでは,AWS環境でのDBエリアの拡張手順を説明します。クラウドストレージ機能を使用しているかどうかによって手順が異なります。
(1) クラウドストレージ機能を使用している場合
実行系のHADBサーバでadbmodareaコマンドを実行してデータ用DBエリアを拡張してください。DBエリア追加・変更オプションの指定例を次に示します。
-
ADBUTBL02を拡張する場合
adbexpandarea -n ADBUTBL02
-
ADBUIDX02を拡張する場合
adbexpandarea -n ADBUIDX02
(2) クラウドストレージ機能を使用していない場合
DBエリアを拡張するには,次の2つの方法があります。
-
新しいディスクを追加してDBエリアを拡張する
-
既存のディスクのサイズを増やしてDBエリアを拡張する
各DBエリアに使用できるDBエリアの拡張方法を次の表に示します。
DBエリアの種類 |
DBエリアの拡張方法 |
|
---|---|---|
新しいディスクを追加する |
既存のディスクサイズを増やす |
|
ディクショナリ用DBエリア |
× |
〇 |
システム表用DBエリア |
× |
〇 |
作業表用DBエリア |
× |
〇※2 |
データ用DBエリア※1 |
〇 |
〇 |
- (凡例)
-
〇:使用できます。
×:使用できません。
- 注※1
-
データ用DBエリアを拡張する場合は,新しいディスクを追加して拡張する方法を推奨します。
- 注※2
-
作業表用DBエリアに格納されるデータは,HADBサーバが起動している間だけ使用されるため,既存のディスクを使用しないで,サイズを増やした別のディスクを使用することもできます。
(a) 新しいディスクを追加してDBエリアを拡張する場合
新しいディスクを追加してDBエリアを拡張する手順を説明します。「同期対象リソースの追加」作業をしたあとに,「DBエリアの拡張」作業を実施してください。
- <ここの操作説明の前提条件>
-
「図19‒7 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用しない場合)」で示すとおり,hadb01が実行系で,hadb02が待機系であるとします。
- ■同期対象リソースの追加
-
手順
-
コールドスタンバイ構成を正常終了する
コールドスタンバイ構成の正常終了方法については,「19.4.2 コールドスタンバイ構成の終了方法」の「(1) コールドスタンバイ構成の終了手順」を参照してください。
-
udevルールファイルを変更する
新しく追加するディスクのデバイス名を固定するために,実行系と待機系の両方のudevルールファイルを変更してください。udevルールファイルの変更例を次に示します。追加したディスクのデバイス名が,/dev/hadb_tbl02および/dev/hadb_idx02とします。次の変更例の下線部分が追加した部分です。
この操作は,OSのスーパユーザで実行してください。
<udevルールファイルの変更例>
ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol085828a5533a9cbf9", SYMLINK+="hadb_db" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0230003acd65aafcc", SYMLINK+="hadb_workarea" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol08ee49cc31321bdd2", SYMLINK+="hadb_syndict" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol05baed37592db7abd", SYMLINK+="hadb_audit" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0db4be9c284a04033", SYMLINK+="hadb_mst" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0efe890a19d4b2330", SYMLINK+="hadb_dic" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0431a7bfcf7388f72", SYMLINK+="hadb_stbl" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0d5ca81d622e73022", SYMLINK+="hadb_tbl01" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol05405d4eea38470e7", SYMLINK+="hadb_idx01" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0863f921719651f9d", SYMLINK+="hadb_wrk" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0ab2d38c85e4f08b2", SYMLINK+="hadb_tbl02" ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol062167f87fc4c6b01", SYMLINK+="hadb_idx02"
-
実行系と待機系のOSを再起動する
変更したudevルールを反映させるために,実行系と待機系のOSを再起動してください。
この操作は,OSのスーパユーザで実行してください。
-
コールドスタンバイ構成を正常開始する
コールドスタンバイ構成の正常開始方法については,「19.4.1 コールドスタンバイ構成の開始方法」の「(1) コールドスタンバイ構成の開始手順」を参照してください。
-
DRBDのリソース管理ファイルを変更する
実行系と待機系の両方のDRBDのリソース管理ファイルに,新しく追加するディスクの情報を追加してください。リソース管理ファイルの変更例を次に示します。次の変更例の下線部分が追加した部分です。
この操作は,OSのスーパユーザで実行してください。
<リソース管理ファイルの変更例>
resource r0 { volume 0 { device /dev/drbd1; disk /dev/hadb_db; meta-disk internal; } volume 1 { device /dev/drbd2; disk /dev/hadb_workarea; meta-disk internal; } volume 2 { device /dev/drbd3; disk /dev/hadb_syndict; meta-disk internal; } volume 3 { device /dev/drbd4; disk /dev/hadb_audit; meta-disk internal; } volume 4 { device /dev/drbd5; disk /dev/hadb_mst; meta-disk internal; } volume 5 { device /dev/drbd6; disk /dev/hadb_dic; meta-disk internal; } volume 6 { device /dev/drbd7; disk /dev/hadb_stbl; meta-disk internal; } volume 7 { device /dev/drbd8; disk /dev/hadb_tbl01; meta-disk internal; } volume 8 { device /dev/drbd9; disk /dev/hadb_idx01; meta-disk internal; } volume 9 { device /dev/drbd10; disk /dev/hadb_tbl02; meta-disk internal; } volume 10 { device /dev/drbd11; disk /dev/hadb_idx02; meta-disk internal; } on hadb01 { address 172.16.0.21:7789; node-id 0; } on hadb02 { address 172.16.0.22:7789; node-id 1; } }
-
DRBDのメタデータを作成する
実行系と待機系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。
drbdadm create-md r0/9 drbdadm create-md r0/10
-
DRBDのリソースを再設定する
実行系と待機系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。5.でリソース管理ファイルを編集したため,実行系と待機系の両方でDRBDのリソースを再設定します。
drbdadm adjust r0
-
DRBDのメタデータのカレントUUIDを作成する
実行系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。新しく追加したディスク上のDRBDメタデータのカレントUUIDを新しく作成し,同時に同期ビットマップをクリアします。
drbdadm new-current-uuid --clear-bitmap r0/9 drbdadm new-current-uuid --clear-bitmap r0/10
-
実行系(hadb01)のDRBDロールをセカンダリに変更する
実行系(hadb01)のDRBDロールをセカンダリに変更するために,系を切り替えます。
実行系(hadb01)で,HAモニタのmonswapコマンドを実行したあとにmonbeginコマンドを実行してください。
hadb02が実行系になり,hadb01が待機系になります
-
待機系(hadb01)を実行系に戻す
実行系(hadb02)で,HAモニタのmonswapコマンドを実行したあとにmonbeginコマンドを実行してください。
hadb01が実行系に戻ります。
-
- ■DBエリアの拡張
-
手順
-
DBエリアを拡張する
実行系のHADBサーバでadbmodareaコマンドを実行してDBエリアを拡張してください。
DBエリア追加・変更オプションの指定例を次に示します。
-
ADBUTBL01を拡張する場合
adbexpandarea -n ADBUTBL01 -v /dev/drbd9
-
ADBUIDX01を拡張する場合
adbexpandarea -n ADBUIDX01 -v /dev/drbd10
-
-
(b) 既存のディスクサイズを増やしてDBエリアを拡張する場合
既存のディスクサイズを増やしてDBエリアを拡張する手順を説明します。
- <ここの操作説明の前提条件>
-
「図19‒7 AWS環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用しない場合)」で示すとおり,hadb01が実行系で,hadb02が待機系であるとします。
手順
-
実行系のディスクサイズを拡張する
実行系で,拡張したいDBエリアのDBエリアファイルを格納しているディスク(EBS(gp3))のサイズを増やしてください。
-
待機系のディスクサイズを拡張する
待機系で,拡張したいDBエリアのDBエリアファイルを格納しているディスク(EBS(gp3))のサイズを増やしてください。
-
DRBDのリソースサイズを変更する※
実行系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。
drbdadm resize r0
-
DRBDの状態を確認する※
実行系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。リソースの同期が完了していることを確認します。
drbdadm status r0
コマンドの実行結果がすべてUpToDateの場合,リソースの同期は完了しています。
- 注※
-
作業表用DBエリアを拡張する場合は,DRBDに関する手順の実施は不要です。