19.2.4 ストレージ構成
コールドスタンバイ構成の場合,次のファイルシステムおよびディスクを準備してください。
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系ローカルのファイルシステム
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,LOC001およびLOC002が該当します。
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系切り替え対象のファイルシステム
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,FS001〜FS004が該当します。
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共有のファイルシステム
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,FS005が該当します。
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DBエリアファイル用のディスク
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,LU001〜LU005およびWRK001が該当します。
なお,一部のファイルシステムおよびディスクでは,実行系と待機系でディスクを識別するためのデバイス名が必要になります。サーバとストレージ間がシングルパス構成の場合は,WWNの使用を推奨します。サーバとストレージのパスを冗長化する場合は,冗長化の方法によってデバイス名が異なります。「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合の,デバイス名の例を次に示します。
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シングルパス構成の場合のデバイス名の例
FS001:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000005
FS002:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000006
FS003:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000007
FS004:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000008
LU001:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c50000000f
LU002:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c50000000e
LU003:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000010
LU004:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000011
LU005:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c500000013
WRK001:/dev/disk/by-id/wwn-0x60060e8010205850051104c50000000d
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マルチパスソフトウェア(DMMP)による冗長化構成の場合のデバイス名の例
FS001:/dev/mapper/mpath1
FS002:/dev/mapper/mpath2
FS003:/dev/mapper/mpath3
FS004:/dev/mapper/mpath4
LU001:/dev/mapper/mpath11
LU002:/dev/mapper/mpath12
LU003:/dev/mapper/mpath13
LU004:/dev/mapper/mpath14
LU005:/dev/mapper/mpath15
WRK001:/dev/mapper/mpath16
(1) 系ローカルのファイルシステム
系ローカルのファイルシステムには,次のディレクトリを配置します。
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サーバディレクトリ
サーバディレクトリの作成には,adbinstallコマンドを使用します。
- 重要
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実行系と待機系の両方にサーバディレクトリを作成してください。サーバディレクトリを共有ディスク(系切り替え対象のファイルシステム)上に作成したり,共有のファイルシステム上に作成したりしないでください。
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統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリ
統一フォーマット用監査証跡の出力先ディレクトリについては,「2.18.9 監査証跡の変換(JP1/Audit Management - Managerとの連携)」を参照してください。
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,LOC001およびLOC002が系ローカルのファイルシステムになります。
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LOC001
サーバマシンhadb01(実行系)のローカルのファイルシステム
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LOC002
サーバマシンhadb02(待機系)のローカルのファイルシステム
(2) 系切り替え対象のファイルシステム
次に示すファイルシステムを系切り替え対象にします。
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DBディレクトリを格納するファイルシステム
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作業用一時ファイルを格納するファイルシステム※
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同義語辞書ファイルを格納するファイルシステム
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監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステム
- 注※
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作業用一時ファイルを格納するファイルシステムは,必ずしも系切り替え対象とする必要はありません。系切り替え対象としない場合は,各系の系ローカルのファイルシステム上に作業用一時ファイルの格納先を用意してください。作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを系切り替え対象とする場合のメリットとデメリットを次に示します。メリットとデメリットを考慮して,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを系切り替え対象とするかどうかを判断してください。
- <メリット>
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adbimportコマンドまたはadbidxrebuildコマンドの実行中にHADBサーバが異常終了して系切り替えが発生した場合,切り替え先の系のHADBサーバでのコマンドの再実行に掛かる時間が短くなります。
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作業用一時ファイルを格納する領域を各系に用意する必要がないため,ディスク容量が少なく済みます。
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- <デメリット>
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系切り替え対象のファイルシステムのサイズに比例して系切り替えに掛かる時間が増加します。
系切り替え対象のファイルシステムは,実行系と待機系から参照できるディスク(共有ディスク)から構成されるVG内のLV上に作成してください。共有ディスクについては,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編の共有ディスクの構成を参照してください。
- メモ
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DBディレクトリの作成については,「19.3.7 データベースの作成」を参照してください。
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,FS001〜FS004が系切り替え対象のファイルシステムになります。
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FS001
DBディレクトリを格納するファイルシステム
ここでは,VGの名称はvg_hadb01,LVの名称はhadb_dbとします。
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FS002
作業用一時ファイルを格納するファイルシステム
ここでは,VGの名称はvg_hadb02,LVの名称はhadb_workareaとします。
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FS003
同義語辞書ファイルを格納するファイルシステム
ここでは,VGの名称はvg_hadb03,LVの名称はhadb_syndictとします。
なお,同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムは,同義語検索をする場合に必要です。
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FS004
監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステム
ここでは,VGの名称はvg_hadb04,LVの名称はhadb_auditとします。
なお,監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステムは,監査証跡機能を使用する場合に必要です。
- 重要
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共有ディスクのSCSIリザーブを使用する場合,系切り替え対象のファイルシステムを作成したディスクは,SCSIリザーブの対象としてください。また,SCSIリザーブの対象としたディスクには,系切り替え対象のファイルシステム以外の領域を作成しないでください。
(3) 共有のファイルシステム
共有のファイルシステムには,次のファイルシステムを配置します。
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データインポートで使用する入力データファイルを格納するファイルシステム
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ADB_CSVREAD関数で使用するCSVファイルを格納するファイルシステム
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監査証跡の保存先ディレクトリを作成するファイルシステム
共有のファイルシステムは,実行系と待機系から参照できるディスク(共有ディスク)上に構築し,実行系と待機系で同一パスのディレクトリにマウントしてください。共有ディスクについては,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編の共有ディスクの構成を参照してください。
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,FS005が共有のファイルシステムになります。
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FS005
データインポートの入力データファイルを格納するファイルシステム,CSVファイルを格納するファイルシステム,および監査証跡の保存先ディレクトリを作成するファイルシステム
共有のファイルシステムは,分散ファイルシステムの一つであるNFSなどを用いて構築できます。
(4) DBエリアファイル用のディスク
DBエリアファイルごとにディスクを用意します。
次のDBエリアファイルには,ブロックスペシャルファイルを割り当ててください。
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マスタディレクトリ用DBエリアファイル
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ディクショナリ用DBエリアファイル
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システム表用DBエリアファイル
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データ用DBエリアファイル
また,次のDBエリアファイルに対応するディスクは,実行系と待機系から参照できる必要があります。
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マスタディレクトリ用DBエリアファイル
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ディクショナリ用DBエリアファイル
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システム表用DBエリアファイル
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データ用DBエリアファイル
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作業表用DBエリアファイル
- 重要
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共有ディスクのSCSIリザーブを使用する場合,上記のDBエリアファイル用のディスクは,SCSIリザーブの対象としてください。
「図19‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例(オンプレミス環境の場合)」の場合,LU001〜LU005およびWRK001がDBエリアファイル用のディスクになります。
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LU001
ディクショナリ用DBエリアを構成するDBエリアディスク
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LU002
マスタディレクトリ用DBエリアを構成するDBエリアディスク
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LU003
システム表用DBエリアを構成するDBエリアディスク
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LU004
データ用DBエリア(ADBUTBL01)を構成するDBエリアディスク
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LU005
データ用DBエリア(ADBUIDX01)を構成するDBエリアディスク
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WRK001
作業表用DBエリア(ADBWRK)を構成するDBエリアディスク