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Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


2.20.1 マルチノード機能とは

〈この項の構成〉

(1) マルチノード機能の概要

マルチノード機能とは,複数のHADBサーバを連携することによって,検索系SQLSELECT文)の処理の負荷分散を実現する機能のことです(スケールアウトによる負荷分散)。

マルチノード機能を使用した負荷分散の例を次の図に示します。

図2‒72 マルチノード機能を使用した負荷分散の例(HAモニタありのマルチノード構成の場合)

[図データ]

[説明]

上記の例では,5つのHADBサーバで検索系SQLの処理を実行し,負荷分散を行っています。

  1. HADBクライアントからのAPの接続要求は,プライマリノードのHADBサーバが受け付けます。

  2. プライマリノードのHADBサーバが,負荷分散の制御を行います。プライマリノードのHADBサーバが負荷の少ないセカンダリノードまたはワーカーノードのうちの1つのノードを選択し,そのノードで検索系SQLを実行します。検索系SQLの処理をセカンダリノードまたはワーカーノードに振り分けることで負荷分散を実現しています。

上記の図中に出てくる用語について説明します。

メモ
  • セカンダリノードおよびワーカーノードの負荷が高い場合は,プライマリノードでも検索系SQLが実行されます。

  • セカンダリノードおよびワーカーノードのHADBサーバでは,データベースの更新が発生する処理を実行することはできません。そのため,更新系SQL,定義系SQL,およびデータベースの更新が発生するコマンド(adbimportコマンドなど)は,セカンダリノードおよびワーカーノードのHADBサーバでは実行されません。データベースの更新が発生しない一部のコマンドについては,セカンダリノードおよびワーカーノードのHADBサーバで実行できます。

メモ

HADBサーバがインストールされているサーバマシンと,そのサーバマシンにインストールされているOS,HADBサーバ,およびHAモニタを包括したものをノードといいます。

マルチノード機能使用時の処理性能は,ハードウェア環境や処理件数に依存します。また,マルチノード機能を使用する場合は,マルチノード機能を使用しない場合に比べて,ノード間の通信処理や同期処理のオーバヘッドによって,SQL文およびコマンドの実行処理に時間が掛かることがあります。

(2) HAモニタありのマルチノード構成とHAモニタなしのマルチノード構成

マルチノード構成には,次に示す2つがあります。

(3) HAモニタありのマルチノード構成とHAモニタなしのマルチノード構成の差異

HAモニタありのマルチノード構成とHAモニタなしのマルチノード構成の差異を次の表に示します。

表2‒24 HAモニタありのマルチノード構成とHAモニタなしのマルチノード構成の差異

項番

項目

説明

1

プライマリノード

プライマリノードの役割に差異はありません。

HAモニタありのマルチノード構成とHAモニタなしのマルチノード構成のどちららであってもプライマリノードを1つ設定する必要があります。

2

セカンダリノード

3

ワーカーノード

ワーカーノードの役割に差異はありませんが,ワーカーノードの設定可能数に違いがあります。

  • HAモニタありのマルチノード構成の場合

    ワーカーノードの設定は任意です。

    マルチノード構成の全ノード数の上限は12ノードになります。そのため,例えばセカンダリノードを1つ設定した場合は,最大10個のワーカーノードを設定できます。また,セカンダリノードを2つ設定した場合は,最大9個のワーカーノードを設定できます。

  • HAモニタなしのマルチノード構成の場合

    ワーカーノードの設定が必須になります。

    マルチノード構成の全ノード数の上限は12ノードであるため,最大11個のワーカーノードを設定できます。

プライマリノードの障害に備えてセカンダリノードを設定したい場合(システムの冗長化を優先する場合)は,HAモニタありのマルチノード構成を選択してください。

環境設定や,運用の簡易化を優先する場合は,HAモニタなしのマルチノード構成を選択してください。HAモニタをインストールする必要がないため,HAモニタの環境設定が必要ありません。また,運用時にHAモニタのコマンドを実行する必要がありません。その分,HAモニタありのマルチノード構成よりHAモニタなしのマルチノード構成の方が環境設定や,運用が簡易になります。