Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


はじめに

このマニュアルは,Hitachi Advanced Data Binderのシステム設計,構築,および運用方法について説明したものです。

なお,このマニュアル中,および製品が出力する情報中(メッセージ,コマンドの出力結果など)では,Hitachi Advanced Data BinderHADBと表記することがあります。

〈はじめにの構成〉

■ 対象製品

これらのプログラムプロダクトのほかにもこのマニュアルをご利用になれる場合があります。詳細は「リリースノート」でご確認ください。

■ 対象読者

このマニュアルは,次に示す方々を対象にしています。

なお,このマニュアルは次に示す知識があることを前提に説明しています。

■ マニュアルの構成

このマニュアルは,次に示す編,章と付録から構成されています。

第1編 解説編
第1章 概要

HADBの概要,特長,およびシステム構成について説明しています。

第2章 アーキテクチャ

表やインデクスの種類,表とインデクスを格納するDBエリア,データベースのアクセス処理方式,排他制御など,HADBのアーキテクチャについて説明しています。また,DBエリア暗号化機能,マルチノード機能,クラウドストレージ機能など,HADBの主な機能についても説明しています。

第2編 体験編
第3章 体験環境構築ナビ

HADBの導入・操作を体験するために使用する,体験環境の構築手順について説明しています。

第3編 設計編
第4章 システム設計

HADBを構築するためのデータベースの設計,リソースの設計,およびサーバ定義の設計の流れについて説明しています。また,ディスク所要量,およびメモリ所要量の事前見積もりについて説明しています。

第5章 データベースの設計

表の設計,インデクスの設計,各DBエリアの設計,および各DBエリアの容量見積もりについて説明しています。

第6章 リソースの設計

ディスクの設計,カーネルパラメタの見積もり,メモリ所要量の見積もり,各ファイルの容量見積もり,各ディレクトリの容量見積もり,コマンド実行時に増加するデータ量の見積もり,コマンドを同時実行する際の考慮点,コマンドが使用する処理リアルスレッドの最大数の見積もり,クライアントグループ機能を適用する際の考慮点,および作業表に関する見積もりについて説明しています。

第7章 サーバ定義の設計

サーバ定義のオペランドの指定形式,サーバ定義のオペランドの内容,およびサーバ定義の文法規則について説明しています。

第4編 構築編
第8章 システム構築

HADBサーバのインストール,カーネルパラメタの設定,環境変数の設定,サーバ定義の作成,HADBサーバのバージョンアップ,HADBサーバのバージョンダウン,修正版HADBサーバとの入れ替え,サーバマシンのOSの時刻変更,およびHADBサーバのアンインストールについて説明しています。

第9章 データベースの作成

データベースの作成手順について説明しています。

第5編 運用編
第10章 定期運用

定期的に行う運用項目として,HADBサーバの開始と終了,データベースのバックアップ,およびモニタリングについて説明しています。

第11章 非定期運用

HADBサーバで非定期に実施する運用項目について説明しています。

第12章 監査証跡機能の運用

監査証跡機能の運用について説明します。

第13章 DBエリア暗号化機能の運用

DBエリア暗号化機能の運用について説明します。

14章 チューニング

HADBのチューニングについて説明しています。

15章 障害運用

障害発生時の対処の流れ,トラブルシュート情報の取得方法,およびトラブルシュート情報の削除方法について説明しています。

16章 トラブルシュート

トラブルが発生した場合の対処方法について説明しています。

第17章 HADBサーバの再構築

オンプレミス環境でのHADBサーバの再構築方法について説明しています。

第6編 マルチノード機能編
18章 マルチノード機能の運用

マルチノード機能を使用したシステムの構築方法,およびマルチノード機能の運用方法について説明しています。

第7編 コールドスタンバイ構成編
19章 コールドスタンバイ構成の運用

コールドスタンバイ構成でのシステムの構築方法,およびコールドスタンバイ構成の運用方法について説明しています。

第8編 DockerおよびKubernetes編
20章 DockerおよびKubernetesを使用したHADBの運用

DockerおよびKubernetesを使用したシステムの構築方法,およびDockerとKubernetesを使用したHADBの運用方法について説明しています。

第9編 クラウドストレージ機能編
第21章 クラウド環境の構築(クラウドストレージ機能を使用する場合)

クラウド環境(AWS環境またはAzure環境)でクラウドストレージ機能を使用したシステムの構築方法について説明しています。

オンプレミス環境からAWS環境に移行する方法や,クラウドストレージ機能を使用しているシステムから,クラウドストレージ機能を使用しないシステムへの移行方法も説明しています。

第22章 クラウドストレージ機能を使用している場合の運用

クラウドストレージ機能を使用している際の固有の運用方法について説明しています。

付録A HADBサーバのディレクトリの構成

HADBのサーバディレクトリ(インストール時),サーバディレクトリ(運用時),およびDBディレクトリの構成について説明しています。

付録B ディクショナリ表

ディクショナリ表に格納されている情報,ディクショナリ表の参照時に排他が取得される実表,ディクショナリ表に定義されているインデクス,およびディクショナリ表の検索方法について説明しています。

付録C システム表

システム表に格納されている情報,システム表の参照時に排他が取得される実表,システム表に定義されているインデクス,およびシステム表の検索方法について説明しています。

付録D HADBの最大値と最小値

システム構成およびデータベースに関する最大値と最小値について説明しています。

付録E HADBサーバで起動するプロセス

HADBサーバで起動するプロセスについて説明しています。

■ 関連マニュアル

このマニュアルの関連マニュアルを次に示します。必要に応じてお読みください。

なお,Hitachi Advanced Data Binderのマニュアルを本文中で参照させる場合は,Hitachi Advanced Data BinderHADBと表記します。

(例) HADB AP開発ガイド

また,HAモニタのマニュアルを本文中で参照させる場合は,次のように表記します。

JP1/Baseのマニュアルを本文中で参照させる場合は,JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイドまたはJP1 Version 12 JP1/Base 運用ガイドJP1/Base 運用ガイドと表記します。

例) JP1/Base 運用ガイド

JP1/AJS3のマニュアルを本文中で参照させる場合は,JP1 Version 11 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)またはJP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)JP1/AJS3 設計ガイド(業務設計編)と表記します。

(例) JP1/AJS3 設計ガイド(業務設計編)

JP1/Auditのマニュアルを本文中で参照させる場合は,JP1 Version 11 JP1/Audit Management - Manager 構築・運用ガイドJP1/Audit 構築・運用ガイドと表記します。

(例) JP1/Audit 構築・運用ガイド

■ このマニュアルで使用する製品名・機能名

このマニュアルでは,製品名を次のように表記しています。

表記

製品名

HADB

HADBサーバ

Hitachi Advanced Data Binder

HADBクライアント

Hitachi Advanced Data Binder Client

Linux

RHEL 7

Red Hat Enterprise Linux Server 7(64-bit x86_64)

RHEL 8

Red Hat Enterprise Linux Server 8(64-bit x86_64)

RHEL 9

Red Hat Enterprise Linux Server 9(64-bit x86_64)

HDLM

Hitachi Dynamic Link Manager Software

Hitachi Code Converter

Hitachi Code Converter - Runtime for C/COBOL(64)

JP1/AJS3

JP1/Automatic Job Management System 3

JP1/Audit

JP1/Audit Management - Manager

■ このマニュアルで使用する英略語

このマニュアルで使用する英略語を次に示します。

英略語

英字での表記

AD

Active Directory

Amazon S3

Amazon Simple Storage Service

AP

Application Program

APD

Application Parameter Descriptor

API

Application Programming Interface

ARD

Application Row Descriptor

AWS

Amazon Web Services

BI

Business Intelligence

BLOB

Binary Large Object

BNF

Backus-Naur Form

BOM

Byte Order Mark

CLI

Call Level Interface

CLOB

Character Large Object

CPU

Central Processing Unit

CSV

Character-Separated Values

DB

Database

DBMS

Database Management System

DMMP

Device Mapper Multipath

DNS

Domain Name System

DRBD

Distributed Replicated Block Device

EBS

Amazon Elastic Block Store

EC2

Amazon Elastic Compute Cloud

EFS

Amazon Elastic File System

ELF

Executable and Linking Format

ER

Entity Relationship

HBA

Host Bus Adapter

HDD

Hard Disk Drive

ID

Identification number

IEF

Integrity Enhancement Facility

IP

Internet Protocol

IPD

Implementation Parameter Descriptor

IRD

Implementation Row Descriptor

JAR

Java Archive File

JDBC

Java Database Connectivity

JDK

Java Developer's Kit

JNDI

Java Naming and Directory Interface

JRE

Java Runtime Environment

JSON

JavaScript Object Notation

JTA

Java Transaction API

LDAP

Lightweight Directory Access Protocol

LOB

Large Object

LRU

Least Recently Used

LV

Logical Volume

LVM

Logical Volume Manager

LWP

Light Weight Process

MSDN

Microsoft Developer Network

NFS

Network File System

NIC

Network Interface Card

NTP

Network Time Protocol

ODBC

Open Database Connectivity

OS

Operating System

OSS

Open Source Software

PAM

Pluggable Authentication Module

PP

Program Product

PV

Physical Volume

PVC

Persistent Volume Claim

RAID

Redundant Array of Independent Disks

RDBMS

Relational Database Management System

SELinux

Security-Enhanced Linux

SSD

Solid State Drive

SSSD

System Security Services Daemon

TLB

Translation Lookaside Buffer

URL

Uniform Resource Locator

VG

Volume Group

VPC

Amazon Virtual Private Cloud

WWN

World Wide Name

XFS

Extents File System

■ このマニュアルで使用する記号

サーバ定義などのオペランド,およびコマンドの説明で使用している記号を次に示します。

なお,これらの記号は説明のために使用している記号のため,オペランドまたはコマンド中に記述しないでください。

記号

意味

 

この記号で囲まれている項目は省略できます。

adbsql 〔-V〕

この例の場合,adbsqlと指定してもよいし,adbsql -Vと指定してもよいことを意味しています。

 

この記号で囲まれている複数の項目のうちから,1つを選択できます。

adbcancel {--ALL|-u コネクションID

この例の場合,--ALLまたは-u コネクションIDのどちらかを指定できることを意味しています。

この記号の直前の項目を繰り返し指定できます。

adbbuff -n DBエリア名〔,DBエリア名〕…

この例の場合,DBエリア名を繰り返し指定できることを意味しています。

{{ }}

この記号で囲まれた複数の項目を1つの単位として,繰り返し指定できます。

{{adbinitdbarea -n データ用DBエリア名}}

この例の場合,「adbinitdbarea -n データ用DBエリア名」を繰り返し指定できることを意味しています。

_

(下線)

この記号で示す項目は,省略時の解釈値です。

adb_import_errmsg_lv = 0|1}

この例の場合,オペランドの指定を省略したとき,0が仮定されることを意味しています。

この記号のあとに,指定値の属性を説明しています。

adb_sys_max_users = 最大同時接続数

 〜〈整数〉((11,024))《10

この例の場合,11,024の整数が指定できます。オペランドの指定を省略した場合は,10が仮定されます。

 

指定値の種別を説明しています。

(( ))

指定値の範囲を説明しています。

 

省略値を説明しています。

■ このマニュアルで使用する構文要素記号

構文要素記号

意味

〈パス名〉

パス名には次に示す文字が使用できます。

  • OSがLinuxの場合

    英字,数字,#-/@_

  • OSがWindowsの場合

    英字,数字,#-/@_\:

ただし,OSによって使用できる文字が異なります。

〈OSパス名〉

OSパス名には,OSでパス名として使用できるすべての文字が使用できます。使用できる文字の詳細については,OSのマニュアルを参照してください。

〈文字列〉

任意の文字列を指定できます。

〈単位付き整数〉

数字(09)の末尾に,MB(メガバイト),GB(ギガバイト),またはTB(テラバイト)のどれかの単位を付けた形式で指定します。数字と単位の間に空白を入れることはできません。

  • 指定例

    1024MB

    512GB

    32TB

  • エラーになる指定例

    512 GB

注 すべて半角文字を使用してください。

■ このマニュアルで使用する計算式の記号

このマニュアルで使用する計算式の記号の意味を次に示します。

記号

内容

↑ ↑

計算結果の値を小数点以下で切り上げることを意味しています。

(例)↑34÷3↑の計算結果は12になります。

↓ ↓

計算結果の値を小数点以下で切り捨てることを意味しています。

(例)↓34÷3↓の計算結果は11になります。

MAX

計算結果のうち,最も大きい値が有効になることを意味しています。

(例)MAX(3×6,4+7)の計算結果は18になります。

MIN

計算結果のうち,最も小さい値が有効になることを意味しています。

(例)MIN(3×6,4+7)の計算結果は11になります。

■ パス名の表記について

■ \の表記について

本文中で使用されている\は,Linux版の場合は半角のバックスラッシュを意味しています。

■ このマニュアルで使用するKB(キロバイト)などの単位表記

1KB(キロバイト),1MB(メガバイト),1GB(ギガバイト),1TB(テラバイト),1PB(ペタバイト),1EB(エクサバイト)はそれぞれ1,024バイト,1,0242バイト,1,0243バイト,1,0244バイト,1,0245バイト,1,0246バイトです。