Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


17.6.3 バックアップの運用例(OSコマンドを使用)

ここでは,OSのコマンドを使用したバックアップの運用例(フルバックアップを取得する運用例)について説明します。

〈この項の構成〉

(1) システムの構成例

図17‒1 コールドスタンバイ構成でのシステム構成例」で示すコールドスタンバイ構成で,実行系はhadb01とします。DBディレクトリ,アーカイブディレクトリ,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ,および監査証跡の出力先ディレクトリは,次の構成となっているとします。

hadb01のディレクトリ構成

hadb02のディレクトリ構成

(2) バックアップの取得

OSのコマンドを使用して,バックアップを取得する手順を説明します。

手順

  1. コールドスタンバイ構成を正常終了する※1

    詳細については,「17.4.2 コールドスタンバイ構成の終了方法」を参照してください。

  2. OSのコマンドでバックアップを取得する

    OSのcpコマンドおよびddコマンドをhadb01(実行系)で実行し,DBディレクトリとアーカイブディレクトリのバックアップを取得します。

    • DBディレクトリのバックアップの取得

      cp -r /HADB/db /HADB_bkup/db/dbdir
      dd if=/HADB/db/ADBMST of=/HADB_bkup/db/ADBMST bs=524288
      dd if=/HADB/db/ADBDIC of=/HADB_bkup/db/ADBDIC bs=524288
      dd if=/HADB/db/ADBSTBL of=/HADB_bkup/db/ADBSTBL bs=524288
      dd if=/HADB/db/ADBUTBL01 of=/HADB_bkup/db/ADBUTBL01 bs=524288
      dd if=/HADB/db/ADBUIDX01 of=/HADB_bkup/db/ADBUIDX01 bs=524288

      バックアップの取得先ディレクトリは/HADB_bkup/dbです。

      DBディレクトリのバックアップにあるDBエリアファイル(シンボリックリンク)と,このあとで取得するDBエリアファイルのバックアップが同じパスにならないようにしてください。

      DBディレクトリが$DBDIRにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。

      ブロックスペシャルファイルのデータをバックアップする場合,ボリューム全体をコピーするため,実際の使用量よりもバックアップ容量が増えます。

    • アーカイブディレクトリのバックアップの取得

      cp -r /HADB/archive /HADB_bkup/archive

      アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップを取得する必要があります。

      アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,アーカイブディレクトリのバックアップをhadb02(待機系)で取得する必要はありません。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのバックアップの取得

      cp -r /mnt/syndict /HADB_bkup/syndict

      同義語検索をしている場合は,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのバックアップを取得する必要があります。

    メモ

    監査証跡の出力先ディレクトリ下の監査証跡ファイルは,監査証跡の保存先ディレクトリに移動する運用のため,監査証跡の出力先ディレクトリのバックアップを取得する必要はありません。

  3. コールドスタンバイ構成を開始する※2

    詳細については,「17.4.1 コールドスタンバイ構成の開始方法」を参照してください。

注※1

手順1.は,次の方法で代替することもできます。

hadb01(実行系)でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,実行系のHADBサーバの稼働モードを静止モードに変更します。

adbchgsrvmode --quiescence
注※2

手順1.で注※1の方法を実施した場合は,hadb01(実行系)でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,実行系のHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。

adbchgsrvmode --normal

(3) バックアップからの回復

バックアップからの回復手順を説明します。

手順

  1. コールドスタンバイ構成を正常終了する

    詳細については,「17.4.2 コールドスタンバイ構成の終了方法」を参照してください。

  2. OSのコマンドでデータベースを回復する

    OSのcpコマンドおよびddコマンドをhadb01(実行系)で実行し,バックアップからデータベースを回復します。

    • DBディレクトリの回復

    cp -r /HADB_bkup/db/dbdir/* /HADB/db
    dd if=/HADB_bkup/db/ADBMST of=/HADB/db/ADBMST bs=524288
    dd if=/HADB_bkup/db/ADBDIC of=/HADB/db/ADBDIC bs=524288
    dd if=/HADB_bkup/db/ADBSTBL of=/HADB/db/ADBSTBL bs=524288
    dd if=/HADB_bkup/db/ADBUTBL01 of=/HADB/db/ADBUTBL01 bs=524288
    dd if=/HADB_bkup/db/ADBUIDX01 of=/HADB/db/ADBUIDX01 bs=524288

    バックアップファイルの格納ディレクトリは,/HADB_bkup/dbです。

    DBディレクトリが$DBDIRにマウントされていない場合は,OSのmountコマンドを実行してマウントしてください。

    • アーカイブディレクトリの回復

    rm -r /HADB/archive/*
    cp -r /HADB_bkup/archive/* /HADB/archive

    アーカイブマルチチャンク表を定義している場合は,アーカイブディレクトリを回復する必要があります。

    アーカイブディレクトリをNFSサーバ上に作成している場合は,hadb02(待機系)でアーカイブディレクトリを回復する必要はありません。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリの回復

    rm -r /mnt/syndict/*
    cp -r /HADB_bkup/syndict/* /mnt/syndict

    同義語検索をしている場合は,同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを回復する必要があります。

  3. コールドスタンバイ構成を開始する

    詳細については,「17.4.1 コールドスタンバイ構成の開始方法」を参照してください。

    コールドスタンバイ構成の開始後,実行系のHADBサーバの稼働モードが静止モードになっている場合は,hadb01(実行系)でadbchgsrvmodeコマンドを実行し,実行系のHADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。

    adbchgsrvmode --normal